【完結】あなたの正しい時間になりたい〜上司に囚われた俺が本当の時間を見つけるまで〜

栄多

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あなたの正しい時間になりたい

ファーストキス

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 天井まである棚に、ピンクや黄色、ターコイズブルーなど目に鮮やかな紅茶の缶がずらりと並ぶ。その隣には美しい植物模様のクッキー缶、瓶詰めのジャムやコンポート、外国産のオリーブオイルやソルトが続く。
店先のショーケースには、イタリアンの惣菜やケーキ、高級チョコレート。
床は木目のフローリングで、店員の制服ははギャルソンのようなモノトーン。
柏木とランチ後、澪緒は柏木を連れてこのフードセレクトショップ『FØODIT.フーディットに立ち寄った。ノベルティのワインの参考にするためだ。
店内は、感度高めな女性客で埋め尽くされ柏木は少し照れ臭さそうだった。

「ふふ、そんな緊張しないでください」
「ワインコーナーに行くんじゃないんですね」
「あとでワインコーナーにも行きます。でもこういうジャムとかコンポートのスイーツ系の方がラベルのデザインの自由度が高くていいんですよね。今回は、あくまで冷蔵庫の機能を訴求するもので、ワインを売るわけじゃないから」
「確かに。例えばこれとか?」
柏木が色とりどりの棚から洋梨のコンポートの細長い瓶を手に取った。
琥珀色の蜜の中に浮かぶみずみずしい洋梨。
その瓶のラベルは、さらっとした質感の紙に金色のスクエアの模様が施され、その中に同色で商品名が記載されていた。

「そうそう、こういうのがやりたいんです」
女性客が自分たちとすれ違うたび、皆、それとなく柏木を見上げ通り過ぎて行く。
それは長身という理由だけではないはず。
なぜか澪緒は自分が褒められたように誇らしかった。

「でも冷蔵庫のロゴが太いゴシック体だから繊細なデザインとマッチしなくて…悩んでるんですよね」
「先方からデザインの要望はなかったですもんね。澁澤さんヨロシク!って感じでしたね」
「そう。でも…これ、あるあるなんですけど」
澪緒は一旦言葉を切って声をひそめた。
柏木がかがんで澪緒の口元に耳を近づける。

「お任せ!って言う担当者の方に限って、こちらのデザイン提案を見た後に無理難題を言ってくるんですよ」
「たとえば?」
「ワインのラベルに冷蔵庫の写真をドーン!プリントできないか、結婚式の引き出物みたいに。とか」
「引き出物!?」
それを聞いて柏木は爆笑した。
よほどおかしいのか体を折って笑い、静かな店内で笑いを我慢したくても笑窪えくぼが浮かぶ口元からは笑いがもれていた。
「ちょっと、ハハハ、結婚式の引き出物はいきなりチープですね」
「そう思いますよね?でも本当に言ってくるんですよ」
「そういう時どうするんですか?」
「向こうも真剣だから否定しちゃダメです。こっちも真剣な顔して、ラベルシールは色の再現に限界があるから避けた方がいいと思います…とかデザイン的な視点じゃなく客観的な事実を探して説得します」
「ははは…これは再見積り覚悟しとかなきゃですね」
「そうなんです!デザインによって印刷費変わってくるから営業とデザイナーはほんとコミュニケーションとって一心同体でいないとだめなんですよ」
息も絶え絶えに笑っていた柏木が笑うのをやめ、真剣な目を向けてきた。
「そうか。それこそ本当にバディですね」
「です!」
「ちなみにワインはどこの会社のものにするか、目星がついてるんですか?」
「それが問題なんですよね。提案したはいいけど俺ワインの会社に知り合いなんかいないし。とりあえずCCで社員のみんなに小さい瓶でワインを製造してる会社知らないかメールで連絡して…クライアントよりそっちの方が気が重い」

柏木は真剣なまなざしで顎に手を当てて何かを考え始め、数秒して口を開く。
「俺の知り合いにワインの卸しをやってる男がいます。ダメ元で声かけてみましょうか?卸しだから、国内のいろんなメーカーのワインも扱ってるはずです。その中には甲信越地方のワインの1つや2つぐらいあると思います」
「えっ、本当に…?」
「じゃあ今昼休みだし、ちょっと電話してきます」
メールか何かで連絡するのかと思いきや、柏木はいきなりその場でスマホを取り出し、番号を検索してFØODIT.フーディットの店舗の外に出て電話をかけ始めた。
澪緒はそのスピードにあっけに取られ、手にしていた商品を慌ててレジへ持って行く。

