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聖女の力
しおりを挟む聖女はかなり数が少ないと聞いていたけど、いないわけじゃない。私以外に聖女がいてもおかしくない。
「私は、シャーロットです。」
「座ってもいいかしら? あなたの力について、話したい事があるの。」
「あ、どうぞ。」
トーマスは席を立ち、シャーロットの隣へと移動した。
「単刀直入に言うわ。あなたはムダが多すぎる。」
「ムダ……ですか?」
「結界を見る限り、力をムダに使い過ぎているの。ここの結界は完璧だわ。でも、こんなに完璧な結界を張っていたら、あなたの身が持たない。」
私は確かに、誰かに力の使い方を教えてもらった事はなく自己流です。今は、ルーク様の領土だったダルダナートの街の結界を張ることをやめたから、楽な気持ちでいられるけど、ずっとあの広い土地に結界を張り続けていた時は、常に寝不足で常に疲れ切っていました。
シャーロットが全力で結界を張り続けていたからこそ、結界を張る事をやめても、ダルダナートの結界はまだ消滅してはいなかった。
「どうすれば、いいのでしょう。」
アンジェラはテーブルの上に、白い石の付いたペンダントを置いた。
「これをあげるわ。この石はあなたが力を使っていない時、聖力を蓄えておいてくれるの。そして、あなたがムダに力を使っている時はそれを抑えてくれるわ。まあ、あなたの力が強大だから、それでもやって来れたんだろうけどね。私には、上位魔人さえも寄せ付けない結界を張り続けるなんて無理だもの。」
アンジェラから貰ったペンダントを手にしてみると、なんだか心が軽くなった気がした。
「アンジェラさん、ありがとうございます。ムリをしすぎていたのは気づいていたんですけど、どうしたらいいのか分からなかったんです。でもこの石、貰ってしまっていいのでしょうか?」
「あ、それね。私が作ったのよ。聖女といっても色々いてね。結界が得意な者、癒しが得意な者、魔物を消滅させるのが得意な者。私はどれでもなかったけど、聖力を使って聖女をサポートする事が出来た。その石は、私の聖力で作られてるの。サポート役はサポート相手がいて、やっと輝ける。だからこうして、聖女を探して石を渡しながら旅をしているの。」
アンジェラさんてすごい……。自分がやるべき事を見つけてるんだ。
「そうそう、あなたの力なら、この村くらいの大きさに結界を張る為に祈るのは数分で大丈夫よ。あなたがムリして倒れてしまったら、なんの意味もない事を自覚してね。」
「あの、何かお礼を……」
「そんなもの必要ないわ。聖女のサポートが私の仕事だから。じゃあ、縁があったらまた会いましょう。」
そう言って去って行ったアンジェラさんは、とてもカッコよかった。
ほとんど、孤児院とルーク様のお邸しか知らなかった私は、世界が広いのだと知りました。
「ねぇ、トーマス。私ね、ルーク様に追い出されてよかった。あのままだったら、結界を張り続けるなんて出来なかった。見た目で分かるくらいボロボロだったしね。」
「どんな見た目でも、シャーロット様はお美しいです。」
「え……?」
「お姉ちゃん、お待たせー!」
そこに、お爺さん達がやって来た。
さっきのは、なんだったんだろう? 私を、う、う、美しいって言った!?
「シャーロット様、お待たせしてすみません。シルバード子爵様がお会いになりたいそうです。」
シルバード子爵が?
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