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第5章
アイダオ国について
しおりを挟むヒュー様と目を覚ましたチルがドラゴン達の所へ走って行ったのを見送って、僕は侯爵様達と向き合ってアイダオ国との戦争について詳細を聞いた。
「やはりアイダオ国王は君が龍神の加護を与えられていることを知っていて、君を生け捕りにしドラゴン達を戦闘で使えるようにしたかったようだ。アーナンダ国だけでなくほとんどの国を取り込むつもりだったようで狙われていた他国からも大きな戦争の火種を消し去ったことへの礼としてアイダオ国の整備に協力してもらったり、名産物がアーナンダ国へ送られてきたりとしているようだ。奴らが強気にそんなことを仕掛けてこようとしていたのも、やはり我が国の裏切者の協力があったからのようで、裏切った奴等は今は牢屋に居るが近々処刑されるだろう」
侯爵様から教えられる内容に頷く。
裏切者は王国騎士団がアイダオ国へ行く前に捕らえられていて、アイダオ国の制圧が終わるまでは処刑しないようにされていたが制圧が終わり罪の内容が精査された今、やはり奴らは処刑されるほかないらしい。
僕を狙ったあの刺客も情報を引き出した後も牢屋で拘束されていたが、同じ時に処刑されることが決まっているとのこと。
「アイダオ国にはあのような手練れの者が多くいたのですか?」
「否…アーナンダ国へ向けられた刺客達はアイダオ国に古くから居た戦闘民族を無理な従属魔法で奴隷とし、暗殺業をさせていたらしい。実はアイダオ国王を殺してほしいと情報を与えてくれた者がいてな…それがアイダオ国第2王子だった。彼は協力してくれたことに免じて処刑は免れているが今後の対応については今も検討されていてな」
「なるほど…んー…分かりました。貴重な情報をありがとうございます」
「こちらこそチルのことを護って頂き感謝する。しかしルナイス・ウォード…君、何か企んでいるな?」
ヒル侯爵様がニヒルに笑って腿に肘をつき前のめりになり僕の顔を除いてくる。
確かに僕はヒル侯爵様の話を聞いて考えついたことがあるが…まさか侯爵様、これに関わってくるつもりですか?と顔を顰めて見せると侯爵様はがはははっと豪快に笑って、関わるつもりはなく只の好奇心だと答えた。
「企みというほどのことではなりませんよ、捕らえている刺客と第2王子の処遇について、国王様に少し意見をしてみようかなってだけです」
「ほう…まさか奴等を自分の駒に出来ないかと考えているのではあるまいな」
侯爵様の言葉に僕は笑みを返すだけにした。
僕だけじゃなくコルダや他にもアーナンダ国の強者を追い込んだ刺客達は自ら望んでアイダオ国王に着いていたわけじゃないのだったら、処刑以外の道もあると思った。
それは彼等のことを思って処刑以外の道を考えたわけではなく、只単純に僕があれだけの力を持ち、脅されていたにしても黒幕を簡単には口にしない、そんな人材を処刑するのは惜しいと思ったからだ。
しかし僕の提案を国王が受け入れ、彼等が僕の提案を受け入れなければ死の道へ行くことになってしまうだろう。
そうなったらそうなったで別に困りはしない。
どういった民族なのかは知らないが、僕を殺しにきた刺客と接する限りは結構プライド高い民族のように思うから彼等が僕からの提案を受け入れる可能性は低いと思っているので、侯爵様の言葉に返せる言葉は今の僕にはないのだ。
再開を喜ぶ気持ちが少しは治まったらしいヒュー様とチルを連れてヒル侯爵家が帰還されるのを見送り…
「ルナイス様、面会の日程が決まったようです。明後日の昼食後に、とのことです」
「ん。ノヴァも着いて来れる?」
「あぁ。もちろん」
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