王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第4章

強制お仕事が組み込まれている

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そろそろ出発しようかっというところで、慌てた様子の使用人に止められた。



どうやら急遽、にぃ様が見送りに来てくれたみたい。


一旦馬車から降りて待っていると屋敷の方からにぃ様の姿が見えた。
転移陣で飛んできたんだろうなぁ。



「ルナイス、ノヴァ突然悪い。しかしどうしても心配で…」


「僕は見送りに来てくれて嬉しいです。」

「問題ありません。」




急遽転移の便りを出してすぐに飛んできたようで、にぃ様が気まずそうに謝るけどノヴァの言う通り問題なし!

寧ろにぃ様来ないのかーってちょっと寂しく思ってたところだから。








「ルナイスが寂しがっていたので、来てくださって良かったです。」


黙っていようと思ったのにノヴァが暴露してしまった。

けど、にぃ様がそれを聞いて嬉しそうに笑ったので不問としよう。




「気を付けて。」


「はい。にぃ様も。」



額にキスを貰い、にぃ様とひしっと抱きしめ合って僕は再び馬車に乗り込む。


窓から手を振ってくれるにぃ様へ手を振り返し、見えなくなったところで前を向く。






「沢山のお土産を持って帰ろう。」


「うん。剣の素材とか喜ぶかも。」



「ルナイスからの贈り物なら何でも喜ぶだろ。」


「ノヴァも選んでよ?」





やっぱり住み慣れている所を離れるのは一時のことでも寂しいし、不安だなっと思っているとノヴァが声をかけてくれて、話しているうちに寂しさや不安よりもノヴァとのこれからの旅行への楽しみが募っていった。


















まずは人族が多く住んでいる西へ。

西は年中暖かな気候で植物が良く育つ土地で、アーナンダ国の食物の多くを産出している所だ。
そして薬学に長けた者が多いという特徴がある。

その理由として、西は人族だけでなく植物の妖精と地に住む穏やかな魔物が居て、気まぐれに人族の創るものをに手を加えるからだと本に記されていた。



そんな西だが、一つ難点がある。


閉鎖的で差別意識が高い傾向にある。




妖精は目に見えないし、魔物は小さいのから中くらいの大きさのものしかいないため西の人族は他種族に慣れていない為、外から来た他種族に対しての態度が冷たい。

そういう理由があって、西にはノヴァも行ったことがないんだって。






じゃあ何故一番目の旅行先に西を選んだかと言うと、気候が穏やかで過ごしやすい他に少しでも西の者に外来者慣れをしてもらうためである。

そう。


この旅行、旅費を国が3分の1負担してくれる変わりに調査をするお仕事が組み込まれているのである。


これは僕達が望んでつけられたオプションではなく、国王直々の強制的なオプションで、国王曰く



『普通に行って遊んで帰ってきて、どんな感じだったか感想を教えてくれるだけでいい。』とのこと。





しかし自分たちの旅費に国税が使われているのだから、ある程度はきちんと仕事をしなくては…というノヴァとの共通認識でそれなりにやるつもりだ。

強制だけど。








まぁ…でも、妖精達の力を借りておいて人族の手柄だと思い込んでいるところは矯正しなければいけないなっと思うので頑張る。







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