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2 異世界での新生活
しおりを挟むカーテンを開けると、窓から差し込む朝の光が柔らかくオーク材の床を照らす。今日はいつもより少し早く目を覚ましたせいか、朝日が特に眩しく感じた。
王都の朝はまだ落ち着いていて、窓の外では花売りの呼び声が遠くに聞こえる。
「朝ごはん作ろ……」
パンを焼こう。そう思って台所に立つ。材料となる白麦粉、塩、砂糖、実種油を準備する。食材も、日本の名前と違うものも多くて最初はかなり混乱した。
そんな事を思い出しながら、白麦粉を優しくこねる。白麦粉の粉っぽい匂い、暖かい手の感触。ゆっくりと生地がまとまっていくのを感じるのが好きだ。
最初はぎこちなかったけれど、何度か作るうちに手の動きが馴染んできた。
「今はまるでパン職人みたいだわ」
自分で自分を褒めといた。
「今日は甘いのとしょっぱいの、両方作ろっかな……」
心の中でレシピを確認しながら、作るパンを決めた。甘い系は、シナモンをきかせたりんごのパンにしよう。アップルフィリングは作り置きがある。りんごを細かく切ってバターでじっくり炒めて、シナモンと少量の蜂蜜で味をまとめて炊いたものを、ジャムの瓶につめてある。
しょっぱい系は、ソーセージを包んだスパイシーなやつで。黒胡椒をきかせたら美味しそうだ。あと、ちょっと遊んでクッキー生地を上に乗せたメロンパン風の菓子パンも作ってみよう。
この国では、日本のコンビニの惣菜パンのようなものはあまり一般的ではない。だから、きっとこの国の人からは私のオリジナルパンに見えるだろう。
成形を終えると、パンを発酵用の布巾に包んで暖かい部屋の角に置く。まだ少しパンを寝かせる時間が必要だ。魔導式のオーブンは余熱しておこう。
洗濯物とベッドシーツを抱えて裏庭に出た。石造りの小さな花壇と、畑ができそうなスペースまである裏庭は、朝日を受けてとても明るく開放的だ。洗濯桶に水を張るとキラキラと光が跳ねる。
それにしてもシーツが重たい。ゴシゴシと布をこすり合わせる。手がしわくちゃになるくらい力を入れると、息が上がってくる。なかなかの大変さだ。
つい昔のことを思い出す。日本の家電、全自動でポンとやってくれたあの便利さ。今の生活には満足しているけど、洗濯機がちょっとだけ恋しい。
「……日本の家電って、やっぱりすごかったのね」
しばらくゴシゴシやっていると、背後から静かな気配がした。
「ユイ」
心臓が一瞬跳ねる。振り向くと、そこにカイルさんが立っていた。黒い外套を羽織ったまま、真後ろに立ってる。いや、ビビりすぎて心臓止まるかと思ったし。
「び、びっくりするじゃないですか! なんで勝手に入ってくるんですか」
咄嗟に口を尖らせる。門の鍵はかかっているはずだが、彼はまるでそこに来るのが自然であるかのように立っていた。
「何度も声をかけたが、出てこなかった」
淡々とした声。洗濯に夢中で全然気づかなかった。こんな朝早くに来るなんて思わないでしょ。
魔道士団の制服を着込む姿は、いつも通り整っている。でも表情がクールすぎて、爽やかな朝に合ってない。仕事前に様子を見に来てくれたって感じなんだろうな。
「だからって、急に入ってこないでください。驚くから」
少し口調が強くなると、カイルさんは片眉を上げた。
「召喚者の管理は、俺の責務でもある」
その言葉は機械的に堅い。だけど、どこか真面目で真剣すぎるところに思わずくすりと笑ってしまった。
「今から仕事ですか?」
「あぁ」
会話は短い。筆頭魔道士様はいつも素っ気ないな。
「何か困った事はないか」
「特にないですよ。 あ……でも、あるとするなら洗濯機がほしいなぁ、なんて思ったくらいですかね」
「センタクキ?」
「そうです、洗濯が早く終わったら楽だなって思って。曇りの日はシーツが乾きにくいし、干すのも大変だし」
「そうか」
「……あ、でも別に困ってることは今のところないです。本当に──」
と言いかけたところで、筆頭魔道士様の反応が変わった。小さな間をおいてから、スッと手を上げて呪文を紡ぎ始めた。
庭の空気が変わった? そう思った時、淡い光が漏れ始める。次の瞬間、風が生まれ、裏庭をそよいだ。
「《風魔法 旋風》」
その音は小さいが確かな力を持っていた。洗濯桶の水がふわりと宙に上がり、ふわふわとした泡が立っていく。布が一枚一枚水の中でくるりと踊り始める。
「ちょっと、何やってるんですか!?」
「洗濯は時間がかかるんだろう」
「いや、そうてすけど! これって……」
布が静かに撫でられるように洗われ、すすぎの水が流れるように回転する。陽の光を集めながら、風がその布をふんわりと持ち上げた。
「乾燥は風でやる、これで完了だ」
風の渦が柔らかくシーツを包みこんだかと思うと、温かい風が吹いた。温度を調整しながら水分を飛ばしてる。火魔法も使ってるのかな?
