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第4章
使用人の雇用について
しおりを挟む新たな家に住み始めて早3日。
今日から新婚旅行でアーナンダ国の東西南北へ行く。
とーさまやヒュー様からは折角何だから隣国くらいまで行けばいいのにっと言われたが、自国を制してもないのに隣の御国に行くのはちょっと微妙だった。
ノヴァの意見もきちんと聞いて、ノヴァも仕事以外で行ってないから一度じっくり見て回りたいとのことでアーナンダ国東西南北の旅が決定したのである。
本当は今日から仕事を始める予定だったのだけど、所長から新婚なんだから旅行してきてからおいで。その方がこっちも都合がいい。と言われ、とーさまもすぐに仕事をする必要はないと言ってくれたのでお言葉に甘えてこの旅行をすることにした。
確かに、務め出してすぐに新婚旅行に行かれてもあっちも僕達も面倒だ。
それなら始まる前に済ました方がお互いのため。
「ルナイス。準備できたか。」
「うん。今行く。」
今回の旅では大きな荷物は持っていかない。
数着の着替えと社交用の服数着、それから万が一に備えた魔法付与札と庶民が一般的に持ち歩いている分のお金。
お肌のケア用品等小物系は同行するメルナが持って行ってくれている。
足りないものや必要になったものは都度買えばいい。
今回はノヴァと僕。
それから身の回りの世話にメルナ。
護衛にヨハネスとコルダとガンナーとホルス様の4名で旅へ行く。
ヨハネスとコルダはしっかり護衛で、ガンナーは今まで他種族との交流が少なかったので社会経験を積ませるのにつれていこうって話になって、ホルス様は東での仲介人として同行してもらうことに。
ノヴァは元々使用人を置いてなかったから、新たな使用人以外は全てアーバスノイヤー家に居る時の僕付きの者達になっている。
ヨハネスは長い事僕専属の護衛騎士として勤めてくれているし、コルダも影の護衛をずっとしてくれていて、今回本人達に確認もしっかりとして僕について来てくれることになった。
僕について来てくれることが決定した使用人の雇用主がアーバスノイヤー家からウォード家に変わるにあたって、お給金や勤務形態についての話し合いをとーさま達も交えおこなった。
ヨハネスは自らウォード家の経済が安定するまでは今までのお給金より下がってもいいと言ってくれた。
正直ウォード家は一代限りの爵位で、ノヴァの今までの貯蓄がたんまりあるにしてもこれから何年もに渡って使用人への給金を支払うだけの余裕があるのかは微妙なところなのでそう言ってもらえるのはとてもありがたい。
だけど、どうにか同じだけのお給金を与えたいと思案していればとーさまが僕があまり外に出ないので僕に当てたお金が結構あることを教えてくれた。
というか、僕に当てられたお金があったことを僕は知らなかった。
欲しいと思ったものは、とーさまやにぃ様のお金から出されて与えられていたようで、何もしていない僕に当てられた不思議なお金が残っているのだとか…。
今は余裕が欲しいので、素直にそのお金を受け取るが…いつか魔導具研究所で稼いだお金で少しずつでもとーさま達に贈り物攻撃をしてやる。
と、いうわけで…
ヨハネスのお給金はアーバスノイヤー家の時と同等で決定!
ヨハネスはアーバスノイヤー家の給金が良すぎることを説明されたが、アーバスノイヤー家は他よりも命を狙われる機会が多い家の為、それだけ使用人や護衛の危険度も高い。
それを加味してのお給金なので妥当であると、僕だけじゃなくとーさまとにぃ様もヨハネスに説明をした。
コルダは今までと同等なら継続して僕の護衛をするとのことなのでお給金は同じ額で。
だけどコルダはアーバスノイヤー家の家業にも同行するのでコルダの基本のお給金はウォード家で、その他の手当金をアーバスノイヤー家から出すということになった。
コルダがお給金を下げたくないのは、任務で使う小道具にお金がかかるからだと理解している。
とーさまもアーバスノイヤー家のお金から必要経費として使えばいいと言っているのだけど、趣味も兼ねているから自分で出すと言っていて、この小道具にお金をかけなかったら失敗率が上がるのでコルダは給金が下がることを嫌がったのだ。
ガンナーは僕達に恩を感じていて、迷惑をかけたことへの贖罪でもあるからと給金は食が取れるくらいでいいと言うのだけど、これには僕がダメですと手をバッテンにした。
まだ見習い中でもあるのでヨハネスよりお給金は下がるし、ウォード家の経済が安定するまではアーバスノイヤー家での給金より少し下げさせてもらった。
それでもガンナーもあんなに貰っても困っていたからそれでいいと言ってくれた。
ホルス様はいらないって。
ドラゴンは自分で狩りをしてご飯を取るし、ホルス様が望めば僕がホルス様にご飯を用意するし、服に困ればドラゴンになればいいって。
たまにお小遣いをもらって領地で遊ぶくらいでいいって言って、腕を組み給金を受け取ることを拒否したので、ホルス様がまさかのボランティア護衛に。
その代わり、自由行動ができるからそれがいいって。
メルナはアーバスノイヤー家から借りている状態なので、お給金はアーバスノイヤー家から出る。
まだ若いメルナはお化粧にお洋服にご飯に家具に、色々とお金がかかる。
でもばぁやから僕をよろしくっと託されているっと苦悩していたが、それならアーバスノイヤー家から派遣すればいいってことになったのだ。
と、まぁ…使用人のお給金のことをぼーっと考えていたが、無事用意の整った僕達は馬車に乗り込んだ。
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