102 / 127
番外編
私の悩み 7
しおりを挟む
が、その殺気をすぐさまおさえこみ、宝石だらけの令嬢に微笑みかけたフィリップ。
逆に怖い…。何を考えている?!
「ねえ、サラ嬢って、ぼくより2歳年下だったよね?」
なぜ、今、年を聞くんだ…?
フィリップの思惑が見えず、不安しかない。
「ええ、14歳です」
と、宝石だらけの令嬢が答えた。
というか、14歳で、何故、あれほどの宝石をつけている?
宝石目当てで狙われるかもしれないし、重いし、動きにくいだろう。それに、なにより、変だ。
デメリットしか浮かばないな…。
が、今は、令嬢よりも、フィリップに注意を払わねば!
フィリップの怖さに気が付いたらしい木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢は、本当に木の実のように、動かなくなった。
もはや、大きい木の実として、庭の木々に同化しようとしている。
フィリップにしても、ターゲットから外したようで、存在を忘れたかのように視界にも入れていない。
木の実の令嬢、フィリップの危険に気づいてくれて礼を言うぞ!
こちらも、一人に集中して守ればいいから、助かる。
と、心で語りかけていると、フィリップが意味ありげな笑みを浮かべた。
「ぼくの弟のルイスは10歳。まだ、婚約者はいないんだ。君は、婚約者が4歳年下というのはどう思う? 年下は嫌かな?」
と、やけに優しい声をだすフィリップ。
アイスバーク侯爵令嬢! これは罠だ! 言葉に気をつけろ!
「ルイス殿下なら、4歳年下でも、全く問題ないです!」
前のめりで答えたアイスバーク侯爵令嬢。
いや、問題ありありだ。
本当にやめてくれ…。
「そう…。じゃあ、もしも、サラ嬢に、ルイスの婚約者候補になって欲しいってお願いしたら、受けてくれるの?」
と、これまた、優しい声で、誘導していくフィリップ。
これも罠だ! 受けないと、即答しろ!!
私は、令嬢に向かって心の中で絶叫する。
が、魔石のスピーカーから聞こえてきたのは、嬉々とした声。
「もちろんです! 喜んで、お受けいたします!」
ああ、最悪だ。
宝石だらけの令嬢よ…。
まずもって、ここにいる意味を忘れてどうする?
ここにきているのは、一応、フィリップとの見合いだぞ?
ルイスに、簡単になびくな…。
が、見合い相手から、そんな失礼な態度をとられても、フィリップ自身は、痛くもかゆくもないらしい。
というか、そんなことは思いもしないんだろう。
ほら、あの目。
ルイスへ近寄る者を次々と駆除してきた時の目だ…。
フィリップは、黒々とした笑みを浮かべながら言った。
「じゃあ、サラ嬢。ルイスの婚約者候補として、君の誇れるところは何か教えてくれるかな?」
「美的センスには自信があります! 幼い頃より、高価な宝石や、高価な美術品に囲まれてましたから目がこえてるんです!」
胸をはって答えた、宝石だらけの令嬢。
いや、だから、身を守るためにも、危険を見極める目を持て!
と、さっきと同じことを、宝石だらけの令嬢に向かって、またもや、心の中で叫ぶ。
「なるほど。今日も、素晴らしい宝石をいっぱい身に着けてるもんね?」
「はい! まだ、沢山もってるんです。今日は、なかでも、お気に入りの高価な宝石ばかりをつけてきました!」
そう自慢げに言った。
さすが、金が全ての成金侯爵の娘だな。
14歳にして、「高価な」を何度使うことか…。
「でも、残念。ぼく、ルイスの婚約者に美的センスは求めてないんだ。だって、ルイスが美そのものだろう? 見せかけだけのありふれた美じゃなくて、内面からあふれだす美。もう、存在自体が美なの。そんな崇高で圧倒的な美を前に、美的センスなんて、無用じゃない?」
え…? フィリップは何を言っている?
ひとつずつの言葉は理解できても、文として、まるで意味がわからん…。
宝石だらけのアイスバーク侯爵令嬢もきょとんとしている。
そこで、フィリップが獲物をおいつめるように、アイスバーク侯爵令嬢のほうに、少しだけ身をのりだした。
顔は笑っているが、襲いかかる寸前のような鋭い目…。
「それよりも、ルイスには優しい子がいいなあ」
と、フィリップ。
おっ、雰囲気は猛禽類だが、言ってることは、ごく普通だ…。
少しだけ、ほっとする。
きょとんとしていた宝石だらけの令嬢も、我に返ったように声をあげた。
「あの、私、優しいんです! お父様にも、しょっちゅう言われます。サラは優しい子だねって」
宝石だらけの令嬢よ。それを自分で言うか…?
