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国にするために…
しおりを挟む涙が溢れ出して止まらないセリシアにキリトは笑顔で、
「沢山ありますから、おかわりしてくださいね。」
なんて暖かいんだろう……。とても優しくてとても暖かい……こんな気持ち、忘れてた。
セリシアはこの村に来て本当のによかったと思った。
「あの……どうして他の国に属したくないのですか?」
「……この村に住んでいるのは、国を無実の罪で追放された者や、税金の取り立てが苦しくて逃げて来た者がほとんどなんじゃ。国に見捨てられた者が国に属したいなどとは、思わんのじゃよ。」
元々は村長の曽祖父がこの地に仲間達と住んでいて、だんだん人が集まり村になった。
この辺一帯はどこの国にも属さない土地が広がっているが、凶暴な魔物が現れる為、どの国も手を出して来なかった。
「結界の事なんですが、この村の規模なら張らなくても聖女の加護だけで安全に暮らせます。ですが、国として認められるために、どの国にも属していないこの村の周りの土地全てに結界を張ろうと思います。」
お爺さんとキリトは固まった!周りの土地全てとは、どの国よりも巨大な結界を張らなければならない。
セリシアが三年間結界を張り続けて来たスベマナ王国の倍の広さにはなるだろう。
「そんな事が……出来るんですか!?」
「出来ます。私、この国の聖女ですから!」
「セリシア様……わしは……わしは……ぅぅぅ……」
「爺ちゃん……俺……セリシア様が大好きだ!」
「「え"ッ!?」」
キリトのイキナリの告白に村長は涙が止まり、セリシアは顔を真っ赤にした。
聖女協会から評価が下されるのは、一年に2回。次の評価は3ヶ月後に下される。3ヶ月でこの村を国として認めてもらうには、力を最大限使わなくては……その為に、広大な地全てに結界を張る。
「少しこの村を見て回りませんか?」
真剣な表情で考え込んでいるセリシアに、キリトが声をかけた。
「村の人達も紹介したいですし、セリシア様にもこの村を好きになって欲しいなって……。」
キリトの案内で、村の中を見て回ることにした。
「あらキリトったら、セリシア様ともう仲良くなったの?」
家を出てすぐに、恰幅のいいおばさんが話しかけて来た。
「隣りの家のナタリーおばさんです。おばさんは旦那さんを戦争で亡くして、この村に来たんです。」
「セリシア様、こんな小さな村に来て下さり感謝しております。家は隣りですし、困った事があったら何でも言ってくださいね!」
「ありがとうございます。こんな素敵な村に来られて幸せです。」
セリシアの言葉におばさんは感動し……
「やっぱり好きです!」
キリトはまた告白をした。
「なんだいキリト!セリシア様に惚れてるのかい!?」
おばさんのストレートな言葉に、二人は顔を真っ赤にした。
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