ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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フリアダビア前哨基地編

目が覚めると

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ふと目が覚めると、まず始めに目に入ったのは木の枠組みだった。

どうやら何処かのテントの中に居る様だ。

徐に体を起こすと、下には柔らかな敷物が敷いてあった。
どうやら仮設の救護所か何かであろう。

長い事寝ていたのか体がバキバキと音が鳴る。


(『お、起きたか、お早うさん。』)

(ああ、お早う、僕はどれ位寝てた?) 

(『大体2日って所だ。
あの後色々変化があったから驚くと思うぞ。』) 


そう言われてテントの入口まで向かい、外に出ようとすると


<やっと帰って来れたのね…>
<教会以外全て壊れてしまったな…これから忙しくなるぞ。>
<おかーさん、何で泣いてるの?> 
<故郷に帰って来れたからよ。>
<炊き出しをやっております、まだ頂いていない方はどうぞ。>
<エルグランド殿、調査の方完了しました!>
<ご苦労、報告を聞こう。> 
<資材さえ持ってきてくりゃ、家位建てちゃるぞ!今わしらの故郷に要請を掛けちょるでの、3ヵ月もありゃ全員分の住居は製作可能じゃ。>
<サンドラ、クリストロ、子供の相手は頼むぞ。
警戒に行ってくる。>
<おい、ユグ待て!あ、羽触んなってー!>
<凄えー、妖精だ!>


どうやら他方から支援が来たり、元の住人が幾ばくか戻って来ている様だ。
妖精2人はどうやら子供のオモチャにされている様だ。

外が安全だと分かり、テントを出る事に。
外に出ると、自分の姿を見付けた兵士達が次々と敬礼しだす。

外は人でごった返しており、アルバラストの街を思い出す程である。

炊き出し場の方を見ると、どうやら【神官】のキールが1人で切り盛りしていた様だ。
キールもノアの姿を確認すると、深々と頭を下げた。


「おお!ノア君、漸く目覚めたか!
手短にあの後の出来事を話すが、例の隠れ蜥蜴の装備を身に纏った部隊にテラヴァジアまで偵察に行って貰ったが、モンスターの存在は確認されていない。
奴が言った通り、奥地で侵蝕竜の死骸を見付けた。
昨日には王都の者が現地入りしてな、確認作業にあたっている。
今の所問題は何も無いから、早い内に終結宣言が出されるだろう。」

「…そうですか…」

「どうした?嬉しくないのか?」

「いや、起きたばかりであまり現実味が無くて…」

「そうか…そうだな。
実際私もこれは本当に現実なのかどうか、夢を見てるのでは無いかとすら思っているよ。」

「エルグランド殿ー!ちょっと良いですかー?」

「おぅ!今行こう!
それではまたな、ノア君。」


エルグランドは快活そうな顔で駆けて行った。
その場に残されたノアは取り敢えず色々と周囲を見て回る事にした。

まず最初に、炊き出し場の【神官】キールの元へと向かった。


「キールさん、僕も手伝いましょうか?」

「いえいえ、お気に為さらず。
私は今こそ【神官】ではありますが、平時は近隣の街では小さな店の料理長をやってるものですから、これ位何て事はありません。
それよりもお腹が空いているのではないでしょうか?」




