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あなたの正しい時間になりたい
猫に相談
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「麦ぃ~!麦、麦麦~!」
「ニャー」
夜、自宅に帰宅した澪緒は急いで部屋の明かりを付ける。玄関で靴を脱ぎながら名前を呼ぶとベランダの向こうから返事をするように鳴き声が聞こえてきた。
澪緒は荷物を床に放り出し、ベランダに続く窓を開ける。
「麦~!」
そこには招き猫のようにちょこんと座る、野良猫の麦。
今日絶対会いたかった麦。
「麦ぃ~麦麦麦麦麦麦麦麦よく来てくれた~今日はお前にお土産があるからな」
撫で回したいところだが、以前、澪緒はネットで子猫に人間の臭いが移ると母親が育児放棄をするという記事を読んだ。麦はもう子猫じゃないけど、万が一のことを考えて、至近距離で麦の顔を見つめるにとどめる。
「ごめんな、こないだはヤケ酒付き合ってくれて。こないだのお礼にな、今日はいいもの買ってきたんだ!これプレミアムな猫缶、400円もする牛乳、そして…ジャーン!お前の首輪だ!」
「ニャー!ニャー!」
「嬉しいか?そうか。でも今日は俺も嬉しいんだ。聞いてくれよ、俺ついにボーイフレンドができたんだ」
そう、澪緒は秘めることなく堂々と隣を歩いてくれる柏木理緋都というボーイフレンドができたことを誰かに盛大にノロケたかった。
しかしそんな相手は麦しかいなくて、澪緒は柏木と別れたあとまっすぐ家に帰宅した。
副島のことは好きだ。
柏木はまだデザイン業界が浅くて会話に不足を感じることもある。
でも会社の最寄り駅である銀葉駅まで一緒に歩く時、堂々と隣を闊歩してくれる柏木に言葉にならない喜びと安心感を感じた。
今度、一緒にディナーでもどうだ。休みはいつも何してる?この辺は知らないからランチの後にお散歩デートができたら嬉しい。ああ、失礼。君には本命がいるんだよな。
柏木は帰宅につくビジネスマンや夜の東京観光を楽しむ観光客に自慢するように堂々とそんなことを言ってきた。
会社の最寄り駅は副島の妻が結婚前に勤務していた会社の最寄り駅でもある。
副島は顔見知りの妻の元同僚とすれ違うことを常に警戒して澪緒とは距離をとって歩いたり、また並んで歩くとしても極力2人の話題は避けていた。
だから柏木の気持ちがまっすぐ自分だけに注がれてることが、心底嬉しかった。
『世界ってこんなに平和なんだな』
澪緒は心から湧き上がってきた感情をそのまま口に出した。
『平和?』
『デートの時も他人のフリしたり距離を取ったり、食事の時はレストランが火事でもないのに裏口から出たり。スパイみたいだった』
『俺といる時はそんなこと考えなくていい』
『理緋都…』
柏木は、以前勤めていた会社の人と飲み会だと言って青谷一丁目の駅で降りて行った。
降りる寸前、『澪緒のボーイフレンドになるとわかっていれば今日飲み会の約束はしなかった。浮気じゃないから安心してくれ。50代、40代、30代のおっさんと俺の4人で飲み会だ。あとで写真を送る』
と、夢のような言葉のプレゼントまでくれた。
澪緒は自宅の最寄り駅で下車するまで記憶がなかった。
幸せすぎて。
「麦、理緋都の話題がな、大学時代にやってたっていうバスケの話だったんだ。俺としては物足りないけどさ、楽しかったんだ。猫のお前に分かるか?この、なんでもない話をしてるのにめちゃめちゃ楽しくて幸せな感覚が」
「ニャー?」
「おっと悪い、猫相手にマウント取った。まぁ、ノンケの理緋都がどこまで本気か分かんないかけどさ?土日挟んだら冷静になってやっぱ無し!とか言うかもしれないけどさ?爆モテの理緋都が美女に告白されて速攻お別れかもしれないけどさ!!とりあえず今日は幸せだったー!!」
