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旅立ち~オードゥス出立まで
ダンジョンに入って15分
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ダンジョンに入って15分、ノアは倒した猪を回収した後周囲に反応が無いのを確認してロゼに<忍び足>を教える事にした。
「クロラさんもロゼさんと一緒にどうぞ、狙撃や闇討ちする時に便利ですので。」
「よ、よーし!」
「そんなに気負わなくて良いですよ。
まずはそこの岩を音を立てずに登ってみて下さい。」
ノアは近くにあった膝程の高さの岩を指差す。
ザッ!「あー…」
ガッ!「あぁ…」
「じゃあ次は爪先で、接地面を減らす様にして登ってみて下さい。」
トッ 「おー。」
コッ 「おー。」
「慣れてきたら岩の直ぐ隣にある木の枝にも同様に飛び移ってみて下さい。
それも慣れたらもう一段上の枝に飛び移って岩に飛び移って降りて来て下さい。」
「「はーい。」」
ロゼとクロラが練習し始めた所でジェイルがノアに近付く。
「なぁノア君、<忍び足>の訓練で音を立てずに岩を登るのは分かるが、木の枝に飛び移るのはどういう意図があるんだい?」
「2人には言ってませんが<縦横無尽>の取得も合わせてやってます。」
「え!?こんな簡単な方法で取れるのかい?」
「えぇ、後は本人達の頑張り次第で苦も無く動ける様になりますよ。」
割と簡単な方法で取得出来る事に半信半疑のジェイル、更にポーラもノアに近付いて来る。
「ねぇ少年、さっき言ってた<激痛耐性>と<苦痛耐性>あと<恐怖耐性>もこれで取ったって言ってたけど実際何やったの?」
「…森の中で剣を持った母さんが昼夜を問わず襲って来るのをひたすら耐えるだけです。」
「「えぇ…」」
「<忍び足>と<縦横無尽>を駆使して見付からない様にしたり、逃走に使ったり…
1回見付かったら母さんが攻撃を仕掛けて来るので斬られたら<激痛耐性>で、締められたら<苦痛耐性>で、いつ、どこから襲われるか分からない恐怖を<恐怖耐性>で誤魔化してました。」
「「…頑張ったんだな…」」
「でもお陰でバーサークベアを前にしても平常心で戦えましたよ。」
((つまり母親はそれ以上なのか…))
トッ タッ スッ コッ トン 「うーっし!」
コッ カッ トッ コッ スト 「よし!」
「うん、この短時間でこれだけ出来れば十分でしょう。
スキルの確認してみて下さい。」
「うーん、あ、<忍び足>取れてるえぇ!?<縦横無尽>も取れてる!?」
「あ、<忍び足>取れて…え!?<縦横無尽>出てる!?」
2人の反応をニヤニヤと眺めるノア。
「2人共取れましたね。次は実践してみましょう。」
「「実践?」」
「今練習してたこの木の2本奥に鹿が1頭います。
ロゼさん、クロラさん仕留めてみましょう、まずは手本を見せますので僕に着いて来て下さい。」
「り、りょーかい。」
「わ、分かった。」
ノアは2人に手招きして樹上に上がる。
「あそこです、見えますか?」
スト 「お、おー。」
トッ 「奥の木の下にいる鹿だね。」
「今から鹿の頭上に近付いて弓で仕留めます。」
2人に教える為、敢えて弓で仕留めると言うノア。
背中の弓と矢を取り出して枝から枝へ音も無く近付き鹿の頭上へ移動、弓を真下へ向け
バヒュッ! ドッ!
矢が後頭部に突き立ち、倒れ伏した鹿の元へノアが降り立つ。
2人へ向け、手招きをする。
トス 「あざやかー。」
スト 「凄い…弓の音しか聞こえなかったよ…」
「とりあえずこんな感じです、クロラさんは左手方向2本先の木の下に鹿がいるのでそちらを。
ロゼさんは正面3本先の木の少し先に鹿がいますので仕留めてみて下さい。」
「よーし!やるぞー!」
「やってみるよ!」
2人は近くの岩や木を踏み台にして樹上へ、ここから先は<聞き耳>で状況を確認するとしよう。
<トッ スト ガササッ 「げ!?あちゃー…」>
<コッ ガササッ 「あ、あわわ…」>
(木から木へ飛び移る時に音が出ちゃって逃げられちゃったかな…)
少ししてトボトボと戻ってくる2人。
「むきー!あとちょっとだったのにー!」
「音立てない事に集中してて飛んだ先を見てなかったよ…」
「まぁ始めはこんなものですよ、後は練習あるのみです。」
「たーしかーにねー、さっきノア君無音で木に上がったよね?
