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第5章
久しぶりのにぃ様との休日
しおりを挟むどちらの仕事も容量を掴めてきて、余裕ができ始めた僕を近くで見ているノヴァの過保護は大分落ち着いた。
そして今日。
日が昇って間もない朝から僕のお家ににぃ様がやって来た。
「にぃ様いらっしゃいませ。朝食はとられましたか?」
「いや」
「ならご一緒しましょう」
にぃ様には都合の良い時間に来てくださいって伝えていたけれど予想よりも大分早い時間にやって来たので僕はまだ家用の服を着ているし、何なら数分前に起きた。
僕とにぃ様の邪魔をしないようにと気を遣ってくれ外出予定のノヴァもまだお家に居て、談話室ににぃ様を残して着替える前にノヴァににぃ様が到着されていることを念の為伝えると「だろうな」と答え挨拶に行ってくると普通に答えられてしまった。
あんまりノヴァとにぃ様が二人でお話されているのを見ないけれど、何だかあの2人は僕よりもお互いを理解しているところがあるように思う。
急いで身支度を整えて、談話室に入ると既にノヴァはそこに居らずにぃ様がぼーっとして待っていた。
「にぃ様」
「…ここに」
幼い頃はぼーっとしているにぃ様を偶に見かけていたけれど、大人になるにつれにぃ様は忙しく家に居る時間も少ないし今のようにぼーっとしている姿は見ていなかったので少し心配になり声をかけるとにぃ様の座るソファに座るよう促された。
二人でかけるには狭いソファなので、僕は半身にぃ様にのっかる感じだ。
いくら仲が良いと言っても、通常この歳になってまでこんなにくっつく兄弟は僕達以外いないのでは?と思うけれどお互いにそれが良いと思っているのだし落ち着くのだから誰に何を言われようとこのにぃ様との距離感を変えるつもりはない。
僕の肩に腕を回して僕を自身の方へぎゅっと抱き寄せるにぃ様は、再びぼーっとしていて、朝早くにやって来たけれどまだ眠たいのだなっと分かる。
長年こうしてお互いの休日が重なり早朝を一緒に過ごすことがなかったから、朝のきりっとしていないにぃ様を見るのは新鮮で面白い。
「にぃ様、ご飯食べましょ」
「あぁ」
しばらくにぃ様の望むまま抱きしめられ一緒にぼーっとしてから机に並べられた朝食を食べるよう促す。
返事はしてもなかなか動き出さないにぃ様の口にご飯をのせたスプーンを持って行くとぱくっと口を開け咀嚼する。
もしかしてナイ様にもこうして食べさせてもらうことがあるのだろうか?と微笑ましい気持ちとちょっとした嫉妬心を抱きながらせっせと運ぶこと数回。
徐々に覚醒してきたにぃ様が今度は自分の番だと僕の口にせっせとご飯を運び始める。
途中からはお互いに自分で食事をし、食べ終えたところで見つめ合う。
そして同時にふふっと笑った。
もういい年齢になった僕達がこうしてお互いを甘やかす行為を自然としているのが面白くて、そしてとても心地良くて…
意味もなくにぎにぎと握り合う手がなかなか離せない僕達は、気持ちに従いそのままのんびりとした時間を過ごした。
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