ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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アルバラスト編

『不死竜ヒュドラ』

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『不死竜ヒュドラ』…生命力が異常な程強く、体の一部すら残っていると再生すると言われている。
実際は心臓を破壊すれば完全に死に絶えるのだが、命の危機に瀕すると再生速度や生命力が大幅に増加する上、自発的に頭部を9つまで増やす為、倒すのは非常に困難。
別名九頭龍。
体表からは常に毒液を垂れ流している為、早々に討伐しなければ周辺地域に多大な汚染が予想される。
『竜』と付いているがどちらかと言えば『蛇』に近い。



「奴はまだ召喚陣から出きっていない!今の内に毒耐性は…最低でも(中)を持っていない者は急いで街の中へ!
戦える者は迎撃の準備を!」


召喚陣から出現したヒュドラに対してアルバは吠える様に周囲に叫ぶ。

現場は一気に慌ただしくなり、街に向かう者、迎撃の為に残る者で門の周辺は騒がしくなっていた。

が、しかしそんな中でも比較的落ち着いている者がいた。


「なるほど…異常な生命力に、高速再生、それに毒ですか…厄介ですねぇ…」

「その割には落ち着いてる様に思うけど?」


ノアはジョーからヒュドラの生態、特徴等を聞いていた。


「いえ、割と現実的な大きさだったのと、絶対に倒せない存在じゃなくて良かったなーって…」


ノアが言う様に、ヒュドラの体高は12メル、4階建ての建物に相当し、全長は30メル程である。
頭を見る限りでは蛇と何ら変わらず、図太い胴体に双頭がくっついていると言った見た目だ。

最上位竜や精霊王と違い、一応討伐出来るが生命力が強いので圧倒的火力で弱点をしゅうち的に狙う必要があるとの事だ。


「ノア君、これは既に通常の冒険者が行うモンスター討伐とは訳が違う。
一刻も早く王都に知らせた方が良い。」


ジョーにこう言われたノアは直ぐ様アイテムボックスから要請弾を取り出して打ち上げる。
今更の話だが戦闘に掛かりっきりでノアは要請弾の存在をすっかり忘れていた。

その場で話し込んでいたノア達の元へ冒険者や兵士に指示を飛ばしていたアルバが歩み寄って来た。


「ノア君やジョーさんと御付きのお二方、冒険者の振り分けはもう直ぐ終わります。
この場に残って迎撃するか街に残るか決めて頂きたい。」

「では私は街に戻って、中にいる他の商人らに南門から退去する様に言いましょう。」

「「では私達は引き続きノア様と一緒に」」

「いや、ルーシーさんはジョーさんに付いてて下さい。
2人の本業はジョーさんの護衛ですからね。」

「「か、畏まりました。」」

「ノア君はどうするんだい?表面上は怪我は治った様だが…」

「一応毒耐性は(大)まで持ってますので前線に出ます。
まだ中は色々としんどいですがアレを倒せば全て終わりですからね、もう少しの辛抱です。」


そう言って門の外で待機するノア。
周囲を見回して見るが、この場にいるのはノアやアルバを含め8人しかいない。


「よう、少年!お前さんも残るのか!」

「お、レオさん、あなたもここに?」

「レオだけじゃなく、うちらはパーティで残る事にしたよ。」


そう言ってルディアと朧が続く。


「それにしても8人か…いないよりはマシって所だな、王都からの連中と連携して対処するしかない、か…」


アルバは不安げな表情で答える。


「少数精鋭と言う事にしましょう、時間が惜しいので準備を済ませましょう。
すいませーん、この場にいる皆さんこっち来て貰っていいですかー?」


ノアが周囲にいる冒険者に声を掛けて集める。
するとノアはアイテムボックスを開いて、以前作った毒大蛇のスープを取り出して冒険者に配る。


「こんな時に飯か?」

「一応食事効果が付いてますのでお早めに。」

「あ、でも凄く美味しそうな香り…」キュルル



「「「「「…さ、…食べるか。」」」」」


「ちょ、ちょっと待って、お腹空いてたんだから仕方無いでしょ!?」

「別に何も言ってないだろ?」ズズーッ
「あ、旨ぇ。」ズズッ
「腹が減っては何とやらって言うしな。」ズーッ
ムグムグ…「何の肉だ?サッパリしてて美味…え!?何だこの食事効果は!?」
「毒耐性(大)だと!?(中)までしか持ってないハズなのに…」

「それは僕が以前作った物です。ヒュドラは毒が厄介みたいですし、丁度8人分しか無かったので助かりました。」



毒大蛇スープの食事効果:毒耐性(中)、受け流し効果(中)、食欲増進、体力、自然治癒力継続回復(大)、防御力上昇(小)



「これは確かにありがたい。
少年よ、宿を経営してみるつもりは無いか?」

「似た口調の人にも同じ事を言われましたよ。
これだけ好評なら屋台をやってみるのも良いかも知れませんね。」


オードゥスにいた時にもポーラにそんな事言われたな、と思い出すノア。
皆元気にやっているだろうか、一息付いたら連絡してみようと思う。


「さぁ!腹もある程度満たされた、あまり時間が無いから手短に話そう。
一応王都から隊員らが来るだろうが、最悪の事態を考えてここにいる面子だけで討伐すると想定してくれ!
この中で高火力な技を持ってる者はいるか?」


アルバが音頭を取ってこの場にいる者に意見を窺う。
ヒュドラの頭部を破壊出来る程の高火力が放てる者がこの場には必要な様だ。

すると【槍】のルディアと恐らく【魔法使い】の女性が手を上げる。


「俺には一応高威力な技【神殺之槍(かみごろしのやり)】がある。
ただ力を溜めるのに時間を要する、最低でも1分、最大2分半といった所だ。
ある程度の移動なら可能だが走ったり飛んだりしたら直ぐ解除される。」

「坊やにとっては初めまして、よね?
私はマーリ。見ての通り【魔法使い】よ。
私には『ハイエクスプロージョン・バーンレイズ』って長ったらしい名前の技があるの。
魔力を練らなきゃならないから溜めに2分程掛かるのが難点ね。
ルディアと違って集中しなきゃならないからほぼ動けないわ。」


2人の話す内容を静かに聞いていたアルバが口を開く。


「よし分かった、奴らがこちらに来た場合直ぐに力を溜めてくれ!
あの巨体に効くか分からんが<影縫い>でヒュドラを抑えよう。」

「私も足止め用の技を持っているが、効果の程は分からん。
全力で対処しよう。」

「私は【義賊】のレミア、大技、足止めは無くとも状態異常や彼らの護衛として働こう。」

「俺は【盗賊】のベリラモ、同じく大技等は無いがヒュドラに妨害行為を行う事で支援しよう。」

「それじゃあ、俺と少年はお前さん達に的を絞り込ませないように遊撃って所かな?
それに少年にはまだ隠し玉ありそうだしな。」

「そうですね、非常時に出し惜しみして悲惨な事にはしたくありませんからね。」


8人の方針が決まった所で防壁にいる兵士から声が掛かる。


「領主様!ヒュドラがこの街に向け、進行を開始しました!」


報告を受けたアルバが声を上げて気合いを入れる。


「よし始まったぞ!気合い入れてこの苦難を乗り越えようぞ!
それでは各々行動開始だ!」


この声を受けそれぞれが一斉に行動に移す。
ノアとレオは凄まじい速度でヒュドラに向け走り始めた。
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