ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

(鞭打ち刑-暴力成分)×叩き手の技量=?

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「ここだ。
軽めとは言え、鞭打ちを行うに適した施設だ。
本来鞭打ちとはとても重い刑罰で、これを耐えきった者には断固たる意志が宿ると言われている。
″洗脳″されていたとは言え、ここで罪の意識を洗い流し、新しい人生の第一歩とするのだ!(リーバー)」

「あぁ、やってやる…やってやるさ!(アーク)」

「「「アーク、頑張って!」」」


至極真面目な表情でリーバーが言うものだから、何と無く雰囲気に流されている【勇者】パーティだが、それでも何か腑に落ちない表情の2人。


「まぁ別の意味で″新しい人生の第一歩″にはなるかも…「バラス、俺達が元居た世界の常識とこちらの世界の常識を比較するのは宜しくないぞ。(アルキラー)」


そうバラスを諭し、平静を保つアルキラーだったが、施設…と言うか店から出てきた人物を見てその考えは吹き飛んだのであった。


ガチャ。

「あら、アンタが刑を受けに来たって仔ね?
どうも、鞭打ち刑執行官のフィリアよ…おっ!?(フィリア)」

( ̄b ̄)( ̄b ̄)(シーッ。)


何と【暗殺】であるバラス、アルキラーの教え子とも言える"サドフィリア"ことフィリアがボンデージ姿で店の中から出てきたのである。

顔見知りの訪問に、フィリアは慌てふためき、バラス、アルキラーの2人は直ぐに黙る様にジェスチャーしたのであった。


ススススス!

(  ゚□゚)Г┗┓Г//(な、何故お2人がここに!?)

((かくかくしかじか、兎に角赤の他人という事で!))┓┓┓┗┓( ̄    ̄  )( ̄   ̄  )

(  ゚□゚)b(ラジャ。)


※この間僅か2秒。


「まぁ良いわ。
私は私の″オシゴト″をするだけ。
お嬢ちゃん達、この仔の事120分程借りるわね?(フィリア)」

(S○だ…(バラス))
(″分″で言うな。ますますそれっぽくなる!(アルキラー))


女王…じゃなかった、執行官のフィリアの誘いに歩を進めるアーク。

心配そうな【勇者】パーティの3人。これからアークが受ける責め苦を考えて顔を背けるリーバー、もう″アレ″としか思えないバラスとアルキラーと言う何とも言えない雰囲気が満ちる空間。

アークはそのまま何事も言う事無く店内へと入っていった。

ちなみにアークが店内で許された発言は、『ハイ』『アリガトウゴザイマス』『ボクハミジメナオークデス』の3つだけだったと言う。





~150分後~


「うっ…痛て…(アーク)」

「大丈夫、アーク?(アックスレイ)」
「みみず腫れになってる…回復魔法を…(ミミシラ)」

「いや、良い。
これは俺の贖罪の証、このままの方が良いだろう。(アーク)」

「「「アーク…」」」


と刑(?)を受けたアークの言葉に3人が聞き入る中、バラスとアルキラーの2人は聞き逃さなかった。


<…愛のある叩き方だったな…>

(″入った″。(バラス))
(″入ったな″。(アルキラー))


