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宝飾店
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商人ギルドを後にして、ジャレッド団長に連れられるままに歩く。
ぎゅっと繋がれた手と、上機嫌に口角を上げたジャレッド団長に、道行く人たちは驚いたように目を丸め、瞬刻立ち止まる。微かに聞こえるのは、「騎士団の団長だよな?」とか「ジャレッド様よ…ね?」という疑問形ばかりだ。
まぁ、それも仕方ない。
何しろ普段のジャレッド団長と言えば、強面で不愛想。騎士特有の鋭い目つきも相俟って、近寄り難い雰囲気がある。それでも”強い男性に惹かれる”という獣人女性は少なくない。公爵令息の御威光もあり、ジャレッド団長の睨みを乗り越えてくる女性は多い。
商人ギルドにもいたしね。
マリアとナタリアも「怖い…でも、カッコいい!」とジャレッド団長を眺めていることが多々ある。そもそもジャレッド団長は精悍な面立ちの偉丈夫だ。そこに威圧感が加わるので怖さが先立つ。
ちなみに、グレン団長は美丈夫で、どうしても母親似の女性的な顔立ちが目に付く。ハワード団長は黄金比を有する人外な美しさなので、美丈夫という言葉すら失礼に当たる。
3兄弟で一番男らしい顔貌がジャレッド団長で、そのジャレッド団長から厳めしさが消えれば、当然のように視線が集中する。
ジャレッド団長の相好を崩した様子に男性は唖然とし、女性は頬を染め熱っぽい視線を注ぐ。
彼ら、彼女らの視線に私は映ってはいない。ひたすらジャレッド団長を見、勇気ある女性は声をかけようとして、凄みのある睨みに撃沈する。
ジャレッド団長も器用なもので、近寄る女性には冷ややかに、私を見下ろす時だけ目元をやわらく緩める。
ここまでくれば誰もが私の存在に気付くけど、傍から見えれば子供のお使いと保護者なのだろう。諦めきれず、ジャレッド団長に秋波を送る女性は多い。中には私に敵意ある視線を突き刺してくる女性もいるから恐ろしい。
「あの…ジャレッド団長?どこに向かってるんですか?」
「ああ。ちょうど見えてきた。そこだ」
角にある革製品を扱っているお店を曲がり、さらに1ブロック先を指さす。
庶民に馴染みのある通りだと、識字率の関係で、全ての店に絵つきの木製の看板をぶら下げているけど、煉瓦造りの高級区画の店は手のひらサイズのお洒落看板が殆どだ。大きな商会や商人ギルド以外で、目立つ看板はないかもしれない。
なので、遠目から見ても何のお店かは分からない。
確認できるのは、お店の前に仁王立ちする守衛くらいだ。
商人ギルドの前に立っていた彼らは、公爵家から派遣された衛兵だった。制服には公爵家の紋章が入り、ジャレッド団長との面識もあった。
でも、遠目に見える彼らは店が雇った人だ。
ああいう人たちは、怪我をして引退した元兵士や元冒険者が多い。長い間駆け回るのは無理でも、門番のように動かず、その場で敵を鎮圧するくらいならお手の物なのだ。
まぁ、道行く人たちは誰もが品の良さげな紳士淑女ばかりなので、昼日中から強盗を企てようとする者はいない。いても目立つ。そして、第1騎士団の拠点が目と鼻の先なので即捕縛だ。
「渡るぞ」
ジャレッド団長は言って、馬車が来ていないか左右を確認し足を進める。
道を渡れば、目当ての店は目の前だ。
厳つい守衛がいる店は、ぴかぴかの透明度の高いガラスを惜しげもなく使った宝飾店だった。
