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旅立ち~オードゥス出立まで
ダンジョンに入って1時間
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ダンジョンに入って1時間。
現在上層2階の中央部を歩いていた所、ポーラが発動させていた<気配感知>に何か反応があった様なので確認するとウルフが1頭近付いて来ていた。
このウルフについてはポーラが対処するとの事だ。
視界に捉えたウルフに対してポーラは魔法を発動する。
「アイシクルバレット!」 ガガガッ!
手から氷の礫を数発発射、ウルフの体に着弾するとその箇所がじわじわと氷付き、動きが鈍っていく、その隙を見逃さずウルフの首に魔法を撃ち込む。
「アイシクルランス!」 ドスッ!ギャウンッ!
首に氷の槍が突き刺さったウルフは数歩程ヨタヨタ歩いた後、地面に倒れ動かなくなった。
「うーん…」
「どうしたんですかポーラさん、浮かない顔してますが…」
「少年、私の目的覚えてる?」
「魔法の命中精度を上げたい、でしたっけ?
今の戦い方見てる感じだと大丈夫な気がしますが…」
「変則的な動きもしないし、真っ直ぐこちらに向かって来るから、ウルフ程度なら何て事無いの。
動きが素早かったり数が多いと途端に命中精度が落ちるのよ。」
「なるほど、中層で群れ狼と出会したら厄介ですね…」
「まさにその通り、以前群れ狼を相手にした時皆への支援とかも上手く回せずに戦いを終えた事があったの…」
「なるほど…数の多さは実戦でどうにか適応して貰って、早さなら僕が打って付けですね。」
「え?少年、何を言って…」
「僕が動く的をやりましょう。」
ノアの提案にポーラは始めは難色を示していたが、中層の群れ狼で練習するのは流石にという理由とノアの戦闘力を考慮して実施される事になった。
「でも知らなかったわ。」
「何がです?」
「君に被虐嗜好があったとはね…」
「んん!?ちょっと待って、どうしてそんな話になる!?」
「だってそうでも無いと"僕が動く的をやるよハァハァ"なんて言わないわ。」
「"ハァハァ"は言ってない!
さ!やりますから壁際に向かいましょう。」
ノアとポーラはダンジョンの壁際に向かう、ノアは壁に背を向けて立ち、その正面の少し離れた位置にポーラが立つ。
ジェイル達もその頃にはポーラの元に集まっていた。
「本当に良いのね?初期魔法だから威力は低いけど速度があるからそれなりに痛いわよ?」
「問題無い、それでは先に色々決めておきましょう。
僕が避ける範囲は壁沿いにある木と木の範囲(ざっと10m程)の中で左右と上移動限定とします。
ポーラさんはその範囲にいる僕に攻撃を当てて下さい。時間は…」
「時間はこの杖の中に蓄積されてる魔力が尽きるまで…
アイシクルバレットを撃ちっぱなしで大体2分って所かしら。」
「ちなみに使うのはアイシクルバレットだけで良いんですか?」
「?とりあえず数撃ってあなたに攻撃を当てなくちゃならないから他の魔法にまわすのは勿体無いわ。」
「分かりました、始めましょう。
どなたか開始の合図を。」
するとロゼが声を上げる。
「じゃーそれではー、はーじめーっ!」
「アイシクルバレット!」
開始の合図と共にポーラが魔法を放つ。
付き出した手の動きからしてノアの真正面に打ち込んできた様だ。
それをノアは体勢を低くし、アイシクルバレットを潜る様に避け、右側に飛ぶ。
転がった勢いを利用して起き上がり、木に向け跳躍。
木を蹴って反対方向に更に跳躍、それを追うかの様に背後から魔法の着弾音が聞こえる。
ガガガガガガガガガ!
