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22. 僕だけじゃ不満?
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「やめろおおお!!!!!」
時間が過ぎるのは早い。理人と帰って寝て…気づいたら球技大会を迎えていた。ラッキーなことに一試合目だった。ここで負ければフリーである。穂積は早々に当てられ、自陣の人が減っていく。予想通り俺が最後のひとりになった。
「覚悟!!!」
「いやああああこっちにくるなあああああ」
あとひとり当てれば終わりなのにその一人が当たらない。時間も押している。めちゃくちゃ申し訳ないのに体が動いてしまう。ボールに当たるのは怖い。
「審判~、今の当たってたと思いまーす」
「斎賀ドンマイ!」
「頑張ったな斎賀!」
穂積の声がしてみんなが動きを止める。痛みはなかったが服が擦れる感覚がした。審判が視線を向けたので必死に頷く。俺のせいで負けたのにクラスメイトはあたたかい。ハイタッチをしながらタオルで汗を拭う。
「さて、いくか」
スマホを片手にテニスコートを目指した。
***
ヒュ…バゴォォオオオーン!!!!!
俺はスマホの画面をつけた。カメラアプリを開こうとして、…その破壊音を聞いた。ヒュッと呼吸音がする。
「あはは、やばぁ」
穂積は笑っている。確かに刺激的だし骨はバッキバキになるだろう。でもデリケートゾーンにあんなのを食らったら即死する。そっと画面を消した。
「もう準決勝だね~」
テニスコートは三面あるから進みが早い。試合内容も普通とは違う。理人はコートの後ろの方にいた。同じ四角の中の前の方に姫野もいる。テニスのルールは全然知らないけど分かる。こいつらのサーブ、ヤバすぎ。
「…サーブで人が殺せるな」
「さすがに人が見てる前ではやらないでしょ~」
そこは殺せるわけないでしょ、と否定するところだろ…なんて考えてたら、目が合った。
「きゃあ!西園寺先輩がこっちみた!」
「姫野先輩も…!うわああかっこいい!!」
近くにいた後輩女子が喜んでいる。人を幸せにするのはいいことだ。自分ではない、気づかない、という感じで見守った。ちなみに穂積はたまたま隣り合わせた女子と楽しくトーク中だ。コミュ力お化けである。
理人の負けず嫌いが今日も遺憾無く発揮されている。姫野と競うようにエグさが増していくサーブ、射殺すようなスマッシュ。そして点を決めても特に喜ぶ様子を見せない。あれ、また勝っちゃった?みたいな顔をしている。それでもゲームに勝つと姫野とリストバンドを合わせていた。そのくらいの絆はあるらしい。
「桜水」
試合が終わると、理人がまっすぐ走ってきた。フェンス越しに声をかけてくる。人差し指を左に向けてこっちへ来い、と合図された。周りの女子たちが黄色い悲鳴をあげて手を振るが全無視である。彼女らの視線が自分と理人を行ったり来たりしている。背後に姫野が見えたので意を決して口を開く。
「お疲れ姫野」
わぁ、と穂積が謎の声を発する。理人がわずかに目を見開いた。姫野は自分を指差しながら近づいてくる。
「斎賀くんもお疲れさま、ドッジボールはどうだった?」
「負けた。一回戦敗退」
「それは残念だったね」
爽やかに言った。よく見るとこいつら、全然汗をかいていない。季節は夏に近づいてるのに涼しい顔をしている。
「…あのさ、姫野にお願いがあるんだけど」
姫野が不思議そうな顔をする。勇気を出してフェンスの金網を握った。……………なんて言おう、嘘はよくないよな…。よし、心の中でリハーサルだ。お前の動画を撮らせてほしい、理人のためにお前の動画を撮らせてほしい、だから「オナニーのオカズ用に
お前の動画を撮らせてほしい!」
「ちょwww」
「おかず?ふふ、おかずかぁ」
え、、途中から心の声が漏れた気が、…え?えっえ…と自分の発言にパニックになる。穂積は盛大に吹き出した後、耐えるように金網を掴んで震えている。姫野がおかず…と小さな声で言った。ーーーー理人は、
「オカズが僕だけじゃ不満?」
すっっっっごく良い笑顔だった。でも目が全ッ然笑ってない。穂積は笑っているだけで使えない。姫野も背を背けてお腹を抑えていた。俺は逃げ出した。すぐに理人も動いた。穂積はフェンスから動かない。
波乱の球技大会の幕開けである。
時間が過ぎるのは早い。理人と帰って寝て…気づいたら球技大会を迎えていた。ラッキーなことに一試合目だった。ここで負ければフリーである。穂積は早々に当てられ、自陣の人が減っていく。予想通り俺が最後のひとりになった。
「覚悟!!!」
「いやああああこっちにくるなあああああ」
あとひとり当てれば終わりなのにその一人が当たらない。時間も押している。めちゃくちゃ申し訳ないのに体が動いてしまう。ボールに当たるのは怖い。
「審判~、今の当たってたと思いまーす」
「斎賀ドンマイ!」
「頑張ったな斎賀!」
穂積の声がしてみんなが動きを止める。痛みはなかったが服が擦れる感覚がした。審判が視線を向けたので必死に頷く。俺のせいで負けたのにクラスメイトはあたたかい。ハイタッチをしながらタオルで汗を拭う。
「さて、いくか」
スマホを片手にテニスコートを目指した。
***
ヒュ…バゴォォオオオーン!!!!!