ガラス入りの扉なんて幾らするのか…。それも透明度の高いガラスなんて、公爵家で見たくらいだ。
ガラスは平民にも広まっているけど、歴史は浅い。故に、平民が使用するガラスは濁っていて透明度は皆無。安価で、陽光を取り込むだけのガラスになる。
次いで騎士団の営舎や商店で見かけるガラスは、そこそこ高い。透明度はそれなりにあるし、眩いほどの陽射しを取り込むことはできるけど、薄膜が張ったような僅かな歪みを生じさせる。
そして、最高級のガラスは濁りも、歪みも、些細な違和感もない透明度を誇る。一時は、鳥が窓ガラスに衝突死するという問題が、庶民の間にも噂話として広がったくらいだ。
そんな最高級品を、商店が扉に使っているのだ。もし万が一、機嫌の悪い客が乱暴に扉を閉めたら、木っ端微塵になりそうな恐ろしさがある。
私がおどおどしていると、守衛の1人が軽く会釈した後、静かに扉を開いてくれた。
一歩店内に入れば、そこは別世界だ。
たぶん中だけ改装しているんだと思う。もしくは、商人ギルドと同じで後から建てられたのか。ハベリット商会やサルトディアよりも作りが新しく感じる。
一部吹き抜けの天井に、幅広い階段。
吹き抜け天井にはシャンデリアが吊るされ、床は乳白色の大理石だ。
1階の中央には、馬の蹄鉄形の陳列箱がある。似ているのは形だけで、大きさは私のベッドよりも大きい。陳列箱の作りは、下部がウォールナットの台。上部がガラスの陳列箱となっている。ガラスは透明度抜群の最高級品で、フレームは真鍮だ。
陳列箱の中は階段式の台を3段設えている。
1段目は様々なカットを施した多種多様の宝石と、カメオの装身具が並ぶ。
2段目にはネックレスとブローチ。
3段目。一番上の段には、指輪やイヤリングが見栄えよく配置されている。透明度の高いガラスを使用しているので、下段の宝石のカットまでよく見える。
1階の奥はパーティションで区切られていて、仕事をしている微かな物音が聞こえてくる。
接客担当の清楚な美人店員がいるのは、蹄鉄形の陳列箱の間だ。
私がきょろきょろしている間に、ジャレッド団長と挨拶を交わし、営業トークを繰り広げていた。
この陳列箱に展示されている宝飾品は、今流行りのデザインと人気の石なのだという。当然、石からデザインまでオーダーメイドも受け付けていると、熱心に説明している。ここには専属の宝飾デザイナーと宝石彫刻師、金銀細工師がいるので、どんな要望にも応えられるらしい。
オーダーメイドと聞いて、ふるふると頭を振る私に、ジャレッド団長は苦笑した。
「いや。今回はこの中のものから選ぼう」
「畏まりました。では…」と、美人店員がガラスの上から一つ一つ丁寧に説明を始めた。
宝石の種類に、カットの仕方。
なんならネックレスのチェーンも4、5種類あるらしい。
オーダーメイドならチェーンは白金も選べるが、現物品は金と銀のノーマルチェーンのみらしい。宝石のカットも主流のものしかなく、オーダーメイドなら宝石のカットも一から受けているそうだ。
直近のオーダーメイドでは、トップにハートシェイプカットのピンクダイヤモンドを3連にした白金のネックレスとイヤリングというのもあったとか。
ハートシェイプカットとはハート型にカットした宝石のことで、とても若いカップルがオーダーしたそうだ。そんな要らぬプチ情報も入り、ぴくり、とジャレッド団長が反応した。
僅かに口角が上がったのを見て、慌てて手を引いて止める。
オーダーメイドなんて恐ろしい…!