「いらっしゃいませ、1点でよろしいですか?」
レジ横の『コラボアイテム!』というポップと共に猫の首輪が置いてあるのが目に入った。
色はターコイズブルー。麦に似合いそうという理由だけで手に取る。
「これも。あと、コンポートの方だけ領収書お願いします」
首輪を瓶と共にレジで会計してもらい、急いで柏木に駆け寄るとすでにワインの卸しの人間と話がまとまりかけていた。

「あ、あります?そうそう。小瓶がいいんです。あえて、です。新作発表会は2ヶ月後ですね」
早い。
西脇でさえここまで早くない。いや、他の誰も追随できないだろう。
隙の無い堅い男というイメージとかけ離れた柔軟な思考と瞬発力はもはや獲物を仕留める黒豹のようだった。
日程の話などを詰めて電話が切られた。

「あの、ありがとうございます。これから柏木さんと仕事ができるの、本当に楽しみです。色々教えてください」
喋りながら外へ出る。
「理緋都、でいいです」
「え?」
渡るはずの横断歩道は青。
ビジネスマンや観光客、休憩上がりらしき店員がどんどん自分たちを追い抜いていく。
歩道の端に寄る。
「理緋都。俺の名前。俺が澪緒って呼ぶんだから、澪緒も理緋都、って呼んで」
突然のタメ口。澪緒の時間が止まる。
普通ならこれは男同士が親しくなるステップなんだろう。
しかし澪緒の場合は違う。

これまでの人生で数回あった場面。
二人きりになった時に澪緒の指向に探りを入れてくる人間の、定番の流れ。
ああ、まただ。
澪緒はそう思って瓶を落としそうになる。心底げんなりしたからだ。

「…理緋都」
柏木が満足そうに笑う。
「澪緒、ちょっと付き合って。5分でいいから。聞きたいことがある」
身を固くする。
澪緒の顔から笑顔が消える。
どこでバレた?
やっぱり、副島の個室でスケジュールの話をした時?
「仕事のことなら、会社で」
「営業とデザイナーはコミュニケーションとらないとだめなんだろ?」
「そんな真剣に受け取らなくていい」
「聞いておきたいんだ、澪緒自身のこと。営業とデザイナーは一心同体。そうだろ?」
背中に氷を入れられたように全身が冷える。心臓が暴れるように打つ。
あんなアドバイスしなければよかった。
今までの後輩と同じように、必要なことをレクチャーして、質問されれば全力で答えて、でも人間関係には深入りせずそれなりの上辺の付き合いで十分なはずだった。澪緒に関わることを望んでくる人間もいるが、そうでない人間も同じ位いる。

柏木は今まで関わったどの人間とも規格外で、とても素敵で、彼となら仕事で新しい世界を広げることができそうだと思った。
隙が生まれた。
でも今さら悔やんでももう遅い。
男しか愛せないと気付かれたのか。
浴びせられる言葉は批判か軽蔑か。

 柏木はあくまで笑みを浮かべ紳士的だったが、澪緒に有無を言わせない迫力を持っていた。
エスコートされながらビルを出て連れてこられたのは銀葉公園。
人がまばらな場所まで来てベンチに柏木が座る。
昼休憩はあと5分。
普段なら急いで会社に戻るところだが澪緒はいざなわれるまま着席する。
日本の主要な政府機関が集まる場所とは思えないほど、この公園はいつものどか。
その場所で審判を待つ。

「澪緒は、美術大学出身?」
「…東京美術大学のデザイン科卒業」
「小平にある大学だ」
「ああ」
「今はどこに住んでる?」
「世田谷」
「会社にも実家にも遠い」
「…自立したかった。実家の近くに住むと甘えちゃうし」
「実家はどこ?」
「下町」
「だから下町在住の氷室部長から澪緒ちゃんと呼ばれてるのか」
「そう。同じ下町。brother」
「ふっ」
「理緋都」
「ん?」
「まどろっこしいのは嫌いだ。早く本題に入ってくれ」
ずっと握りしめていた袋をベンチに置く。
自分の素性がバレたら退職、仕事探し、また就活。
澪緒の頭の中にこれからやるべきことがグルグル回り始める。
家賃の問題もある。
払えないと副島と会える時間が激減する。