「ニャー…」
麦が前足でボリボリ顔を掻く。
「ああごめんごめん、今お前のおつまみ用意するからな。そこで待ってろ」
「ニャン!」
部屋着に着替えてキッチンに立つ。
麦には猫缶とミルクを用意してすぐにベランダに出す。喉が乾いてたのか早速ミルクを飲み始める麦。
その間に自分の用意をする。
パスタを作るつもりで切らしていたオリーブオイルを買ってきたが不思議と食欲が湧かない。湧かないというか、お腹が空かないのだ。
恋でお腹がいっぱいになって。
「ぐふふふふふ」
残したらもったいないからパスタはやめて作り置きしておいたキャロットラペ、ごぼうのごま和え、チャーシューを大きめの皿にまとめて盛る。
酒は悪酔いしないように度数の高いものを少しだけ。
箸と一緒にそれらをトレイに載せてベランダの境目のフローリングにクッションを敷いて寝っ転がる。
「乾杯」
「ンニャー」
行儀が悪いが寝っ転がったままで日本酒をくいっと一口飲んだところでスマホが震える。
メッセージが1件。
副島だった。
「うああっ!!」
猫と飲んでる場合じゃない!
昼間の銀葉公園で柏木が勝手に『今日は無理』と副島に返信したことを思い出し、寝過ごした朝のように飛び起きてメッセージを開いた。
副島のことは好きだけど、今は関係がこじれすぎて少し気が重い。
恐る恐る副島のメッセージを開く。
ーー来週ランチに行こう。場所は永川町
とりあえず怒ってはいないようでホッとする。
万が一妻にスマホを見られてもなんとでも言い訳できるように、副島からのメッセージはいつも電報のようにそっけない。
永川町といえばたまに副島と行く老舗のホテルか。天気予報確認して来週のスーツのコーデ今から考えとかないと、と算段する。
副島に連れられ初めてあの老舗のホテルにタクシーを横付けした時は天までのぼる気持ちだった。
副島も今よりは澪緒に丁寧で、タクシーから出る時はエスコートまでしてくれた。
そうだ。初めて抱かれたはあのホテルだった。
そこで副島に大切にされ、愛され、老舗ホテルで迎えた朝に窓からみた薄紅色の朝焼けは、俺の命ある限り忘れないだろうと思った。
それなのに澪緒は今日、公園で柏木とキスをした。
あの頃の澪緒が知ったらさぞ驚くことだろう。
副島さんを置いて何をしてるんだと激怒するだろうか。
「ニャー」
「ああ、ごめんごめん。昔のこと思い出してて…だめだな。ちゃんと副島さんのことも大切にしないとバチが当たるな。ミルクおかわりするか?」
「ニャンニャン」
麦は気持ちよさそうにその場で丸くなった。
ランチの誘いに返信するべくスマホを握る。
副島からは、澪緒の熱いメッセージは期待されていない。
ーー了解、ありがとうございます。
それだけ打って送信し、再び床にゴロリと転がって麦を見つめる。
可愛い麦。休憩中に買った麦用の首輪を着けてあげようと思い立ち通勤用のリュックをズルズル引き寄せる。その中から取り出す。
「麦、お前野良なんだろ?ウチの子にならないか?」
「ニャー」
「いやか?ちゃんと保健所に連絡してから病院に連れてくし、予防接種もするぞ?エサは…毎日プレミアムとはいかないけどちゃんと用意する。野良猫を飼う時って意外と大変みたいで色々調べたんだ」
「ンー」
「触っても…いいか?」
時間をかけて麦を説得する。
麦がめんどくさくなってもう好きにしろ的な表情を浮かべたところで、首輪を着ける。
「麦!ちょっと待って、めっちゃ可愛い!」
小麦色にターコイズブルーの首輪が映える。
金具が金色なところも高級感があっていい。
時間を忘れて麦を連写しているとスマホの画面の上部にメッセージが表示された。
「あっ…理緋都…」
柏木だった。
やっぱり今日のことはなかったことにしよう?
