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第2章
大きな2人からのお仕置。
あれから月日が流れ、来たるにぃ様による領地経営講座の日。
応接間にはにぃ様と僕、ヒュー様とチル、そしてテトラ君が集った。
「ルナイスはチルと庭で遊んでおいで。」
そわそわするチルと僕に、にぃ様が声を掛けてくれて、僕はチルの手を引いて応接間を出る。
領地経営は一応僕も学んでいる。
考えたかもないけど、にぃ様に万が一があった時…アーバスノイヤー家を継ぐは僕になるから、僕も学んでおかなければならない。
「チル、何しようか?」
「あっちいく。あっち!」
チルはそう言って木の葉で影になっている所へ僕を引っ張る。
さすがヒュー様の弟…2歳にして力が強い。
こんなに可愛いチルもいつかヒュー様の様にムキムキになるんだろうか…
ーーーーーーーーーーーーー
(テトラ・ハデスside)
ルナイスのお陰で開かれた領地経営講座。
しかし、俺は自分の馬鹿さを嘆いている。
「どういう話の流れで領地経営なんて言葉が出てきた。」
「まさか後継者がどーのこーの…なんて話をしたわけじゃねーよな?」
無表情のままこちらを鋭く睨みつけるアドルファス様と顔を顰めて俺を見下ろすヒュー様に自分が犯した過ちを思い知る。
良くない質問をルナイスに投げかけた自覚はある。
先生にも叱られた。
ルナイスもこの場を設けられるように動いてくれたけど、質問した時は顔を顰めていた。
分かっていたことなのに…不躾に後継者について質問するなんてするべきでなかったと深く反省している。
「まぁ、本当の馬鹿だったらルナイスが相手にするはずもない。」
しばらく俯いて黙り込む俺をじーっと見つめた後、アドルファス様はそう言って片手をヒラヒラと顔の横で振る。
「ルナイスは好き嫌いがハッキリしてるよな。」
続けてヒュー様がそう言ってふっと笑った。
ほんの少しだけ空気が緩んだところでばっと頭を下げる。
「礼を欠いた言動を致しましたこと、深くお詫び致します。」
頭を下げて謝る俺に2人の視線が上から突き刺さっている。
先程は態と空気を軽くしてくれたのだと今なら分かる。
突き刺さる2つの視線は容赦なく、向けられる鋭利な圧に冷や汗が流れている。
「…君は自分の恥ずべき言動を包み隠さず両親に伝えたようだし、ハデス辺境伯よりご丁寧な詫びを頂いている。今回は大事にしないと両家で取り決めたが、2度許されることはない。よく肝に銘じておけ。」
しばらくの沈黙の後、発せられたアドルファス様の声は"威圧"が込められているのか重たく心臓がバクバクと脈打つ。
本能が降伏している。
声を発することも出来ず、俺は更に深く頭を下げることしか出来なかった。
「…ま、仕置はこれくらいにして。お勉強会をきちんとやろう。」
重たい空気をパンと手を鳴らして切り替えたのはヒュー様。
アドルファス様もヒュー様の手が鳴らされた瞬間に威圧を止めてすっと俺に向けられていた視線も外した。
本当は膝を着いて息を整えたかったが…俺にもちっぽけなプライドはあって、何とかソファに座り直し「ご教授お願いします」と改めて2人に頭を下げた。
そこから始まった領地経営講座は膨大なパターンから考えられる数々の対処法とそのメリット、デメリットと派生していき途中から俺の頭はショートし、ただただ頷くだけの人形と化した。
side end
ーーーーーーーーーーーーー
チルと楽しかったねぇと言いながら応接間に戻ると意見を言い合いながら淡々と喋るにぃ様とヒュー様。
そして目を回して首を振るっている死にそうなテトラ君が居た。
これはにぃ様達からきついお仕置をされたなっと思いながら、ぽんとテトラ君の肩を叩く。
はっと我に返ったテトラ君は少し涙目だ。
にぃ様達もキリのいいところで会話を終えて何事もなかったように「おかえり」と微笑む。
ハデス辺境伯からきちんとしたお詫びは受けているのだから、もういいだろうに…と思いながら、テトラ君に「勉強になった?」と尋ねる。
「あ…あぁ…もっときちんと勉強に励むことにする。」
やっぱり半分もにぃ様達のお話についていけなかったのだなっと苦笑いがこぼる。
僕もこの2人が熱中して議論を始めるとついていけないもの。
僕は慣れてるから分からなくなったところでもう聞かないでお茶やお菓子を楽しむようにしている。
疲労困憊なテトラ君に甘いお菓子と僕のお気に入りの紅茶を飲ませて、チルにもお菓子をあーんしてあげて、皆でチルのお庭で見たもののお話を聞いてほっこりしたところでお開きとなった。
「…にぃ様。やり過ぎでは?」
「…反省している。」
見送りながらぽつりと呟いた僕の言葉にさーっと目を逸らしながら答えるにぃ様。
ことあときちんと使用人から報告を受けたとーさまが、きちんと謝罪を受けて終わったことをほじくり返すなとにぃ様を叱ったそうな。
チルからも同じくヒュー様がお父様に叱られていたと楽しそうな手紙が届いたのだった。
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