ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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フリアダビア前哨基地編

職人集団が到着

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空が赤みがかって来た頃、前哨基地手前の開けた場所に職人集団が到着した。
防具職人が10人、彫金加工職人が3人その他廃液処理班や手伝い等合わせて50人程がこの場に集結した。


「バラガスさんからの要請により皆参集しました。
それで、『隠れ蜥蜴』の素材を入手したと言うのは本当ですか?」

「そ、素材はどちらにありますか?」


職人達は何やら興奮気味にバラガスに話し掛けている。
どうやら気合いたっぷりの様だ。


「み、皆さん落ち着いて…素材をお持ちなのはそちらの方ですよ。」


バラガスが手を向けた方向を見る職人達の視界に、木の根元で魔力切れの状態でぐったりして座り込むノアの姿があった。

職人達が、自身の方を向いている事に気付いた当の本人は


「あ、ひゅみまへん、ひまひゅぐほりだしまつこで…(あ、すみません、今すぐ取り出しますので…)」

「あ、いや、ゆっくりで良いぞ、お疲れの様だし…」


職人達は皆バラガスの元へと戻り、ノアに聞こえない様にヒソヒソ話しをする。


「…バラガスさん…疑うつもりは無いが素材の話、ガセでは無いですよね?」

「妻に『大仕事に行って来るぜ』って大見得切っちまったぜ?」

「ははは、確かにここだけ切り抜いて見ればそう思うのも無理は無い。
…が、もう問題無い様ですよ。」


職人達が再び後ろを振り返ると、魔力切れから多少回復したノアが立ち上がり、アイテムボックスから『隠れ蜥蜴の皮』と『隠れ蜥蜴の結晶』を取り出して職人の元へやってきた。


「お見苦しい所をお見せしてすいません。
これが素材になります。」


ノアから素材を受け取った防具職人達は、まじまじと観察し、手触り、裏表を確認。
<鑑定>等を使用して傷の有無や品質を見ている様だ。

片や彫金加工職人も片眼鏡をはめ、傷の有無を確認。
小型のハンマーを取り出して軽く叩き、純度?か何かを見ている様だ。


「こ、こりゃあ確かに本物だ…」
「傷も殆ど無いし、品質もとても良い…」
「この結晶は何だ?どうやったらこんな高純度の物が取れる…?」


職人皆、我を忘れて素材に感嘆の声を上げていたのでバラガスが手を叩き、現実へと引き戻す。


「さぁ皆さん!興奮するのは分かりますが、作業に取り掛かって下さい!
素材は大量にある様ですが、慎重に、ですが急ぎでお願いします。」

「こりゃあ確かに大仕事になりそうだ、お前らぁ気張っていくぞ!」

「「「おぅっ!」」」


これを合図に各々が店を広げ、作業を始める。
 

「さて、僕はもう少し休んだら地下墓地の探索を続けますかね。
街の中にモンスターはいない様ですから、今夜中には教会を奪還出来れば良いのですが…」


そう言ってその場から離れようとすると、バラガスが呼び止める。


「ノア君、素材買取の話がまだですが…」

「ああ、有事なので後でで良いですよ。
贅沢な悩みですが、何も買うあては無いのにお金は貯まっていく一方なので…」

「白金貨なんて持ってる人滅多にいませんから驚きましたよ…
それに、あれだけの量です。私も一括では払い切れません。
もし良ければ職人に何か作らせましょうか?」

「それであれば、手の空いた時にでも余剰魔力を溜め込める指輪か装飾品が欲しいですね。
あまり派手じゃない物で。」

「畏まりました。彫金加工職人に伝えておきましょう。」


バラガスに礼をしてその場を離れたノアは、南門へと向かう。
途中飯場の前を通ると、もつ煮込みを片手にミユキが「お祭りの時に食べたっけなー」と呟いていた。

ミユキの元いた世界にも似た食べ物があるのだろうか。

防壁の上ではドワーフ達が何やらガチャガチャやっている様で、先程言っていたレールガンとか言う物の取り付けでもしているのだろう。

そこから少し離れた場所で黄色と水色の光が飛び回っている。
姿は見えないが、エルフのユグとサンドラ、クリストロが見回りでもやっているのだろう。

(そういえばあの取り巻き2人がいないな。
気配が無いから、帰ったか、逃げたか、死んだかな。
どのみち長続きはしなかっただろうが…)

「あーやだやだ、気持ち切り替えて行こ。」


頬を軽く叩き、気合いを入れる。
地下墓地への侵入路の前にいる兵士の元へと向かう。


ニュッ「おやぁ?」

「もーしやー。」ニュッ

「「地下墓地に行く所かな?」」


兵士の背後からニュルリと姿を現したのはアルキラー、バラス夫妻だった。
いると思っていなかったのだろう、兵士は滅茶苦茶狼狽えている。

アルキラーは全身黒の服の上に黒のコートを羽織り、黒い革の手袋を着用。
元々痩せ型で長身なのも相まってかなり似合っている。

バラスもアルキラー同様に全身黒の服に黒い革の手袋を着用。
普段髪は肩まで下ろしているが、戦いやすい様に髪を後頭部で纏めて垂らしている。

(何だろう、防具っていうよりか商談にでも行く時の服装みたいだ…
それにお互い武器は持っていない様だけど大丈夫かな…?)

そんなノアの心の声が聞こえたのか定かでは無いが、アルキラーが返答し出す。


「防具としては心許なさそうに見えるけど、色々と術式を練り込んであるから、防御力については問題無いから心配しないでね?」

「!?」

「あと武器は仕舞ってあるだけだから気にしな~いでね~。」

「…2人は読心術でも持っているんですか…?」

「読唇術は心得てるけど読心術は持ってないかな。
これ位ノア君の目の動きで何と無くそう感じ取っただけさ。」

(うーん…相変わらずこの2人は良く分からん…)


「お!ノア君、地下墓地の探索を再開するのかい?」


声を掛けて来たのはエルグランドだった。


「ええ、街にモンスターがいない今日の内に教会まで奪還して防御結界を発動出来ればな、と思いまして。」

「それは頼もしい。
教会内に入って安全が確認出来たらまた声を掛けてくれ!
アルキラーさん、バラスさんは戦闘自体久し振りらしいが問題無いか?」

「まぁ、問題無いでしょう。」

「解体業の延長みたいな物だからもーまーんたーい。」

「え?もーまん…何ですか?」

「問題無いって意味よ~。」

「…そうですか、まぁ敵が出て来ても僕の【適正】上先陣は切らせて貰います。」

「【ソロ】だもんね~、良いよ良いよ~私達はおこぼれで構わないから。」

「寧ろ君の戦いっぷりを見させて貰う良い機会だよ。」

「「うふふふ。」」

(何か喋る度にねっとりとした視線と気配発するから怖いんだよな…)


取り敢えず探索の方向性が決まったので、早速ノアは地下墓地へと入って行く事にした。
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