前のめりだった。ごめん?
そんなメッセージだったらどうしよう。
妻や子供の用事でデートがドタキャンになる不倫のあるあるにすっかり慣れてしまってる澪緒は悪い予感がすると、すぐ最悪な事態を想定して自分の心を守る癖がついていた。
柏木が前言撤回するという微妙にあり得なくはない事態を想像し覚悟を決め、またしても恐る恐るメッセージを開く。
しかしそこに現れたのは別れの言葉ではなく、センスも何もないジョッキのビールのドアップの写真だった。
「ぶっっっっ!!」
しんみりしていた空気を一気に吹き飛ばす。
「ひっど!仮にもデザイナーのボーイフレンドにこんな写真送ってくるかよ!見ろよ、麦」
「ニャニャニャ」
写真に写っている飲みかけのビールは、タオル地のおしぼりと茶色い炒め物が映り込んでいる真っ赤なテーブルに乗せられていた。
柏木は電車で降りる時に宣言したように、律儀に飲み会の写真を澪緒に送ってきた。
「ははは、おっさんとの飲み会って本当だったんだな」
写真の下のメッセージは副島と同じような短かさだったが、その一文はスクリーンショットを撮って一生の宝物にしようと澪緒は思った。
『愛してる』
「理緋都…」
副島が俺に言ってくれる日はこないだろうから、と自分に言い聞かせたけど本当は喉から手が出るほど欲しかった言葉。
でも心のどこかでいつかきっと、言ってくれるだろうと期待していた言葉。
「理緋都…理緋都」
澪緒はスマホを握りしめて背もたれにしていたベッドに突っ伏した。
もらったメッセージを何度も噛み締める。
「ニャー」
麦に頭を撫でられる。
ーー愛してる。
もしかしてこの愛は、信じていいのだろうか?
「ニャー」
夜、自宅に帰宅した澪緒は急いで部屋の明かりを付ける。玄関で靴を脱ぎながら名前を呼ぶとベランダの向こうから返事をするように鳴き声が聞こえてきた。
澪緒は荷物を床に放り出し、ベランダに続く窓を開ける。
「麦~!」
そこには招き猫のようにちょこんと座る、野良猫の麦。
今日絶対会いたかった麦。
「麦ぃ~麦麦麦麦麦麦麦麦よく来てくれた~今日はお前にお土産があるからな」
撫で回したいところだが、以前、澪緒はネットで子猫に人間の臭いが移ると母親が育児放棄をするという記事を読んだ。麦はもう子猫じゃないけど、万が一のことを考えて、至近距離で麦の顔を見つめるにとどめる。
「ごめんな、こないだはヤケ酒付き合ってくれて。こないだのお礼にな、今日はいいもの買ってきたんだ!これプレミアムな猫缶、400円もする牛乳、そして…ジャーン!お前の首輪だ!」
「ニャー!ニャー!」
「嬉しいか?そうか。でも今日は俺も嬉しいんだ。聞いてくれよ、俺ついにボーイフレンドができたんだ」
そう、澪緒は秘めることなく堂々と隣を歩いてくれる柏木理緋都というボーイフレンドができたことを誰かに盛大にノロケたかった。
しかしそんな相手は麦しかいなくて、澪緒は柏木と別れたあとまっすぐ家に帰宅した。
副島のことは好きだ。
柏木はまだデザイン業界が浅くて会話に不足を感じることもある。
でも会社の最寄り駅である銀葉駅まで一緒に歩く時、堂々と隣を闊歩してくれる柏木に言葉にならない喜びと安心感を感じた。