俺はスマホの画面をつけた。カメラアプリを開こうとして、…その破壊音を聞いた。ヒュッと呼吸音がする。
「あはは、やばぁ」
穂積は笑っている。確かに刺激的だし骨はバッキバキになるだろう。でもデリケートゾーンにあんなのを食らったら即死する。そっと画面を消した。
「もう準決勝だね~」
テニスコートは三面あるから進みが早い。試合内容も普通とは違う。理人はコートの後ろの方にいた。同じ四角の中の前の方に姫野もいる。テニスのルールは全然知らないけど分かる。こいつらのサーブ、ヤバすぎ。
「…サーブで人が殺せるな」
「さすがに人が見てる前ではやらないでしょ~」
そこは殺せるわけないでしょ、と否定するところだろ…なんて考えてたら、目が合った。
「きゃあ!西園寺先輩がこっちみた!」
「姫野先輩も…!うわああかっこいい!!」
近くにいた後輩女子が喜んでいる。人を幸せにするのはいいことだ。自分ではない、気づかない、という感じで見守った。ちなみに穂積はたまたま隣り合わせた女子と楽しくトーク中だ。コミュ力お化けである。
理人の負けず嫌いが今日も遺憾無く発揮されている。姫野と競うようにエグさが増していくサーブ、射殺すようなスマッシュ。そして点を決めても特に喜ぶ様子を見せない。あれ、また勝っちゃった?みたいな顔をしている。それでもゲームに勝つと姫野とリストバンドを合わせていた。そのくらいの絆はあるらしい。
「桜水」
試合が終わると、理人がまっすぐ走ってきた。フェンス越しに声をかけてくる。人差し指を左に向けてこっちへ来い、と合図された。周りの女子たちが黄色い悲鳴をあげて手を振るが全無視である。彼女らの視線が自分と理人を行ったり来たりしている。背後に姫野が見えたので意を決して口を開く。
「お疲れ姫野」
わぁ、と穂積が謎の声を発する。理人がわずかに目を見開いた。姫野は自分を指差しながら近づいてくる。
「斎賀くんもお疲れさま、ドッジボールはどうだった?」
「負けた。一回戦敗退」
「それは残念だったね」
爽やかに言った。よく見るとこいつら、全然汗をかいていない。季節は夏に近づいてるのに涼しい顔をしている。
「…あのさ、姫野にお願いがあるんだけど」
姫野が不思議そうな顔をする。勇気を出してフェンスの金網を握った。……………なんて言おう、嘘はよくないよな…。よし、心の中でリハーサルだ。お前の動画を撮らせてほしい、理人のためにお前の動画を撮らせてほしい、だから「オナニーのオカズ用に
お前の動画を撮らせてほしい!」
「ちょwww」
「おかず?ふふ、おかずかぁ」
え、、途中から心の声が漏れた気が、…え?えっえ…と自分の発言にパニックになる。穂積は盛大に吹き出した後、耐えるように金網を掴んで震えている。姫野がおかず…と小さな声で言った。ーーーー理人は、
「オカズが僕だけじゃ不満?」
すっっっっごく良い笑顔だった。でも目が全ッ然笑ってない。穂積は笑っているだけで使えない。姫野も背を背けてお腹を抑えていた。俺は逃げ出した。すぐに理人も動いた。穂積はフェンスから動かない。
波乱の球技大会の幕開けである。
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