人生であと何度、この苦しみを味わえば終わりが来るのだろう。

「なら言う」
「早くしろ」
澪緒は目の前の噴水を見つめてぶっきらぼうに答える。
柏木は周囲に人がいないか確認してから澪緒に向き直る。

「あの男と別れろ。今すぐじゃなくていい。1年後でも構わない。いつか必ず、別れろ」
「不倫の方か」

澪緒は最後の抵抗で無駄な虚勢を張る。不倫に気づいたならそれは澪緒の性的指向も知られたことを意味する。
「どうしてわかった」
「副島部長と澪緒が同じカフェから出て来たのを見た時から。言葉少なな感じが返って親しさを醸し出してた。そこから、なんとなく」
親しく見えないようにとった行動が返って親しさを感じさせてたなんて。
でもそんなことはもはやどうでもいい。
「いくら理緋都の頼みでもそれはできない」
「澪緒」
「会社は辞める。仕事は後輩に引き継ぐ。理緋都に迷惑かけないようにするから安心しろ」
「なぜそうなる?会社を辞める必要なんてこれっぽっちもない」
「男が好きだとバレた以上、あの職場にはいられない。副島さんにも迷惑がかかる」
大好きな仕事。
これから楽しみにしていたラベルのデザイン、食品メーカーのカレンダー、来週から10代、20代の乗降客が多い駅を中心に貼られる予定だったポップアイドルの衣装展のポスター。
それら全て俺の手から離れていく。
「澪緒、せっかく2人のプロジェクトが始まったんじゃないか。俺は澪緒の才能に惚れてる。こういう話をしてるのは、全てお前が素のままで仕事ができる環境作りをしたかったからだ。それと…お前に元の正しい時間に戻って欲しいかったから」
「正しい時間」
口に出すと、途端にに涙があふれた。

『けれどこの恋には限界があることを、大人であるお前には理解して欲しい』

あなたの正しい時間になりたいと言った時の副島の返事。
俺の望む正しい時間と俺以外の人間が望む正しい時間は一生交差しないようだ。

「使ってくれ」
柏木がハンカチを差し出した。澪緒はそれをひったくって遠慮なく真っ白なハンカチで顔を覆う。

「別れなくちゃいけないのはわかってる。でも副島さんと別れるなんて考えられない」
「どうして?」
「どうして?好きだからだ。理緋都にはわからない、俺がここまで来れたのは副島さんのおかげだ。仕事の事だけじゃない、野暮ったい俺がここまで成長できたのも、初めて孤独じゃないと思えたのも、自分を偽らなくても丸ごと受け入れてもえるってことも、そういうことを教えてくれたのは、この世で副島さんだけだ。理緋都から見ればよくある陳腐な不倫かもだけど、俺にとってあの人は救世主なんだ」
「救世主…」
柏木は視線を地面に落としてしばらく黙っていた。
それから立ち上がってベンチの近くにあった自販機からペットボトルを買い、澪緒に手渡した。

「…事情を知らずに悪かった。俺にもそういう人生の先輩はいる。お前の気持ちは半分ぐらいは理解できる。と、思う。でも…不貞に気づいてしまった人生の先輩としてあえて言う。やはり別れるべきだと思う」
「お前恋愛したことないのか?」
「そんなわけあるか」

 澪緒のポケットの中のスマホが短い音を立ててメッセージの到着を知らせた。
取り出すと、まさに今議題に上がっている副島からのメッセージだった。

ーーさっきは悪かった。今日澪緒の家に行っていいか?

なぜか柏木も堂々と副島からのメッセージを見ているが澪緒はもう反発する気も失せていた。
今日、副島が家に来るのはあんまり気乗りがしなかった。けれど次の約束ができない間柄。
分かった。
短くそう返信すべくスマホを握り直すと柏木が澪緒のスマホを奪い、光の速さで『ごめん。今日は無理』とタップして送信してしまう。

「なっ!おい!いくらなんでもそこまですんなよ!」
声が裏返った。
澪緒が怒りをあらわにして抗議すると柏木はそれ以上の怒りを込めて口を開いた。
「会社で部下に性的暴行を働いた上、こんな短いメッセージでなかったことにしようとする。こんな男のどこがいいんだ!洗脳されてるぞ!」
「…っ!見てたのか…?」
「やはりそうだったか。いい加減目を覚ませ」
「テメェ!」
柏木に殴りかかろうとしたが、拳を握ったでけで素早く腕を掴まれた。
激痛が走る。格闘技でもやってるのかと思うほどプロのような素早い動き。
「民法770条1項1号!」
「ハァ!?」

「配偶者に不貞な行為があったとき、裁判所に対して離婚の訴えを提起することができる!また民法709条!被害配偶者が精神的損害を理由に慰謝料を請求できる。ちなみに慰謝料の相場は200万だ。もちろんこれは夫の副島だけではない。既婚者と知りながら肉体関係を持った場合には、澪緒、お前にも副島の妻に慰謝料を支払う義務が発生する。ちなみに第三者が払う慰謝料は300万円以上の判決もある。一人暮らしで毎月の家賃があるお前に払えるか?夫婦関係が破綻してる場合は責任を問われないケースもあるにはあるが、副島のSNSを見る限り夫婦関係は良好でそれはなさそうだ。日本には不倫自体を禁止する法律はない。1947年に姦通罪も廃止された。しかし澪緒、今のお前は民事上の責任を負う立場に立たされている。つまりーーあの男と別れろ」

