120 / 127
番外編
辺境で 10(ルイス視点)
しおりを挟む
※ 今回はルイス視点となります。
どうでもいいことばかり言う兄上に俺は怒っていた。
アリスの一大事にのんきに雑談している場合か!?
この間にも、アリスが不安で泣いていたらどうする!?
やはり一刻も早く部屋へ戻り、俺がアリスにかわり辺境へ行く準備をしないと!
俺は無言で立ち上がり、早足でドアのほうへと歩いていたら、マークに馬鹿力でひきもどされ、無理やり椅子に座らされた。
その乱暴な動作に文句を言おうとしたが、鬼気迫るマークの表情を見て、心配になった。
「おい、マーク! どうした……?」
聞いてもマークは答えず、兄上を必死の形相で見ている。
そんなマークにむかって、兄上が黒々した笑みをうかべて、うなずいた。
あからさまにほっとした様子のマーク。
その顔は、兄上のなんらかの命令をなしとげて安堵している顔だとしか思えない。
が、いつ、マークへ兄上が命令を伝えたんだ?
もしや、兄上とマークは言葉じゃないところでつながっているのか?
そう思って見ると、マークの首からリードのようなものが見え、その先を兄上が握っているような幻覚が見えた。
ということで、俺を無理やりひきとめたマークではなく、裏であやつる兄上のほうへ、「どういうつもりだ?」という意味をこめて、きつく見据えた。
が、何故だか、俺に向かって嬉しそうに笑い返してきた兄上。
「ルイスのそのきりっとした目! 小さくて愛らしかったルイスが、こんなに頼もしくなって、兄様は感動……」
ドンッ!
気がついたら、にぎりこぶしをテーブルにたたき落としていた。
即座にウルスが口を開いた。
「気持ちはわかる。だが、とりあえず落ち着け、ルイス……。それと、フィリップ! そんなことばっかりいってないで、いい案があるんだろ? とっとと全部言え!」
「でも、ルイスを見てると気持ちがどんどんあふれでて、勝手に口が動くんだもん」
不満そうにウルスに言い返す兄上。
「もういい」
俺は立ち上がった。
「あ、待って、ルイス! 言う! 今すぐ言います! だから、座って、ルイス!」
次の瞬間、横から手がのびてきて、俺の腕をつかまえて、またもや無理やり座らされた。
そう、すっかり兄上の使い魔と化したマークの仕業だった。
そして、やっと、本題に入った兄上。
「じゃあ、改めて最初から言うね。まず、アリス嬢には予定どおり母上の用意したプランで辺境に行ってもらう」
「つまり、アリスに一人で辺境に行けと……?」
問い返した俺の声は、思った以上に冷え切っていた。
「こわっ……」
と、つぶやくウルス。
が、兄上は自信満々といった感じで俺に笑って見せた。
「ルイス、肝心なのはここからだよ! ルイスの頼れる兄様だから提案できるスペシャルな方法だからね! ということで、ついに発表! ルイスには、アリス嬢を間近で常に見守れるように、母上の城へ行ってもらいまーす!」
「……ん? いや、待て、フィリップ。王妃様の招待にアリス嬢と婚約者のルイスが仲良く一緒に行けるのなら、とっくにそうしてるだろ。アリス嬢といまだ仲良くなれていないルイスだから、王妃様もアリス嬢だけ招待したんじゃないのか?」
と、ウルスが言った。
グサッ……。
ウルスの言葉が俺の心に突き刺さり、思わず、その痛みに胸をおさえた。
「あ、悪い、ルイス。仲良くなれていないは言い過ぎた。なんというか……、まだ色々距離が遠すぎるんだな」
と、言い直したウルス。
が、その言葉が更に俺の心を容赦なくグサグサと突き刺した。
痛みに耐える俺を見て、兄上の瞳に狂暴な炎が灯った。
「ねえ、ウルス。ルイスを傷つける言葉を吐くなんて、よほど頭がぼやけてるの? 暇すぎたのかな? あ、そうだ。ルイスを傷つけた分、ルイスのために全身全霊で動いてもらうことにしようっと。色々頼むから、よろしくー」
あからさまに、(しまった)という顔をするウルスと、自分事のように身震いするマーク。
「兄上、俺は大丈夫だ。それより、続きを言ってくれ」
俺は胸をおさえたまま、兄上を見る。
