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第三章 魔族と人間と
第153話
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私の体調も回復し、普段の日常へと戻りつつあったある時……私達はある問題に直面していた。
「……この元人工勇者達、どうする?」
そう、アベルが核を破壊した人工勇者達は今はもう動かない人形と化していた。
死んでいる……というわけでもないし、処遇に困っていたのだ。
「どうすると言ってものぉ~……こやつらが意識を取り戻したら、また妾達に牙を剥くのではないか?」
「どうだろうな。」
以前鑑定した時に、彼女達はホムンクルス……とかいう人工的に作られた人間だ。ということは判明している。
しかし、それだけだ。
「誰か禁術に詳しい人がいれば聞きに行くんだが……。」
悩んでいると、カミルが何かを思い出したように言った。
「禁術に詳しい者は知らぬが、魔王城の禁書庫ならば何か文献が見つかるのではないか?」
「禁書庫?」
「うむ、普段なら立ち入ることが許されぬ場所じゃが……お主なら許されるのではないのかの?」
「なるほどな。」
なら、今日はちょっと魔王城に足を運んでくるか。入れると良いんだが……。
◇
「禁書庫に入りたいの?別に良いよ~。」
魔王城に赴いてアベルに事情を話すと、こんなにもあっさり承諾してくれた。
「あ、でもでも本を持ち出すのはダメだよ?危ない本がいっぱいあるから……。」
「例えば?」
「開いたら魔物が出てくる本とか、凄い魔法が封印されてる本とかがた~くさんっ。」
おぅ……そんなに危ない本が中にあるのか。そりゃあ禁書庫なんて大層な名前がついてるのも納得がいくな。
「一応シグルドに一緒に行ってもらうから、大丈夫だと思うけど……とにかく気を付けてね?」
「あぁ、わかった。」
そしてシグルドさんに案内されながら、例の禁書庫とやらの場所まで階段を下り地下へと降りていくと……。
「こちらが、禁書庫でございます。」
「ここが……。」
見上げた先には、物々しい雰囲気を醸し出す大きな金属製の扉があった。
「魔王様よりお話があったと思いますが今一度、こちらには大変危険な書物がたくさん保管してあります。触る前に私に一言お願い致します。」
「わかりました。」
物々しい扉を開けて中に入ると、少し空気が埃っぽい。思わず咳き込んでしまいそうになった。
「申し訳ありません。なにせ危険な場所ですので、しばらく人の出入りはなかったものですから。」
「いえ、大丈夫です。」
むしろ、人を入れないようにするのが普通の対策だろう。
「それで……ホムンクルスに関する文献をお探しとのことでしたな?」
「はい、あの元人工勇者だった彼女達はホムンクルスだったらしくて。シグルドさんは何かご存知ですか?」
「詳しくは私めもわかりませんが……太古に人間が戦力を増強するために作った禁術だと伝え聞いております。」
戦力の増強のための魔法……か。確かに数は力になる。昔の人間もそれに気が付いていて、この魔法を開発したのだろう。
「禁術に関して記してある書物はここにですら多くはありません。こちらの棚に並べてあるもののみとなっております。」
多くはありません……って充分多いんだが。この大きな棚にぎっしりと並べられている本が全て禁術に関する本なのか!?
これはまた時間がかかりそうだな……と内心大きくため息を吐いていると。
「ちなみにホムンクルスに関して記してある本はこちらとこちらですな。」
「あ……ありがとうございます。」
流石超有能執事……私が無駄に時間を使わないように、もう本をピックアップしてくれた。
いざその本を受け取り、中を開いて読んでみると……禁術人体錬成についての記述が事細かく書いてあった。
そしてその禁術によって産み出されたホムンクルスという存在のことも。
まず第一に人体錬成とは、人を構成する物質に膨大な魔力を加えて無理矢理人の形に変形させる魔法らしい。そしてそれによって産み出された人であり人でない物体をホムンクルス……と呼ぶらしい。
産み出されたホムンクルス自体に自我はなく、体内に流れている魔力の持ち主の言うことを忠実に聞くらしい。
そして魔力を全身に巡らせる役割を果たすのが、あの胸に埋め込まれていたという核。
つまるところ、あの核をもう一度埋め込み直せば彼女達は動き出すということだ。
ただ、問題は……。
「彼女達に流れている魔力がシルヴェスターの魔力である可能性が高い。だとしたら仮に動かしたとしても私達に再び危害を加えようとするだろう。」
それは困るんだよな……。はてはて、どうしたものか。
本を読みながら悩んでいると、ある考えが頭に思い浮かんだ。
シルヴェスターの魔力を全て抽出で抜き出した後に私の魔力を流し込んだらどうなる?魔力は私のものだから私の言うことを聞くようになるのか?