(ふ~む…音からして毎秒3発って所かな…
壁を見る限り着弾した氷が広がり動きを阻害、攻撃魔法でもあり拘束魔法でもあるって所か…
恐らくポーラさんが使う他の魔法も同様の効果があるのだろう。
確かにこの魔法が当たれば味方に大いに貢献する事になるだろうな、そう当たればね…)
ノアは飛んだり跳ねたり転がったりしつつ冷静にポーラの魔法を観察していたが、対するポーラはそれどころでは無かった。
「ぐぬぬぬぬぬ!当たらないっ!ちょこまか飛び跳ねおってぇぇっ!」
「ポ、ポーラ、冷静、冷静に狙おう…な?」
「ポーラっち、よーく狙ってー、よーくだよー。」
「ポーラちゃん、落ち、落ち着いて。」
「ええ!落ち着いてるわ!落ち着いてるからこそ分かる!少年は飛んだり跳ねたりして私を煽ってるって事がね!」
勿論意味を持ってノアは飛んだり跳ねたりしているのだがポーラは煽られてると思っている様だ。
そしてあっという間にその時は訪れた。
ガガガガガ! 「あ。」
ズザザッ! 「…っと、魔力が切れた様ですね。」
ポーラの持つ杖の魔力が尽きた様だ。
ノアの体には氷の欠片1つ付かず、背後の壁にはびっしりと氷がへばり付いていた。
「しょ~う~ね~ん…
いつもの仕返しとばかりに煽ってくれたわねぇ~…」
「ポ、ポーラさん、落ち着いて、飛んだり跳ねたりしてたのには理由があるんです。」
「ほほぉぅ?聞かせて貰おうかねぇ?その理由とやらを…」
ノアの両肩をガシッと掴み、詰め寄るポーラ。わなわなと体を震わせるポーラを宥めつつノアは説明を始める。
「まず始めに僕が飛んだり跳ねたりしてたのはポーラさんの命中精度と追尾能力、偏差撃ちの有無を見てました。」
「追尾能力は分かるけど…偏差撃ち?」
「順を追って説明しますが命中精度と追尾能力は十分です。
常に僕の胸の位置に撃ち込んで来てましたし、飛んだり跳ねたりしてても自分の背後に氷の弾丸が撃ち込まれていましたので、そこは問題ありません。
最後に偏差撃ちですが、今の僕みたく動く目標に対して移動先を狙って撃つ事を偏差撃ちって言います。
僕が飛んだり跳ねたりしてたのはわざと滞空時間を増やして偏差撃ちしやすい様に仕向けたんです。」
「なるほどね、少年の事だから悪意があってやった訳では無いのは分かってたけどそう言う事なのね。」
ノアの説明を受け、ケロリとした顔で納得するポーラ。
「でもその…偏差撃ち?は難しいわよ、少年は左右、若しくは上に飛ぶか分からないもの…」
「うーん…ちょっと失礼します。」
「え?わっ、きゃっ!」
ノアは急にポーラを抱き抱え、壁沿いに森の中を駆け出す。
「こ、こら少年、何を急に…」
「しっ!静かに。ポーラさん、壁沿いに鹿がいるの分かりますか?」
「し、鹿…?」
ノアの視線の先を見ると1頭の鹿が壁の方を向いて草を食んでいた。
ポーラを優しく地面に下ろすと徐に背中の弓と矢を取り出すノア。
「今からあの鹿を森の奥へ追いやります。」
バシュッ!
放たれた矢は鹿の背後の地面に突き立ち、驚いた鹿は瞬間的にノアがいる方に逃げようとしたが人間の姿を見た鹿は慌てて森の奥へ駆けて行った。
「どうですか?ああやって誘導してあげるんです。」
「誘導も何も目の前に壁あるんだし、こっちには私達が、背後には矢が突き立ったんだから当たり前…あ。」
「ふふ、だから始める前に聞きましたよね?
"使うのはアイシクルバレットだけで良いんですか?"って。」
「くぬぬ…分かってやってたのね。」
「全部教えたらそれはそれで気に食わないでしょう?」
「むむ…確かに…次、魔力が貯まったら覚えてなさい。」
「さて、それでは偏差撃ちですが…」
と、そこで言葉を区切ると後を追ってきたジェイル達が合流して来た。
「お、いたいた。急にポーラを抱き抱えて走って行ったから何事かと思ったぞ。」
「ごめんごめん、教えるのに丁度良い動物がいたから急いでたんだ。」
「ポーラっち~、ノア君に変な事されてなーいー?」
「してないしてない。ね、ポーラさん。」
「…うん…強引に…抱き付かれただけ…」
固まる面々。
ポーラは伏し目がちに、気恥ずかしそうにもじもじとした仕草で言う。
「ポ、ポーラさん、その言い方は色々誤解を生むのでもう少し言葉を選んで…
いや、確かに合ってはいるんですけど…」
「…ノア…君…?」
「いや、クロラさん、違う、誤解です。僕はやましい事は1つも…」
「現行犯だな。」
「現行犯だねー。」
ポーラの逆襲はその後2時間以上続いた。
現在上層2階の中央部を歩いていた所、ポーラが発動させていた<気配感知>に何か反応があった様なので確認するとウルフが1頭近付いて来ていた。
このウルフについてはポーラが対処するとの事だ。
視界に捉えたウルフに対してポーラは魔法を発動する。
「アイシクルバレット!」 ガガガッ!
