ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
607 / 1,117
獣人国編~御前試合の代表決め~

ゴファン脱落

しおりを挟む
<瞬間移動>…規定の熟練度を満たす事で取得可能な<縮地>の上位互換スキル。

だが、ただ闇雲に<縮地>を使用し続ければ何れ取得出来る訳では無く、体捌きや足運び、他のスキルと同時使用等の要素が絡んだ事によって得られるスキルである。

このスキルは、動作の起こりや体捌き、足運び等で生じる無駄な動きを極限まで削る事で、短距離ではあるが、姿が消える程の速度で移動が可能。

取得初期は音が障害となるが、熟練度を上げていけば無音での発動も可能となる。

因みに、闇雲に<縮地>を使用し続けた場合、上位互換であり、中距離移動が可能ではあるものの予備動作が大きく、発動までに多少癖のある<ワープ>を取得出来る。



パンッ!

パパンッ!

パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパッ!

「『パ『ガゴッ!』ぅごっ!?『パ『ドボッ!』ぶっ!?」

「『パ『ズンッ!』ごぁっ!『パ『ドゴッ!』ぐはっ!?」


闘技場内に響き渡る破裂音。
不定期に与えられる攻撃に翻弄されるゴフゥとゴファン。
その上1発1発が速度が乗った強力な攻撃である。
反撃しようにもその間に2、3ヶ所に移動されている為どうしようも無い。

    
「くっ…全く見えん…」

「だが彼も人間だ、これ程断続的に高速移動し続ければ何れスタミナ切れを起こすハズだ…
それまで防御に徹し

『『『『鉄…』』』』パパパパッ!

「「!?」」


ノアのスタミナ切れを狙い、防御に徹しようと画策する2人の耳に、全方向からノアの声が届く。


『『『『山…』』』』パパパパッ!

「な、何だ!?」
「くそっ!全方向から聞こえてくる!
何か仕掛けてくる気だ!防御を固め

『『『『靠。』』』』

「ろ『パ『ドガァアッ!』っ…!」パァンッ!
「うぉおっ!?何だ今…あれ?ゴファン!?」


隣で指示を出したゴファンが轟音と共に姿を消した。
直ぐ様周囲を見渡すがゴファンの姿は無かったのだが


″『み、見て下さい!
轟音と共にゴファンが高々と打ち上げられています!』″


「な、何っ!?」


実況の声を受けて頭上を見ると、くの字の状態のゴファンがそこに居た。


パパンッ!

「ゴ、ゴファ…一体な『パ『ダンッ!』うぉわっ!?」


ゴファンに呼び掛けようとしたゴフゥの肩に強い衝撃が走る。
当初は攻撃か、と思われたが、自身の肩を確認するとうっすら子供の足の踏み痕が付いていた。


「あっ!気を付けろゴファン!
まだ【鬼神】の攻撃は終わってないぞ!」


攻撃では無く踏み台にされたと気付いたゴフゥが頭上のゴファンに呼び掛けた。

すると頭上に居るゴファンに、今正に赤黒い帯が迫りつつある所であった。





「さぁせるかぁっ!!」ゴバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!


ゴファンの方でも自身にノアが迫りつつある事を察し、近付けさせまいと口から波動ブレスを四方八方に放ち始めた。


ドガガガガガガッ!
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

「「「「「「うぉおおっ!?(観客)」」」」」」


″『み、皆様落ち着いて下さい!
こんな事もあろうかと闘技場と観客席との間には魔法障壁を展開しておりますのでご安心下さい!
つーか手当たり次第に撃つなよゴファン!』″


ドバババババババババッ!


実況が言う様にゴファンの吐いた波動ブレスは観客席の直前で止まり、そこで防がれている様である。

しかしその直後


パパンッ!「うぉっ!?(観客)」
パンッ!「きゃっ!?(観客)」
パパパパッ!「な、何だ!?(観客)」


″『え?何?何?
どうしたの急に…え?まさか…』″


今まで闘技場内でしか聞こえなかった<瞬間移動>発動時の破裂音が観客席近傍で聞こえ出したのだ。

実況のリッチーは当初何が起こったのか分からなかった様だが


″『…もしかして、展開されてる魔法障壁を足場にしてる…?』″





バァアアアアアアアアアアアアアッ!

「おぉおおおおお『パ『ガゴォッ!』おおっ!?」


闘技場の上で滞空し、ノアの接近を阻む為波動ブレスを吐き続けていたゴファンだが、突如自身の顎に強烈な一撃を受ける。


「き、【鬼神】んんんっ!!」バァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!


波動ブレスを吐き続けている状態でノアの二つ名を叫ぶ。


『ッラァッ!』ぐいっ!

「おごぉおおおおおおおっ!」バァアアアアアアアアアッ!


凄まじい力で上顎を掴まれたゴファンは波動ブレスを吐き続けたまま体を無理矢理反らされて頭上へブレスを吐く形となった。

つまりこの状態の時は首ががら空きという訳で


ガキッ!ギュゥウウウウッ!

「うごぉぉぉぉぉぉ…」バシッ…


空いた首にノアの両足が絡み付き、とんでもない力で締め付けられる。
あまりに急速な締め付けに、波動ブレスは吐けなくなり顔が凄い勢いで青ざめていく。




「っ…ぐらえぇっ!」バシュゥゥッ!!


″『あ!ゴ、ゴファンの全身が強く光輝き、全身にオーラを纏っています!』″


最後の抵抗とばかりにゴファンは全ての気を波動に変換して全方位へと放つ。
所謂″体内放射″と言うものである。

これでノアに少しでもダメージを与え、あわよくばこの状態から脱したい所であったが、肩の辺りに居るノアが無情にも


『この程度の攻撃が効くか…!』ギュゥウウッ!

「……っ…ぅ…」ガクッ…


トドメとばかりに足に力を籠めた直後、ゴファンは意識を手放したのであった。






ズズゥンッ…

「「「「「おぉお…(観客)」」」」」


″『た、滞空中に何やら凄まじい攻防があった様ですが、私の目では何が起こったのか一切分かりませんでした!
ですが、どうやら決着が着いた様です。
ゴファンの【獣化】が解除され、ぐったりとしています!』″


グッ…

「がはっ…!?…へ…?…あ…」ガクッ…


ぐったりとしていたゴファンの背中を押して意識を取り戻させたノア。
ゴファンは一瞬何が起きたのか分からない様子であったが、直前の事を思い出してその場に座り込んでしまった。





ザッザッザッ…

『てっきり加勢に来るかと思ってましたが…?』

「姿が見えず超高速移動する君に、波動弾を乱射しまくるゴファンの下にか?
迂闊に近寄れんし、下手すりゃ同士討ちだ。
あの状況じゃ傍観しか出来ん。」

『そうですか。
で、どうします、まだやりますか?』

「言わずもがなだ。」ズダンッ!

ゴッ!『でしょうね。』


ゴフゥとノアは、お互い示し合わせたかの様に駆け出した。
ゴフゥは拳を固め、ノアは<瞬間移動>を使わずに真っ正面から突っ込んでいく。

姿が見える状態となり、これでマトモに戦える。
と考えたゴフゥであったが、状況はより厳しいモノになった。

何せ<瞬間移動>を使っていた時は1発1発の威力を上げる為、基本一撃離脱の方式を取っていた。
それを止めて″攻撃のみ″に専念するのだ。

ゴフゥには攻撃の嵐が断続的に吹き荒れる事になった。
しおりを挟む
感想 1,253

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

処理中です...