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最終章 今こそ復讐の時
第七話 神の使いは伊達じゃない
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「ッッ!!」
矢を引く手が離され、矢が弦の力によって真っすぐと飛んでくる。幸助が飛んできている事に気付いたのは到達まで残り3mの位置。顔をずらして避けるが、完全には避ける事は出来ずに頬を傷つけてしまう。
「・・・何ちゅう速さだ」
以前肉眼でギリギリ軌道が見れた矢の速度は時速200kmだった。接近してくるまで気づけない程の速度という事は時速200kmを余裕で超えた速度だったという事だ。弓矢のお陰か?それとも天使の力のお陰か?どちらにせよ空にいるのでは、手の施しようがない。人間である俺がそこらにある石を投げても余裕で避けるだろうし、ジャンプして掴もうとしても更に高くへ飛んでしまうだけだ。
ならば、相手の消耗を待つ他ない。推測に過ぎないが、天使の持っている弓と矢は魔力か神の力かで作り上げた代物。神の力で作られたモノなら恐ろしい速度にも納得がいく。しかし、永続的に形を保つ事は不可能なはずだ。エンチャントと同じように制限時間が必ず存在するはず。
「それまで死なずに耐えられるかっていうのが問題・・・って、あぶねぇ!」
いつの間にかやってきていた光の矢をミスリル金属で作られた籠手で弾く。矢自体にかかっている力もとても強く、直径1cmしかないはずの矢なのにまるで巨漢の正拳突きを横に流しているような重量感に襲われる。何とか弾いたが、手が電撃でも喰らったかのように痺れる。痺れる腕をぶらぶらと振って痺れを和らげていると、天使が片手に矢を作りだし、再び弓に番え撃って来た。
「マズイ・・・!あぐっ!」
今回も避けるのに失敗し、光の矢が肩を守るミスリルの鎧の深く抉る。まるで熱した棒を当てられたかのような抉られ方だ。良く見ると、矢を弾いた籠手も凹んでしまっている。ここ2か月激しい戦いを行っても破損するどころかメンテナンスしなくてもよいと言われた鎧がこんなにも簡単に傷を負わされてしまうなんて。
「クッソ!武器が届いても勝てる気がしねぇぞ。どうしたら良いんだ」
認めよう。今俺を殺そうとしている天使は明らかに俺よりも実力が上。俺というより、人間の上位互換だ。勝てるビジョンが浮かばない。アモーラの使いなので、交渉で命拾いというのも難しいだろう。待っているのは天使側の消耗ではなく、俺の死だ。何とかして逃れる事は──────
「ん──────?」
作戦を考えようと顔を上げ、青い空をホバリングする天使を見つめる。先程は勝つ事に必死で弓矢しか見ていなかったが、顔をみると、今にも泣きそうだけど、下唇を噛んで我慢しているような表情を浮かべている事に気が付いた。
「・・・おい!ストップ!すとぉぉぉぉぷっ!!」
急いで俺は矢を引く手を止めさせようとするが、容赦なく矢は放たれる。話しかけた事で心に隙でも生まれたのだろうか。若干遅くなったような気がする。遅くなった事を証明するように弾く事もかする事もなく、見事避ける事に成功した。
話しかけるのは効果的かもしれないと考えた幸助は天使が矢を引いているタイミングを見計らって話しかける。
「ちょっと!話がしたいんだ!」
矢が放たれる。首を右に傾けて避ける。
「君、アモーラに仕えている天使だろう!そうだったら返事をしてくれ!!」
心臓めがけて放ってきたので、籠手で弾いて落とす。今度は籠手が凹む事は無かった。
「アモーラの使いじゃないというのなら、君は一体何故、俺を攻撃する?何で君は今にも泣きそうな顔をしているんだ!!」
右の眼球めがけて撃たれる。矢じりが目に刺さる寸前で手で受け止める。
「アモーラに酷い仕打ちを受けた!そうなんじゃないのか!?」
「ッッ!!」
どうやら図星だったようで、弓と矢を番える手を止める。好機だと感じた幸助は無抵抗の意思を天使に伝えるべく、両手を空に向かってあげ、自己紹介を始めた。
「俺はコウスケ・イズミ。知ってると思うが、アモーラによってこの世界へとやってきた異世界人だ。この通り、君を傷つける気持ちも殺意も抱いていない。ただ純粋に君と話がしたい」
水の中でゆっくりと溶けるように、光で出来た弓と矢が空に向かって消えていく。戦闘による緊張が解けたのか、我慢していた涙が綺麗な瞳から一筋の線を描いて流れ出した。次第に天使は飛行する高度を低くしていき、幸助が現在立っている大地に足を付けると、口を開いた。
「・・・本当に話を聞いてくれるのですか?」
「ああ、聞くとも。君とアモーラとの間に何があったかを聞かせてくれ」
すると安心したのか、天使は更に涙の量が多くなる。彼女の肩を優しく掴み、鍛冶場へと歩いていく。途中で武装した仲間と俺の武器を抱えたメアリーが鍛冶場から出てきた。
「コウスケさん!これを!!・・・って、あれ?もう終わったんですか?」
「ああ。平和的な方法でね」
天使を怪しい目で見るメアリー。しかし、彼女の目から流れている涙が偽りではないと気づいたメアリーは敵意を理性の中へとしまい、警戒しつつも天使を鍛冶場へと入れる事に賛成した。