極めればあんな事も出来るんだね?」
「2人なら少し練習すれば木に登る時位は無音になると思いますよ。」
その後2人はダンジョンを進みつつ、時折岩や木を見付けては音を立てずに登る練習を繰り返す。
「あの調子じゃもう少し掛かりそうだな。」
「まぁ覚えたての時って色々試してみたくなるから仕方ないでしょう。
待ってる間<受け流し>の練習でもしますかジェイルさん?」
「お、良いかい?」
「えぇ、周りには何もいない様なので。」
<受け流し>の練習を開始しようとジェイルが盾を構えるが、ノアが待ったを掛ける。
ノアがその辺に落ちていた割と真っ直ぐな木の棒をジェイルに渡す。
「これで練習しましょう。」
「え!?これただの木の棒だぞ!?」
「えぇ、そうです。
この何て事無い木の棒で練習すると効率が良いんです。
試しに僕に打ち込んでみて下さい。」
「え!?あ、あぁ…」
そう言ってその辺の木の棒を拾い上げ、棒の状態を見る。
ジェイルは上段に構えた木の棒を一気に振り下ろす。
ノアの頭頂部に当たる寸前に傾けた木の棒を合わせ、表面に滑らせる。
カッ カカカッ
所々にある節に引っ掛からない様に手首を捻ったり握り込んだりして角度を調節し、ほぼ抵抗無く逸らす。
ジェイルが振った木の棒は地面にそのまま流され打ち込まれる。
「おおぉ…棒で受けたのに剣で流された様な感覚だ…」
「このスキルの熟練度を上げると一見しただけでどう受け流すかが容易に判断出来るぞ。
だから湾曲した盾よりかこういうゴツゴツしたモノ…木の棒か何かでやると熟練度が上がり易いんだ。」
「ほぉぉ…なるほどな…」
<受け流し>上達の手掛かりを掴んだジェイルは感嘆の声を上げる。
その様子を見ていたポーラがノアに質問を飛ばす。
「して少年、この<受け流し>にはどんな思い出があるんだい?」
「…母さんから菜箸を渡されて"これで剣を受け流して、折れたり削れたりしたらその時のご飯作れなくなるから飯抜きね"って言われて…」
「「さ、菜箸…」」
「4日連続で失敗して空腹に耐えかねてその辺のキノコ食べたら<毒耐性>を身に付けたよ…」
「「えぇ…」」
「さ、さぁとりあえず練習しましょうか!」
「そ、そうだな!」
ノアの苦労話に軽く引きつつも練習を開始する。
ノアが軽く棒を振り下ろし、ジェイルが<受け流し>を発動し、受ける。
ガガッ! トサッ! 「あ、しまった!?」
受けはしたが、棒の節に引っ掛けて落としてしまう。
「ジェイルさん、あなたが森の中を走ってる時、目の前に木が生えていました。
ギリギリ避ける場合どうしますか?」
「それは、体を捻って滑り込ませる様にして…あ。」
「さぁ、もう一度やりましょう。」
ノアの発言の後ジェイルは自分の持つ棒の形状を観察し始めた。
先程ジェイルは順手で棒を持っていたが今度は逆手で持ち、軽く棒を振る。
少しして動きの確認が終わったのかノアに合図を送る。
ノアは先程同様に棒を振り下ろす。
ジェイルは棒を受け止め、前方上斜めに拳を打ち込む様に突き出しつつ腕を捻る。
ゴ! カカカカッ! 「おお!」
「おー、2回目でこれとは…
どうです?手に感じる衝撃も先程に比べて大幅に少ないと思われますが。」
「ああ、全くと言って良い程感じなかったな。」
「これを練習していけば少ない動作、少しの力で<受け流し>が可能、相手の懐にも潜り易いので是非継続して行って下さい。」
ジェイルは先程の<受け流し>の感覚を思い出し、自然と笑みを溢す。
そんな光景を端から見ていた<忍び足>練習中のロゼが興味を持った様なのでロゼにも<受け流し>を教える事にした。
「クロラさんもロゼさんと一緒にどうぞ、狙撃や闇討ちする時に便利ですので。」
「よ、よーし!」
「そんなに気負わなくて良いですよ。