しょげ返った顔つきで私を見下ろすジャレッド団長に、静かに頭を振る。普段使いできるものという約束だ。ハート形も3連ダイヤモンドもいらない。
「…普段使いできるネックレスを見せてくれ。チェーンは金。宝石も同系色が良い」
果たして、この店で普段使いできるアクセサリーなど置いてあるのだろうか…。
「現在、ご希望に適うネックレスは幾つかございますので、ご覧ください」
美人店員が言って、ガラス戸についた鍵穴に棒鍵を差し込んだ。
カチャリ、と音がすると、執事がしているような白い手袋を嵌め、ガラス戸を開けた。
「安心してくれ。普段使いできるようなのを選ぶ」
こそり、とジャレッド団長が耳打ちする。
その間に、美人店員がトレイの上にネックレスを取り出した。
「ペアシェイプカットのカナリートルマリンのネックレスになります。チェーンは金を使用し、カナリートルマリンを囲う金にはミルグレインを施しております」
「ミルグレイン?」
「地金に鏨で小さな点を打刻する装飾です。ご覧下さい」
陳列箱の上に置かれたトレイを覗き込む。
ジャレッド団長は普段使いできるというけど、私のお給金何か月分だろうか。小ぶりながら上品な雫型のカナリートルマリンは、カナリーイエローダイヤモンドような煌めきには劣るけど、とても綺麗で可愛らしい。美人店員の言うミルグレインというのも分かる。単なる打刻ではない。繊細な作業からなる装飾は、派手ではないけど宝石に添えると映える美しさがある。
すごい金色推しだけど、カナリートルマリンはカナリーイエローダイヤモンドに比べて僅かに黄緑色っぽく見える。
「悪くないが…。イヴ。その髪飾りはゴールデンベリルだったか?」
「はい」
こくりと頷いて、くるりと踵を返す。
ジャレッド団長と美人店員に見えるようにだ。
蝶を模した髪飾りは、普段使いには派手すぎるけど、今日のようにカスティーロに来るには重宝する。
「揃いになるようなネックレスはないか?」
癪だが…、とジャレッド団長の呟きが聞こえた。
「ゴールデンベリルは3点ございます」
と、美人店員が陳列箱から新たにネックレスを取り出す。
1点目は、小粒のダイヤモンドを中心に、6粒のゴールデンベリルを周りに配した花の形のネックレスだ。ダイヤモンドを使っているし、ゴールデンベリルも6粒あるけど、全体に小ぶりで可愛らしいネックレスになる。
2点目は、シンプルな1粒ゴールデンベリルのネックレスだ。1粒だけど、そのサイズは1点目の花の形に纏めたものより大きい。デザインはスクエアカットで、鷹の爪のようなものがガッチリ宝石を掴んでいるシンプルかつメジャーなものだ。
3点目は、ラウンドブリリアントカットの1粒ゴールデンベリルのネックレスだ。シンプルに見えて、緻密に計算されたカットが光を浴びてキラキラ度を増している。一番カット数が多く、高級感がある。
たくさん宝石を使っているのが1点目のやつで、一番大きなゴールデンベリルを使用しているのは2点目のやつで、一番高価だと思われるのが3点目のやつだ。
「ああ、これが良いな。これにしよう」と、躊躇なくジャレッド団長が摘まみ上げたのは、やっぱり3点目のネックレスだった。
「最初のも良かったが、最後のこれはシンプルだ。2番目のはご婦人がしているイメージがあるな。イヴには20年早い」
これには美人店員も淑やかな笑みを浮かべている。
「これからの季節は襟ぐりの詰まっている服ばかりだ。服の中に入れていれば目立たんだろう」
まぁ…確かに。
3つの内では、私も最後のが1番好きだ。価格さえ見なければ。
とはいえ、この店では全てが高いのだろう。もっと言ってしまえば、ジャレッド団長が連れていく店は、高級なのがデフォルトなのだ。仮に、このネックレスが気に入らないと言えば、次に連れていかれる店も高級だろうし、オーダーメイドで一から作るということだってありえる。
妥協なんて言うと傲慢だけど、金額さえ見なければ、このネックレスが一番素敵だと思ったのは確かなので素直に嬉しい。
「どうだ?」
「すごく素敵です」
「そうか」
少しだけ不安そうな顔が、一気に晴れやかな笑顔に変わった。
「このネックレスを貰おう。この場で付けても?」
「はい。構いません。お会計はいかがなされますか?」
こういう高級店は、品物が一級な上に価格も一級なので、その場で支払う人は一部なのだとか。
その一部というのは、信用に問題ありというから、本音は「来店お断り」なのだろう。
それ以外の支払いはツケだ。
ツケというと、イメージは酔っ払い冒険者が酒屋の大将に「ツケといて~」という感じだけど、こういう店のツケは2種類ある。後日使用人が払いに来る場合と、商人ギルドの口座引き落としだ。
冒険者ギルドに口座があるように、商人ギルドにも口座システムはある。
重い硬貨をジャラジャラ鳴らしながら歩くなんて金持ちはしないのだ。
もちろんジャレッド団長は後者で、支払いの誓約書にサインしている。
「イヴ。髪を上げてくれ」
少し恥ずかしいけど、ネックレスなんて付けたことがないのでお願いするしかない。
両手で髪を上げて項を晒すと、ジャレッド団長が首にネックレスを回した。
少しくすぐったい。
「よし。付いたぞ」
「よくお似合いでございます」
美人店員がすかさず鏡を持ち出し、私に向ける。
今日はレモンイエローのワンピースだ。首周りはスクエアネックなので、鎖骨の少し下に輝くゴールデンベリルがとても綺麗に見える。
身の丈に合わないと尻込みするけど、私だって綺麗なものは好きなのだ。
自然と口元が綻ぶ。
「指輪をお考えの際は、是非とも当店にお越し下さい」
うふふ、と美人店員がウインクする。
指輪…?
