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蜜月
休日の過ごし方
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階段を駆け降りると、図書室へと続く二階の踊り場で矢野君とその他に出会したが、髭が戻って来るのを待っているのか無駄に良い姿勢で整列中だった為、絡まれる事なく駆け抜ける事が出来た。とは言え、髭とのやり取りを聞かれていたらしく、オレの言葉遣いがお気に召さなかったようで、矢野君は額に青筋を浮かべていた。二年に対する態度には温情を頂けるが、神である三年(その中でも髭は別格だろうな)を敬わない一年は、例え先輩の庇護があれど容赦無く制裁されそうで怖い。覚えていたら後で謝っておこう。
校舎を飛び出し旧館に戻る。もちろん自室には帰らない。オレは目的の部屋へ向かうべく、休日の二年フロアへ突撃した。一番面倒な奴とはさっき校舎で会っているから、割と気楽だったのだが、挨拶一つですれ違える気安い二年は小吉さんと山センくらいなので用心して早足になる。ありがたい事に一年が紛れ込んでいても、嬉々として捕まえようと追いかけてくる頭のおかしい奴は今の所いなかった。
何度か通ったおかげで迷いなく目的の部屋、寮長の部屋にたどり着く。放課後なら不在がデフォルトなので遠慮なく不法侵入するのだが、休日の行動までは把握していない為、在室している可能性も考え、軽く扉をノックしてみた。周りを気にしながら返事を待ったが、寮長の部屋からは何も反応はなく、けれど別の部屋からは二年の誰かの馬鹿笑いが聞こえ、オレは迷う事なく扉に手を伸ばした。
扉を開けた途端、何かが鼻先を掠めていく。攻撃する意思を感じないほどに、ゆるやかに振り回される何かを掴み取ると、それは箒の柄だった。
「なにすんだ、いきなり」
オレが壊滅的に鈍臭さければ当たっていたであろう柄を押し返し文句を言うと、寮長の部屋で再び振りかぶる性悪は容赦なく箒でオレを殴りやがった。
「人様の部屋に無断で入ってくる自分がおかしいとは思わないわけ?」
「ちゃんとノックしただろ。まあ悪かったよ……まさか人様の部屋で居留守使って掃除してる奴がいるとは思わなかったからな」
しっかり謝罪すると、何故か恨みがましい目で睨め付けられる。性悪にも多少は後ろ暗い所があるらしく、廊下で人の気配を感じてやや強引に部屋に踏み込んでも追い出される事はなかった。
「坊ちゃんなら当分はお戻りにならないよ。用があるならカフェテリアに行け」
聞き慣れない単語に戸惑っていると「新館の食堂」と補足される。圏ガクで『カフェ』なんて浮かれた単語を聞くとは思わなかったが、新館の食堂の内装を思い出してみると割と違和感はなかった。
「人のいる所で話したくないから、寮長が戻るまで待たせてもらう」
休日のカフェテリアはさぞかし人が多いだろう。今日知った三年の待遇を考えれば間違いなく多いはずだ。一言断り、いつもの定位置この部屋に唯一ある椅子に手を伸ばそうとして箒で叩かれた。
「掃除中なんだけど?」
それは見れば分かる。邪魔にならないよう部屋の隅に椅子を移動させようとして、盛大な溜め息を吐かれた。
「お前だって坊ちゃんにはお世話になってるんだろ。少しくらい何かで役に立とうとか思わないわけ」
単刀直入に『掃除を手伝え』と言えばいいのに、嫌味でしか会話出来ないのか性悪は不快感を植え付けながら強要してくる。苛立ちを感じつつも、寮長には世話になっているし、今ここに居るのも追加で世話になる予定だからだ。オレが素直に床に散らばったゴミをまとめ始めると、また馬鹿デカい溜め息が聞こえてきた。