「もう、本当にルイスはどんだけ優しいの? はあー、兄様はまたまた感動……」
「兄上!」
「あ、ごめん、ルイス。また、心の声があふれだしちゃった……。じゃあ、続きを話すね。最初は、アリス嬢のかわりに、ルイスが辺境に行くなら僕も一緒にって思ったけど、行った先には母上がいるだろう? せっかくルイスと一緒に旅行に行くなら、母上がいないところがいいいよね。で、この案はボツ。で、次に思いついたのは、アリス嬢が自然と辺境へ行けなくなるように手をまわすこと。……あ、もちろん、アリス嬢にはなんの害もない方法でだよ。でも、相手が母上だからね。僕であっても、ちょっと時間が足りない。で、この案もボツ」
「行けなくなるように手をまわすってなんだ? 腹黒がもれすぎてるだろ……」
眉間にしわを寄せて、ぶつぶつとつぶやくウルス。
「まあ、脳筋母上の牛耳る城だから、アリス嬢の身の安全は心配ない。それより、僕としては、アリス嬢を心配しすぎるルイスの心が心配なんだよね。だから、ここはシンプルに、ルイスも辺境の城に行けば、アリス嬢を直接見守れて、ルイスが安心できるかなって思ったの。でも、アリス嬢が一人で行くと言っている以上、とんでもなく心優しいルイスのことだから、アリス嬢に気を遣わせたくないと思って、一緒に行くなんて言いそうにない。それよりは、すぐにかけつけられる場所で、ひっそりと見守るほうを望むと思うんだよね。だから、僕のとっておきのルートで母上の城にもぐりこませてあげる。もしもの時のために、母上にばれないように辺境の城にもぐりこめるルートを用意してたんだよね。ルイスの役に立てそうで良かった……フフ」
「待て待て待て、フィリップ! どんどん話がおかしくなっていくんだが!? それに、そもそも王妃様は敵じゃない! なんでそんなルートを用意してる!? 必要ないだろう! 息子で王太子なんだから、用があれば普通に訪ねて行けばいいだろうが! ああ、やっぱり、面倒な未来しか見えない! 絶対にやめろ!」
ウルスが文句を言うのを俺は手で制し、兄上のほうへ身をのりだした。
「兄上、続きを」
「ただね、僕の極秘ルートだから、ルイスには変装をして城に入ってもらうことになるけどいい? そこまでして、アリス嬢のそばにいたい?」
「ああ、もちろんだ。アリスの近くにいて、アリスを見守れるのなら、俺はなんでもする」
「もう、さすがはルイス! なんて、一途な天使なの! じゃあ、すぐに手配するから、楽しみに待ってて。あ、そうだ。僕もあとで行こうかなあ。……フフ」
「だから、やめろって! 頼むから、ルイスもフィリップの変な提案にのるな! 冷静になってくれ!」
と、叫ぶウルス。
が、俺の心は決まっていた。
アリス、大丈夫だ。
俺がそばで見守っている。
アリスのことは、なにがあっても俺が守るからな!
※ 更新がまたまた遅くなりました!
不定期な更新のなか、読んでくださった方、本当にありがとうございます!
お気に入り登録、エール、いいねもありがとうございます! とても励みになっております。
今回で王太子の執務室での場面は終了。次からは辺境にうつります。
どうぞよろしくお願いします!
どうでもいいことばかり言う兄上に俺は怒っていた。
アリスの一大事にのんきに雑談している場合か!?
この間にも、アリスが不安で泣いていたらどうする!?
やはり一刻も早く部屋へ戻り、俺がアリスにかわり辺境へ行く準備をしないと!
俺は無言で立ち上がり、早足でドアのほうへと歩いていたら、マークに馬鹿力でひきもどされ、無理やり椅子に座らされた。
その乱暴な動作に文句を言おうとしたが、鬼気迫るマークの表情を見て、心配になった。
「おい、マーク! どうした……?」
聞いてもマークは答えず、兄上を必死の形相で見ている。
そんなマークにむかって、兄上が黒々した笑みをうかべて、うなずいた。
あからさまにほっとした様子のマーク。
その顔は、兄上のなんらかの命令をなしとげて安堵している顔だとしか思えない。
が、いつ、マークへ兄上が命令を伝えたんだ?
