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第5章
過保護な二人
しおりを挟むドラゴンの管理官として忙しい僕だけれど、やっぱり刺客が零になることはなく、こちらの仕事も頑張っている。
ただ、表の職が思ったよりも忙しくなってしまった僕はアーバスノイヤー家の者でない王家の影を数名鍛えることにした。
僕が直々に王家の影として必要な思考や技術を教えたのはクラージュ殿下の影達で、その中の3人は適正なしと判断し通常の護衛の方へ移動してもらった。
これにはもちろん移動させられた影が納得するはずもなく、僕に襲撃を仕掛けてきたけれど拘束してはわざと逃し、また拘束しては逃しと繰り返すことで影としての適性がないということを分からせることにした。
僕の思惑通り、移動させられた影3名は子虫をはらうような僕や周りに心が折れ、今では大人しくクラージュ殿下の護衛として従事している。
本来ならば僕に奇襲を仕掛けてきた時点で処罰ものであるし、クラージュ殿下もどのような理由があったにせよ到底許されることではないとおっしゃったが、当事者である僕が彼等の罪を今回ばかりは見逃すと言ったのだ。
影としての適性がなかっただけで、戦闘能力は高い彼等をこんなことで失うのは痛手でしかないと考えてのことだったのだが、彼等は僕の慈悲深さに感謝すると感動していた。
クラージュ殿下は僕の考えていることが正しく分かっていたようで、そんな風に感謝の言葉を述べる護衛達を見て遠い目をされていたけれど、僕は何も言わず只微笑んでおいた。
時に言葉を発さないほうが物事上手くいくこともあるってことを僕は知っている。
ところで、何故僕がクラージュ殿下の影だけを鍛えたのかというと、まだ発表に至ってはいないが近々クラージュ殿下が王座に着くからだ。
不穏な情報を集めて種を事前に摘み取るまではいかずとも、王家へ向けられた刺客を秘密裏に処分することくらいは僕でなくても出来る環境にあってもらわないと、僕も人間なのであれもこれもは出来ない。
今の僕は重要なことを担って、他の雑務は部下に任せるスタイルでアーバスノイヤー家の裏家業を熟している。
クラージュ殿下の影の育成は将来少しでも楽をしたくてやったことなのだけど、今の僕の現状に納得していない人物が二人。
ノヴァとにぃ様だ。
ノヴァは『いい加減にしないと体を壊す』と僕を叱り、にぃ様は『お前は頑張り過ぎだ。にぃ様にももっと頼ってくれ』と僕を心配するあまり頻繁に顔を見に来るようになってしまっている。
二人には何度ももう少しで落ち着くのでっと答えているのだが、その度に『もう少しとは?』と言われる始末である。
とーさまはこれをワイアットと2人だけで熟していたのですよ?と言っても『それはあの人とワイアットだから』で片づけられる。
騎士団の書類仕事の多くを副団長に任せていたにしても、とーさまは他のご兄弟がいなかったから昼は体を酷使する近衛騎士とし従事し夜は暗躍していたのだから今の僕何てとーさまの足元にも及んでいないと言うのに。
そうとーさまに言うと『満更でもないのだろう』と苦笑いされてしまったが、にぃ様についてはあまりにも頻繁に僕の所へ来てしまっていてレオも騎士団長も困っているようなのでとーさまの方から少し注意をするらしい。
そこまで心配をかけてしまったのが心に引っかかって、僕は次のお休みをにぃ様に合わせることにしてお茶のお誘いをしたのである。
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