「せめてゴミはゴミ、本は本でまとめようって思わない?」
まず箒で掃けるよう床を露出させる作業をしていたのだが、人を馬鹿にしないと喋れないらしい性悪は文句をつけてくる。反論する気も起きず、お望み通り床を隠す物を種類ごとに分ける事にした。飲みかけのペットボトルをずらりと並べた所で、今度は諦めたような溜め息がオレの手を止めさせた。
校舎を飛び出し旧館に戻る。もちろん自室には帰らない。オレは目的の部屋へ向かうべく、休日の二年フロアへ突撃した。一番面倒な奴とはさっき校舎で会っているから、割と気楽だったのだが、挨拶一つですれ違える気安い二年は小吉さんと山センくらいなので用心して早足になる。ありがたい事に一年が紛れ込んでいても、嬉々として捕まえようと追いかけてくる頭のおかしい奴は今の所いなかった。
何度か通ったおかげで迷いなく目的の部屋、寮長の部屋にたどり着く。放課後なら不在がデフォルトなので遠慮なく不法侵入するのだが、休日の行動までは把握していない為、在室している可能性も考え、軽く扉をノックしてみた。周りを気にしながら返事を待ったが、寮長の部屋からは何も反応はなく、けれど別の部屋からは二年の誰かの馬鹿笑いが聞こえ、オレは迷う事なく扉に手を伸ばした。
扉を開けた途端、何かが鼻先を掠めていく。攻撃する意思を感じないほどに、ゆるやかに振り回される何かを掴み取ると、それは箒の柄だった。
「なにすんだ、いきなり」
オレが壊滅的に鈍臭さければ当たっていたであろう柄を押し返し文句を言うと、寮長の部屋で再び振りかぶる性悪は容赦なく箒でオレを殴りやがった。
「人様の部屋に無断で入ってくる自分がおかしいとは思わないわけ?」
「ちゃんとノックしただろ。まあ悪かったよ……まさか人様の部屋で居留守使って掃除してる奴がいるとは思わなかったからな」
しっかり謝罪すると、何故か恨みがましい目で睨め付けられる。性悪にも多少は後ろ暗い所があるらしく、廊下で人の気配を感じてやや強引に部屋に踏み込んでも追い出される事はなかった。
「坊ちゃんなら当分はお戻りにならないよ。用があるならカフェテリアに行け」
聞き慣れない単語に戸惑っていると「新館の食堂」と補足される。圏ガクで『カフェ』なんて浮かれた単語を聞くとは思わなかったが、新館の食堂の内装を思い出してみると割と違和感はなかった。
「人のいる所で話したくないから、寮長が戻るまで待たせてもらう」
休日のカフェテリアはさぞかし人が多いだろう。今日知った三年の待遇を考えれば間違いなく多いはずだ。一言断り、いつもの定位置この部屋に唯一ある椅子に手を伸ばそうとして箒で叩かれた。
「掃除中なんだけど?」
それは見れば分かる。邪魔にならないよう部屋の隅に椅子を移動させようとして、盛大な溜め息を吐かれた。
「お前だって坊ちゃんにはお世話になってるんだろ。少しくらい何かで役に立とうとか思わないわけ」
単刀直入に『掃除を手伝え』と言えばいいのに、嫌味でしか会話出来ないのか性悪は不快感を植え付けながら強要してくる。苛立ちを感じつつも、寮長には世話になっているし、今ここに居るのも追加で世話になる予定だからだ。オレが素直に床に散らばったゴミをまとめ始めると、また馬鹿デカい溜め息が聞こえてきた。
「せめてゴミはゴミ、本は本でまとめようって思わない?」
まず箒で掃けるよう床を露出させる作業をしていたのだが、人を馬鹿にしないと喋れないらしい性悪は文句をつけてくる。反論する気も起きず、お望み通り床を隠す物を種類ごとに分ける事にした。飲みかけのペットボトルをずらりと並べた所で、今度は諦めたような溜め息がオレの手を止めさせた。
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