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第4章
sideアドルファス【人気投票3位 番外編】
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人気投票第一弾
第3位 アドルファス
優良物件のにぃ様が無事3位に^^
ご投票ありがとうございます。
_________________________
コンコン
ガチャ
「あら、アドルファス様。坊っちゃまは眠ってらっしゃいますよ。」
弟の部屋の扉をノックするとすぐにヘレナが出てきてくれて、弟…ルナイスが寝ていると教えてくれた。
出直そうかと思ったがヘレナがどうぞっと部屋の中へ促すので恐る恐る静かに部屋に入ることにした。
ベビーベッドの上では、まだ小さい弟がスヤスヤと気持ち良さそうに眠っている。
触れなくても分かる頬のふくふくさ…手のもちもちさについ手を伸ばしたくなるのをぐっと堪えてじーっと眠るルナイスを凝視しているとヘレナが横にしゃがんだ。
「さっきまで寝返りの練習をなさってましたよ。」
「…寝返り?」
寝返りって何だ?と首を傾げる。
きょうだいはルナイスだけで、親戚や近しい者の所にも赤子はおらず、赤子を見るのは弟が初めてで赤子が何を練習するのか?あんな弱弱しいのに?と疑問を抱く。
そんな僕にヘレナは寝返りがどういうものなのかを丁寧に教えてくれる。
「アドルファス様は今ふたつの足で歩いているでしょう?でもアドルファス様も赤ん坊の頃は坊っちゃまのように歩けずベッドの上で眠ってらっしゃったのですよ。赤ん坊はベッドの上でただ寝ているだけではありません。アドルファス様のように強く生きていくために沢山練習をしているのです。寝返りは体を捻って体の向きを自分で変えるのですよ。寝返りができるようになれば時期にハイハイをするようになりますので、きっと近いうちにアドルファス様の後をついていくようになりますよ。」
「ヘレナ。ハイハイとは?」
ヘレナは楽しそうに話してくれるが、また新たに知らない言葉が出てきた。
「ハイハイっていうのは両足で立てない赤ん坊が両手、両足で地面を歩くことです。」
ヘレナの説明を聞き、その姿を想像してみるがいまいち想像することができない。
「坊っちゃまが起きたら見せてもらいましょう。」
ヘレナはやっぱり楽しそうにそう言うが、ルナイスが何時起きるか分からないし、僕も稽古やお勉強があるから…見れるのだろうか?
「あら?坊っちゃまお目覚めですか?」
ヘレナの言う寝返り、は見れないかもしれないなっと思っていると突然パチリとルナイスの目が開いた。
突然すぎて驚き心臓がバクバクと激しく動く。
何であんな突然目をかっぴらくのだ!?
「うぅ~。」
「えぇ。お兄様が来てくださってますよ。」
「ぁ!うっ!」
「アドルファス様坊っちゃまが来てくださってありがとうございますとお礼を言ってますよ。」
「あ…あぁ。」
「坊っちゃま。アドルファス様に寝返りを見せてあげてください。説明はしたのだけれど、見てみないと分からないですからねぇ。」
「う!」
な…何故ヘレナは赤子と会話ができている?
そしてルナイスはなぜか意思疎通ができているように思う。
赤子から会話などできただろうか?
書物では赤子は始め言葉を理解しないが、成長の過程で自然と理解しだすと記されていたように思うのだが…。
唖然としていると、ベビーベッドでルナイスがうっうっと唸りながら体を動かし始めた。
「へ…ヘレナ…なにを」
「あれが寝返りの練習です。」
あれが練習?