ムグムグ…

キールから貰った雑炊を片手に前哨基地を散策するノアは、大通りから少し離れた所で子供達の面倒を見ている2人の妖精の元へ。


「「あ、ぼっち君起きたんだ!」」

「ええ、すいません、寝っ放しで。」

「逆に2日で良く目を覚ましたわね。
まぁ無事ならそれで良いわ。」

「私達、子供達の相手で忙しいからまた後でね。」


実際妖精2人は子供達10人程と共にいる為、会話を続けるのも難しそうだ。
ノアがその場を離れようとした時に、クリストロから何かが飛んできた。

パシッ

「…これは?」

「私達妖精族との友好の証よ。
それを持っていれば他の妖精からイタズラとかされないと思うから、持っておいて損は無いから。」

「ありがとう、大切にするよ。」


掌サイズの氷の結晶を手にする。
ヒンヤリとしているが、手で持っても溶ける事は無かった。

それをアイテムボックスに仕舞ったノアは再び周囲の散策に戻った。




「「「おぅ坊、目ぇ覚ましたか!」」」


ドワーフ3人組が、仮設の鍛治場で何やら作業をしていた。


「すいません、ずっと寝てばかりで…」

「なーに言うとる、坊はこの戦いの功労者じゃて、少しばかり寝とっても誰も文句は言やせんわい。」

「そうじゃ、そうじゃ。それよりお前さんもどうじゃ?
今、この戦いに参加しちょった冒険者らの得物を無償で強化、改造しとるんじゃが。」


周りを見ると、共に戦った上級冒険者、兵士達が鍛治場の前に並んで順番待ちしていた。

【侍】のゼノと言う冒険者は出来上がった刀の切れ味を見て感嘆の声を上げたりしていた。

だが


「うーん…破壊不可っていう時点で結構満足してたからなぁ…
これ以上何を強化したら良いのやら…」

「何か無いかのぅ?
坊には命ば助けられた恩があるでの。
何かしらで返さねばこちらの気が収まらんのじゃ。」

「とは言っても…この剣の製作者には頑丈だけど魔力の通りが悪過ぎるって言われたしなぁ…」

「ん?魔力位通すのは容易いぞ?」

「え?そうなんですか?」

「おぅ!人間では難しい事かも知れんがドワーフなら簡単なこったい。」


と、そこまで話した所で『俺』がこの話に食い付いてきた。

(『悪い、少し前に出て良いか?』)

(ん?ああ、構わないよ。)


目が徐々に赤黒く染まって行き、ノアの了承を得た『俺』が表に出る。


『よぉ、爺さん。今の話『俺』から要望あるんだが良いか?』

「おお、お前さんか、何じゃ?可能な限り要望に応えるぞ。」

『それじゃあ遠慮無く。
『俺』の力をこの阿羅亀噛に流す事は可能か?』

「お前さんの力をか?ああ、やれん事は無かぞ。
ただ少し時間掛かるがええか?」

『ああ、勿論だ。』

「他の冒険者らの武器改造を夜までに終わらしておくでの、また日が沈んだ頃にでも来てくれ。」


ドワーフらに礼をしてその場を離れるノア。
夜まで何をしようかな、と考えていると目の前にミユキが歩いていた。


「あ、ミユキさん、お疲れ様です。」

「え?ああ…目、覚ましたんだね。」


何処か上の空なミユキはノアから目を反らそうとしている様だ。

(あれ?僕何かやったっけ?)

ミユキが上の空な理由が分かっていないノアは、首を傾げる。

(『ほら、覚えてるか?
あの嬢ちゃん、竜人に遠くの山に飛ばされただろ?
碌に戦ってもいないのに、戻ってきてみれば街は半壊、例の如くお前さんはボロボロで昏睡状態。
戦いは終結してるわで、やるせない気持ちで一杯なんだと、街に戻って来た時泣きじゃくって大変だったんだぜ?』)

(なるほどね。
まぁ仕方無いと言えば仕方無いんだけどね。)


心の中で『俺』との会話をしていると、ミユキが意を決してノアに話し出す所であった。


「あ、あの…ごめ「お気に為さらず。」

「……」「……」

「何も出「そう言う時もありますよ。」

「……」「……」

「あー「わー。」

「どーして被せてくるのよぉっ!」

「お、いつもの調子に戻った。」

「戻さざるを得ないでしょ!あの調子だったらいつまでーも続けてたでしょ!」

「そりゃねぇ…
でももし謝った事であなたの気が晴れるなら、幾らでも受け付けましょう。」

「うっ…」


痛い所突かれた、と言う表情のミユキと「どうですか?」とでも言いたげなノア。


「…要は私の気持ち次第って事ね…」

「ええ。
起こってしまった事は仕方無い、後は次にどう繋げるか、ですよ。」

「…分かったわ、まだ気持ちの整理がついて無いけど…」

「まぁ時間はたっぷりあるんです。ゆっくり考えて下さい。」  


そう言ってノアはミユキにヒラヒラと手を振って通りを進んでいった。
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