〖完結〗お飾り王妃は追放されて国を創る~最強聖女を追放したバカ王~

藍川みいな

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村の秘密

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 「ナタリーおばさん!そんなん言われたら恥ずかしいだろ!」

 自分で言うのは恥ずかしくないらしい……。

 「キリト!セリシア様を頼んだよ!キリトはこう見えて、元は騎士様だったんだ。」

 「騎士様?」

 キリトは少し暗い顔をした。
 
 「セリシア様!日が暮れてしまいますから、次行きましょう!」

 キリトの様子が少し気になったけど、触れて欲しくなさそうだからそれ以上聞くのはやめた。

 その後も次々に村の人達が話しかけて来てくれて、暖かい言葉をかけてくれた。
 スベマナの王妃だった頃は、私の存在なんて誰も認めてくれてなかった。

 私はこの人達を、心から守りたいと思った。


 家に帰ると、夕飯が用意されていた。

 「おかえり。村はどうだったかのう?」

 「私……この村が大好きです!」

 「俺はセリシア様が大好きです!」

 ……もう慣れてきたかも。

 「そうですか!それは良かった!」

 ゴーシュはキリトの言葉を、聞こえないふりするようだ。

 「聞いてもいいですか?この辺りは、凶暴な魔物がよく出ますよね……。聖女がいなかったのに、どうして無事でいられたんでしょうか?」

 小さな村がどうして今まで無事だったのか……セリシアはそれが不思議だった。

 「わしの曽祖父は、ミネルバ王国で騎士長をしていたんじゃ。」

 ゴーシュの曽祖父トムは、ミネルバ王国第三王女アンジェラと恋に落ちたが、ミネルバ王は二人を許さなかった。アンジェラは他国の王子との政略結婚が決まっていたのだ。二人は駆け落ち同然で国を去り、この地にたどり着き家を建てた。
 ミネルバ王は激怒し、兵士達に二人を探すよう命じたが、その兵士達は国に戻ることなく、尊敬する騎士長と共にこの地に移り住んだ。

 「子孫達は代々受け継がれた知識と力で、村を魔物から守って来たんじゃ。」

 「確か、ミネルバ王国は魔物に襲撃されて、壊滅したと……」

 「そうじゃ。それが教訓となり、聖女協会が設立されたと聞いておる。」

 ミネルバ王国は騎士長、そして数十人の兵士を失った直後に、魔物の大群に襲われた。
 指揮官を持たない兵士達は、本来の力を発揮出来ず、国を守る事が出来なかった。

 「一度だけ、この村も壊滅の危機があった。それを救ったのが、キリトの父親じゃ。」

 キリトの父は、村を救って亡くなった。

 お父さんを亡くした悲しみは、私にもわかる。キリトはお父さんみたいになりたくて、騎士になったのかな。

 「キリト……」

 俯くキリトの手を、セリシアは優しく握りしめていた。

 
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