ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

アリガトウゴザイマス

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~獣人国・騎士団『犬姫』詰所~ 


「おぉ…
これが式典等の特別な時にしか着用しない重装鎧…先代の騎士団長が着けてて憧れてた物を私が着る事になるとは…
良いのかなぁ私でっ!?(ハナ)」

「え?じゃあ私代わろうか?
式典に両親が来るから丁度良い「わぁあああっ!嘘嘘!私がやるぅうっ!(ハナ)」


『犬姫』の詰所に式典時の騎士団長用重装鎧と先端が潰された槍が届けられた。
それを前にした騎士団長ハナは緊張した面持ちであったが、目をキラキラと輝かせていた。

当日はこれを着用して団員と共に王城へと参集して調印式の警護を行うという。


「取り敢えず1度着てみたら?
式典は3日後だから手直しとかも早目に済ませておいた方が良いだろうし。(サクラ)」

「そうね、『ガシャ。』サイズ大きかったら詰めて貰わないとならない『ミチッ…』…(ハナ)」

「……。(サクラ)」

「……。(ハナ)」

「…ハナ?私が代わ「は、走り込み行ってきまぁぁあすっ!(ハナ)」

ダダダダダッ!


徐に重装鎧の腕部を装着しようとしたハナだが、二の腕に感じた確かな違和感に額に冷や汗を浮かべて駆け出していった。


(…ハナ、ここ最近お祭り気分だったからちょくちょく露店で買い食いしてたっけ…?(サクラ))


遠ざかっていく団長であり親友のハナの後ろ姿を見つつ、団員のサクラはそう考察していた。





~ダンジョン『時の迷宮』前~


「…と、確かアークに課された強制労働はこの1回を以て解消となるのですよね?(ミミシラ)」

「そのハズ…だよ。
ミミ(ミミシラの愛称)と【勇者】アークの故郷であるイグレージャ・オシデンタルが全面的に″洗脳″の事実を認めた事で減刑が下されたんだもの。
ね?ヴォル?(ヴォルフスティの愛称)(アックスレイ)」

「う、うん…
でもそれだけじゃなくて、″この方達″が色々と手引きしてくれたみたいだけど…(ヴォルフスティ)」


ダンジョン『時の迷宮』前の扉にて3人の女性が誰かを待ち構えていた。
その3人と言うのは【聖女】ミミシラと【紅武士】アックスレイ、【死陣操糸】のヴォルフスティ。

少し前まで【勇者】アークと共に旅をしていた3人であった。

当の【勇者】アークはと言うと、傲岸不遜な態度を周囲に撒き散らし、方々に迷惑を掛けた後に獣人国に訪れ、ノアによって捕獲されたのであった。

色々とあって【勇者】アークには出自不明の″洗脳″魔法が掛けられていた事が判明。
正体を暴くまでの間『時の迷宮』にて強制労働の日々を送っていたのだった。

流石のノアでも″洗脳″は専門外だったので、とある人物に働き掛けをお願いしていたのであった。

その人物と言うのが


「やだもー、そんな手引きとか後ろ暗そうな事言わないの。
昔ちょーっと″大量暗殺″の仕事を請け負ってあげただけで、そのネタをばらすわよー、って言ってあげただけなのよー。(バラス)」

「そうだねぇ。
″落ちる所まで落ちるんだから別に良いだろ?″
って言ったら全部喋ってくれたねぇ。
あの時の貴族達は良い顔してたねぇ、″剥いで″飾っておきたかった位だよ。(アルキラー)」

「「あははははは。」」

「「「ひぃいいいい…」」」


元【暗殺】、現在冒険者として活動しているバラス、アルキラー夫妻である。
そんな2人に対して【勇者】アークの一件で手助けして貰ったとは言え、醸し出される雰囲気に恐れ戦く3人であった。

と、ここで


ズズズ…

「あ、皆…ただいま。(アーク)」

「あ、お帰り。(ミミシラ)」
「「お帰りなさい。(アックスレイ、ヴォルフスティ)」」

「何だ君達、律儀にコイツの帰りを待ってたのか。
″洗脳″受けてたとは言え、過去に色々されたと言うのに果報者だよお前は。(リーバー)」

「はい。今まで迷惑掛けた分、これからは俺が支えていく所存です。(アーク)」


『時の迷宮』の扉から強制労働を終えた【勇者】アークと、監視役として共に行動していた『犬姫』の騎士団員のリーバーが出てきた。

未だに口は悪いリーバーではあるが、当初【勇者】アークの改心っぷりには驚かされたとか。


「さて入場前にも言ったが、イグレージャ・オシデンタル側が″洗脳″の事実を認めた事で情状酌量により減刑。
今回を以て【勇者】アークの強制労働を終了とする。(リーバー)」

「はい、短い間ですがお世話になりました。(アーク)」


これが以前のアークであったら、長々と文句を垂れ流した後にふてぶてしい態度でその場から去っていった事だろう。

だがアークは頭を深く下げ、毎回強制労働に着いてきていたリーバーに感謝を述べていた。




「一連の強制労働は、アークが賠償金を支払えなかったから行われた事であって、獣人国としての罰をまだ受けていない。
獣人国では重い罪を犯した者は″鞭打ち″の刑に処す決まりとなっている。
よってこれから罰を執行する会場に向かう事になる、良いな?(リーバー)」

「…はい。如何様な罰も受ける所存です。(アーク)」

「む、鞭打ち…ですか…(ミミシラ)」


今回の強制労働は、元々″洗脳″状態のアークが方々で色々とやらかした事による賠償金請求の為に行われた事である為、アーク自身の罪に対してではない。

獣人国では、″性″に関する罪を犯した者に対して重い刑である″鞭打ち″の刑を執行している。

獣人であれば頑強な肉体を持つ傾向にある為、最悪失神する程度済む場合であるが、人間が行えば良くて失神、最悪強烈な痛みを受けて死ぬ事すらあるので、未だに一部諸国では死刑に用いられる事もある程の刑罰である。

【聖女】ミミシラもその事は重々承知しており、アークはそれ程重い罰を受ける所存であるのは理解しつつも、不安げな表情を浮かべていた。

すると


「だが最初期にノア殿から死ぬ程の罰を受けた故、これに関しても情状酌量の余地ありとして″正式な鞭打ち″は取り止めとする。(リーバー)」

「「「「え?」」」」

「だが刑罰の一切を無しにしたら世間の声は酷いものとなろう。
故に今回は″軽めの鞭打ち″を執行する事となる。着いてこい。(リーバー)」ザッ。


そう言ってリーバーは外へと向かう。
【勇者】パーティとバラス、アルキラー夫妻は訳が分からないと言った様子で着いていく事にした。


(″軽め″と言っても鞭打ちは鞭打ち。
血反吐を吐くのは覚悟の上だ、俺は今までそれだけの事をしてきたんだ。
弱音等吐かずに受け切ってみせる、それが贖罪と言うものだ!(アーク))


固い意思を胸に、アークはリーバーの後を着いていくのであった。





~とある施設前~

「…ねぇアル君、この施設って…(バラス)」

「アル君言うな。
…まぁ言わんとしてる事は分かるが取り敢えず見届けようじゃないか。(アルキラー)」


一行が到着したのは、黒服の獣人達が見張っていたとある施設で、何とも言えない空気が立ち込めていた。

その施設には″『感謝の気持ちを忘れるな!アリガトウゴザイマス!ビッティの調教教室』″と書かれていた。
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