ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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王都編

ブラブラと歩いて

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王への報告を終えたノアは、宿に行って寝直そうかとも考えたのだが、既に目が冴えてしまった為、特にする事も無く街をブラブラと歩いていた。

よくよく思い返してみると、ここ最近でブラブラしていたのはアルバラストへ向かう道中と今位だろう。

それ以外は大体何かしらに巻き込まれ、戦ってばかりで心休まる時間は無かった様に思う。

約1ヶ月前、冒険者始めたての頃は想像すら出来なかった事だ。
特に不満がある訳では無いが、両親の昔話や絵本等で見聞きしていた冒険者生活とは大分掛け離れている気がする。


(『そりゃあ主、お前さんは事あるごとに面倒事に首突っ込んでんだ、普通の冒険者生活なんて無理に決まってんだろ。』)

(それはそうだけどさぁ…
流石に無視する訳にはいかないじゃん?)

(『無視するこたぁ無いが、程々で良い、主は面倒見が良過ぎんだ。
お前さんと仲の良い4人は大丈夫だろうが、悪い考えを持つ奴に寄生されかねんぞ?』)

(う…善処します…)


などと『俺』との会話を繰り広げながらブラついていると、いつの間にやら冒険者ギルドの前を歩いていた。

街にいる貴族や令嬢を避けようとするあまり、無意識にこちら側に向かっていたのだろう。

このまま冒険者ギルドを素通りするのもなんだったので、何か良いクエストが無いか見ていく事にした。


「失礼しまーす。」

「おぉ少年よ、昨日の今日だと言うのに早くも何か受けに来たのかや?」

「うわっ、酒臭っ!?」


冒険者ギルドに入ると、丁度2階から下りてきたジャロルと出会す。
前日の酒がまだ抜けて無いのか、喋る度にモワッと酒の臭いが漂う。


「う、うら若き乙女に向かって酒臭いは無いじゃろう!?」

「いは、らっへほんほうにふはいへすもん。(いや、だって本当に臭いですもん。)」

「止めい、止めい!鼻を摘まむな!職員からの心証が悪くなるじゃろ!」

「…そうですよね。
見た目10才の女の子が、場末の酒場に入り浸る飲んだくれのおっちゃんの臭いを醸し出していたら…」

「そーいう事を言うな、言うとんのじゃ、妾は!」ベチコン!

「あだっ。」


そんなやり取りをギルドの入口で行っていると、たまたまクエストを受けに来たクロラ達と出会す。


「あ、ノア君。…と、実況の女の子だ。」

「少年、クロラという者が居ながら、幼女に手を出すとは…」

「誤解を生む様な事言うな、ポーラ!」


そんなポーラ目掛け、目を妖しく光らせたジャロルがすり寄る。


「聞いておくれ、酷いんじゃよ~」

「何この子、酒場に入り浸る飲んだくれ糞ジジイみたいな臭いするけど。」

「何じゃうぬらは!何処ぞで打ち合わせでもしてから来たんかや!?」


その後、ロゼとジェイルによる無言の鼻摘みで遂に心が折れるジャロルであった。





『ご用のある者以外立入禁止』と書かれた札をギルド長室の入口に掛け、水の入った樽と共に部屋に引き籠ったジャロルに代わり、カウンターには別の女性職員が立つ事に。


「すっごく落ち込んでたけど大丈夫かな…」

「似た様な事、年に数回あるから気にしないで下さい。
それより、何かクエストを受けに来たのでしょう。
ノア様はどれでも、パーティの皆様は新人用の…あ、失礼しました、ステータスの一部が中級に相当する物が御座いますので、一部の中級のクエストならお受け出来ます。」

「おお、皆さんこの短期間で大分経験を積んだんですね。」

「いや、コレは恐らくオードゥスで作った装備によるステータス上昇だな。」

「「「そうだね。」」」


そう言って全員首元に着けていた薄手のマフラーの様な物を取り出す。


「ノア君と別れた後に何度か下層に下りて行ってたんだが、その時に若い『一匹狼』と出会してね。
何とか勝てたんで、使える部分で作ったんだ。
お陰で敏捷性が大幅に上がったよ。」

「へぇ、それじゃあ中級のクエストを受けるんですか?」


とノアが聞くも、ジェイルは首を横に振る。


「実は僕ら、クロラのお兄さんであるクックさんから『カラメル牛』の狩猟依頼を受けてるんだ。」

「何か想像以上に人が来たみたいで、王都にある蓄えが無くなったらしいんだってー。」

「それで冒険者ギルドに来たのは、類似クエストが無いか確認しに来たの。
同じのがあれば2度美味しいじゃない?」

「なる程ね。」


似た内容のクエストを受ければ、狩り続けるだけでその分報酬は増えるので一石二鳥である。


「ねぇねぇ、ノア君はどんなクエスト受けに来たの?」


クロラがノアの顔を覗き込む様に聞いてきた。


「実はこれと言って決めて無いんですよね。
たまたまブラついていたら冒険者ギルドの前通ったもので…」


とノアがノープランである事を伝えると、カウンターの女性職員が動き出す。


「実はノア様に各ギルドから指名依頼が多数来てらっしゃいますが…」

「え?僕に、ですか。
ちなみにどのギルドでしょうか。」
 
「えーっと…【料理人】【薬剤】【錬金術】【植物】【洋裁】【防具】【剣士】【弓】【魔術】…「待って待って、多い多い…」


職員の口から次々と挙げられるギルドの数々に、堪らずノアが制止を掛ける。


「何でそんなに多いのです?
それに途中から戦闘職が入って来てませんか?」

「まぁ、昨日の御前試合の影響でしょうね。
生産・採取系ギルドからは1ギルド2名、計12名を連れての王都近郊の素材採取依頼となります。
また、戦闘職からの依頼は全てダンジョン攻略へ向け、ノア様を仮想エリアボスと見立てた戦闘訓練依頼となります。」

「へぇ、そう言う依頼もあるんですね。
良いですね、それらの依頼全て受けます。」

「す、全てですか?…畏まりました。
ちなみに素材採取依頼は明日以降、戦闘訓練依頼はいつでも良いとの事ですが、まさか受けて下さるとは…」

「見世物の試合は好ましくありませんが、誰かの助力になるのであれば応じますよ。」

「畏まりました。
戦闘訓練依頼は【弓】ギルドの広い修練場で行う事とします。
連絡はこちらから行っておきますが、いつに致しましょう。」

「あぁ、今からでも良いですよ。
素材採取依頼は明日で、時間は各ギルドの都合に合わせます。」

「か、畏まりました。」


女性職員はノアの言葉を聞き入れると、直ぐ様周囲の職員に指示を出し、各ギルドへ連絡しに向かわせた。


「…という訳ですので僕はこれから訓練の方に向かいます。
皆さんも頑張って下さいね。」

「…相変わらず少年はハードな生活を送ってるわね、のんびりクロラとデートとかしてくれば良いものを…」

「したいのはやまやまですが、まだ王都が騒がしいですし、お兄さん方が居られると誘い辛いと言いますか…」

「分かったわ、今度クロラを人気の無い暗がりにでも誘「方々に誤解を生む様な発言をするんじゃない!」


とは言うもののポーラの言葉で"例の場所"に誘おうかな、と頭に浮かんだノアであった。
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