まずはそこの岩を音を立てずに登ってみて下さい。」
ノアは近くにあった膝程の高さの岩を指差す。
ザッ!「あー…」
ガッ!「あぁ…」
「じゃあ次は爪先で、接地面を減らす様にして登ってみて下さい。」
トッ 「おー。」
コッ 「おー。」
「慣れてきたら岩の直ぐ隣にある木の枝にも同様に飛び移ってみて下さい。
それも慣れたらもう一段上の枝に飛び移って岩に飛び移って降りて来て下さい。」
「「はーい。」」
ロゼとクロラが練習し始めた所でジェイルがノアに近付く。
「なぁノア君、<忍び足>の訓練で音を立てずに岩を登るのは分かるが、木の枝に飛び移るのはどういう意図があるんだい?」
「2人には言ってませんが<縦横無尽>の取得も合わせてやってます。」
「え!?こんな簡単な方法で取れるのかい?」
「えぇ、後は本人達の頑張り次第で苦も無く動ける様になりますよ。」
割と簡単な方法で取得出来る事に半信半疑のジェイル、更にポーラもノアに近付いて来る。
「ねぇ少年、さっき言ってた<激痛耐性>と<苦痛耐性>あと<恐怖耐性>もこれで取ったって言ってたけど実際何やったの?」
「…森の中で剣を持った母さんが昼夜を問わず襲って来るのをひたすら耐えるだけです。」
「「えぇ…」」
「<忍び足>と<縦横無尽>を駆使して見付からない様にしたり、逃走に使ったり…
1回見付かったら母さんが攻撃を仕掛けて来るので斬られたら<激痛耐性>で、締められたら<苦痛耐性>で、いつ、どこから襲われるか分からない恐怖を<恐怖耐性>で誤魔化してました。」
「「…頑張ったんだな…」」
「でもお陰でバーサークベアを前にしても平常心で戦えましたよ。」
((つまり母親はそれ以上なのか…))
トッ タッ スッ コッ トン 「うーっし!」
コッ カッ トッ コッ スト 「よし!」
「うん、この短時間でこれだけ出来れば十分でしょう。
スキルの確認してみて下さい。」
「うーん、あ、<忍び足>取れてるえぇ!?<縦横無尽>も取れてる!?」
「あ、<忍び足>取れて…え!?<縦横無尽>出てる!?」
2人の反応をニヤニヤと眺めるノア。
「2人共取れましたね。次は実践してみましょう。」
「「実践?」」
「今練習してたこの木の2本奥に鹿が1頭います。
ロゼさん、クロラさん仕留めてみましょう、まずは手本を見せますので僕に着いて来て下さい。」
「り、りょーかい。」
「わ、分かった。」
ノアは2人に手招きして樹上に上がる。
「あそこです、見えますか?」
スト 「お、おー。」
トッ 「奥の木の下にいる鹿だね。」
「今から鹿の頭上に近付いて弓で仕留めます。」
2人に教える為、敢えて弓で仕留めると言うノア。
背中の弓と矢を取り出して枝から枝へ音も無く近付き鹿の頭上へ移動、弓を真下へ向け
バヒュッ! ドッ!
矢が後頭部に突き立ち、倒れ伏した鹿の元へノアが降り立つ。
2人へ向け、手招きをする。
トス 「あざやかー。」
スト 「凄い…弓の音しか聞こえなかったよ…」
「とりあえずこんな感じです、クロラさんは左手方向2本先の木の下に鹿がいるのでそちらを。
ロゼさんは正面3本先の木の少し先に鹿がいますので仕留めてみて下さい。」
「よーし!やるぞー!」
「やってみるよ!」
2人は近くの岩や木を踏み台にして樹上へ、ここから先は<聞き耳>で状況を確認するとしよう。
<トッ スト ガササッ 「げ!?あちゃー…」>
<コッ ガササッ 「あ、あわわ…」>
(木から木へ飛び移る時に音が出ちゃって逃げられちゃったかな…)
少ししてトボトボと戻ってくる2人。
「むきー!あとちょっとだったのにー!」
「音立てない事に集中してて飛んだ先を見てなかったよ…」
「まぁ始めはこんなものですよ、後は練習あるのみです。」
「たーしかーにねー、さっきノア君無音で木に上がったよね?