もしや、兄上とマークは言葉じゃないところでつながっているのか?
そう思って見ると、マークの首からリードのようなものが見え、その先を兄上が握っているような幻覚が見えた。
ということで、俺を無理やりひきとめたマークではなく、裏であやつる兄上のほうへ、「どういうつもりだ?」という意味をこめて、きつく見据えた。
が、何故だか、俺に向かって嬉しそうに笑い返してきた兄上。
「ルイスのそのきりっとした目! 小さくて愛らしかったルイスが、こんなに頼もしくなって、兄様は感動……」
ドンッ!
気がついたら、にぎりこぶしをテーブルにたたき落としていた。
即座にウルスが口を開いた。
「気持ちはわかる。だが、とりあえず落ち着け、ルイス……。それと、フィリップ! そんなことばっかりいってないで、いい案があるんだろ? とっとと全部言え!」
「でも、ルイスを見てると気持ちがどんどんあふれでて、勝手に口が動くんだもん」
不満そうにウルスに言い返す兄上。
「もういい」
俺は立ち上がった。
「あ、待って、ルイス! 言う! 今すぐ言います! だから、座って、ルイス!」
次の瞬間、横から手がのびてきて、俺の腕をつかまえて、またもや無理やり座らされた。
そう、すっかり兄上の使い魔と化したマークの仕業だった。
そして、やっと、本題に入った兄上。
「じゃあ、改めて最初から言うね。まず、アリス嬢には予定どおり母上の用意したプランで辺境に行ってもらう」
「つまり、アリスに一人で辺境に行けと……?」
問い返した俺の声は、思った以上に冷え切っていた。
「こわっ……」
と、つぶやくウルス。
が、兄上は自信満々といった感じで俺に笑って見せた。
「ルイス、肝心なのはここからだよ! ルイスの頼れる兄様だから提案できるスペシャルな方法だからね! ということで、ついに発表! ルイスには、アリス嬢を間近で常に見守れるように、母上の城へ行ってもらいまーす!」
「……ん? いや、待て、フィリップ。王妃様の招待にアリス嬢と婚約者のルイスが仲良く一緒に行けるのなら、とっくにそうしてるだろ。アリス嬢といまだ仲良くなれていないルイスだから、王妃様もアリス嬢だけ招待したんじゃないのか?」
と、ウルスが言った。
グサッ……。
ウルスの言葉が俺の心に突き刺さり、思わず、その痛みに胸をおさえた。
「あ、悪い、ルイス。仲良くなれていないは言い過ぎた。なんというか……、まだ色々距離が遠すぎるんだな」
と、言い直したウルス。
が、その言葉が更に俺の心を容赦なくグサグサと突き刺した。
痛みに耐える俺を見て、兄上の瞳に狂暴な炎が灯った。
「ねえ、ウルス。ルイスを傷つける言葉を吐くなんて、よほど頭がぼやけてるの? 暇すぎたのかな? あ、そうだ。ルイスを傷つけた分、ルイスのために全身全霊で動いてもらうことにしようっと。色々頼むから、よろしくー」
あからさまに、(しまった)という顔をするウルスと、自分事のように身震いするマーク。
「兄上、俺は大丈夫だ。それより、続きを言ってくれ」
俺は胸をおさえたまま、兄上を見る。
「もう、本当にルイスはどんだけ優しいの? はあー、兄様はまたまた感動……」
「兄上!」
「あ、ごめん、ルイス。また、心の声があふれだしちゃった……。じゃあ、続きを話すね。最初は、アリス嬢のかわりに、ルイスが辺境に行くなら僕も一緒にって思ったけど、行った先には母上がいるだろう? せっかくルイスと一緒に旅行に行くなら、母上がいないところがいいいよね。で、この案はボツ。で、次に思いついたのは、アリス嬢が自然と辺境へ行けなくなるように手をまわすこと。……あ、もちろん、アリス嬢にはなんの害もない方法でだよ。でも、相手が母上だからね。僕であっても、ちょっと時間が足りない。で、この案もボツ」
「行けなくなるように手をまわすってなんだ? 腹黒がもれすぎてるだろ……」
眉間にしわを寄せて、ぶつぶつとつぶやくウルス。
「まあ、脳筋母上の牛耳る城だから、アリス嬢の身の安全は心配ない。それより、僕としては、アリス嬢を心配しすぎるルイスの心が心配なんだよね。だから、ここはシンプルに、ルイスも辺境の城に行けば、アリス嬢を直接見守れて、ルイスが安心できるかなって思ったの。でも、アリス嬢が一人で行くと言っている以上、とんでもなく心優しいルイスのことだから、アリス嬢に気を遣わせたくないと思って、一緒に行くなんて言いそうにない。それよりは、すぐにかけつけられる場所で、ひっそりと見守るほうを望むと思うんだよね。だから、僕のとっておきのルートで母上の城にもぐりこませてあげる。もしもの時のために、母上にばれないように辺境の城にもぐりこめるルートを用意してたんだよね。ルイスの役に立てそうで良かった……フフ」