今度、一緒にディナーでもどうだ。休みはいつも何してる?この辺は知らないからランチの後にお散歩デートができたら嬉しい。ああ、失礼。君には本命がいるんだよな。
柏木は帰宅につくビジネスマンや夜の東京観光を楽しむ観光客に自慢するように堂々とそんなことを言ってきた。
会社の最寄り駅は副島の妻が結婚前に勤務していた会社の最寄り駅でもある。
副島は顔見知りの妻の元同僚とすれ違うことを常に警戒して澪緒とは距離をとって歩いたり、また並んで歩くとしても極力2人の話題は避けていた。
だから柏木の気持ちがまっすぐ自分だけに注がれてることが、心底嬉しかった。
『世界ってこんなに平和なんだな』
澪緒は心から湧き上がってきた感情をそのまま口に出した。
『平和?』
『デートの時も他人のフリしたり距離を取ったり、食事の時はレストランが火事でもないのに裏口から出たり。スパイみたいだった』
『俺といる時はそんなこと考えなくていい』
『理緋都…』
柏木は、以前勤めていた会社の人と飲み会だと言って青谷一丁目の駅で降りて行った。
降りる寸前、『澪緒のボーイフレンドになるとわかっていれば今日飲み会の約束はしなかった。浮気じゃないから安心してくれ。50代、40代、30代のおっさんと俺の4人で飲み会だ。あとで写真を送る』
と、夢のような言葉のプレゼントまでくれた。
澪緒は自宅の最寄り駅で下車するまで記憶がなかった。
幸せすぎて。
「麦、理緋都の話題がな、大学時代にやってたっていうバスケの話だったんだ。俺としては物足りないけどさ、楽しかったんだ。猫のお前に分かるか?この、なんでもない話をしてるのにめちゃめちゃ楽しくて幸せな感覚が」
「ニャー?」
「おっと悪い、猫相手にマウント取った。まぁ、ノンケの理緋都がどこまで本気か分かんないかけどさ?土日挟んだら冷静になってやっぱ無し!とか言うかもしれないけどさ?爆モテの理緋都が美女に告白されて速攻お別れかもしれないけどさ!!とりあえず今日は幸せだったー!!」
「ニャー…」
麦が前足でボリボリ顔を掻く。
「ああごめんごめん、今お前のおつまみ用意するからな。そこで待ってろ」
「ニャン!」
部屋着に着替えてキッチンに立つ。
麦には猫缶とミルクを用意してすぐにベランダに出す。喉が乾いてたのか早速ミルクを飲み始める麦。
その間に自分の用意をする。
パスタを作るつもりで切らしていたオリーブオイルを買ってきたが不思議と食欲が湧かない。湧かないというか、お腹が空かないのだ。
恋でお腹がいっぱいになって。
「ぐふふふふふ」
残したらもったいないからパスタはやめて作り置きしておいたキャロットラペ、ごぼうのごま和え、チャーシューを大きめの皿にまとめて盛る。
酒は悪酔いしないように度数の高いものを少しだけ。
箸と一緒にそれらをトレイに載せてベランダの境目のフローリングにクッションを敷いて寝っ転がる。
「乾杯」
「ンニャー」
行儀が悪いが寝っ転がったままで日本酒をくいっと一口飲んだところでスマホが震える。
メッセージが1件。
副島だった。
「うああっ!!」
猫と飲んでる場合じゃない!