しかも、娘を甘やし放題の父親が言った言葉なんて、全く信憑性がないじゃないか…。
「そう? なら、良かった。でも、ぼくが、ルイスの婚約者に求めるのは、普通の優しさじゃないんだ。だってね、ルイスはどう考えても、天使でしょう? だから、天使を少しでも汚すような令嬢は認められないの。天使を天使以上の優しさで包んでくれるような婚約者じゃないとね。だから、君の優しさがどれくらいの優しさなのか、ちょっと見せてもらおうかな?」
そう言って、フィリップは、真っ黒い笑みを見せた。
フィリップ…。おまえは、一体何を言ってるんだ?
父である私には、今の文もまるで理解できなかったぞ…。
それに、ルイスは天使じゃない。間違いなく人間だ!
※ この「私の悩み」編は、過去のお話になります。王太子が16歳、ルイスが10歳です。ちなみに、ルイスは、まだアリスと出会っていません。最初にも注釈をつけましたが、今回、年齢のくだりがでてきたので、再度ここでも書いておきます。
読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださっている方、本当にありがとうございます!
お気に入り登録、エール、ご感想もありがとうございます! 大変励みになります!
逆に怖い…。何を考えている?!
「ねえ、サラ嬢って、ぼくより2歳年下だったよね?」
なぜ、今、年を聞くんだ…?
フィリップの思惑が見えず、不安しかない。
「ええ、14歳です」
と、宝石だらけの令嬢が答えた。
というか、14歳で、何故、あれほどの宝石をつけている?
宝石目当てで狙われるかもしれないし、重いし、動きにくいだろう。それに、なにより、変だ。
デメリットしか浮かばないな…。
が、今は、令嬢よりも、フィリップに注意を払わねば!
フィリップの怖さに気が付いたらしい木の実のようなゴルラン公爵家の令嬢は、本当に木の実のように、動かなくなった。
もはや、大きい木の実として、庭の木々に同化しようとしている。
フィリップにしても、ターゲットから外したようで、存在を忘れたかのように視界にも入れていない。
木の実の令嬢、フィリップの危険に気づいてくれて礼を言うぞ!
こちらも、一人に集中して守ればいいから、助かる。
と、心で語りかけていると、フィリップが意味ありげな笑みを浮かべた。
「ぼくの弟のルイスは10歳。まだ、婚約者はいないんだ。君は、婚約者が4歳年下というのはどう思う? 年下は嫌かな?」
と、やけに優しい声をだすフィリップ。
アイスバーク侯爵令嬢! これは罠だ! 言葉に気をつけろ!
「ルイス殿下なら、4歳年下でも、全く問題ないです!」
前のめりで答えたアイスバーク侯爵令嬢。
いや、問題ありありだ。
本当にやめてくれ…。
「そう…。じゃあ、もしも、サラ嬢に、ルイスの婚約者候補になって欲しいってお願いしたら、受けてくれるの?」
と、これまた、優しい声で、誘導していくフィリップ。
これも罠だ! 受けないと、即答しろ!!
私は、令嬢に向かって心の中で絶叫する。
が、魔石のスピーカーから聞こえてきたのは、嬉々とした声。
「もちろんです! 喜んで、お受けいたします!」
ああ、最悪だ。
宝石だらけの令嬢よ…。
まずもって、ここにいる意味を忘れてどうする?
ここにきているのは、一応、フィリップとの見合いだぞ?
ルイスに、簡単になびくな…。
が、見合い相手から、そんな失礼な態度をとられても、フィリップ自身は、痛くもかゆくもないらしい。
というか、そんなことは思いもしないんだろう。
ほら、あの目。
ルイスへ近寄る者を次々と駆除してきた時の目だ…。
フィリップは、黒々とした笑みを浮かべながら言った。
「じゃあ、サラ嬢。ルイスの婚約者候補として、君の誇れるところは何か教えてくれるかな?」
「美的センスには自信があります! 幼い頃より、高価な宝石や、高価な美術品に囲まれてましたから目がこえてるんです!」
胸をはって答えた、宝石だらけの令嬢。
いや、だから、身を守るためにも、危険を見極める目を持て!