「かーるを思い出すな・・・」「この方が天使・・・冒険者やってて良かった」
蘭丸もボニーも特に反対する事はなかった。
矢を引く手が離され、矢が弦の力によって真っすぐと飛んでくる。幸助が飛んできている事に気付いたのは到達まで残り3mの位置。顔をずらして避けるが、完全には避ける事は出来ずに頬を傷つけてしまう。
「・・・何ちゅう速さだ」
以前肉眼でギリギリ軌道が見れた矢の速度は時速200kmだった。接近してくるまで気づけない程の速度という事は時速200kmを余裕で超えた速度だったという事だ。弓矢のお陰か?それとも天使の力のお陰か?どちらにせよ空にいるのでは、手の施しようがない。人間である俺がそこらにある石を投げても余裕で避けるだろうし、ジャンプして掴もうとしても更に高くへ飛んでしまうだけだ。
ならば、相手の消耗を待つ他ない。推測に過ぎないが、天使の持っている弓と矢は魔力か神の力かで作り上げた代物。神の力で作られたモノなら恐ろしい速度にも納得がいく。しかし、永続的に形を保つ事は不可能なはずだ。エンチャントと同じように制限時間が必ず存在するはず。
「それまで死なずに耐えられるかっていうのが問題・・・って、あぶねぇ!」
いつの間にかやってきていた光の矢をミスリル金属で作られた籠手で弾く。矢自体にかかっている力もとても強く、直径1cmしかないはずの矢なのにまるで巨漢の正拳突きを横に流しているような重量感に襲われる。何とか弾いたが、手が電撃でも喰らったかのように痺れる。痺れる腕をぶらぶらと振って痺れを和らげていると、天使が片手に矢を作りだし、再び弓に番え撃って来た。
「マズイ・・・!あぐっ!」
今回も避けるのに失敗し、光の矢が肩を守るミスリルの鎧の深く抉る。まるで熱した棒を当てられたかのような抉られ方だ。良く見ると、矢を弾いた籠手も凹んでしまっている。ここ2か月激しい戦いを行っても破損するどころかメンテナンスしなくてもよいと言われた鎧がこんなにも簡単に傷を負わされてしまうなんて。
「クッソ!武器が届いても勝てる気がしねぇぞ。どうしたら良いんだ」
認めよう。今俺を殺そうとしている天使は明らかに俺よりも実力が上。俺というより、人間の上位互換だ。勝てるビジョンが浮かばない。アモーラの使いなので、交渉で命拾いというのも難しいだろう。待っているのは天使側の消耗ではなく、俺の死だ。何とかして逃れる事は──────
「ん──────?」
作戦を考えようと顔を上げ、青い空をホバリングする天使を見つめる。先程は勝つ事に必死で弓矢しか見ていなかったが、顔をみると、今にも泣きそうだけど、下唇を噛んで我慢しているような表情を浮かべている事に気が付いた。
「・・・おい!ストップ!すとぉぉぉぉぷっ!!」
急いで俺は矢を引く手を止めさせようとするが、容赦なく矢は放たれる。話しかけた事で心に隙でも生まれたのだろうか。若干遅くなったような気がする。遅くなった事を証明するように弾く事もかする事もなく、見事避ける事に成功した。
話しかけるのは効果的かもしれないと考えた幸助は天使が矢を引いているタイミングを見計らって話しかける。
「ちょっと!話がしたいんだ!」
矢が放たれる。首を右に傾けて避ける。
「君、アモーラに仕えている天使だろう!そうだったら返事をしてくれ!!」
心臓めがけて放ってきたので、籠手で弾いて落とす。今度は籠手が凹む事は無かった。
「アモーラの使いじゃないというのなら、君は一体何故、俺を攻撃する?何で君は今にも泣きそうな顔をしているんだ!!」
右の眼球めがけて撃たれる。矢じりが目に刺さる寸前で手で受け止める。
「アモーラに酷い仕打ちを受けた!そうなんじゃないのか!?」
「ッッ!!」
どうやら図星だったようで、弓と矢を番える手を止める。好機だと感じた幸助は無抵抗の意思を天使に伝えるべく、両手を空に向かってあげ、自己紹介を始めた。
「俺はコウスケ・イズミ。知ってると思うが、アモーラによってこの世界へとやってきた異世界人だ。この通り、君を傷つける気持ちも殺意も抱いていない。ただ純粋に君と話がしたい」
水の中でゆっくりと溶けるように、光で出来た弓と矢が空に向かって消えていく。戦闘による緊張が解けたのか、我慢していた涙が綺麗な瞳から一筋の線を描いて流れ出した。次第に天使は飛行する高度を低くしていき、幸助が現在立っている大地に足を付けると、口を開いた。
「・・・本当に話を聞いてくれるのですか?」
「ああ、聞くとも。君とアモーラとの間に何があったかを聞かせてくれ」
すると安心したのか、天使は更に涙の量が多くなる。彼女の肩を優しく掴み、鍛冶場へと歩いていく。途中で武装した仲間と俺の武器を抱えたメアリーが鍛冶場から出てきた。
「コウスケさん!これを!!・・・って、あれ?もう終わったんですか?」
「ああ。平和的な方法でね」
天使を怪しい目で見るメアリー。しかし、彼女の目から流れている涙が偽りではないと気づいたメアリーは敵意を理性の中へとしまい、警戒しつつも天使を鍛冶場へと入れる事に賛成した。
「かーるを思い出すな・・・」「この方が天使・・・冒険者やってて良かった」
蘭丸もボニーも特に反対する事はなかった。
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