ただうごうごして苦しんでるようにしか見えない。
何度かうぅーっと唸る時があって、その時のルナイスの顔は真っ赤に染まり今にも破裂しそうだ。
先ほどまでのふにふにした柔らかい雰囲気からの差が激しく、近づくのを躊躇う。
「もう少し!もう少しです!」
唸るルナイスに対してヘレナは両手を叩き声援を送っているが、何がもう少しなのかが理解できない。
「ぅ~…っあ!」
一度体を止めたルナイスが再び唸りながら体を動かすと、小さな体がコロンと回りお腹をベッドにつけた姿勢に変わった。
ヘレナも僕もルナイスも一瞬何がどうなったのかと沈黙したが、すぐにヘレナが先ほどよりも強く両手を叩き「やりましたわ!今日はお祝です!」と言い、僕はルナイスがあの寝返りというものに成功したことを理解した。
ルナイスも放心していたが、ヘレナの様子に自分が寝返りに成功したことを理解したのかぽけっとしていた顔をにへら~と緩めてケラケラと笑いだした。
「アドルファス様。今のが寝返りですよ!アドルファス様の時もお祝をしたのですよ。」
ヘレナがそう説明してくれるが、僕には自分が寝返りをした時の記憶がない。
何が凄いのか…いまいち理解はできていなけれど、寝返りをして嬉しそうに笑っている弟に僕も嬉しい気持ちになる。
「にー!にー!」
ゆっくりとベビーベッドに近づいてそっとルナイスの頭を撫でれば、ルナイスはニコっと笑い声を上げる。
「まぁ!アドルファス様、坊っちゃまが呼んでますよ。」
「え…ル…ルナイス。」
「にー!にー!」
ヘレナにルナイスが僕を呼んでいると言われ、ルナイスの名前を口にすれば嬉しそうにまた僕を呼ぶ。
そんなルナイスの様子にぐわーっと湧き上がってくるなにかを感じて、気が付けば僕は泣いていた。
ルナイスの前ではもう泣かないと決めたのに…
また泣いてしまった。
でも、あの時と違うのは、この涙は悲しみからくるものではなく嬉しさや愛おしさからくる満たされたものだった。
その後、ハイハイも僕が見ている前で成功させたルナイスはこの世の何よりも愛おしい存在だと感じた。
______________________
人気投票3位 アドルファス番外編 終了
物語が始まったあたりの更に弟に沼る兄の図を綴ってみましたw
本編ではルナイスがさらっとハイハイしていたのでその間のお話です。
お楽しみいただけましたでしょうか?
次回2位の御方のお話を投稿予定です!お楽しみに^^
第3位 アドルファス
優良物件のにぃ様が無事3位に^^
ご投票ありがとうございます。
_________________________
コンコン
ガチャ
「あら、アドルファス様。坊っちゃまは眠ってらっしゃいますよ。」
弟の部屋の扉をノックするとすぐにヘレナが出てきてくれて、弟…ルナイスが寝ていると教えてくれた。
出直そうかと思ったがヘレナがどうぞっと部屋の中へ促すので恐る恐る静かに部屋に入ることにした。
ベビーベッドの上では、まだ小さい弟がスヤスヤと気持ち良さそうに眠っている。
触れなくても分かる頬のふくふくさ…手のもちもちさについ手を伸ばしたくなるのをぐっと堪えてじーっと眠るルナイスを凝視しているとヘレナが横にしゃがんだ。
「さっきまで寝返りの練習をなさってましたよ。」
「…寝返り?」
寝返りって何だ?と首を傾げる。
きょうだいはルナイスだけで、親戚や近しい者の所にも赤子はおらず、赤子を見るのは弟が初めてで赤子が何を練習するのか?あんな弱弱しいのに?と疑問を抱く。
そんな僕にヘレナは寝返りがどういうものなのかを丁寧に教えてくれる。
「アドルファス様は今ふたつの足で歩いているでしょう?でもアドルファス様も赤ん坊の頃は坊っちゃまのように歩けずベッドの上で眠ってらっしゃったのですよ。赤ん坊はベッドの上でただ寝ているだけではありません。アドルファス様のように強く生きていくために沢山練習をしているのです。寝返りは体を捻って体の向きを自分で変えるのですよ。寝返りができるようになれば時期にハイハイをするようになりますので、きっと近いうちにアドルファス様の後をついていくようになりますよ。」
「ヘレナ。ハイハイとは?」
ヘレナは楽しそうに話してくれるが、また新たに知らない言葉が出てきた。
「ハイハイっていうのは両足で立てない赤ん坊が両手、両足で地面を歩くことです。」
ヘレナの説明を聞き、その姿を想像してみるがいまいち想像することができない。
「坊っちゃまが起きたら見せてもらいましょう。」
ヘレナはやっぱり楽しそうにそう言うが、ルナイスが何時起きるか分からないし、僕も稽古やお勉強があるから…見れるのだろうか?