「帝国貴族は結婚式に、互いの家の紋章を彫った指輪を贈るんだ。貴族の結婚というのは、家同士の繋がりだからな。だが、近年は紋章ではなく、互いの名を彫るのが流行っているそうだ。それにより、指輪も細くデザイン性が高くなったと兄上に聞いたことがある」
「ジャレッド様のおっしゃる通り、指輪には紋章や名前を彫りますが、宝石はついておりません。なので、近年は帝都を中心に、お互いの瞳の色の宝石がついたピアスを交換するというのが流行っております。ピアスほどではないですが、中央ミカ州の神聖国家アーバンへ赴任していた外交官から、神聖国家アーバン方式の婚姻指輪も広まりつつあります。そちらは裏石……指輪の内側に宝石を埋めているものなのですが、その裏石は、2人だけの密やかな隠し事。または、離れている時も心を寄せるという意味があるそうです。神聖国家アーバンでの婚姻では一般的なことらしいのですが、帝国にはない風習ですので。貴族発信ということもあり、今は貴族を中心にじわじわと人気になっております。もちろん、当店でも対応できますので、いつでも相談して下さいませ」
含み笑いの美人店員と目と目が合って、私は美人店員の言っている意味を察して赤くなった顔を俯かせた。
ぎゅっと繋がれた手と、上機嫌に口角を上げたジャレッド団長に、道行く人たちは驚いたように目を丸め、瞬刻立ち止まる。微かに聞こえるのは、「騎士団の団長だよな?」とか「ジャレッド様よ…ね?」という疑問形ばかりだ。
まぁ、それも仕方ない。
何しろ普段のジャレッド団長と言えば、強面で不愛想。騎士特有の鋭い目つきも相俟って、近寄り難い雰囲気がある。それでも”強い男性に惹かれる”という獣人女性は少なくない。公爵令息の御威光もあり、ジャレッド団長の睨みを乗り越えてくる女性は多い。
商人ギルドにもいたしね。
マリアとナタリアも「怖い…でも、カッコいい!」とジャレッド団長を眺めていることが多々ある。そもそもジャレッド団長は精悍な面立ちの偉丈夫だ。そこに威圧感が加わるので怖さが先立つ。
ちなみに、グレン団長は美丈夫で、どうしても母親似の女性的な顔立ちが目に付く。ハワード団長は黄金比を有する人外な美しさなので、美丈夫という言葉すら失礼に当たる。
3兄弟で一番男らしい顔貌がジャレッド団長で、そのジャレッド団長から厳めしさが消えれば、当然のように視線が集中する。
ジャレッド団長の相好を崩した様子に男性は唖然とし、女性は頬を染め熱っぽい視線を注ぐ。
彼ら、彼女らの視線に私は映ってはいない。ひたすらジャレッド団長を見、勇気ある女性は声をかけようとして、凄みのある睨みに撃沈する。
ジャレッド団長も器用なもので、近寄る女性には冷ややかに、私を見下ろす時だけ目元をやわらく緩める。
ここまでくれば誰もが私の存在に気付くけど、傍から見えれば子供のお使いと保護者なのだろう。諦めきれず、ジャレッド団長に秋波を送る女性は多い。中には私に敵意ある視線を突き刺してくる女性もいるから恐ろしい。
「あの…ジャレッド団長?どこに向かってるんですか?」
「ああ。ちょうど見えてきた。そこだ」
角にある革製品を扱っているお店を曲がり、さらに1ブロック先を指さす。
庶民に馴染みのある通りだと、識字率の関係で、全ての店に絵つきの木製の看板をぶら下げているけど、煉瓦造りの高級区画の店は手のひらサイズのお洒落看板が殆どだ。大きな商会や商人ギルド以外で、目立つ看板はないかもしれない。
なので、遠目から見ても何のお店かは分からない。
確認できるのは、お店の前に仁王立ちする守衛くらいだ。
商人ギルドの前に立っていた彼らは、公爵家から派遣された衛兵だった。制服には公爵家の紋章が入り、ジャレッド団長との面識もあった。
でも、遠目に見える彼らは店が雇った人だ。
ああいう人たちは、怪我をして引退した元兵士や元冒険者が多い。長い間駆け回るのは無理でも、門番のように動かず、その場で敵を鎮圧するくらいならお手の物なのだ。