これは試してみないことにはわからないな。試すことは一つ決まった。後はもう少しこの本を読んで彼女達についての知識を身に付けよう。
「……この元人工勇者達、どうする?」
そう、アベルが核を破壊した人工勇者達は今はもう動かない人形と化していた。
死んでいる……というわけでもないし、処遇に困っていたのだ。
「どうすると言ってものぉ~……こやつらが意識を取り戻したら、また妾達に牙を剥くのではないか?」
「どうだろうな。」
以前鑑定した時に、彼女達はホムンクルス……とかいう人工的に作られた人間だ。ということは判明している。
しかし、それだけだ。
「誰か禁術に詳しい人がいれば聞きに行くんだが……。」
悩んでいると、カミルが何かを思い出したように言った。
「禁術に詳しい者は知らぬが、魔王城の禁書庫ならば何か文献が見つかるのではないか?」
「禁書庫?」
「うむ、普段なら立ち入ることが許されぬ場所じゃが……お主なら許されるのではないのかの?」
「なるほどな。」
なら、今日はちょっと魔王城に足を運んでくるか。入れると良いんだが……。
◇
「禁書庫に入りたいの?別に良いよ~。」
魔王城に赴いてアベルに事情を話すと、こんなにもあっさり承諾してくれた。
「あ、でもでも本を持ち出すのはダメだよ?危ない本がいっぱいあるから……。」
「例えば?」
「開いたら魔物が出てくる本とか、凄い魔法が封印されてる本とかがた~くさんっ。」
おぅ……そんなに危ない本が中にあるのか。そりゃあ禁書庫なんて大層な名前がついてるのも納得がいくな。
「一応シグルドに一緒に行ってもらうから、大丈夫だと思うけど……とにかく気を付けてね?」
「あぁ、わかった。」
そしてシグルドさんに案内されながら、例の禁書庫とやらの場所まで階段を下り地下へと降りていくと……。
「こちらが、禁書庫でございます。」
「ここが……。」
見上げた先には、物々しい雰囲気を醸し出す大きな金属製の扉があった。
「魔王様よりお話があったと思いますが今一度、こちらには大変危険な書物がたくさん保管してあります。触る前に私に一言お願い致します。」
「わかりました。」
物々しい扉を開けて中に入ると、少し空気が埃っぽい。思わず咳き込んでしまいそうになった。
「申し訳ありません。なにせ危険な場所ですので、しばらく人の出入りはなかったものですから。」
「いえ、大丈夫です。」
むしろ、人を入れないようにするのが普通の対策だろう。
「それで……ホムンクルスに関する文献をお探しとのことでしたな?」
「はい、あの元人工勇者だった彼女達はホムンクルスだったらしくて。シグルドさんは何かご存知ですか?」
「詳しくは私めもわかりませんが……太古に人間が戦力を増強するために作った禁術だと伝え聞いております。」
戦力の増強のための魔法……か。確かに数は力になる。昔の人間もそれに気が付いていて、この魔法を開発したのだろう。
「禁術に関して記してある書物はここにですら多くはありません。こちらの棚に並べてあるもののみとなっております。」
多くはありません……って充分多いんだが。この大きな棚にぎっしりと並べられている本が全て禁術に関する本なのか!?
これはまた時間がかかりそうだな……と内心大きくため息を吐いていると。
「ちなみにホムンクルスに関して記してある本はこちらとこちらですな。」
「あ……ありがとうございます。」
流石超有能執事……私が無駄に時間を使わないように、もう本をピックアップしてくれた。
いざその本を受け取り、中を開いて読んでみると……禁術人体錬成についての記述が事細かく書いてあった。
そしてその禁術によって産み出されたホムンクルスという存在のことも。
まず第一に人体錬成とは、人を構成する物質に膨大な魔力を加えて無理矢理人の形に変形させる魔法らしい。そしてそれによって産み出された人であり人でない物体をホムンクルス……と呼ぶらしい。
産み出されたホムンクルス自体に自我はなく、体内に流れている魔力の持ち主の言うことを忠実に聞くらしい。
そして魔力を全身に巡らせる役割を果たすのが、あの胸に埋め込まれていたという核。
つまるところ、あの核をもう一度埋め込み直せば彼女達は動き出すということだ。
ただ、問題は……。
「彼女達に流れている魔力がシルヴェスターの魔力である可能性が高い。だとしたら仮に動かしたとしても私達に再び危害を加えようとするだろう。」
それは困るんだよな……。はてはて、どうしたものか。
本を読みながら悩んでいると、ある考えが頭に思い浮かんだ。
シルヴェスターの魔力を全て抽出で抜き出した後に私の魔力を流し込んだらどうなる?魔力は私のものだから私の言うことを聞くようになるのか?
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