王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第2章

友人確保

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しばらく見学をしているとお昼の時間ぴったしに授業が終わって、にぃ様とヒュー様が近くに来てくれた。

嬉しくて周りに人がいるってことも忘れてにぃ様とヒュー様に抱きついてチークキスをしてしまう。


「ルナイス友人は見つかったか?」

にぃ様にぎゅっと抱きついて落ち着いているとヒュー様がそんな揶揄いの言葉を投げてきた。

楽しそうでなによりですが…


「チルにヒュー様にいじめられたって伝えておきますね!」



「!!ちがっ!今のは心配してだな!」

ニコニコと笑う僕と焦るヒュー様。

年の離れた弟をそれはもう可愛がっているヒュー様はチルに「きらい」と言われる事をとても怖がっている。

そしてチルは僕を気に入ってくれているから僕がヒュー様にいじめられたと悲しんで見せれば間違いなくヒュー様に「きらい」と告げるだろう。



実際過去にそうなったことがある。

でもチルはまだ幼いし、僕とは偶にしか会わないのでチルがヒュー様を「きらい」な期間は僕が傍に居る間だけ。


それでもヒュー様はチルに「きらい」と言われることが恐ろしいらしい。




確かに僕がにぃ様やチルに「きらい」なんて言われたらすっっごく落ち込む。

可哀想って思うけど、僕のデリケートな問題をからかうヒュー様が悪い。



目には目を歯には歯を
自分がやった事は跳ね返ってくるのだ。



「ちなみに友人は出来ました。彼、テトラ・ハデス様です。」

ふんっと鼻を鳴らして、にぃ様とヒュー様の前に近くに居たテトラ様をぐいっと差し出す。

突然のことにテトラ様はびっくりして硬直。


にぃ様とヒュー様はほぉ?って顔してテトラ様をじっと見つめてる。



「私はルナイスの兄のアドルファス・アーバスノイヤーだ。弟の友人になってくれたこと感謝する。」

流石にぃ様。

テトラ様が友人じゃありませんって言えなくした!

こっそりウインクしてきたから意図的なやつ!すごい、すごい!


「私はヒュー・ヒル。この兄弟とは昔からの友人だ。ルナイスに困らされた時は私に相談するといい。」


にぃ様の素晴らしい策略に感激していたのに、ヒュー様の一言で台無し。

やっぱりチルにお仕置してもらお。





「わ、私はテトラ・ハデスです。よ、よろしくお願い致します。」


テトラ様もピキーンとしつつ自己紹介をしてくれた。
友人も否定しない。

ちょっと強引だったけど、これで彼は僕の友人ってことでいいよね?




「にぃ様。テトラ様は領地経営に興味があるようです。僕じゃよく分からなかったのでお話を聞いてあげてくれませんか?」

さすがに後継者として~なんて言ってしまうと不味いので少し濁して領地経営ということにした。

ちょっとグレーゾーンだけど、後継者でなくても領地経営に興味を抱く者は沢山いるしね。



眉をピクっと動かしたにぃ様はなるほどっと頷いた。


「かまわないが、場所や日時はこちらが指定させて貰う。良いな。」

「は、はい!ありがとうございます!」



あんまし良い雰囲気ではないけど…取り敢えず任務完了。


「それ、私も参加していいかな?」

達成感を感じているとヒュー様がニッコリ笑顔でそんな事を言い出した。


「チルもルナイスに会わせてやりたいし、私も興味がある内容なのでぜひ参加したい。」


外面ヒュー様は爽やかにそう言う。


何か裏を感じるのだけど、僕はチルに会える!?とにぃ様の返事をヒュー様と一緒にわくわく待ってしまう。



「良いだろう。」


ふぅっと息を吐き出したにぃ様の出した答えに今度はヒュー様を見つめる。



「安心しな、必ずチルと一緒に行く。」

ヒュー様はニンマリ笑うと僕の頭をぽんぽん。

僕も久しぶりに会える天使を思い浮かべてニンマリ。




「おいヒュー。下品な笑い方をルナイスに覚えさせるな。」


「勝手に真似してんだろ…てか、俺はこんな二チャーっとした笑い顔じゃないだろ。」



にぃ様とヒュー様が何か言い合っている間に傍にテトラ様がそそそっとやって来た。


「ルナイス様紹介して下さってありがとうございます。」

なになに?と耳を寄せれば律儀にお礼を言いに来てくれたみたい。

「いいよぉ。それより友人なんだし、こういう時は楽な話し方にお互いしない?」

ずっと堅苦しいのしんどい。


「そうか?なら遠慮なく。あと、さっきの二チャーって笑い方、止めた方がいいぞ。気味が悪い。」


「あ…はい。」


自己紹介の時から思ってたけど、この子ズバッと言って失敗するタイプの人だ。



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