異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ

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第1章 転生と牧場のはじまり

第6話「リボンと、ふたりきりの夕暮れ」

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「ナナちゃん、おはよう」

 朝。はるとは牛舎の戸を開け、小さく声をかけた。
 子牛のナナちゃんは、ゆっくりと顔を上げると、「もーぅ」と低く鳴いた。

「……慣れてきた、かな?」

 昨日から始まった“牛との生活”。ナナちゃんはまだミルクは出せないが、人懐っこく、朝の見回りもすんなり受け入れてくれた。

 何より、出荷箱にエマさんから届いた木製ブラシと、赤いリボン──。

「……せっかくだし、つけてやるか」

 はるとはナナちゃんの首元にそっとリボンを結びつける。
 柔らかな毛並みと相まって、ナナちゃんはまるでぬいぐるみのようだった。

「おー、似合うな……ナナちゃん、お前、女の子力高いぞ」

 なでながらそう言うと、ナナちゃんは満足そうに鼻をふごふごさせた。



 昼頃、リンネがまたふわふわ跳ねながらやって来た。

「はるとーっ! ナナちゃん、どう? 元気?」

「元気だよ。ほら、リボンも似合ってるだろ?」

「きゃーっ! かわいいっ!! やっぱり、リボン似合うと思ったんだよね!」

 リンネはナナちゃんをなでなでしながら、目を細めた。

「動物って、服は苦手でもリボンとかアクセサリーは平気な子が多いんだよねー。ちょっとした“自分のしるし”になるから、安心するんだって」

「へえ……なんか、深いな」

「だからはるとも、リボンとかつけてみたら?」

「えっ、俺が?」

「うん、耳にリボンとか──あっ、似合わないかも!」

「おい、今ちょっと似合わなそうって思ったろ」

「うふふ、うん♪」

 笑い合う二人のそばで、ナナちゃんが「もぅ」と合いの手を入れるように鳴いた。



 午後は畑仕事を終えたあと、少しだけ時間が空いた。

 焚き火の薪を組み、簡単なランチを済ませた後、はるとは焚き火の火を見ながらぽつりとつぶやく。

「……リンネ。お前、昔からこの村にいるって言ってたよな」

「うん。生まれも育ちもここ。リーヴァの村しか知らない」

「不安になったりしない? 外の世界に、もっと広い場所があるって思ったりとか」

「うーん……あるよ。でもね、あたしは“誰かと一緒なら、どこでも世界は広くなる”って思ってる」

「……それ、詩人みたいなこと言うな」

「ふふ、でしょ? でもほんとだよ。牧場も、動物も、そして──はるとも。一緒にいると、あたしの世界が広くなる気がする」

 その言葉に、はるとは一瞬だけ言葉を失った。
 焚き火の火が、ふっと揺れる。

「お前、ほんと……まっすぐだよな」

「うん。でもそれ、悪いこと?」

「いや……ありがたいよ。まっすぐに、こっちまで引っ張ってくれるのって」

 沈黙が少し流れる。

 リンネがそっと、はるとの隣に座る。ふわりと耳が肩に触れた気がした。

「……じゃあさ。はるとは、これからもこの牧場にいる?」

「ああ。……多分、ずっと。ここが“自分の場所”になってきた気がする」

「そっか。じゃあ、あたしもいるね。ここに」

 まるで、ふたりだけの静かな約束のようだった。
 空が茜色に染まりはじめ、牧場がオレンジに包まれる。

 ──ふたりきりの夕暮れ。

 ふと、ナナちゃんの「もーぅ」という声に振り向くと、彼女は焚き火のそばでごろりと寝転んでいた。

 ──ああ、なんて平和で、温かい時間なんだろう。

 はるとは、そう思った。



 その夜。

【親密度更新】
・リンネ:★★☆☆☆ → ★★★☆☆
・特別イベント「手作り弁当」が開放されました!

【牧場状況】
・動物:1頭(ナナ)
・作物:にんじん、小麦、ハーブ
・特記事項:ナナちゃんがリボンを気に入っています♪

【現在の所持金:498G】

 画面の端に、小さな新しいウィンドウが表示される。

【遠くで、誰かの視線を感じます……】
【次の物語への扉が、静かに開かれます】


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