ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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旅立ち~オードゥス出立まで

褒賞金

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「はーい、防衛戦にご参加して下さった方、一律3万ガルの褒賞金をお配りしておりまーす。
まだの方、日を跨いでのお受け取りは出来ませんのでお早めにどうぞー。」

現在冒険者ギルドでは先の防衛戦に参加した者に褒賞金を出していた。
戦闘には参加していないが回収等に参加してた者も貰えると言うので新人冒険者達からは歓声が上がっている。

「いやー、ホントにいーのかなー貰っちゃって…あたしらトドメ刺しただけなんだけど…」

「良いじゃないかロゼ、貰える物は貰っといた方が良いぞ。」

「あら、ロゼいらないのなら仕方無いけど私が貰っておくわよ?」

素晴らしい手際でロゼの手から3万ガルを取り、ギリギリ取れない高さに浮遊させる。

「やー!やーめぇっ!ポーラァ!」

「話は変わるけど皆、今日はパーっと食べましょうか。クロラも久しぶりに『ふもっ』ても良いわよ。」

「使うじゃん!あたしの3万ガル使う気満々じゃん!そして跡形もなく消えるじゃん!」


ジェイルパーティのいつものやり取りをノアは微笑ましそうに眺める。

(と言うかクロラさん『ふもっ』て無いのか…)

また食事に誘おうと決めたノアだった。


「いやはや今日は大変だったねーノア君。」

「ジョーさんのお陰ですよ、あの栄養剤無かったらバトルベアと戦えませんでしたし。」

「さっきも言ったけど今度王都で売り出そうと思ってたからたまたま持ってただけだよ。」

「効果が凄かったですけど、あれ何本か欲しいですね。何て言う栄養剤なんですか?」

「ああ、"万能薬"って言うんだ。」

「ぶふっ!」


『万能薬』…全ての状態異常を直す事が可能。
低品質の物でも最低30万ガルは下らない。
最高品質の物になると死亡状態すら直すと言われ、家が買えると言われている。


ジョーから品名を聞いたノアは体をぷるぷると震わせ、カウンターにいる職員に

「すいません…全額引き出しお願いします…」

「ノア君!お金は取るつもりは無いから待って!」

「"万能薬"って結構しませんでしたっけ…?」

「それは使われている素材が昔から変わって無いからなんだよ。
入手がし辛い物ばかりを使ってるから高価になってたのでね、現代の素材で代用出来る物がほとんどだったから高品質でも低価格での提供が可能になったんだよ。」

