ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
606 / 1,124
獣人国編~御前試合の代表決め~

最終戦(時間にして約5分の出来事)

しおりを挟む
スッ…


最終戦の火蓋は、ゴフゥが徐に拳を振り上げた所から切って落とされた。


ギィイイッ!

「ッリャァア″ア″ッ!」 ガボンッ!!! 

『っ!?』


拳に光が集束した直後、ノアでは無く地面に向かってその拳を振り下ろした。
すると闘技場の地面は爆砕し、光の奔流と衝撃波が3人を中心とした半径50メル内を激震が襲った。


バチバチバチバチッ!

ボフォッ!

「ッゼェアアアッ!」ゴォッ!

『シッ!』ボッ!  

ガッ!『バガァッ!!』『ぬぅ…!』


爆砕した礫が弾丸となって襲い掛かるも、ノアは怯みすらしない。
すると土煙の中から怒声を上げながら金属柱の様な左腕を振るい、ゴファンが殴り掛かってきた。

ノアは生成された腕で迎撃するが、僅かに拮抗したものの押し込まれてしまった。


「<縮地>ぃっ!『ズァッ!』  ゼェアッ!」ゴッ!

『ッラァッ!』バォッ!

ガヂンッ!『っとっと…』


<縮地>を発動してノアとの距離を詰めたゴファンは、次に右腕を振るう。
再び迎撃したノアだが、また押し込まれ、たたらを踏んでしまった。


″『おおっ!?おおおおおおおおっ!
こ、ここに来て超犀野人2が押し始めました!
【獣化】した事で大幅な攻撃力の上昇が起こったのでしょう!
あの【鬼神】がたたらを踏んでいます!
ここから逆襲が行われるのでしょうかぁっ!』″


「「「「「「「「「「「「「「「オォオオオオオッ!(観客)」」」」」」」」」」」」」」」


最初と打って変わって押し始めた超犀野人に、観客は沸きに沸いた。
だが当の本人達はと言うと


(くっ、この状態でも単純な力で言えば彼の方が上か…!(ゴフゥ))

(今押し切っているのは【獣化】した事で重量が増えた為、重さでこちらが勝っているだけに過ぎない…!(ゴファン))

(うーん…いつも腰に荒鬼神を差していたから気付かなかったけど、力で勝ってても重さで押し切られちゃうな…(ノア))


超犀野人とノアは元々大人と子供。
【獣化】も行っている為、体重差で言えば8倍以上はあるだろう。
幾ら腕力に自信のあるノアでも、それだけの体重差があれば押し切られてしまうのは仕方の無い事であった。

だが漸く逆転の兆しが見えてきた事で、その事を実況含め観客の誰も気付く事はなかった。


((だがこれは好機!
彼に最大とも言える隙を産み出した!
この隙を利用し、俺達の全身全霊を叩き込んでやる!
<縮地>発動!))

『『ズザッ!』』

「ぬりゃあああっ!」バォッ!
「っえぇぃっ!」ボッ!

ゴガンッ!

『うぉ。』ガガガッ!


<縮地>を発動し、ノアの左右に移動したゴフゥとゴファンの2人は金属塊の様な拳をノアに叩き付け、更に後退させる。


バッ!ババッ!

ガシッ!

ギィイイイイイイイイイイイッ!

『え?ちょ、待…』


よろけた隙に<縮地>を連続発動してノアの背後に回り込んだゴフゥは、ノアの胴体を掴むと、急速に力を溜める動作に入る。

だが溜めている箇所が今までの手や足とは違い、″口″なのであった。


ゴバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!


″『んなぁっ!?
突如ゴフゥがブレスの様な物を吐き出しました!
もう素手喧嘩関係無ぇじゃん!と思うかも知れませんが、あれは波動弾の応用であるとの事!
手や足から凝縮した気を発射出来るなら口からもいけるよね?って事だと思うんだけど絵面的には完全アウト!
つか諸に食らってるけど大丈夫か!?』″


アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア『ボッ!』「おぐっ!?」ボフッ!

ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

ドガァアッ!

「うごぁっ!」ズザザッ!


