ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。

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# 37 葉っぱの機転

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うーん、どこにもない。
すごい果実らしいからひと目でわかるはずだが、島の中を手分けしてあちこち見て回ったが、見つからなかった。

瑞果と呼ばれる果実は、食べると寿命がめちゃくちゃ延びたり、若返りの効果があったりする禁断の果実と言われていたそうだ。アンブロシア、蟠桃、アムリタ、黄金のリンゴ、ペルセアの果実……数々の呼び名を持つこの奇跡の果実を過去、世界中の時の権力者たちがこの瑞果を求めて、探し回ったそうだ。

ちなみに邪馬台国の入口……東北某県にあるトンネルのような霊的なエネルギーの高い場所が全国にいくつかあり、最寄りの場所がたまたま東北だったとカグヤに教えてもらった。

それにしても気になるのは島中に配置されている機械でできた警備用ロボット。最初、各交差点の真ん中に四角い金属の箱があったので、何なのかわからかったが、車同士が接触事故を起こした時に変形してロボットに姿を変え、車内に取り残された人を車のドアを高熱の蒸気で溶かして救出していた。

幸いロボットも豆丸達を気づかないため、安全だが、もし見つかってしまったら、大変なことになりそうな気がした。

モリ達を大量に放出して、散々探し回ったので、おそらくないと思う。カグヤも八雲家の長老から伝え聞いただけで、実際、どんな形状でどんな色の果実なのか、知らないそうだ。もしかしたら果実の形をしていないかもしれない。液体だったり、見た目が他の食べ物だったら、それこそ手に負えない。

「ベベッ」

今回はアベベにも捜索に出てもらっている。
最初、結構渋っていたが、お菓子3日分で手を打ってくれた。

そのアベベがある場所を指差している。

島の真ん中にある城。
さすがに入るのは怖くて、城以外のところを捜索したわけだが、まったく手がかりがない以上、城の中も捜索しなければならない。

城壁が高すぎて、門もずっと閉まっている。
そのため、周りにあった層塔から鉄橋が城の内部へ伸びている箇所を見つけ、そこから侵入した。

層塔から城の内部へ至るまで何人か守衛がいたが、豆丸達のことが見えていないので素通りできた。

複層になっている城壁の内、2つ目の城壁を超えたところまで来れた。3つ目の城壁は門がしまっていたので、森羅バン蔵のスキルで樹木を階段状に生成してもらい、城壁を超えることができた。

──これだ。

見てすぐにわかった。
3つ目の城壁を過ぎたところに果樹園があり、バナナの木に似た樹木にイチゴのような小ぶりな果実が実っていて、すべて黄金色をした実だった。これが「瑞果」、人類にとっては夢のような奇跡の果実……。

それではさっそく一つ頂戴するか。

一つだけ摘んですぐにストレージの中にしまった。

「あら、カグヤ。何をしているのかしら?」
「ふぇ? お姉様、私ったら、いったい何を?」

後ろの方でしれーっと、カグヤが実を一つ取ろうとしていた。若返り、不老不死など、この黄金色の実にまつわる話を知っていれば、誰もが喉から手が出るほど欲しい気持ちはわかるが、一つ取るだけでも立派な犯罪。なので、これ以上は罪を重ねたくない。

「𒆠𒀀 𒈨𒂗 𒄖」
「──っ⁉」

聞いたことのない言葉。
天守閣の方向、女性がこちらを見下ろしていた。あの距離からなのに耳元で声がしたので、びっくりした。

遠目でもわかる。
この世のものとは思えないほど整った顔。あんな美人、AI技術でも再現は難しい。

「ブオオオオオオオッ!」

警報めいた音が、城の中に響き渡る。

「オジ様、早く逃げましょ?」
「はっ、はい」

真っ先に動いたのは雨だった。
豆丸、歩茶、カグヤはほぼ同時に彼女の後を追った。

城を脱出するのに活躍したのは2体のモリ。森羅バン蔵とジャンリル。城壁前にバン蔵が樹木の階段を作るとジャンンリルの氷の滑り台で一気に滑り降りて、城を抜け出せた。

自分達のことが視えている?

城を抜け出した豆丸達にまっすぐ迫ってきたのは、各交差点に配備された警備ロボット。犯罪者や暴徒を鎮圧するために作られたと思しき、刺叉の腕。不用意に近づいた朽葉ツキ影がそのアームに捕まるとゴムバンドのようなものが展開されて両腕、両足を一瞬にして拘束された。

だが、さすがは忍者系のモリ。バフン、という音とともに捕らえられたツキ影の姿が枯葉の塊に変わった。ツキ影が時間を稼いでくれたお陰で、パー犬が投網でロボットの動きを封じ、斎宮ハガネがロボットを一刀両断した。

「お姉様!」
「ええっ有難う」

カグヤが狛犬を出して、雌狛めすこまに騎乗し、雄の方に雨に乗るよう促した。歩茶は自分の髪の毛を使えば、車並みの速度で疾走できる。問題なのは……。

「オジ様⁉」
「大丈夫、先に行きなさい! そうだアベベ、これを」

豆丸自身の足が遅いこと。
狛犬は定員オーバー。騎乗できるようなモリはいない。

アベベぐらいなら、雨の後ろに乗れるので、アベベに瑞果を預けた。

もし、豆丸がここで捕まってもミカドを助けることができる。だからアベベに雨の後ろに乗るように指示を出そうとした。

「アベベ、早く雨の後ろに……」
「ベベッ」
「ぁ痛っ!」

アベベに瑞果を投げ返され、豆丸の頭に当たった。そのまま地面に落ちそうなのをギリギリでキャッチした。確認したところ黄金色の果実は潰れておらず、ホッとした。

「ちょっと、何してんのぉぉお!!」
「べべっ、アベアベッ⁉ ──ベェ~~ベッ」

アベベがモリ達に何か指示をした。
すぐに森羅バン蔵とジャンリル、ツタ忍、数体のジャン犬達が動き出した。

樹木でできた小型のソリ。
そのソリに複数の蔦。
そして、前方にレール状に作られた氷盤。

「むぉぉおおおお!」

首に繋がった蔦でジャン犬達がもの凄い速さでソリをき始める。
氷の上を走るサンタならぬ、最近反り腰気味な還暦ソリ腰おじさん……。

みるみる内に加速していき、あっという間に例の連絡橋のところまで到着した。







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