「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ

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第5章:幸運の導きと契約の絆

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王都への道のりは、決して楽なものではなかった。

「姫、って呼ばなくていいのに」 「いや、どう見ても姫だろ。無理がある」

森を抜け、谷を渡り、小さな町をいくつか経由する中で、ハルトとリアナの距離は少しずつ近づいていった。

リアナは王族にしては気取らず、笑顔の多い少女だった。
旅の道中でも積極的に火を起こしたり、簡単な料理を作ったりと、意外なほど逞しい。

「……王城の外に出たことなんて、なかったけど。こういう生活、案外悪くないわね」

そんな風に笑う姿を見て、ハルトは何度も「やれやれ」と言いながらも、その笑顔に癒されていた。

だが、それは穏やかな時間の中に潜む嵐の前触れでもあった。

三日目の夜。峠の道中、突然魔物が群れを成して現れた。
――Bランク魔物《スモークワイバーン》、三体。

「リアナ、下がってろ!」 「うん、わかった!」

ハルトは剣を抜き、正面から一体を引きつける。
残りの二体は迂回してリアナを狙っていた。

(まずい……一体ならどうにかなる。でも三体同時は――)

その瞬間、リアナが手を広げて叫んだ。

「やめなさい!」

眩い光が放たれる。魔物が一瞬、怯んだように動きを止める。

《スキル【王家の威光】が発動しました》

(……スキル!?)

ハルトが驚いた次の瞬間、再び魔物が襲いかかってくる。

「こっちは“運”でなんとかするしかねぇ!」

気合と共に、ハルトが踏み込んだ。

だが、次の瞬間――

《スキル【幸運】が進化条件を満たしました》
《新スキル【幸運の加護・改】を習得しました》
《対象:契約者に幸運を共有します》

(……対象?)

視界の端に、リアナの姿が重なる。まるでリンクするように、彼女にも微かな光が灯っていた。

「……いいよな、ちょっとくらい頼られても」

剣を振るう速度が、反応が、確実に上がっていた。
そして、魔物の攻撃は僅かな地形の段差に足を取られ、姿勢を崩す。

そこを逃さず――

「せいっ!」

三体目のワイバーンが地に伏した。

「やった……終わった……?」

「運が味方してくれたな」

リアナが駆け寄り、ハルトに抱きついた。

「ありがとう……本当に……!」

その涙混じりの声に、ハルトの心はわずかに熱くなった。

「……これが恋愛フラグってやつか?」

「なにか言った?」

「いや、こっちの話」

笑い合う二人の背後で、ミルがにゃあと鳴いた。

――こうして、ハルトの旅は「ただの護衛」から、王国を巡る大きな運命へと変わり始める。

次の町で彼らが出会う新たな仲間が、また一つ、物語を加速させることになるとも知らずに。


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