未だ吐き出される波動ブレスだったが、そのブレスの中から赤黒い腕が伸び、ゴフゥの口内に突っ込まれ、強制的にブレスを中断された。

直後、目にも止まらぬ速さで繰り出された連続パンチがゴフゥを襲い、流石の威力に吹き飛ばされた。


『だーっ!流石にウザったい!そしてやっぱ堅ぇなっ!』

「ぐっ…嘘だろ…アレを食らって何でピンピンしてんだ…(ゴフゥ)」

「【獣化】状態の俺達が出せる最大火力だぞ…(ゴファン)」


殴り飛ばされたゴフゥがブレスによって発生した光の奔流に目を向けると、しかめっ面のノアが飛び出してきた。

どうやら吐き出されたブレスは赤黒いオーラに阻まれ、ノアに届いてはいなかったらしい。


(『はっ、龍種のブレスでも無い限りそんな物が通るかよ。』)

(うーん…それにしても【獣化】によって防御力が格段に上がってるな…
力を溜めればいけるかもだけど、2人がそんな隙を与えてくれるとも思えない…
仕方無い、熟練度が規定量に達して進化したスキルで威力の底上げを図るとするか…)






「くっ、ゴフゥ!
次は2人で一斉にやるぞ!2人で力を合わせれば『もう…』…え?」

『もう掴ませない。
反撃の隙も与えずに終わらせてやる。』

『『ゾッ…』』


静かにそう呟いたノアからただならぬ殺気を感じたゴフゥとゴファンの2人。
何かマズイ攻撃がこれから始まる。
そう感じた2人は手を出させまいと攻勢に移るのであった。


「う、うぉおおおおっ!<縮『パ『ゴンッ!!』うぶぉあああっ!?」

「な!?何『パ『ドボォッ!』がぁあああっ!?」


殺気立つノアに仕掛けようとしたゴフゥだったが、いつの間にか側面に移動していたノアの拳が金属を思わせる硬質の腹筋に深くめり込んだ。

隣に居たゴフゥに何が起こったのか一瞬分からなかったゴファンだが、今度は自身の背後で僅かに破裂音の様な物が聞こえた後に強烈な衝撃が背中を襲った。


パンッ!パパンッ!
パパパパパパパパパパパパパンッ!

「「な…なぁっ!?」」


2人は目をひん剥く。
前方から断続的に破裂音が聞こえてくるが、その音の発生源となる者の姿が見えないのだ。

だが瞬間的に赤黒い靄が漂い、僅かに地面から砂埃が上がっている為、ノアの仕業である事は間違い無い。

だがその現象を確認した時には既に別の場所で同じ現象が起こる為対処が出来ず、2人は動くに動けないでいた。


「「「「「「オオオオッ!?(観客)」」」」」」


″『え!?ええええ~っ!?
と、突然【鬼神】の居なくなりました!
…あ、いえ、居るのは分かっているのですが、姿がまるで見付ける事が出来ません!
恐らく<縮地>…はここまで速く無いでしょうから<転移>?に似たスキルでも発動しているのでしょうかぁ!』″


相手の体の向きや傾き、足先の位置や筋肉の動かし方等から次の動きを把握する事は出来る。
だが姿が見えなければどうしようも無い。



パパンッ!ザッ、ザザッ!

『っとっと…』


体をフラつかせながらノアが漸く姿を現した。
その場に急停止した為か、足下に砂埃が舞っていた。


『よし、感覚が分かってきた。
お待たせしました、始めましょうか。』

「な、何だその速度は…?」
「今迄の比では無かったぞ…?」

『そりゃそうですよ。
スキルが進化してから始めて使ったのですから。』

「「は?」」

『重量では2人に敵わないので、僕はスピードを上げて攻撃の威力を上げる事にしました。
これが<縮地>の上位スキル<瞬間移動>の力です。これで決着を着けます。』

パァンッ!


そう言ってノアは再び高速移動を開始した。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

無能と追放された俺、死にかけて覚醒した古代秘術を極めて最強になる

仲山悠仁
ファンタジー
魔力がすべての世界で、“無能”と烙印を押された少年アレックスは、 成人儀式の日に家族と村から追放されてしまう。 守る者も帰る場所もなく、魔物が徘徊する森へ一人放り出された彼は、 そこで――同じように孤独を抱えた少女と出会う。 フレア。 彼女もまた、居場所を失い、ひとりで生きてきた者だった。 二人の出会いは偶然か、それとも運命か。 無能と呼ばれた少年が秘めていた“本当の力”、 そして世界を蝕む“黒い霧”の謎が、静かに動き始める。 孤独だった二人が、共に歩き出す始まりの物語。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~

かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。  そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。  しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!  命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。  そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。 ――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。

処理中です...