「そ、それじゃ…」

「うん。1本10万ガルだね。」

「職員さん…10万ガルの引き出しを…」

「だからお金を取るつもり無いって…それよりも僕としては今後とも良いお付き合いをと思っての手土産だよ。」

「そ、そうですか…ちなみにまだ在庫ってありますか?」

「手持ちにあるのは3本だね。」

「それ全部買わせて頂いても良いですか?」

「おお、太っ腹だね。」

「貰ってばかりはこちらの気が収まらないので…」

そう言ってノアはカウンターの職員に30万ガルの引き出しをお願いする。
話が聞こえていた職員は既に用意してくれていた。

「はい、30万ガル、確かに。万能薬3本をどうぞ。」

そうしてジョーから万能薬を買い取った所でギルド内に一組のパーティが入ってきた。


「おい、褒賞金くれんだろ?俺らにもくれよ。」

入ってきたのはバッツガッツの2人だった。
周りにいるパーティは露骨に嫌な表情をする、ジェイルのパーティは特に。

「あぁん?お前ら本当にいたのかい?」

カウンターに立つ職員(キョーコ)は2人を見ると豹変する。

「げっ!い、いましたよ、大分後方でしたけど…」

「そう…それよりも薬草200本はもう採ったのかしら?」

「あ、ええ、採りましたよ、ここに…あれ?」

「そ、なら提出をしてからにしましょう。
提出お願いします。」

「はいよ。」

そう言って片方がカウンターに鞄を置いてくがもう片方は腰を探っている。

「あれ、あれ…?」

「…どうしました?」

「い、いやー、鞄どっかに落としちゃったみたいで…」

「で、あれば罰も継続、褒賞金もお渡しする事は出来ません。」

「ま、待って下さい!採った!採ったんだよ本当「もしかしてこの鞄ですか?」」


声のした方を見るとノアが鞄を掲げている。

「中見たら薬草が100本入ってたんですよね。」

「そ、それだー!やっと俺らの役に立ってくれたなお前!」

なかなかカチンとくる台詞だが堪えるノア。
鞄を受け渡す際に念を押す。

「お2人はあの場にいたんですよね?」

「だからそう言ってんだろ!良いからさっさと渡せ!」

「そうですか…では、確保ぉ!」

ノアがそう叫ぶと2人の頭上からアリッサとベルドラッドが降り立ち、直ぐ様組伏せる。

「な、なん!?」

「おう、お2人さんよ!」

「言質は取ったわよ?」

「「な!何の事だ!?」」

「この鞄はですね、防衛戦直後のダンジョン入口にいた、怪しい2人組に射った時に拾った物なんですよ。
矢がベルトに突き立った状態でね!」




~数十分前~

「ノア君それは?」

「鞄、の様ですね。中身は…薬草が100本?何だこれ…」

「ちょっと待ってノア君今薬草100本って言った?」

「あれ?職員さん何か知ってるんですか?」

「実はね…




「アイツらそんな事仕出かしてたんですね?」

「そうなのよ。それで罰金支払えないから代わりに薬草200本で手を打ったのよ。」

「なるほどね…」

「おう、ノア君どうしたんだい?」
「ノア君どうしたの?」

「あ、ベルドラッドさんにアリッサさん…
そうだ、職員さんと…あとジョーさんも皆さんちょっと手伝って貰っても良いですか?」




「なるほどな。
そのバッツとガッツって奴らが今回の件に関わってると?」

「可能性があるってだけですがね。
もう一押し欲しい所ですがその手は打ってあります。」

「で、私達は合図と共にそいつらを取り押さえれば良いのね?」

「はい、それでお願いします。」

「ノア君、僕は何すれば良いのかな?」

「ジョーさんはちょっと口裏を合わせて頂ければ…とりあえずちょっとこちらに…」


そう言ってノアはあるモンスターの死骸の所に向かう。

「これを…こうして…」
「ああ、なるほどね…」
「そうです…で、さっきの…」
「ははぁ…了解了解。」

そうして軽く打ち合わせをして今に至る。
ちなみに褒賞金は本当に冒険者ギルドからの申し出である。


~そして今に至る~

「し、知らねえよ。第一それが俺らのだって証拠はあんのか?」

「自分達でさっき自分のだって叫んでたじゃない。」

「さ、さっきいつの間にか盗まれたんだよ!
もしかしたら盗んでた奴が着けてたのかも!」


あくまでしらを切るバッツガッツ両名。


「そうですか。疑ってすいません。」

「分かったんなら早く拘束を解け!」

「犯人じゃないなら言いますけど、その不審者に僕矢を射ったんですよ。
この矢です、見えますか?」

両名に見える様に矢を掲げる。

「この矢なんですけど苦万蜂ってモンスターを射った矢なんです。
遅効性ですがとても強力な毒でして、専用の薬品を使わないと解毒出来ないんです。」

ノアの説明にどんどん顔を青ざめていくどちらか。

「ちなみにジョーさん。
この毒だとどんな薬品が効きますか?」

「ちょっと良いかい?」


そう言ってノアから矢を受け取ったジョーは矢の臭いを嗅ぐ。

「うーん…この臭いからして…これかな?」

ジョーは腰の鞄を漁り、小さな小瓶を取り出す。


「臭いからして腐食性のある毒だね。
確か体内に入ってから1時間位で患部がグズグズに腐って行って最終的に体がドロドロに溶ける毒だったと思うよ。」

その言葉に片方が顔を青ざめつつ、汗が噴き出す、恐怖からか歯がカチカチと鳴る。 
足を見ようとするが組伏せられている為足元が見えず、身動きも取れない。

「これって初期症状とかあるんですか?」

「んーそうだね、急激な発汗と体の震え、そこから2、3分でグズグズに患部が溶け始める。
その段階になったらもう薬でも治らない、だから犯人はそろそろ街のどこかでドロドロになっているだろうね。」
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