昼間の銀葉公園で柏木が勝手に『今日は無理』と副島に返信したことを思い出し、寝過ごした朝のように飛び起きてメッセージを開いた。
副島のことは好きだけど、今は関係がこじれすぎて少し気が重い。
恐る恐る副島のメッセージを開く。
ーー来週ランチに行こう。場所は永川町
とりあえず怒ってはいないようでホッとする。
万が一妻にスマホを見られてもなんとでも言い訳できるように、副島からのメッセージはいつも電報のようにそっけない。
永川町といえばたまに副島と行く老舗のホテルか。天気予報確認して来週のスーツのコーデ今から考えとかないと、と算段する。
副島に連れられ初めてあの老舗のホテルにタクシーを横付けした時は天までのぼる気持ちだった。
副島も今よりは澪緒に丁寧で、タクシーから出る時はエスコートまでしてくれた。
そうだ。初めて抱かれたはあのホテルだった。
そこで副島に大切にされ、愛され、老舗ホテルで迎えた朝に窓からみた薄紅色の朝焼けは、俺の命ある限り忘れないだろうと思った。
それなのに澪緒は今日、公園で柏木とキスをした。
あの頃の澪緒が知ったらさぞ驚くことだろう。
副島さんを置いて何をしてるんだと激怒するだろうか。
「ニャー」
「ああ、ごめんごめん。昔のこと思い出してて…だめだな。ちゃんと副島さんのことも大切にしないとバチが当たるな。ミルクおかわりするか?」
「ニャンニャン」
麦は気持ちよさそうにその場で丸くなった。
ランチの誘いに返信するべくスマホを握る。
副島からは、澪緒の熱いメッセージは期待されていない。
ーー了解、ありがとうございます。
それだけ打って送信し、再び床にゴロリと転がって麦を見つめる。
可愛い麦。休憩中に買った麦用の首輪を着けてあげようと思い立ち通勤用のリュックをズルズル引き寄せる。その中から取り出す。
「麦、お前野良なんだろ?ウチの子にならないか?」
「ニャー」
「いやか?ちゃんと保健所に連絡してから病院に連れてくし、予防接種もするぞ?エサは…毎日プレミアムとはいかないけどちゃんと用意する。野良猫を飼う時って意外と大変みたいで色々調べたんだ」
「ンー」
「触っても…いいか?」
時間をかけて麦を説得する。
麦がめんどくさくなってもう好きにしろ的な表情を浮かべたところで、首輪を着ける。
「麦!ちょっと待って、めっちゃ可愛い!」
小麦色にターコイズブルーの首輪が映える。
金具が金色なところも高級感があっていい。
時間を忘れて麦を連写しているとスマホの画面の上部にメッセージが表示された。
「あっ…理緋都…」
柏木だった。
やっぱり今日のことはなかったことにしよう?
前のめりだった。ごめん?
そんなメッセージだったらどうしよう。
妻や子供の用事でデートがドタキャンになる不倫のあるあるにすっかり慣れてしまってる澪緒は悪い予感がすると、すぐ最悪な事態を想定して自分の心を守る癖がついていた。
柏木が前言撤回するという微妙にあり得なくはない事態を想像し覚悟を決め、またしても恐る恐るメッセージを開く。
しかしそこに現れたのは別れの言葉ではなく、センスも何もないジョッキのビールのドアップの写真だった。
「ぶっっっっ!!」
しんみりしていた空気を一気に吹き飛ばす。
「ひっど!仮にもデザイナーのボーイフレンドにこんな写真送ってくるかよ!見ろよ、麦」
「ニャニャニャ」
写真に写っている飲みかけのビールは、タオル地のおしぼりと茶色い炒め物が映り込んでいる真っ赤なテーブルに乗せられていた。
柏木は電車で降りる時に宣言したように、律儀に飲み会の写真を澪緒に送ってきた。
「ははは、おっさんとの飲み会って本当だったんだな」
写真の下のメッセージは副島と同じような短かさだったが、その一文はスクリーンショットを撮って一生の宝物にしようと澪緒は思った。
『愛してる』
「理緋都…」
副島が俺に言ってくれる日はこないだろうから、と自分に言い聞かせたけど本当は喉から手が出るほど欲しかった言葉。
でも心のどこかでいつかきっと、言ってくれるだろうと期待していた言葉。
「理緋都…理緋都」
澪緒はスマホを握りしめて背もたれにしていたベッドに突っ伏した。
もらったメッセージを何度も噛み締める。
「ニャー」
麦に頭を撫でられる。
ーー愛してる。
もしかしてこの愛は、信じていいのだろうか?
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