ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~国交式典・解放・擬似的大氾濫~

撤退

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ザッザッザッ…

「なぁんじゃさっきの煙は?
目眩ましか何かか?何か妙に体が軽くなった気がするが。(バド)」

『クリストフの回復技さ。
僕は支援魔法の類いは掛からないから効果の程は分からないけど、その分だと大分回復したみたいだね。』


パタパタと手を扇ぎながらこの場に戻ってきたドワーフ達は、先程と比べて快活そうに見える。


ズリリンッ!

《言われた通り戻ってきましたが、何か行うのですか?》キョロキョロ…

『これから皆に【固有スキル】による″バフ″を施す。
恐らくグリードにも乗るハズだから掛けておくに越した事は無いでしょ。
…奥の方見てるけどどうかした?』


白煙の奥からグリードも戻ってきた。
だが落ちつきなくモンスター群の奥の方ををキョロキョロと見回していた。


《先程、奥の方から新手がやって来ました。
ですので策を講じるのであれば急いだ方が良いかと。》

『種類は同じ?』

《いえ、″真っ暗な奴″や″犬よりもデカくて長い奴″が沢山居たので、恐らく″第2波″でしょう。》

『なる程、そりゃ急がなきゃね。』

「「「「「「「だ、″第2波″…!?」」」」」」」


グリードからの″第2波″の報に明らかに動揺する一同。
今まで耐え忍んで抑えていたモンスター群がまだ″1波目″であったのだ。
それは士気も下がるというものである。




『我矛修羅(ガムシュラ)さん、ワン・リバーンさん、『灰塵』の皆さん、後騎士団の皆さんはお戻り下さい。』

「「「「「「「「んなっ!?」」」」」」」」

「ちょ…ノア様…?(ヴァンディット)」

「…そうね、その方が良いでしょう。(ラインハード)」

「ちょ…ハーちゃんまで…(ヴァンディット)」


突然ノアが数人を列挙して街に戻るよう指示を出す。その意見にラインハードは賛成していた。
その理由については、ラインハード自身が話してくれた。


「良いですか皆さん、この様な大規模戦闘では各々の″士気″がとても重要です。
幾ら装備が整っていても、物資が潤っていようとも、それらを扱う方達が気後れしていては十二分に発揮する事は難しいでしょう。(ラインハード)」

『うんうん。』

「今しがた″第2波″の報を受けて皆様は露骨に″士気″が下がった様に思います。
各々自分の命、他人の命、隊の命、そして家族の事…色々な想いがまるで走馬灯の様に脳裏を過った事でしょう。
それが枷となり、身体を後ろへ後ろへと追いやる事に繋がります。(ラインハード)」

『うんうん。』

「戦場は大小問わず異常な場です。
正常な判断が出来る内に進退を御決め下さい。
この戦場には″異常″を体現するノア君位の心持ちが必要です。(ラインハード)」

『うん?』


引っ掛かる事を言った気がしたが、取り敢えず士気が低下した者達へ進退決断を促したラインハード。

普通なら少し時間を掛けたい所であるが、猶予は無い。
何故なら一団の居る約500メル後方から先程グリードが言っていた″第2波″が迫ってきていたからである。


結果

貴族ワン・リバーン本人、専属部隊『武装嬢隊・竜妃』中傷3人、中度の魔力切れ17人撤退。

貴族我矛修羅(ガムシュラ)本人、側近『王鬼(オーガ)』重傷3人、中傷6人、魔力切れ1人撤退。

ヴァリエンテ・ルルイエ本人、自身が持ち込んだ刀剣計50本全損、右肩脱臼、中度の疲労状態により撤退。

ギュラドスカル本人、クラン『灰塵』メンバー全員が軽度の魔力切れ状態により撤退。

『超犀野人2』のゴフゥとゴファン、お互い軽傷ではあるものの、獣人国に居る家族を思い戻る事を決断。

となった。

クリストフによる範囲回復技を施した後であるにも関わらず、これだけの数の中傷~重傷者が残っていた事を考えると、全員が全員ギリギリの状態であったと言えた。





『それで、残ったのは…』

「私は勿論残りますぞ。(クリストフ)」

「先程の回復措置のお陰で我ら騎士団全員戦場復帰が可能です!(ハナ)」

「私も残る事にした。
やはり私には前線がお似合いの様だ。(エルグランド)」

「儂らも残るぞ。(バド)」
「「うむ。(ルド、ロイ)」」

「という事で私も居るわよ。(エスメラルダ)」

「皆さんにあぁ言った手前私もこの場に残ります。まだまだ魔石の残はありますので戦闘も十分に行えます。(ラインハード)」

「″魅了″したゴリラもまだまだ健在です。
最悪影の中に避難すれば良いので私も残りますわ。(ヴァンディット)」

「こういう時、余計なしがらみに縛られないから傭兵って稼業は便利だぜ。(ヨーヘー)」

「全て終わったら報酬をたんまり用意しといて貰わねぇとな。(ダン)」

「妹、無事なら、どうなっても、構わん。(ミコト)」

「あたし、強い男の子大好きよん。(ゲイリー)」

『ひぇ…
…ま、まぁ残ってくれただけ有難「あー待って待って!!(??)」ん?』


人員が出揃ったのでバフを施して第2波を迎え撃討とうとしていたノアの下に、後方から数人の足音と声が聞こえてきた。


『あれ?『ネプトゥリオ』の皆さん。
獣人国の方は大丈夫ですか?』

「王家の皆の避難や防御結界はもう発動してあるからもう大丈夫。(ヤン)」

「体制が整ったから私達もやって来たって訳。(フェイ)」

「うわ…何あれ…滅茶苦茶いるじゃん…(リン)」

『それで迎え討つ前にバフを掛けようとしてたんです。もう目と鼻の先に迫っているので、もう仕掛けちゃいましょう。
皆さん準備は良いですか?』

「「「「「「「おぅ!」」」」」」」

「「「「「「「「ええ!」」」」」」」」


一団の目と鼻の先には、第1波と同数のモンスターが迫っており、再び轟音と地響きが一団の全身を叩く。


『【鬼哭崇崇(キコクシュウシュウ)】発動!
『誰1人欠ける事無く、この戦いを終えようぞ!』』

『『『『キィイイイイイインッ!』』』』

「「「「「「「「「「「「「「「「「おぅっ!」」」」」」」」」」」」」」」」」


ノアが″【鬼哭崇崇(キコクシュウシュウ)】″と発した直後、その場に居た全員の体が薄らと赤黒く発光。

外見的な変化は殆ど無いものの、迎撃に向かう際の″1歩目″から、劇的な変化を全員が感じる事になるのだった。



【鬼哭崇崇(キコクシュウシュウ)】…自らが鼓舞し、自身が味方と判断した周囲の者の全ステータスを100%加算させる固有スキル。(″鬼″を含む種族に限り150%)

但し発動者自身にはこのステータス上昇は乗らず、あくまで周囲の者のみである。

勿論発動者にはそれ相応の″反動″が返って来る為、ご利用は計画的に。



ちょっと短いですがこの辺で。
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