と、さっきと同じことを、宝石だらけの令嬢に向かって、またもや、心の中で叫ぶ。
「なるほど。今日も、素晴らしい宝石をいっぱい身に着けてるもんね?」
「はい! まだ、沢山もってるんです。今日は、なかでも、お気に入りの高価な宝石ばかりをつけてきました!」
そう自慢げに言った。
さすが、金が全ての成金侯爵の娘だな。
14歳にして、「高価な」を何度使うことか…。
「でも、残念。ぼく、ルイスの婚約者に美的センスは求めてないんだ。だって、ルイスが美そのものだろう? 見せかけだけのありふれた美じゃなくて、内面からあふれだす美。もう、存在自体が美なの。そんな崇高で圧倒的な美を前に、美的センスなんて、無用じゃない?」
え…? フィリップは何を言っている?
ひとつずつの言葉は理解できても、文として、まるで意味がわからん…。
宝石だらけのアイスバーク侯爵令嬢もきょとんとしている。
そこで、フィリップが獲物をおいつめるように、アイスバーク侯爵令嬢のほうに、少しだけ身をのりだした。
顔は笑っているが、襲いかかる寸前のような鋭い目…。
「それよりも、ルイスには優しい子がいいなあ」
と、フィリップ。
おっ、雰囲気は猛禽類だが、言ってることは、ごく普通だ…。
少しだけ、ほっとする。
きょとんとしていた宝石だらけの令嬢も、我に返ったように声をあげた。
「あの、私、優しいんです! お父様にも、しょっちゅう言われます。サラは優しい子だねって」
宝石だらけの令嬢よ。それを自分で言うか…?
しかも、娘を甘やし放題の父親が言った言葉なんて、全く信憑性がないじゃないか…。
「そう? なら、良かった。でも、ぼくが、ルイスの婚約者に求めるのは、普通の優しさじゃないんだ。だってね、ルイスはどう考えても、天使でしょう? だから、天使を少しでも汚すような令嬢は認められないの。天使を天使以上の優しさで包んでくれるような婚約者じゃないとね。だから、君の優しさがどれくらいの優しさなのか、ちょっと見せてもらおうかな?」
そう言って、フィリップは、真っ黒い笑みを見せた。
フィリップ…。おまえは、一体何を言ってるんだ?
父である私には、今の文もまるで理解できなかったぞ…。
それに、ルイスは天使じゃない。間違いなく人間だ!
※ この「私の悩み」編は、過去のお話になります。王太子が16歳、ルイスが10歳です。ちなみに、ルイスは、まだアリスと出会っていません。最初にも注釈をつけましたが、今回、年齢のくだりがでてきたので、再度ここでも書いておきます。
読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださっている方、本当にありがとうございます!
お気に入り登録、エール、ご感想もありがとうございます! 大変励みになります!
30
あなたにおすすめの小説
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
婚約者のいる運命の番はやめた方が良いですよね?!
水鈴みき(みすずみき)
恋愛
結婚に恋焦がれる凡庸な伯爵令嬢のメアリーは、古来より伝わる『運命の番』に出会ってしまった!けれど彼にはすでに婚約者がいて、メアリーとは到底釣り合わない高貴な身の上の人だった。『運命の番』なんてすでに御伽噺にしか存在しない世界線。抗えない魅力を感じつつも、すっぱりきっぱり諦めた方が良いですよね!?
※他サイトにも投稿しています※タグ追加あり
大好きな彼の婚約者の座を譲るため、ワガママを言って嫌われようと思います。
airria
恋愛
「私、アマンド様と愛し合っているの。レイリア、本当にごめんなさい。罪深いことだとわかってる。でも、レイリアは彼を愛していないでしょう?どうかお願い。婚約者の座を私に譲ってほしいの」
親友のメイベルから涙ながらにそう告げられて、私が一番最初に思ったのは、「ああ、やっぱり」。
婚約者のアマンド様とは、ここ1年ほど余所余所しい関係が続いていたから。
2人が想い合っているのなら、お邪魔虫になんてなりたくない。
心が別の人にあるのなら、結婚なんてしたくない。
そんなわけで、穏便に婚約解消してもらうために、我儘になってナチュラルに嫌われようと思います!
でも本当は…
これは、彼の仕事の邪魔にならないように、自分を抑えてきたヒロインが、我儘に振る舞ううちに溺愛されてしまう物語。
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました
Blue
恋愛
幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。
魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。
星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」
涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。
だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。
それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。
「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」
「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」
「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」
毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。
必死に耐え続けて、2年。
魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。
「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」
涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる