ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
811 / 1,124
獣人国編~事後処理・決意・旅立ち~

性能チェック兼肩慣らし

しおりを挟む
~夕方・獣人国から南に5キロメル・~


「畜生!どの馬車も護衛付きで全然襲撃出来ねぇ!」
「だから言ったんだ!せめてもう少し南下して車列がバラけた方が成功率上がるってな!」
「俺に言うんじゃねぇ!つーか手前ぇが最初ここにしよう、っつったんじゃねぇか!」


辺りが既に薄暗くなってきた頃、薄汚れた防具や歯溢れした武器を身に付けた野盗3人が今日1日の成果に嘆いていた。

彼等は大挙として自領へと帰還していく貴族連中の車列を襲おうとしたが、どの馬車も上級冒険者の護衛付きで、しかも隙間が殆ど無く進んでいた為、彼等の様な野盗達は中々手出し出来ずに嘆いていた。

彼等が居る位置から更に南下した所では、車列がバラけてチラホラと襲撃を成功させている野盗パーティも居るとか。


「お、おい!見てみろ!誰かこっちに1人で歩いてくるぞ!」

「おおっ!マジだ!」

「ははっ!天は我等を見放さなかったって訳だ!」


そんな中、薄暗くなった通りを誰かが歩いてくるのを確認し一気に沸き立つ3人。


ザスッ!

「「「え?」」」

バシュッ!

「な『ガンッ!』『ゴンッ!』」
「え『ドゴォッ!』っぶぅ!?」
「『ゴチュッ!』んぴゅっ!」


3人横並びになっていた所、ほぼ同時に何者かに襲われる形となった。

左側に立っていた野盗は下顎に強い衝撃を受けて一瞬地面から足が離れ、直後にこめかみを撃ち抜かれ、そのまま気絶。

真ん中に居た野盗は、何者かの前蹴りが思いっ切り腹部に突き刺さり、そのまま10メル後方に吹き飛ばされてそのまま気絶。

右側に立っていた野盗は、気付いた頃には何者かの肘鉄が顔面に突き刺さり、5メル程吹き飛ばされてそのまま気絶した。


ドサッ!ズガガッ!ズザザァッ!

キンッ…

「よし、奇襲成功。
″ショックムーヴァー″もちゃんと機能してるな。
一応2発叩き込んだけど、この分なら1発でも良いかな。」

(『そうだな、主は顔面強度が高ぇから複数発必要だが、コイツらなら1発で良いだろう。』)

(…何?顔面強度って…)


野盗の真ん前に転移する為にぶん投げた荒鬼神ノ化身を回収しつつ新装備の″指輪(ショックムーヴァー)″の性能を確かめるノア。

どうやら使い勝手が良かった様なので、次なる野盗を懲らしめに向かう。

所なのだがその前に


ギュッ!ギュギュッ!ギュッ!

「ロープで縛って…後はラインハードさんお願いします。」

「はいよー。『バスッ!バスバスッ!(大工が使う釘打ち機みたいなヤツ)』
固定出来たよー。(ラインハード)」

「じゃあ次行きましょう。」

ズズズ…

「はーい。(ラインハード)」


気絶させた野盗達をロープで縛り上げ、ラインハードが近くの木や岩に固定していく。
その後に獣人国から手の空いたハナやサクラ等の騎士達が回収しに来る流れである。


「さて…聞いた話では、近くの村が野盗に占領されたらしいからそこを奪還しに行くか。」

(『まずはその村周辺の野盗を潰していくのが先決だな。』)

(だね。)ダッ!


犬姫騎士団長のハナの話では、大きな野盗の集団が南部にある小さな村を占領したとの事。
なのでノアは、その村を占領していると言う野盗達に奇襲を仕掛けに向かうのであった。





~更に2キロメル程南下したとある村~


ガン…ガァン…

「はっはー!まだどっかで稼いでる奴らが居るみたいだなぁ!
ま、俺らはもう店仕舞いで″この宿″で宴の真っ最中だけどなぁ!」

「おい女共!酒持って来い!
動くんじゃねぇぞお前ら?変な真似すりゃ大事な大事な娘達がどうなるか分かってるよなぁ?」

「「「う、うぅ…」」」


とある村の中央広場には、現在村人約30人が集められ、その周りを武器を手にした野盗達が睨みを利かせて見張っていた。

野盗は全部で35人。
数で言えば村人と大差無いが、彼等の武器となりえる農具等からは大分離されているので、抵抗する事が出来ない状況である。

野盗達は村人を集めた後、見張り役とは別に家屋に侵入して食い物や酒を見付けた後、宴を開き始めた。

このまま勝手に楽しんでくれれば良かったのだが、酒を飲んで酔った輩が村の娘達に酌する様に迫り始めた。

そこからの話の展開は、ご想像通りのモノとなるのが普通であろう。


「むはぁ、はぁ、お前中々可愛いじゃん。
後で俺と遊ぼぅぜぇ…?」

「い、いや!」ダッ!

「だははっ!フラれてやんの!」

「おい逃がすんじゃねぇぞ、ダノパ。
追い掛けて少し″分からせて″やれ。」

「へっへぇ、分かってんじゃん…」


下卑た笑みを浮かべた野盗の1人が逃げ出した村の娘を追い掛け始めた。


「ノルン!逃げるんだ!」

「うっせぇ!黙って座ってろ!」ゴッ!