柏木からふわっと香ってきたウッド系の香水に澪緒の動きが止まった。
この香りを知っていたからだ。
一人暮らしをしてる澪緒の給料では買うのを断念せざるを得なかった、ニューヨークのメンズブランドの香水。

 なんで気づかなかったんだろうか。
オーダーメイドと思われるようなスーツ、高級な香水、人の懐に入り込んでくる対人スキル、目上の副島と張り合える度胸。
柏木のようなハイスペックな男がどうして、有川デザインオフィスみたいな中堅企業に転職してきたんだろう。
有川デザインオフィスはいい会社だ。
でも柏木理緋都という人間のサイズ感とは到底釣り合わない。
他の目的があるとしか思えない。

澪緒は体から力を抜いた。
澪緒の腕を握っていた理緋都の手も離れる。
「理緋都」
「分かってくれたか」
「別れられない」
「300万以上払う爆弾を抱えて生きるのか」
「生命保険がある」
「澪緒!」
「ごめん。わかって欲しいとしか言えない。本当にお金の問題じゃないんだ。もう1人になりたくない。自分を偽りたくない。1ヵ月のうちに数時間だけ本当の自分になってデートできる。それは俺にとって300万以上の価値があることなんだ」
「自分の命以上に、大切だと言うのか」

澪緒は自嘲する。
「地球上の全員に後ろ指さされても、俺にとって副島さんとの時間は正しい時間なんだ。理緋都だって恋愛したことあるだろ?その彼女と性別を理由に別れろと言われて別れられるか?」
「…俺が問題視してるのは不貞行為の方だ」
「うん。でも俺がわかって欲しいのは好きという気持ちの方」
柏木が黙った。
昼休みはとうに過ぎてる。頭の中で言い訳を考える。何も思い浮かばない。

「副島が、澪緒を同じ熱量で愛してるとは限らない」
「それもわかってる。あの人は俺に絶対に愛してるとは言わないからな。ふっ…こないだなんかボーイフレンドを作れと言われた。せめてもの罪滅ぼしだってよ。俺がそんなことできないと分かって言うんだ、あの人」
「澪緒の愛を確かめるためだろうな。やってることが最悪すぎる」
「そういう考え方もあるのか。…それはちょっと嬉しい、かも…」
柏木は周囲にも聞こえるような盛大なため息をつく。
馬鹿は死んでも治らないくらい思っているだろう。

「澪緒」
「なんだよ、もういい加減会社戻ろう」
澪緒はベンチから立ち上がって、柏木に買ってもらったお茶を一気に飲む。
「お前が秘密にしたいこと、誰にも言わない。もちろん副島部長との関係も。会社も辞める必要は無い。300万は…どうかと思うが、最悪金貸すから死ぬなんて言うな」 
「……」
「だから俺がお前のボーイフレンドになる」
「ブハァッ!!」
盛大に茶を吐く。
柏木に振り返り、澪緒は珍獣を見るような目で柏木を見る。

「はあっ?あっ?」
「俺じゃだめか?」
「『だから』、の後がおかしいぞ?なんでそうなる?お前?お前が?俺の?」
「ボーイフレンドだ」
「なんで?お前ノンケだろ?」
「うるさい!今から趣旨変えだ」
「なんでキレんだよ!」
「他人の恋路に首を突っ込むつもりは毛頭なかったが、副島に腹が立ちすぎて」
「理由になってるようで全く意味不明だ」
「俺の片思い設定でいい。お前はしょうがなく俺に付き合ってやってる設定で構わない。隠れないで堂々と付き合ってやる!」
「いや、それ、俺はちょっと嬉しいけどお前になんの得があるんだ?」
「澪緒が教えてくれただろう。デザイナーと営業は一心同体だって。お前が最高のデザインができるようバディとして、またボーイフレンドとして支えていく」
「ハッ、偽善者。俺のこと抱けんのかよ」
「望むところだ!今からよろしく、澪緒」
そう言って柏木は、白昼堂々銀葉公園のど真ん中で澪緒の唇にキスした。

衝撃的すぎて、柏木理緋都が有川デザインオフィスに来た理由など澪緒の頭の中から綺麗サッパリ消失した。
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