まぁ、道行く人たちは誰もが品の良さげな紳士淑女ばかりなので、昼日中から強盗を企てようとする者はいない。いても目立つ。そして、第1騎士団の拠点が目と鼻の先なので即捕縛だ。
「渡るぞ」
ジャレッド団長は言って、馬車が来ていないか左右を確認し足を進める。
道を渡れば、目当ての店は目の前だ。
厳つい守衛がいる店は、ぴかぴかの透明度の高いガラスを惜しげもなく使った宝飾店だった。
ガラス入りの扉なんて幾らするのか…。それも透明度の高いガラスなんて、公爵家で見たくらいだ。
ガラスは平民にも広まっているけど、歴史は浅い。故に、平民が使用するガラスは濁っていて透明度は皆無。安価で、陽光を取り込むだけのガラスになる。
次いで騎士団の営舎や商店で見かけるガラスは、そこそこ高い。透明度はそれなりにあるし、眩いほどの陽射しを取り込むことはできるけど、薄膜が張ったような僅かな歪みを生じさせる。
そして、最高級のガラスは濁りも、歪みも、些細な違和感もない透明度を誇る。一時は、鳥が窓ガラスに衝突死するという問題が、庶民の間にも噂話として広がったくらいだ。
そんな最高級品を、商店が扉に使っているのだ。もし万が一、機嫌の悪い客が乱暴に扉を閉めたら、木っ端微塵になりそうな恐ろしさがある。
私がおどおどしていると、守衛の1人が軽く会釈した後、静かに扉を開いてくれた。
一歩店内に入れば、そこは別世界だ。
たぶん中だけ改装しているんだと思う。もしくは、商人ギルドと同じで後から建てられたのか。ハベリット商会やサルトディアよりも作りが新しく感じる。
一部吹き抜けの天井に、幅広い階段。
吹き抜け天井にはシャンデリアが吊るされ、床は乳白色の大理石だ。
1階の中央には、馬の蹄鉄形の陳列箱がある。似ているのは形だけで、大きさは私のベッドよりも大きい。陳列箱の作りは、下部がウォールナットの台。上部がガラスの陳列箱となっている。ガラスは透明度抜群の最高級品で、フレームは真鍮だ。
陳列箱の中は階段式の台を3段設えている。
1段目は様々なカットを施した多種多様の宝石と、カメオの装身具が並ぶ。
2段目にはネックレスとブローチ。
3段目。一番上の段には、指輪やイヤリングが見栄えよく配置されている。透明度の高いガラスを使用しているので、下段の宝石のカットまでよく見える。
1階の奥はパーティションで区切られていて、仕事をしている微かな物音が聞こえてくる。
接客担当の清楚な美人店員がいるのは、蹄鉄形の陳列箱の間だ。
私がきょろきょろしている間に、ジャレッド団長と挨拶を交わし、営業トークを繰り広げていた。
この陳列箱に展示されている宝飾品は、今流行りのデザインと人気の石なのだという。当然、石からデザインまでオーダーメイドも受け付けていると、熱心に説明している。ここには専属の宝飾デザイナーと宝石彫刻師、金銀細工師がいるので、どんな要望にも応えられるらしい。
オーダーメイドと聞いて、ふるふると頭を振る私に、ジャレッド団長は苦笑した。
「いや。今回はこの中のものから選ぼう」
「畏まりました。では…」と、美人店員がガラスの上から一つ一つ丁寧に説明を始めた。
宝石の種類に、カットの仕方。
なんならネックレスのチェーンも4、5種類あるらしい。
オーダーメイドならチェーンは白金も選べるが、現物品は金と銀のノーマルチェーンのみらしい。宝石のカットも主流のものしかなく、オーダーメイドなら宝石のカットも一から受けているそうだ。
直近のオーダーメイドでは、トップにハートシェイプカットのピンクダイヤモンドを3連にした白金のネックレスとイヤリングというのもあったとか。
ハートシェイプカットとはハート型にカットした宝石のことで、とても若いカップルがオーダーしたそうだ。そんな要らぬプチ情報も入り、ぴくり、とジャレッド団長が反応した。
僅かに口角が上がったのを見て、慌てて手を引いて止める。
オーダーメイドなんて恐ろしい…!