手から氷の礫を数発発射、ウルフの体に着弾するとその箇所がじわじわと氷付き、動きが鈍っていく、その隙を見逃さずウルフの首に魔法を撃ち込む。
「アイシクルランス!」 ドスッ!ギャウンッ!
首に氷の槍が突き刺さったウルフは数歩程ヨタヨタ歩いた後、地面に倒れ動かなくなった。
「うーん…」
「どうしたんですかポーラさん、浮かない顔してますが…」
「少年、私の目的覚えてる?」
「魔法の命中精度を上げたい、でしたっけ?
今の戦い方見てる感じだと大丈夫な気がしますが…」
「変則的な動きもしないし、真っ直ぐこちらに向かって来るから、ウルフ程度なら何て事無いの。
動きが素早かったり数が多いと途端に命中精度が落ちるのよ。」
「なるほど、中層で群れ狼と出会したら厄介ですね…」
「まさにその通り、以前群れ狼を相手にした時皆への支援とかも上手く回せずに戦いを終えた事があったの…」
「なるほど…数の多さは実戦でどうにか適応して貰って、早さなら僕が打って付けですね。」
「え?少年、何を言って…」
「僕が動く的をやりましょう。」
ノアの提案にポーラは始めは難色を示していたが、中層の群れ狼で練習するのは流石にという理由とノアの戦闘力を考慮して実施される事になった。
「でも知らなかったわ。」
「何がです?」
「君に被虐嗜好があったとはね…」
「んん!?ちょっと待って、どうしてそんな話になる!?」
「だってそうでも無いと"僕が動く的をやるよハァハァ"なんて言わないわ。」
「"ハァハァ"は言ってない!
さ!やりますから壁際に向かいましょう。」
ノアとポーラはダンジョンの壁際に向かう、ノアは壁に背を向けて立ち、その正面の少し離れた位置にポーラが立つ。
ジェイル達もその頃にはポーラの元に集まっていた。
「本当に良いのね?初期魔法だから威力は低いけど速度があるからそれなりに痛いわよ?」
「問題無い、それでは先に色々決めておきましょう。
僕が避ける範囲は壁沿いにある木と木の範囲(ざっと10m程)の中で左右と上移動限定とします。
ポーラさんはその範囲にいる僕に攻撃を当てて下さい。時間は…」
「時間はこの杖の中に蓄積されてる魔力が尽きるまで…
アイシクルバレットを撃ちっぱなしで大体2分って所かしら。」
「ちなみに使うのはアイシクルバレットだけで良いんですか?」
「?とりあえず数撃ってあなたに攻撃を当てなくちゃならないから他の魔法にまわすのは勿体無いわ。」
「分かりました、始めましょう。
どなたか開始の合図を。」
するとロゼが声を上げる。
「じゃーそれではー、はーじめーっ!」
「アイシクルバレット!」
開始の合図と共にポーラが魔法を放つ。
付き出した手の動きからしてノアの真正面に打ち込んできた様だ。
それをノアは体勢を低くし、アイシクルバレットを潜る様に避け、右側に飛ぶ。
転がった勢いを利用して起き上がり、木に向け跳躍。
木を蹴って反対方向に更に跳躍、それを追うかの様に背後から魔法の着弾音が聞こえる。
ガガガガガガガガガ!
