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第ニ話【ひんやりさっぱり梅ゼリー】こぼれる想いはジュレで固めて
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そっと重ね合わせた唇は、すぐに離された。
「好きだよ」
息が止まった。
「美寧が好きだ」
「っ、」
「恋人じゃない人にキスするかどうかは、人それぞれかもしれないけれど、俺は好な女性にしか、キスしない」
はっきりと言いきった言葉の強さに、美寧はぐっと息を詰める。
「ミネは?」
問われたけれど、何のことか分からない。
「俺のことは嫌い?」
目を見開く。けれど少しも間を置かずに勢いよく頭を左右に振る。
その様子に目元を緩ませた怜が、立て続けに問うてくる。
「じゃあ好き?」
そう訊ねる声が溶けそうなほど甘くて、美寧の心臓がきゅうっと痛いくらいに締め付けられる。
(れいちゃんのことは、すき。でも、私の“すき”はれいちゃんと同じものなの……?)
良く回らない頭で、美寧は一生懸命考える。なんとなく勢いで答えるのは違う気がした。
難しい顔で考える美寧を、微笑を浮かべた怜はじっと見下ろしている。
「私……れいちゃんのこと」
美寧の言葉をさらうように、怜はもう一度美寧の唇に軽く口づけた。
「今は難しく考えないで。俺のことが嫌じゃなければ、俺の恋人になってくれませんか?ミネ」
大きく丸く目を見開いた美寧は、みるみる顔を赤くしていく。
怜はクスリと小さく笑みこぼすと、
「ミネの嫌がることや怖がることは絶対にしないと誓います。だからミネ。ゆっくりでいいから、俺を好きになって」
甘く乞う。細められた瞳が怖いくらい蠱惑的で。
少しの隙もないほどに美寧を見つめてくる。
こんな怜は今まで見たことがない。
くらりとした酩酊感を感じて、美寧はギュッと瞳を閉じた。
「―――美寧」
聞こえた自分の名前が、何か甘い別のもののような気がして、もう何も考えられなくなった美寧は、一度大きく頭を縦に振った。
「ありがとう」
耳から流れ込んできたお礼の言葉を聞いたのを最後に、美寧はそのまま怜の胸に倒れ込むように身を預けた。
「大事にする―――ma minette」
怜のその言葉を遠くに聞きながら、美寧は眠りの中へ落ちていった。
「……ミネ?」
自分の胸へと倒れ込んできた後動かなくなった美寧をそっと見遣ると、すうすうと寝息を立てながら眠っていた。
「……眠ってしまいましたか」
さっき美寧の唇をさらった時、ほのかにアルコールの香りがしていた。
「そう言えば実の方には、梅酒のものを混ぜたのでしたね……」
ゼリー部分は梅シロップのものを使って作ったが、一緒に混ぜた実には去年の梅酒の実が少し余っていたのでそれも刻んで混ぜたのだった。
梅シロップの方の実も入っているし、ほんの少しだけだから美寧でも大丈夫だと思ったのだ。
「酔ってしまったのですね……くくっ、可愛いな」
すやすやと眠る彼女の頬は、桃色に染まっていてとても美味しそうに見える。
そこにそっと口づけると、怜は満足そうに微笑んだ。
「俺の可愛い子猫。大事にするよ」
無垢な寝顔に向かってそう呟くと、怜は美寧を抱え上げリビングを後にした。
【第二話 了】
「好きだよ」
息が止まった。
「美寧が好きだ」
「っ、」
「恋人じゃない人にキスするかどうかは、人それぞれかもしれないけれど、俺は好な女性にしか、キスしない」
はっきりと言いきった言葉の強さに、美寧はぐっと息を詰める。
「ミネは?」
問われたけれど、何のことか分からない。
「俺のことは嫌い?」
目を見開く。けれど少しも間を置かずに勢いよく頭を左右に振る。
その様子に目元を緩ませた怜が、立て続けに問うてくる。
「じゃあ好き?」
そう訊ねる声が溶けそうなほど甘くて、美寧の心臓がきゅうっと痛いくらいに締め付けられる。
(れいちゃんのことは、すき。でも、私の“すき”はれいちゃんと同じものなの……?)
良く回らない頭で、美寧は一生懸命考える。なんとなく勢いで答えるのは違う気がした。
難しい顔で考える美寧を、微笑を浮かべた怜はじっと見下ろしている。
「私……れいちゃんのこと」
美寧の言葉をさらうように、怜はもう一度美寧の唇に軽く口づけた。
「今は難しく考えないで。俺のことが嫌じゃなければ、俺の恋人になってくれませんか?ミネ」
大きく丸く目を見開いた美寧は、みるみる顔を赤くしていく。
怜はクスリと小さく笑みこぼすと、
「ミネの嫌がることや怖がることは絶対にしないと誓います。だからミネ。ゆっくりでいいから、俺を好きになって」
甘く乞う。細められた瞳が怖いくらい蠱惑的で。
少しの隙もないほどに美寧を見つめてくる。
こんな怜は今まで見たことがない。
くらりとした酩酊感を感じて、美寧はギュッと瞳を閉じた。
「―――美寧」
聞こえた自分の名前が、何か甘い別のもののような気がして、もう何も考えられなくなった美寧は、一度大きく頭を縦に振った。
「ありがとう」
耳から流れ込んできたお礼の言葉を聞いたのを最後に、美寧はそのまま怜の胸に倒れ込むように身を預けた。
「大事にする―――ma minette」
怜のその言葉を遠くに聞きながら、美寧は眠りの中へ落ちていった。
「……ミネ?」
自分の胸へと倒れ込んできた後動かなくなった美寧をそっと見遣ると、すうすうと寝息を立てながら眠っていた。
「……眠ってしまいましたか」
さっき美寧の唇をさらった時、ほのかにアルコールの香りがしていた。
「そう言えば実の方には、梅酒のものを混ぜたのでしたね……」
ゼリー部分は梅シロップのものを使って作ったが、一緒に混ぜた実には去年の梅酒の実が少し余っていたのでそれも刻んで混ぜたのだった。
梅シロップの方の実も入っているし、ほんの少しだけだから美寧でも大丈夫だと思ったのだ。
「酔ってしまったのですね……くくっ、可愛いな」
すやすやと眠る彼女の頬は、桃色に染まっていてとても美味しそうに見える。
そこにそっと口づけると、怜は満足そうに微笑んだ。
「俺の可愛い子猫。大事にするよ」
無垢な寝顔に向かってそう呟くと、怜は美寧を抱え上げリビングを後にした。
【第二話 了】
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