しょげ返った顔つきで私を見下ろすジャレッド団長に、静かに頭を振る。普段使いできるものという約束だ。ハート形も3連ダイヤモンドもいらない。
「…普段使いできるネックレスを見せてくれ。チェーンは金。宝石も同系色が良い」
果たして、この店で普段使いできるアクセサリーなど置いてあるのだろうか…。
「現在、ご希望に適うネックレスは幾つかございますので、ご覧ください」
美人店員が言って、ガラス戸についた鍵穴に棒鍵を差し込んだ。
カチャリ、と音がすると、執事がしているような白い手袋を嵌め、ガラス戸を開けた。
「安心してくれ。普段使いできるようなのを選ぶ」
こそり、とジャレッド団長が耳打ちする。
その間に、美人店員がトレイの上にネックレスを取り出した。
「ペアシェイプカットのカナリートルマリンのネックレスになります。チェーンは金を使用し、カナリートルマリンを囲う金にはミルグレインを施しております」
「ミルグレイン?」
「地金に鏨で小さな点を打刻する装飾です。ご覧下さい」
陳列箱の上に置かれたトレイを覗き込む。
ジャレッド団長は普段使いできるというけど、私のお給金何か月分だろうか。小ぶりながら上品な雫型のカナリートルマリンは、カナリーイエローダイヤモンドような煌めきには劣るけど、とても綺麗で可愛らしい。美人店員の言うミルグレインというのも分かる。単なる打刻ではない。繊細な作業からなる装飾は、派手ではないけど宝石に添えると映える美しさがある。
すごい金色推しだけど、カナリートルマリンはカナリーイエローダイヤモンドに比べて僅かに黄緑色っぽく見える。
「悪くないが…。イヴ。その髪飾りはゴールデンベリルだったか?」
「はい」
こくりと頷いて、くるりと踵を返す。
ジャレッド団長と美人店員に見えるようにだ。
蝶を模した髪飾りは、普段使いには派手すぎるけど、今日のようにカスティーロに来るには重宝する。
「揃いになるようなネックレスはないか?」
癪だが…、とジャレッド団長の呟きが聞こえた。
「ゴールデンベリルは3点ございます」
と、美人店員が陳列箱から新たにネックレスを取り出す。
1点目は、小粒のダイヤモンドを中心に、6粒のゴールデンベリルを周りに配した花の形のネックレスだ。ダイヤモンドを使っているし、ゴールデンベリルも6粒あるけど、全体に小ぶりで可愛らしいネックレスになる。
2点目は、シンプルな1粒ゴールデンベリルのネックレスだ。1粒だけど、そのサイズは1点目の花の形に纏めたものより大きい。デザインはスクエアカットで、鷹の爪のようなものがガッチリ宝石を掴んでいるシンプルかつメジャーなものだ。
3点目は、ラウンドブリリアントカットの1粒ゴールデンベリルのネックレスだ。シンプルに見えて、緻密に計算されたカットが光を浴びてキラキラ度を増している。一番カット数が多く、高級感がある。
たくさん宝石を使っているのが1点目のやつで、一番大きなゴールデンベリルを使用しているのは2点目のやつで、一番高価だと思われるのが3点目のやつだ。
「ああ、これが良いな。これにしよう」と、躊躇なくジャレッド団長が摘まみ上げたのは、やっぱり3点目のネックレスだった。
「最初のも良かったが、最後のこれはシンプルだ。2番目のはご婦人がしているイメージがあるな。イヴには20年早い」
これには美人店員も淑やかな笑みを浮かべている。
「これからの季節は襟ぐりの詰まっている服ばかりだ。服の中に入れていれば目立たんだろう」
