ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

色々と感知

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~『廃都』から約4キロメル・滅びの森の地下~ 


(《ん?何かしらこの魔力…?》) 


最初に異変を感じたのはノアの契約獣で、大体地下で待機しているグリードだった。

その直後



~滅びの森・地上~ 


(ん?何だこの魔力の反応…
地下から…?だが俺の知ってる魔力の感じと違う…
滅びの森のモンスターか何かか…?
まぁその辺で″アイツ″が彷徨いてるだろうから後で聞いてみるか…(レドリック))


と、レドリックが何やら感知した直ぐ後に


「ん?(…何?この魔力の感じ…何か妙な感覚ね…)(カサグリア)」

「どうしたカサグリア?ボケっとして。(ドゥ)」

「ん~…いや、何でも無いかな…?(カサグリア)」

「?(ドゥ)」


何か魔力の違和感を感じたカサグリアだが、気のせいと感じ、直ぐに普段通りの応対を始めるのだった。

そこから少し遅れて



~『廃都』から約9キロメル・ヒュマノ聖王国王城の居室~


ガチャリ…ゴトッ!

「ふぅ…『ギシギシ…』ようやっと体が軽くなったわい。(ツェド)」

「す、すげぇ…」
「何つう筋肉だ…本当にアンタ100歳超えてるのか…?」

「あ?100を超えた辺りから数えとらんから最低でも100はあるぞ?(ツェド)」

「「「え、えぇえ…」」」

「それよりも一旦外に出たいな。
ヘタレ腐った貴族共の顔を拝みに行ってやりたい所だわい。」ボキボキ…


『隷属の首輪』等の拘束具を全て解除し、上半身裸となって肩を回すツェド。
とても老齢とは思えない筋肉隆々な体つきに、周囲の者達が見惚れていた。

ツェドの上半身、特に腹部から胸部に掛けて黒い炎の様な痣があり、それが″封印″なのだと言う。

そんな中ツェドは、拳をボキボキと鳴らして如何にも臨戦態勢な様子。
まぁ10年も監禁されていたのならば怒りの程は分からないでもない。


「あ、あの…ツェドさん…?(ナサケ)」


近くに待機していた王都の諜報部員のナサケが静止しようとすると


ピクッ…

「む…?…気のせいか…?(ツェド)」

「あ、あれ?どうしました?」
「お、お爺さん!もしかしたら長年の拘束具による弊害が出てきたのかも知れません!
取り敢えず座りましょ!」

「そうですね。
元気そうではありますが、何があるか分かりません、少し安静にしましょう。(ナサケ)」

「うっさい!うっさい!年寄り扱いするでないわ!(ツェド)」

「世間一般にはお年寄りさんなんですよ!」


解呪に来た【上級魔法使い】に年寄り扱いされたツェドは、取り敢えず居室のベッドに座らされ、一先ず再度の健康診断が行われるのであった。


(…もしやツェドさんも今の魔力の反応を感知して…?
こんな異質な魔力の流れ、初めてだったぞ…?
一体何処から…(ナサケ))


どうやら場所は特定出来なかったがナサケも同じく謎の魔力を感知した様であった。



~『廃都』から約10キロメル・獣人国~


「ケンちゃん、″ふるーつ″ってあまくておいしいね。」

「あぁ、そうだな。
だが帰ったらちゃんと歯ぁ磨くんだぞ?(クラーケン)」

「「「「はーい。」」」」


<人化>したクラーケンが人魚の子供達と共に獣人国を訪れ、青果店で果物に舌鼓を打っていた。


チリ…

(ん?何だこの魔力の感じは…
いや、以前…確か俺が子供の頃に感じた事がある様な…(クラーケン))

「…っと、お前達そろそろ帰る時間だぞ。」

「「「「はーい。」」」」


何処からか感じた魔力が気にはなったクラーケンであったが、一先ず子供の人魚達を龍宮城に帰す事を優先したのであった。



~『廃都』から約15キロメル・龍宮城、リヴァイアの私室~


「いやー、『ペタン』3日後が『ペタン』待ち遠しいですねぇ。『ペタン』(リヴァイア)」


リヴァイアは私室にて政務に励み、書類に目を通して判を捺していた。


ピクッ…

「…ん?何だこの魔力は…『ブゥン!スイッスイッ!』…場所は『廃都』…?
あぁ、昔世界を滅ぼし兼ねない所業を企ててたからエルダークラーケン達に潰して貰った国か。(リヴァイア)」