(ふ~む…音からして毎秒3発って所かな…
壁を見る限り着弾した氷が広がり動きを阻害、攻撃魔法でもあり拘束魔法でもあるって所か…
恐らくポーラさんが使う他の魔法も同様の効果があるのだろう。
確かにこの魔法が当たれば味方に大いに貢献する事になるだろうな、そう当たればね…)
ノアは飛んだり跳ねたり転がったりしつつ冷静にポーラの魔法を観察していたが、対するポーラはそれどころでは無かった。
「ぐぬぬぬぬぬ!当たらないっ!ちょこまか飛び跳ねおってぇぇっ!」
「ポ、ポーラ、冷静、冷静に狙おう…な?」
「ポーラっち、よーく狙ってー、よーくだよー。」
「ポーラちゃん、落ち、落ち着いて。」
「ええ!落ち着いてるわ!落ち着いてるからこそ分かる!少年は飛んだり跳ねたりして私を煽ってるって事がね!」
勿論意味を持ってノアは飛んだり跳ねたりしているのだがポーラは煽られてると思っている様だ。
そしてあっという間にその時は訪れた。
ガガガガガ! 「あ。」
ズザザッ! 「…っと、魔力が切れた様ですね。」
ポーラの持つ杖の魔力が尽きた様だ。
ノアの体には氷の欠片1つ付かず、背後の壁にはびっしりと氷がへばり付いていた。
「しょ~う~ね~ん…
いつもの仕返しとばかりに煽ってくれたわねぇ~…」
「ポ、ポーラさん、落ち着いて、飛んだり跳ねたりしてたのには理由があるんです。」
「ほほぉぅ?聞かせて貰おうかねぇ?その理由とやらを…」
ノアの両肩をガシッと掴み、詰め寄るポーラ。わなわなと体を震わせるポーラを宥めつつノアは説明を始める。
「まず始めに僕が飛んだり跳ねたりしてたのはポーラさんの命中精度と追尾能力、偏差撃ちの有無を見てました。」
「追尾能力は分かるけど…偏差撃ち?」
「順を追って説明しますが命中精度と追尾能力は十分です。
常に僕の胸の位置に撃ち込んで来てましたし、飛んだり跳ねたりしてても自分の背後に氷の弾丸が撃ち込まれていましたので、そこは問題ありません。
最後に偏差撃ちですが、今の僕みたく動く目標に対して移動先を狙って撃つ事を偏差撃ちって言います。
僕が飛んだり跳ねたりしてたのはわざと滞空時間を増やして偏差撃ちしやすい様に仕向けたんです。」
「なるほどね、少年の事だから悪意があってやった訳では無いのは分かってたけどそう言う事なのね。」
ノアの説明を受け、ケロリとした顔で納得するポーラ。
「でもその…偏差撃ち?は難しいわよ、少年は左右、若しくは上に飛ぶか分からないもの…」
「うーん…ちょっと失礼します。」
「え?わっ、きゃっ!」
ノアは急にポーラを抱き抱え、壁沿いに森の中を駆け出す。
「こ、こら少年、何を急に…」
「しっ!静かに。ポーラさん、壁沿いに鹿がいるの分かりますか?」
「し、鹿…?」
ノアの視線の先を見ると1頭の鹿が壁の方を向いて草を食んでいた。
ポーラを優しく地面に下ろすと徐に背中の弓と矢を取り出すノア。
「今からあの鹿を森の奥へ追いやります。」
バシュッ!
放たれた矢は鹿の背後の地面に突き立ち、驚いた鹿は瞬間的にノアがいる方に逃げようとしたが人間の姿を見た鹿は慌てて森の奥へ駆けて行った。
「どうですか?ああやって誘導してあげるんです。」
「誘導も何も目の前に壁あるんだし、こっちには私達が、背後には矢が突き立ったんだから当たり前…あ。」
「ふふ、だから始める前に聞きましたよね?
"使うのはアイシクルバレットだけで良いんですか?"って。」
「くぬぬ…分かってやってたのね。」
「全部教えたらそれはそれで気に食わないでしょう?」
「むむ…確かに…次、魔力が貯まったら覚えてなさい。」
「さて、それでは偏差撃ちですが…」
と、そこで言葉を区切ると後を追ってきたジェイル達が合流して来た。
「お、いたいた。急にポーラを抱き抱えて走って行ったから何事かと思ったぞ。」
「ごめんごめん、教えるのに丁度良い動物がいたから急いでたんだ。」
「ポーラっち~、ノア君に変な事されてなーいー?」
「してないしてない。ね、ポーラさん。」
「…うん…強引に…抱き付かれただけ…」
固まる面々。
ポーラは伏し目がちに、気恥ずかしそうにもじもじとした仕草で言う。
「ポ、ポーラさん、その言い方は色々誤解を生むのでもう少し言葉を選んで…
いや、確かに合ってはいるんですけど…」
「…ノア…君…?」
「いや、クロラさん、違う、誤解です。僕はやましい事は1つも…」
「現行犯だな。」
「現行犯だねー。」
ポーラの逆襲はその後2時間以上続いた。
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