「待て待て待て、フィリップ! どんどん話がおかしくなっていくんだが!? それに、そもそも王妃様は敵じゃない! なんでそんなルートを用意してる!? 必要ないだろう! 息子で王太子なんだから、用があれば普通に訪ねて行けばいいだろうが! ああ、やっぱり、面倒な未来しか見えない! 絶対にやめろ!」
ウルスが文句を言うのを俺は手で制し、兄上のほうへ身をのりだした。
「兄上、続きを」
「ただね、僕の極秘ルートだから、ルイスには変装をして城に入ってもらうことになるけどいい? そこまでして、アリス嬢のそばにいたい?」
「ああ、もちろんだ。アリスの近くにいて、アリスを見守れるのなら、俺はなんでもする」
「もう、さすがはルイス! なんて、一途な天使なの! じゃあ、すぐに手配するから、楽しみに待ってて。あ、そうだ。僕もあとで行こうかなあ。……フフ」
「だから、やめろって! 頼むから、ルイスもフィリップの変な提案にのるな! 冷静になってくれ!」
と、叫ぶウルス。
が、俺の心は決まっていた。
アリス、大丈夫だ。
俺がそばで見守っている。
アリスのことは、なにがあっても俺が守るからな!
※ 更新がまたまた遅くなりました!
不定期な更新のなか、読んでくださった方、本当にありがとうございます!
お気に入り登録、エール、いいねもありがとうございます! とても励みになっております。
今回で王太子の執務室での場面は終了。次からは辺境にうつります。
どうぞよろしくお願いします!
157
あなたにおすすめの小説
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
婚約者のいる運命の番はやめた方が良いですよね?!
水鈴みき(みすずみき)
恋愛
結婚に恋焦がれる凡庸な伯爵令嬢のメアリーは、古来より伝わる『運命の番』に出会ってしまった!けれど彼にはすでに婚約者がいて、メアリーとは到底釣り合わない高貴な身の上の人だった。『運命の番』なんてすでに御伽噺にしか存在しない世界線。抗えない魅力を感じつつも、すっぱりきっぱり諦めた方が良いですよね!?
※他サイトにも投稿しています※タグ追加あり
大好きな彼の婚約者の座を譲るため、ワガママを言って嫌われようと思います。
airria
恋愛
「私、アマンド様と愛し合っているの。レイリア、本当にごめんなさい。罪深いことだとわかってる。でも、レイリアは彼を愛していないでしょう?どうかお願い。婚約者の座を私に譲ってほしいの」
親友のメイベルから涙ながらにそう告げられて、私が一番最初に思ったのは、「ああ、やっぱり」。
婚約者のアマンド様とは、ここ1年ほど余所余所しい関係が続いていたから。
2人が想い合っているのなら、お邪魔虫になんてなりたくない。
心が別の人にあるのなら、結婚なんてしたくない。
そんなわけで、穏便に婚約解消してもらうために、我儘になってナチュラルに嫌われようと思います!
でも本当は…
これは、彼の仕事の邪魔にならないように、自分を抑えてきたヒロインが、我儘に振る舞ううちに溺愛されてしまう物語。
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました
Blue
恋愛
幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。
魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。
星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」
涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。
だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。
それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。
「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」
「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」
「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」
毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。
必死に耐え続けて、2年。
魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。
「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」
涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる