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許せない
しおりを挟むルチアは跪き、自分を殺して欲しいと懇願した。
「申し訳ありませんでした! 奥様には、大変申し訳ないことをしたと思っております!
ですが私はもう、ダリエル侯爵のお邸へ戻りたくはありません! お願いします! どうか、殺してください!!」
隣国の伯爵家から逃げ出した使用人だった事から、この国で裁けるのかはまだ分かりません。勝手に処罰しては、国際問題に発展する可能性があります。
という事は、ルチアは隣国の侯爵家に戻る事になるでしょう。
戻るくらいなら死を……そんなルチアの気持ちを利用していたカレンが許せません。
あんなに慌てていた意味が分かりました。
「ごめんね、殺さないわ。あなたにはこのまま、カレンの命令を聞いているフリをしてもらいたいの。」
「奥様!? 私は奥様を傷付けました。そんな私を信用なさるのですか!?」
私はどうしても生きたいと思って、人生のやり直しをしていますが、ルチアは死にたいと言った。
それほど人生に絶望しているのでしょう。
ルチアは使用人として真面目に働いていたと、メイド長が言ってました。あのお邸では、普通に暮らせる事が出来ていたはず……時間が戻らなければ、カレンはアンドレ様と婚約をしていたのだから、ルチアはそのまま幸せに暮らせていたのかもしれない。ルチアの幸せを邪魔したのは、私なのかもしれません。
「信じるわ。でも、決してカレンにバレてはダメよ。出来る?」
カレンにバレたら、間違いなくダリエル侯爵にルチアの事を知らせるでしょう。
ルチアが自由になれる方法を、シオン様に相談してみましょう。
「奥様に忠誠を誓います!」
「そんなにかしこまらなくていいわ。カレンにバレないようにしてくれればいい。あなたを利用するつもりはないから。」
「奥様……これを。」
ルチアは紙に包まれた、粉のようなものを差し出した。
これは、さっきカレンがルチアに渡していたものね。
「毒です。これを、奥様に飲ませるように言われました。」
やっぱり……カレンは私を殺す気なのね。
ルチアと一緒に帰るところをカレンに見つかると困るので、ルチアには、1人で邸に帰ってもらうことにしました。
「よろしかったのですか? 彼女は逃げるかもしれませんよ?」
オルフェ様は、ルチアを1人で帰したことが不安なようです。
「ルチアは逃げませんよ。私はルチアを信じると決めました。ルチアを救う事が、出来ればよいのですが……」
「夫人は真っ直ぐな方ですね。シオンが好きになった理由が分かった気がします。ダリエル侯爵の事を、調べてみます。」
オルフェ様のような方が、シオン様のご友人で本当に良かった。
邸に戻り、毒の事を考えていました。
私が毒を飲まなければ、ルチアがカレンに疑われる。それならば……
数日後、サンドラが倒れ、意識が戻らないという噂が、王都中に広まった。
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