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第6章:追われる者たちと、風の剣士①
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王都まであと二日――そう見込んでいたハルトたちは、小さな街道の町「ブレイニア」で足を止めていた。
「休憩だ。ちょっとは贅沢しようぜ」
そう言って珍しく宿の夕食を楽しんでいた矢先、騒ぎが起きた。
「衛兵だ!誰か追われてるぞ!」
通りの方で叫び声。ハルトとリアナ、ミルが駆け出すと、数人の衛兵が一人の少女を追いかけていた。
「待て、サラ! お前には王都からの手配が――!」
(手配? ……でも、あの動き)
屋根から屋根へ、まるで風のように跳び移る少女。その背には小柄なナイフと、何かを隠した袋が見えた。
(あれ、盗賊か……?)
だが、その目は必死だった。何かを守る者の目――ハルトは思わず口を開く。
「ミル、囲まれる前に――あいつを助ける!」
「にゃっ!」
ハルトが屋根に飛び乗り、《幸運》に導かれるように少女の行く手に回り込む。
「通せんぼだ。少し話をしようか」
「……あなた、誰よ」
少女――サラは警戒しながらも、立ち止まった。
「俺はハルト。ただの通りすがりの旅人。あんた、何かやばいもん抱えてるな?」
「……これは、孤児院の子どもたちの薬よ。あいつら、薬を独占して売ってる領主の命令で、まともに治療も受けられないの」
目を見れば嘘ではないと分かった。ハルトはふっと笑う。
「悪党に追われてるなら、ちょうどいい。俺たちはそういうのに巻き込まれがちだからな」
その頃、背後から別の気配が現れる。
「……助太刀しようか?」
立っていたのは、長身の剣士だった。風のように現れたその男は、無言で剣を抜く。
「レン、と名乗っておこう。俺も王都に行くつもりだったが、面白い風が吹いている」
その剣は迷いなく、追手を退けた。
---
後日、サラとレンはハルトたちと共に旅をすることを決意する。
「誰にも頼らず生きてきたけど……一緒に戦ってもいい?」
「風が導くなら、俺はついていこう」
新たな仲間、新たな力。
そして、王都で蠢く陰謀の兆しは、確実にハルトたちを待っていた。
《スキル【幸運の加護・改】は、仲間との絆により進化条件を蓄積中です》
――次なる進化は、絆が導く先に。
「休憩だ。ちょっとは贅沢しようぜ」
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「待て、サラ! お前には王都からの手配が――!」
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(あれ、盗賊か……?)
だが、その目は必死だった。何かを守る者の目――ハルトは思わず口を開く。
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「にゃっ!」
ハルトが屋根に飛び乗り、《幸運》に導かれるように少女の行く手に回り込む。
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「……あなた、誰よ」
少女――サラは警戒しながらも、立ち止まった。
「俺はハルト。ただの通りすがりの旅人。あんた、何かやばいもん抱えてるな?」
「……これは、孤児院の子どもたちの薬よ。あいつら、薬を独占して売ってる領主の命令で、まともに治療も受けられないの」
目を見れば嘘ではないと分かった。ハルトはふっと笑う。
「悪党に追われてるなら、ちょうどいい。俺たちはそういうのに巻き込まれがちだからな」
その頃、背後から別の気配が現れる。
「……助太刀しようか?」
立っていたのは、長身の剣士だった。風のように現れたその男は、無言で剣を抜く。
「レン、と名乗っておこう。俺も王都に行くつもりだったが、面白い風が吹いている」
その剣は迷いなく、追手を退けた。
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後日、サラとレンはハルトたちと共に旅をすることを決意する。
「誰にも頼らず生きてきたけど……一緒に戦ってもいい?」
「風が導くなら、俺はついていこう」
新たな仲間、新たな力。
そして、王都で蠢く陰謀の兆しは、確実にハルトたちを待っていた。
《スキル【幸運の加護・改】は、仲間との絆により進化条件を蓄積中です》
――次なる進化は、絆が導く先に。
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