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第1章
ひとつに
しおりを挟むしばらくノヴァにあやされて、はっと我に返った時に襲ってきたのはとんでもない羞恥心。
落ち着いた僕をノヴァも気まずいのか、ぎこちなく床に立たせた。
「ん゛ん゛…ルナイス、確認だが闇魔法は影に潜ることができるだけか?他には何か使えるのか?」
咳払いをしてお互い照れくさがってる空気を変えてくれたノヴァの質問に考える。
「…たぶん。暗視魔法はとーさまも知ってる魔法だから闇魔法じゃないんだよね?」
「あぁ。無属性の補助魔法だが、闇属性の適性が少しでもなければ使えない魔法だな。つまり光・聖魔法の適性が強い者には使えない魔法だが、闇属性ではない。」
ノヴァの回答にとーさまはたぶん僕に闇魔法の適性があることは知ってたんだと分かる。
つまり、闇魔法を使ったことで怒っている訳ではなく、危険なことを秘密にして隠していたから怒ったのだと改めて理解した。
「…ルナイス、話は変わるのだが喋り方が少ししっかりしたか?」
んーっと顎に手を当てて考え混んでいた僕をノヴァは不思議そうに見て聞いてきた。
そういえば、上手く呂律が回らなくて喋りずらかった言葉が喋りやすくなってる!
突然なんでだろう?と考えて思い当たるのは昔の僕とルナイスである僕が一人の人間になったような感じがした事。
バラバラでチグハグな感情や思考がひとつになったような奇妙なあの感覚はなかなか忘れられない。
「…」
この事をどう伝えようかと悩んでいるとノヴァはまた思ったままに話せばいいと言ってくれた。
「あのね…んー…僕とルナイスがひとつになったの……分かる?」
分かって貰えるかなぁって、伝えるとなると難しいなぁと思っているとノヴァはしばらく考えた感じの後こくりと頷いた。
「別の人格としてあったものがひとつの人格として混じりあったという理解であってるか?」
「うん!」
さすが大魔道士ノヴァ様だ!
正直さっきの言い方では伝わらないかなぁって思ってたから。
「それも含めて公爵様に話してみるか?時間が経てば感情は落ち着くかもしれんが気まずくなるのではないか?」
ノヴァの提案にちょっと尻込みしつつ頷く。
確かにノヴァの言う通り、僕の涙は引っ込んで高ぶっていた感情は落ち着いたけど、もっと時間が経てばとーさまたちに会うの気まずくなりそう。
あんな風に怒られたのは初めてだし、たぶんとーさまも初めて。
にぃ様は小さな頃からあんまり泣いたりしなくて大人しかったってばぁやが言ってたからたぶんにぃ様をあんな風に叱ったこともない。
それを考えると僕ってちょっと問題児…。
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