「あら?坊っちゃまお目覚めですか?」
ヘレナの言う寝返り、は見れないかもしれないなっと思っていると突然パチリとルナイスの目が開いた。
突然すぎて驚き心臓がバクバクと激しく動く。
何であんな突然目をかっぴらくのだ!?
「うぅ~。」
「えぇ。お兄様が来てくださってますよ。」
「ぁ!うっ!」
「アドルファス様坊っちゃまが来てくださってありがとうございますとお礼を言ってますよ。」
「あ…あぁ。」
「坊っちゃま。アドルファス様に寝返りを見せてあげてください。説明はしたのだけれど、見てみないと分からないですからねぇ。」
「う!」
な…何故ヘレナは赤子と会話ができている?
そしてルナイスはなぜか意思疎通ができているように思う。
赤子から会話などできただろうか?
書物では赤子は始め言葉を理解しないが、成長の過程で自然と理解しだすと記されていたように思うのだが…。
唖然としていると、ベビーベッドでルナイスがうっうっと唸りながら体を動かし始めた。
「へ…ヘレナ…なにを」
「あれが寝返りの練習です。」
あれが練習?
ただうごうごして苦しんでるようにしか見えない。
何度かうぅーっと唸る時があって、その時のルナイスの顔は真っ赤に染まり今にも破裂しそうだ。
先ほどまでのふにふにした柔らかい雰囲気からの差が激しく、近づくのを躊躇う。
「もう少し!もう少しです!」
唸るルナイスに対してヘレナは両手を叩き声援を送っているが、何がもう少しなのかが理解できない。
「ぅ~…っあ!」
一度体を止めたルナイスが再び唸りながら体を動かすと、小さな体がコロンと回りお腹をベッドにつけた姿勢に変わった。
ヘレナも僕もルナイスも一瞬何がどうなったのかと沈黙したが、すぐにヘレナが先ほどよりも強く両手を叩き「やりましたわ!今日はお祝です!」と言い、僕はルナイスがあの寝返りというものに成功したことを理解した。
ルナイスも放心していたが、ヘレナの様子に自分が寝返りに成功したことを理解したのかぽけっとしていた顔をにへら~と緩めてケラケラと笑いだした。
「アドルファス様。今のが寝返りですよ!アドルファス様の時もお祝をしたのですよ。」
ヘレナがそう説明してくれるが、僕には自分が寝返りをした時の記憶がない。
何が凄いのか…いまいち理解はできていなけれど、寝返りをして嬉しそうに笑っている弟に僕も嬉しい気持ちになる。
「にー!にー!」
ゆっくりとベビーベッドに近づいてそっとルナイスの頭を撫でれば、ルナイスはニコっと笑い声を上げる。
「まぁ!アドルファス様、坊っちゃまが呼んでますよ。」
「え…ル…ルナイス。」
「にー!にー!」
ヘレナにルナイスが僕を呼んでいると言われ、ルナイスの名前を口にすれば嬉しそうにまた僕を呼ぶ。
そんなルナイスの様子にぐわーっと湧き上がってくるなにかを感じて、気が付けば僕は泣いていた。
ルナイスの前ではもう泣かないと決めたのに…
また泣いてしまった。
でも、あの時と違うのは、この涙は悲しみからくるものではなく嬉しさや愛おしさからくる満たされたものだった。
その後、ハイハイも僕が見ている前で成功させたルナイスはこの世の何よりも愛おしい存在だと感じた。
______________________
人気投票3位 アドルファス番外編 終了
物語が始まったあたりの更に弟に沼る兄の図を綴ってみましたw
本編ではルナイスがさらっとハイハイしていたのでその間のお話です。
お楽しみいただけましたでしょうか?
次回2位の御方のお話を投稿予定です!お楽しみに^^
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