目の前で踊るシーツたちは、指先で整えられたかのように皺が伸びていく。最後にはきれいに畳まれて、まっすぐに私の手の中に落ちてきた。こんもりと積まれた目の前の洗濯物。
「す、すんごぉぉ!!」
言葉が震える。これはもう家電の領域を超えている。まるで現代技術を魔法で置き換えたような、理にかなった家事。効率的で、美しいすぎる。だけど、スケールが大きすぎて笑うしかない。
「これって、私にもできますかね?」
「お前は治癒と浄化に特化している。だが、魔力量はかなり多い。初歩の応用なら余裕でできるはずだ」
「え、本当に?」
「この程度なら、すぐ習得できるだろうな」
彼の口ぶりは淡々としているが、どこか確信に満ちてる。
「教えてください! お願いします!」
乾いたシーツを抱きしめるようにして、すがるように言った。あ、勢いがよすぎたせいか、たじろいでる。視線は相変わらず冷たいけれど、彼はコクリと頷いてくれた。
シーツは部屋に一旦置いて、裏庭に置いてあるベンチ型のガーデンチェアに座った。二人で座るとちょっと狭い。
「まずは魔法の枠組みを想像しろ。洗濯は“汚れの分離”と“水分の移動”が要点だ。手順は洗浄、すすぎ、脱水、乾燥だ。各段階は小さな魔力の輪で構成し、逐次的に連結する」
淡々と説明してくれてる。何で、この人は洗濯にも詳しいんだ。なんて考えてると聞き逃しそう。一つずつ噛み砕いて理解しよう。
「汚れは物理的な物質の付着と、化学的な油脂成分がある。前者は機械的に弾き、後者は分解する。ここでは“温和な分解”を選ぶ」
「“温和な分解”って……つまり優しくふわっとやればいいんですか?」
自分の中で噛み砕いてみたけど。違った? あ、なんか視線が冷たい。
「…………手を貸せ」
そう言われて手の平を差し出した。その上に彼が円を描くように指を回すと、小さな光の輪が出来た。押し付けるような指導ではなく、指先の動きを見せながらゆっくりと魔力を流し、動きを教えてくれる。
深く息を吸って、心の中で流れをイメージする——水が布を包み、汚れが粒になってはじける。そして、詩のように静かに、それが現実になった。
「やってみろ」
「はいっ!」
手の平に魔力を集中させる。彼が教えた通りに想像したイメージが手の平から滑り出た。小さな光の渦が空中をなぞり、風となってふわりと空気が緩む。
心でイメージして手を動かすと、庭の落ち葉がくるくると舞い、風を動かしているのがわかる。
「できた……!」
「順序通りにやれば意外と簡単だ」
「……凄い」
「あとは、これの応用だ。温度の管理だけ慎重にすれば乾燥まで出来るだろう」
彼は淡々と告げる。だけど、その顔には微かな満足が見えた気がした。
「これって、食器も洗えるし、乾燥は調整次第でドライヤーみたいに髪も乾かせる!?」
「ドライ……?」
嬉しすぎるこの魔法。発想次第で何でもできそう。自分の小さな暮らしを魔法で快適にできるなんて、想像するだけで胸がふくらんでくる。
「概念は同じだ。だが、髪は繊細だから温度と風量を細かく制御する必要があるだろうな」
「なるほどなるほど」
「使いすぎるなよ」
なんだか朝の空気がさらに柔らかくなった気がする。大感謝だ。これで家事がぐっと楽になる。
「ありがとうございます!」
「礼は不要だ」
「いや、でも本当に嬉しくて。生きる文明の利器様に感謝です!」
「……なんだそれは」
拝みながら感謝を告げたら、冷たく返された。たけど、どことなく呆れ混じりで、口元が一瞬ふっと緩んだのを見逃さなかったぞ。
「団長さんは良い主婦にもなれますね!」
そう言った瞬間、表情が零度まで下がった。真顔のまま、何か不可解なものを見るような目でこっち見てる。