まぁ…確かに。
3つの内では、私も最後のが1番好きだ。価格さえ見なければ。
とはいえ、この店では全てが高いのだろう。もっと言ってしまえば、ジャレッド団長が連れていく店は、高級なのがデフォルトなのだ。仮に、このネックレスが気に入らないと言えば、次に連れていかれる店も高級だろうし、オーダーメイドで一から作るということだってありえる。
妥協なんて言うと傲慢だけど、金額さえ見なければ、このネックレスが一番素敵だと思ったのは確かなので素直に嬉しい。
「どうだ?」
「すごく素敵です」
「そうか」
少しだけ不安そうな顔が、一気に晴れやかな笑顔に変わった。
「このネックレスを貰おう。この場で付けても?」
「はい。構いません。お会計はいかがなされますか?」
こういう高級店は、品物が一級な上に価格も一級なので、その場で支払う人は一部なのだとか。
その一部というのは、信用に問題ありというから、本音は「来店お断り」なのだろう。
それ以外の支払いはツケだ。
ツケというと、イメージは酔っ払い冒険者が酒屋の大将に「ツケといて~」という感じだけど、こういう店のツケは2種類ある。後日使用人が払いに来る場合と、商人ギルドの口座引き落としだ。
冒険者ギルドに口座があるように、商人ギルドにも口座システムはある。
重い硬貨をジャラジャラ鳴らしながら歩くなんて金持ちはしないのだ。
もちろんジャレッド団長は後者で、支払いの誓約書にサインしている。
「イヴ。髪を上げてくれ」
少し恥ずかしいけど、ネックレスなんて付けたことがないのでお願いするしかない。
両手で髪を上げて項を晒すと、ジャレッド団長が首にネックレスを回した。
少しくすぐったい。
「よし。付いたぞ」
「よくお似合いでございます」
美人店員がすかさず鏡を持ち出し、私に向ける。
今日はレモンイエローのワンピースだ。首周りはスクエアネックなので、鎖骨の少し下に輝くゴールデンベリルがとても綺麗に見える。
身の丈に合わないと尻込みするけど、私だって綺麗なものは好きなのだ。
自然と口元が綻ぶ。
「指輪をお考えの際は、是非とも当店にお越し下さい」
うふふ、と美人店員がウインクする。
指輪…?
「帝国貴族は結婚式に、互いの家の紋章を彫った指輪を贈るんだ。貴族の結婚というのは、家同士の繋がりだからな。だが、近年は紋章ではなく、互いの名を彫るのが流行っているそうだ。それにより、指輪も細くデザイン性が高くなったと兄上に聞いたことがある」
「ジャレッド様のおっしゃる通り、指輪には紋章や名前を彫りますが、宝石はついておりません。なので、近年は帝都を中心に、お互いの瞳の色の宝石がついたピアスを交換するというのが流行っております。ピアスほどではないですが、中央ミカ州の神聖国家アーバンへ赴任していた外交官から、神聖国家アーバン方式の婚姻指輪も広まりつつあります。そちらは裏石……指輪の内側に宝石を埋めているものなのですが、その裏石は、2人だけの密やかな隠し事。または、離れている時も心を寄せるという意味があるそうです。神聖国家アーバンでの婚姻では一般的なことらしいのですが、帝国にはない風習ですので。貴族発信ということもあり、今は貴族を中心にじわじわと人気になっております。もちろん、当店でも対応できますので、いつでも相談して下さいませ」
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