リヴァイアは私室の壁に周辺地域の立体地図を出現させ、直ぐに魔力の反応があった場所を特定した。

だが


(あ、でもこの周辺地域から度々微弱な反応が来てたし、その都度何かが起こった訳でも無い…
恐らく生き残ってた何かの装置に、蔓延ってたモンスターが触れた時の物だろう…)


どうやら以前からも『廃都』から微弱な魔力反応があった様で、今回のも同様のモノと思った様で、リヴァイアは再び机に座り政務に励む事にした。


(いや待てよ?確か10年位前にも同様の魔力反応があった様な…
まぁでもその時の1/10以下だし気にする程のモノでも無いか…)





~再び滅びの森~


ズンッ!ズズンッ!グォオオオオオッ…

『ん?何の声だろう?』
「何かデカいのが近付いて来るわね。
木が打ち上がってるわよ。(アミスティア)」
「1体は分かるが、もう1体は何つったっけなぁ…何かこう、ふざけた名前のモンスターで…(レドリック)」


『廃都』方面に広がる滅びの森から何やら轟音と地響き、木々を薙ぎ倒してくる際の破砕音が聞こえてきていた。

レドリックは既に感知しているらしく、2体のモンスターが争いながらやって来ている様だ。




バキバキバキバキッ!

グォオ『ハッケヨイッ!!』『ベギャアッ!』オオオッ!!

ドゴゴゴッ!


「あ、思い出した。
″はっけよいのこった″だ。(レドリック)」

「あー居たわねぇ、そんなモンスター。(アミスティア)」

『どんなモンスターなのそれっ!?』


一際大きな破砕音が響いた直後、骨剥き出しで100メルサイズの巨大なワニと、それと争っている5メル位の丸っこい人型が同時に飛び出してきた。

丁度巨大なワニが丸っこい人型に食らい付こうとしている所で″ハッケヨイッ!″と言う気合い?、鳴き声?と共にワニの下顎を殴り付けて大きく頭部を揺さぶっていた。




ビュォオンッ!

ベチィインッ!ハッケヨイッ!


下顎を撃ち抜かれたワニが仕返しとばかりに図太い尻尾を振り抜き、丸っこい人型を吹き飛ばしてしまった。

その際も人型は″ハッケヨイッ!″の一言を残していった事から、鳴き声の一部だと思われる。





「ド、ドゥ!
非戦闘適正の私は退かせて貰うよ!
″ランペイジ・スカル・クロコダイル″が出て来たんじゃ命が幾つあっても足りゃしないからね!(カサグリア)」

「そうだな、俺達はこの場では只の足手纏い…
ここは素直に退『ガシッ。』…え?(ドゥ)」


骨剥き出しで100メルサイズの巨大なワニ=″ランペイジ・スカル・クロコダイル″と言うモンスターを前にし、恐れ戦くカサグリアに同意したドゥもこの場から離れようとすると、レドリックが徐に肩を掴んできた。


「じゃあ俺が獣人国まで護衛していこう。
ノア、アミ、という訳で俺は一旦街に戻るわ。(レドリック)」

「はいはーい。(アミスティア)」
『分かった。』

「あ、いやいや、そこまでして頂く訳『ミシミシ』痛たたたたっ!?ちょ、肩が!?(ドゥ)」

「ほら、もう肩が軋みだしてるじゃないか。
善は急げって言うだろ?(レドリック)」

「そーそー、厚意に甘えようぜドゥ。(カサグリア)」せっかせっか。

「お前はもうちょっと躊躇えよ!(ドゥ)」
 

兎にも角にも、何やら思う所があるレドリックはノア達と別れ、ドゥやカサグリアと共に獣人国へと戻るのであった。
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