アナザーワールドシェフ

しゃむしぇる

文字の大きさ
154 / 200
第三章 魔族と人間と

第153話

しおりを挟む
 私の体調も回復し、普段の日常へと戻りつつあったある時……私達はある問題に直面していた。

「……この元人工勇者達、どうする?」

 そう、アベルが核を破壊した人工勇者達は今はもう動かない人形と化していた。
 死んでいる……というわけでもないし、処遇に困っていたのだ。

「どうすると言ってものぉ~……こやつらが意識を取り戻したら、また妾達に牙を剥くのではないか?」

「どうだろうな。」 

 以前鑑定した時に、彼女達はホムンクルス……とかいう人工的に作られた人間だ。ということは判明している。
 しかし、それだけだ。

「誰か禁術に詳しい人がいれば聞きに行くんだが……。」

 悩んでいると、カミルが何かを思い出したように言った。

「禁術に詳しい者は知らぬが、魔王城の禁書庫ならば何か文献が見つかるのではないか?」

「禁書庫?」

「うむ、普段なら立ち入ることが許されぬ場所じゃが……お主なら許されるのではないのかの?」

「なるほどな。」

 なら、今日はちょっと魔王城に足を運んでくるか。入れると良いんだが……。












「禁書庫に入りたいの?別に良いよ~。」

 魔王城に赴いてアベルに事情を話すと、こんなにもあっさり承諾してくれた。

「あ、でもでも本を持ち出すのはダメだよ?危ない本がいっぱいあるから……。」

「例えば?」

「開いたら魔物が出てくる本とか、凄い魔法が封印されてる本とかがた~くさんっ。」

 おぅ……そんなに危ない本が中にあるのか。そりゃあ禁書庫なんて大層な名前がついてるのも納得がいくな。

「一応シグルドに一緒に行ってもらうから、大丈夫だと思うけど……とにかく気を付けてね?」

「あぁ、わかった。」

 そしてシグルドさんに案内されながら、例の禁書庫とやらの場所まで階段を下り地下へと降りていくと……。

「こちらが、禁書庫でございます。」

「ここが……。」

 見上げた先には、物々しい雰囲気を醸し出す大きな金属製の扉があった。

「魔王様よりお話があったと思いますが今一度、こちらには大変危険な書物がたくさん保管してあります。触る前に私に一言お願い致します。」

「わかりました。」

 物々しい扉を開けて中に入ると、少し空気が埃っぽい。思わず咳き込んでしまいそうになった。

「申し訳ありません。なにせ危険な場所ですので、しばらく人の出入りはなかったものですから。」

「いえ、大丈夫です。」

 むしろ、人を入れないようにするのが普通の対策だろう。

「それで……ホムンクルスに関する文献をお探しとのことでしたな?」

「はい、あの元人工勇者だった彼女達はホムンクルスだったらしくて。シグルドさんは何かご存知ですか?」

「詳しくは私めもわかりませんが……太古に人間が戦力を増強するために作った禁術だと伝え聞いております。」

 戦力の増強のための魔法……か。確かに数は力になる。昔の人間もそれに気が付いていて、この魔法を開発したのだろう。

「禁術に関して記してある書物はここにですら多くはありません。こちらの棚に並べてあるもののみとなっております。」

 多くはありません……って充分多いんだが。この大きな棚にぎっしりと並べられている本が全て禁術に関する本なのか!?

 これはまた時間がかかりそうだな……と内心大きくため息を吐いていると。

「ちなみにホムンクルスに関して記してある本はこちらとこちらですな。」

「あ……ありがとうございます。」

 流石超有能執事……私が無駄に時間を使わないように、もう本をピックアップしてくれた。
 
 いざその本を受け取り、中を開いて読んでみると……禁術人体錬成についての記述が事細かく書いてあった。
 そしてその禁術によって産み出されたホムンクルスという存在のことも。

 まず第一に人体錬成とは、人を構成する物質に膨大な魔力を加えて無理矢理人の形に変形させる魔法らしい。そしてそれによって産み出された人であり人でない物体をホムンクルス……と呼ぶらしい。

 産み出されたホムンクルス自体に自我はなく、体内に流れている魔力の持ち主の言うことを忠実に聞くらしい。
 そして魔力を全身に巡らせる役割を果たすのが、あの胸に埋め込まれていたという核。
 つまるところ、あの核をもう一度埋め込み直せば彼女達は動き出すということだ。

 ただ、問題は……。

「彼女達に流れている魔力がシルヴェスターの魔力である可能性が高い。だとしたら仮に動かしたとしても私達に再び危害を加えようとするだろう。」

 それは困るんだよな……。はてはて、どうしたものか。

 本を読みながら悩んでいると、ある考えが頭に思い浮かんだ。

 シルヴェスターの魔力を全て抽出で抜き出した後に私の魔力を流し込んだらどうなる?魔力は私のものだから私の言うことを聞くようになるのか?

 これは試してみないことにはわからないな。試すことは一つ決まった。後はもう少しこの本を読んで彼女達についての知識を身に付けよう。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~

アトハ
ファンタジー
【短いあらすじ】 普通を勘違いした魔界育ちの少女が、王都に旅立ちうっかり無双してしまう話(前世は病院少女なので、本人は「超健康な身体すごい!!」と無邪気に喜んでます) 【まじめなあらすじ】  主人公のフィアナは、前世では一生を病院で過ごした病弱少女であったが……、 「健康な身体って凄い! 神さま、ありがとう!(ドラゴンをワンパンしながら)」  転生して、超健康な身体(最強!)を手に入れてしまう。  魔界で育ったフィアナには、この世界の普通が分からない。  友達を作るため、王都の学園へと旅立つことになるのだが……、 「なるほど! 王都では、ドラゴンを狩るには許可が必要なんですね!」 「「「違う、そうじゃない!!」」」  これは魔界で育った超健康な少女が、うっかり無双してしまうお話である。 ※他サイトにも投稿中 ※旧タイトル 病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

処理中です...