「ぐぁっ!」


彼女の父だろうか、娘に逃げるよう言った直後野盗に殴られて黙らされてしまった。





~中央広場から3軒程奥にある高床式家屋前~


「はぁ!はぁ!」ズリ…ズリ…

「こんな所に逃げ込んでぇ…
そうか、物陰でヤりたいんだなぁ、恥ずかしがり屋さんめぇ…」


野盗から逃げた娘はとある家屋の下に逃げ込んだが、直ぐに見付かってしまった。

娘は恐怖で上手く足が動かず、尻餅を付いた姿勢のまま下卑た笑みを浮かべる野盗から目を離す事が出来ずにいた。

野盗は屈んで家屋の下に潜り込もうとする。


「…ぃしょっと…なぁ痛くはしな『ガキッ!』っぐぅっ!?」





~中央広場~


ォ″ォ…ォ″ォ…

「ぶふっ!汚ぇ声で喘ぎやがって気持ち悪ぃ!
ま、コレであの娘っ子も″分かった″事だろう。」

「チッ!あの娘俺も手ぇ付けようと思ってたのによ!」

「まぁ良いじゃねぇか、手頃な娘はまだ他にも『ガサガサガサ!』『ドシャッ!』うっ、うわぁっ!?何か落ち…ダ、ダノパァッ!?」


仲間の低い唸り声が聞こえてきたかと思えば、直後に″真っ最中″であろうと思われた仲間が広場に生えていた木の樹上から気絶した状態で降ってきた。

突然の事に騒然とする一同だが、そうやって仲間に目を向けていた僅かな時間に


ヒュパッ…「『ギュンッ!』っぶぅっ!?」

ガシッ!「『グンッ!』っぎゃぁあっ!?」

ガッ!「『ギュゥッ!』っぐげげ…」


背後から首にロープを掛けられて家屋の裏に引き摺り込まれる者や、足を掴まれて悲鳴と共に家屋の下に引き摺り込まれる者。
首を締め上げられてそのまま屋根上に引っ張り上げられてしまう者等も居た。


「うわっ止『ガ『ガンッ!』」
「ぎゃぁあ『ガンッ!』」
「『ガンッ!』待『ガンッ!』『ガ『ガンッ!』」

「何だ!?何が起こった!?おい何とか言え!」


各所から悲鳴が上がるも、あまり聞いた事の無い音と共に仲間の声が途絶えていく。
野盗のリーダーらしき人物が呼び掛けるが、返答は無い。


「おい手前ぇら!今のは何だ!お前らの仲間か!?」

「し、知らない!この村にはその様な「お、おい!出て来た『ガンッ!』」

「んだと!?」


野盗等が村人達に詰問している最中、新たに仲間が襲われた様子。

大慌てで振り返ると、視界一杯に仲間の背中が迫ってきていた。


ドカッ!

「うおっ!?」

ガガンッ!ガンッ!「殺『ドカッ!』ガンッ!ザキュッ!「がぁっ『ゴッ!』ドッドカッ!


気絶した仲間の体が吹っ飛んできて覆い被さってしまう。
その間にも幾人かの仲間の悲鳴が聞こえてくるが、何が起こっているのかは一切分からなかった。


ズリ…

「ど、退けっ!
っ!?…な、何だこりゃあ!?」


覆い被さっていた仲間を退かして状況を確認すると、既に他の仲間も同様に仕留められて地面に転がっていたり、武器を残して姿を消していたりした。

残るはこの野盗ただ1人となった。


チャキ…ガランッ…

「お、おい!何処だ!出てきやがれ!
出てこないと人質が『ジャリ…』っひ!」


仲間が取り落とした剣と盾を手にして謎の存在に叫び掛けると、不意に背後から足音が。

野盗は手にしていた剣を大振りして背後に斬撃を放つ。


ガギィンッ!「ひぃっ!?」

ゴリンッ!ギギギ…


振った剣は、背後に居た謎の存在に″噛み止められ″る。
が、振り下ろされた剣を逆に盾で受け止める事に成功。

したのも束の間


ゴリッ…ゴリリリ…

「ひぃぃあぁぁあっ!何で…斬れ…」


全力で構えているハズの盾が意図も容易く両断されていっている光景に恐怖を覚える野盗だが


にゅ。

「っ!?ゆ、指!?」


斬り開かれていく盾の隙間から2本の指が飛び出してきた。


ガンッ!


そこから強い衝撃が放たれ、野盗の意識は途絶えるのであった。  
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

無能と追放された俺、死にかけて覚醒した古代秘術を極めて最強になる

仲山悠仁
ファンタジー
魔力がすべての世界で、“無能”と烙印を押された少年アレックスは、 成人儀式の日に家族と村から追放されてしまう。 守る者も帰る場所もなく、魔物が徘徊する森へ一人放り出された彼は、 そこで――同じように孤独を抱えた少女と出会う。 フレア。 彼女もまた、居場所を失い、ひとりで生きてきた者だった。 二人の出会いは偶然か、それとも運命か。 無能と呼ばれた少年が秘めていた“本当の力”、 そして世界を蝕む“黒い霧”の謎が、静かに動き始める。 孤独だった二人が、共に歩き出す始まりの物語。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~

かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。  そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。  しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!  命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。  そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。 ――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。

処理中です...