〖完結〗旦那様は私よりも愛人を選ぶそうです。

藍川みいな

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シルバード子爵

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 「初めまして。シャーロット・シンクレアです。」

 シルバード子爵に呼ばれて、邸へと来たシャーロットとトーマスは、応接室のソファーに座っていた。

 「お噂は聞いておりましたが、お会いするのは初めてですね。ロベルト・シルバードです。この村を守っていただき、ありがとうございます。シャーロット様のおかげで、この村は平和に暮らせています。ずっとお礼を言いたかったのですが、レイバーン伯爵には奥様にお会いする事を断られていたのです。」

 「ルーク様は、私を妻と紹介するのが嫌だったんだと思います。不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません。」

 「シャーロット様が謝る事ではありません。こんなに素敵な方が妻なら、私は自慢してしまいますけどね。」

 さすが貴族ですね。お世辞がお上手。
 
 「歩いて王都に向かっていると聞いたので、馬車を用意しました。今日はこの邸に、お泊まりになってください。」

 「そこまでしていただくわけには……」

 「この村はずっと、魔物に悩まされてきたと聞いています。レイバーン伯爵がこの村の領主ではなくなってからも、ずっとシャーロット様が守ってくださっているから平和に暮らせているのです。だから、私に出来る事はなんでもさせてください。」

 シルバード子爵は、とても真っ直ぐな方なのですね。貴族はルーク様しか知らなかったから、みんなルーク様みたいなのかと、勝手に思っていてすみませんでした。

 「分かりました。ご好意をありがたくお受けします。」

 用意していただいた部屋はとても質素だったけど、シルバード子爵の人柄が出ていた。
 ルーク様が使っていたお邸は、村人の為に病院として使っていた。シルバード子爵のお邸は、小さくこじんまりしていて、それだけでもシルバード子爵がルーク様とは大違いなのがわかる。
 貴族というだけで、ルーク様と同じだと勝手に決めつけた事が恥ずかしくなってくる。(貧乏子爵だとも思ってしまいすみません。)
 本当に私は、視野が狭かったのだと思い知りました。

 

 シャーロットがダナ村で楽しい時間を過ごしていた頃、ダルダナートは大騒ぎになっていた。

 「あれは……何?」
 「見たこともない数の魔物達が、この街を覆ってる……」
 「今まで、魔物など現れた事などなかったのにどうしてだ!?」
 「まさか……シャーロット様がいなくなったから?」

 ダナ村からダルダナートまで、シャーロットはずっと結界を張り続けていた。ダナ村が魔物に狙われやすかったのは、いわゆる鬼門だったからだった。その鬼門に結界を張り、その周辺からダルダナートまで全ての地に結界を張っていた事で、魔物はこの国に入る事さえ出来なかった。
 そして今、鬼門であるダナ村には結界が張られているが、ダルダナートの結界は消滅しかけている。ダルダナートの結界が消滅した時、魔物はいっせいに襲撃するだろう事は明らかだった。

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