褒めるベクトル間違えたわ。と内心で反省した。気を良くして余計なことを口にし過ぎたわ。
「そうだ、朝ごはんって食べました?」
「いや、普段は朝は食べない」
「じゃあ今からパンを焼くので、食べていってください!」
「いや、今から仕事が──」
「すぐ焼き上がりますから。ダイニングで座って待っててくださいね!」
キッチンへ駆け出し、パンの最後の仕上げに入る。オーブンの温度をチェックし、成形したパンに卵を塗り、メロンパン風のパンのクッキー生地には砂糖をふりかけた。
焼きあがるまでの時間は一番重要だ。心地の良い疲労と期待が混ざり合って、胸がときめく。
オーブンの扉をあけると、熱気とともに広がるパンの香ばしい香りが広がる。
アップルとシナモン、バターと焦げた砂糖の香りが鼻をくすぐった。メロンパン風の表面はこんがりと焼け、クッキー生地がサクサクになってる。ソーセージパンは香ばしく、ドライトマトがその香りにコクを添えていて美味しそうだ。
チラッとダイニングを覗くと、彼が静かに座っていた。パン三種類を皿にひとつずつ並べ、ココットに入れたミニサラダも添える。残ったパンは大皿にまとめてに乗せておく。おかわりの準備もよし。
紅茶と一緒に、ナイフとフォークも用意する。私はこのパン丸かじりしちゃうけど、彼ならナイフとフォークで食べたりするのかな? なんて思いながらテーブルに運んだ。
テーブルにお皿を並べると、彼の表情が少しだけ和らいだ気がする。
「手作りと聞いたと思ったが……」
「そうですよ、私が作りました。味も保証します! 紅茶と一緒にどうぞ」
そう言いながら自分の皿もテーブルに並べ、彼の前に座った。流石に、パンにかじりつくのはどうかな? と気になったけど、まあいっか。
アップルフィリングのパンからひとくち食べた。美味しい。ふわっとしたパン生地とカリカリの焼き目。シナモンが香るりんごの食感が堪らない。
彼はじっとパンを見つめたかと思うと、ソーセージのパンを手に取った。しょっぱい系から行く派ですね。
「……美味いな」
「そ、そうですか? よかった!」
その言葉に、思わず声が大きくなった。だって、あの彼が褒めたんだよ。珍しい。いつもだったら『悪くない』とかなのに。
「お店出せますかね、私」
調子に乗ってそんなこと言ってみたけど、彼は一瞬だけ眉を潜めた。だけど、すぐに小さく笑ったような気がした。
「この国の店の概念とは違うが、味は通用するだろう」
「通用……するって、どこのグルメ評論家ですか」
彼の言葉が素直に嬉しすぎる。自分が作ったパンを食べてもらって、喜んでもらえるなんてこんな気持ちになるなんて知らなかった。
「なんだ?」
「あっ、いえ、なんでもないです」
慌てて目線を逸らす。恥ずかしさが胸を熱くする。彼はそのまま静かにパンを噛み、紅茶を飲んでいる。イケメンはパンを食べてるだけで絵になるのか。
朝の時間がゆっくりと過ぎていく。外からは子どもの声が聞こえ、幸せだなと静かに思う。大きなことではない。だけど、暮らしが少しずつ整っていく実感が嬉しかった。
「今日はありがとうございました。また来てくれます?」
ついそんな事を口にしてしまう。彼は紅茶を飲み干し、立ち上がった。
「気が向いたらな」
「はい、お待ちしていますね」
「ごちそうさま」
彼は扉を開けると、朝の光に溶けるように影が消えた。テーブルの片付けようとしたら、リビングのソファの上にふんわりと柔らかくなったシーツが見える。
(今日も、いい一日になりそう)
窓の外では、王都の朝が本格的に動き始めている。この、のんびりとした日々が続くといいな。
そう思わずにはいられなかった。
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