極めればあんな事も出来るんだね?」
「2人なら少し練習すれば木に登る時位は無音になると思いますよ。」
その後2人はダンジョンを進みつつ、時折岩や木を見付けては音を立てずに登る練習を繰り返す。
「あの調子じゃもう少し掛かりそうだな。」
「まぁ覚えたての時って色々試してみたくなるから仕方ないでしょう。
待ってる間<受け流し>の練習でもしますかジェイルさん?」
「お、良いかい?」
「えぇ、周りには何もいない様なので。」
<受け流し>の練習を開始しようとジェイルが盾を構えるが、ノアが待ったを掛ける。
ノアがその辺に落ちていた割と真っ直ぐな木の棒をジェイルに渡す。
「これで練習しましょう。」
「え!?これただの木の棒だぞ!?」
「えぇ、そうです。
この何て事無い木の棒で練習すると効率が良いんです。
試しに僕に打ち込んでみて下さい。」
「え!?あ、あぁ…」
そう言ってその辺の木の棒を拾い上げ、棒の状態を見る。
ジェイルは上段に構えた木の棒を一気に振り下ろす。
ノアの頭頂部に当たる寸前に傾けた木の棒を合わせ、表面に滑らせる。
カッ カカカッ
所々にある節に引っ掛からない様に手首を捻ったり握り込んだりして角度を調節し、ほぼ抵抗無く逸らす。
ジェイルが振った木の棒は地面にそのまま流され打ち込まれる。
「おおぉ…棒で受けたのに剣で流された様な感覚だ…」
「このスキルの熟練度を上げると一見しただけでどう受け流すかが容易に判断出来るぞ。
だから湾曲した盾よりかこういうゴツゴツしたモノ…木の棒か何かでやると熟練度が上がり易いんだ。」
「ほぉぉ…なるほどな…」
<受け流し>上達の手掛かりを掴んだジェイルは感嘆の声を上げる。
その様子を見ていたポーラがノアに質問を飛ばす。
「して少年、この<受け流し>にはどんな思い出があるんだい?」
「…母さんから菜箸を渡されて"これで剣を受け流して、折れたり削れたりしたらその時のご飯作れなくなるから飯抜きね"って言われて…」
「「さ、菜箸…」」
「4日連続で失敗して空腹に耐えかねてその辺のキノコ食べたら<毒耐性>を身に付けたよ…」
「「えぇ…」」
「さ、さぁとりあえず練習しましょうか!」
「そ、そうだな!」
ノアの苦労話に軽く引きつつも練習を開始する。
ノアが軽く棒を振り下ろし、ジェイルが<受け流し>を発動し、受ける。
ガガッ! トサッ! 「あ、しまった!?」
受けはしたが、棒の節に引っ掛けて落としてしまう。
「ジェイルさん、あなたが森の中を走ってる時、目の前に木が生えていました。
ギリギリ避ける場合どうしますか?」
「それは、体を捻って滑り込ませる様にして…あ。」
「さぁ、もう一度やりましょう。」
ノアの発言の後ジェイルは自分の持つ棒の形状を観察し始めた。
先程ジェイルは順手で棒を持っていたが今度は逆手で持ち、軽く棒を振る。
少しして動きの確認が終わったのかノアに合図を送る。
ノアは先程同様に棒を振り下ろす。
ジェイルは棒を受け止め、前方上斜めに拳を打ち込む様に突き出しつつ腕を捻る。
ゴ! カカカカッ! 「おお!」
「おー、2回目でこれとは…
どうです?手に感じる衝撃も先程に比べて大幅に少ないと思われますが。」
「ああ、全くと言って良い程感じなかったな。」
「これを練習していけば少ない動作、少しの力で<受け流し>が可能、相手の懐にも潜り易いので是非継続して行って下さい。」
ジェイルは先程の<受け流し>の感覚を思い出し、自然と笑みを溢す。
そんな光景を端から見ていた<忍び足>練習中のロゼが興味を持った様なのでロゼにも<受け流し>を教える事にした。
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