何とは言わないが、何かを確信した2人。
先程リーバーが言ったが、確かにアークにとっての″新しい人生の第一歩″にはなった様であった。ヨカッタヨカッタ。





「それじゃあ皆まーたねー?(バラス)」
「達者でな。(アルキラー)」

「「「「この度はありがとうございました。(一同)」」」」


仕事を終えたバラスとアルキラーは手短に別れの挨拶をして【勇者】パーティと別れる事にした。

 【勇者】アークと【聖女】ミミシラからお礼を、と言われた2人であるが、「ノア君の手伝いをしただけ」と断った。

それでも何かお礼したかった一同だが「【勇者】と【聖女】が【暗殺】と関わるのは宜しくないよ?」と言われ何とか引き下がってくれた。

2人が街の中に消えるまで、4人はずっと頭を下げていたのであった。





~路地裏~


「さてアル君、さっき妙な魔力を感じなかった?(バラス)」

「アル君言うな。
あぁ勿論感じたさ。気にする程でも無い微々たる魔力だったが異質な感じがしたな。(アルキラー)」

「しかもあの魔力の感じ、覚えがあるよねー?(バラス)」

「この間潰した″偽【魔王】軍(王都編・タイトル:『閑話 ヤバイ奴らによる【魔王】殲滅戦(上)』の事)″の事だろう?
ふふふ、ノア君に絡むとこういう事が起こるから堪らないね。(アルキラー)」


『廃都』から発せられた異質な魔力の存在を、バラス、アルキラー夫妻は長年の感覚で感じ取っていた。

偽【魔王】軍殲滅後、音沙汰無かったのだが微々たる物ではあったが漸く足取りを掴んだ事に、不敵な笑みを浮かべる両名。

すると、そこに


スッ…

「やぁご両人、その話、俺も混ぜてくれないかな?(レドリック)」

「おやぁ~?(バラス)」
「…これはこれは。(アルキラー)」


音も無く2人の背後に立っていたのはレドリックであった。
だが2人は驚いた様子も見せずに普通に対応し出した。


「クラン【極大射程】のレドリックさんね?
【暗殺】稼業時代は度々依頼が来てたから嫌でも覚えてるわよ~。(バラス)」

「今となっては一介の冒険者故、あなたを狙う事も無い。
それにノア君の親御さんでもあるから、寧ろこれからは仲良くしていきたい所だね。(アルキラー)」

「その節はどうも。 
昔は色々あったが同じ冒険者同士、まぁ仲良くやろうじゃないか。(レドリック)」

「「「ふふふふふ。」」」


どうやら3人は顔見知りらしく、不安要素はあるが直ぐに打ち解けた。
2、3軽く昔話をした後に本題に入るのであった。





「…でだ。アンタ達、さっきの異質な魔力の反応について″【魔王】″がどうの、って言ってたな?
そこん所を詳しく聞かせて欲しいんだが。(レドリック)」

「ちなみにレドリックさんはそれを聞いてどうするおつもり~?
ただの興味本位、って訳でもなさそうだけど?(バラス)」

情報提供を呼び掛けるレドリックに対し、バラスは疑問をぶつけてきた。


「弱々しい反応だったんで最初は気付かなかったんだが、″ある場所″で今回と同様の異質な魔力の反応を感知したんだ。
それの正体が【魔王】だとは当時知る由も無かったんだが、もしそうだとすると色々と合点がいくんでね。(レドリック)」

「″ある場所″?(バラス)」

「と言うと…
おっと、それ以上はこちらが情報を提供しなければ聞けませんね。
良いでしょう、お話ししますのでそちらも情報提供お願いします。(アルキラー)」

「交渉成立だな。(レドリック)」


という事で、バラス、アルキラーからはつい1ヶ月程前、″極秘裏に偽【魔王】軍を討伐″した事。
その偽【魔王】軍の魔力の反応が先程の微弱な魔力と似ていた事等を話した。

そしてレドリックからは


「実は10年程前、反応の強さは全く別物だったんが、今回同様に異質な魔力の反応を感知した場所がこの近辺にあったんだ。それは…(レドリック)」

 「「それは…?」」 

「ヒュマノ聖王国だ。
正確な日にちは覚えてないが、当時俺と妻のアミスティアん所のクランと合同で仕事をしてたんだが、不審な奴を見付けて対処したは良いが、突破されてヒュマノに逃げ込みやがってよ。
その後に異質な魔力反応を感知、入国して調べようとしたらヒュマノの連中に追い返されちまった。
で、そこから1ヶ月と経たずにヒュマノが国名を変えて何もかんも″おかしく″なっちまったんだ。
(レドリック)」
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