ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~事後処理・決意・旅立ち~

帰るわ。

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~10年以上前、ノア家~ 


「昔々、主神と言われる神様が居りました。
主神はこの世界が形作られた時から存在し、堅い岩の大地を弄って海や山を形成すれば海神や地母神等の神様を配置し、綺麗な空を張り付けたら空神と言う神様に管理等の役割を与えました。
世界に生命の息吹が感じられ、生と死の概念が生まれてくると、時間の神様が新たに生み出されて生きとし生けるものの時間の管理を任される事となりました。
その後も生命が跋扈して生息域を拡大するに従って神様の数もドンドンと増えていきました。(アミスティア)」

「うんうん。」


幼少期の頃のノアは、夕食の後レドリックかアミスティアのどちらかから話される冒険譚を聞くのが楽しみであった。

当時は幼いが故、1人での行動範囲も狭く精々が山1つ分。
両親または近所に住む熊獣人の【樵】のマドリックとなら、山2つ分離れた場所まで散策したり、近くの村でたまに催されるバザーに行く事がある位であった為、時折家を空けて依頼をこなす上級冒険者の両親の話はノアには刺激的なモノと言えた。

本日はいつもの冒険譚とは違い、″神様″の話をし出したが、ノアは食い入る様に聞いていた。


「そんな神様達ですが、あるルールを設けました。
それは″地上との接触を避ける″事でした。(アミスティア)」

「せっしょく…?さわれないの?」

「触れない所か見る事も出来ないし、呼んでも来てくれなかったみたいだぞ?
まぁ【神官】や【巫女】の様な一部の者には″信託″と言った形で接触はあったらしい。
要は特定の者以外とは会わない様にしたのさ。(レドリック)」

「なんでー?」

「ほいほい現れると威厳が無くなり、信仰心が低下する、だとか理由は様々あるらしいが本当の所は分かっていない。(レドリック)」

「へー。」


ノアを膝に乗せてそう説明するレドリック。


「そんなルールを設けて地上を見守っていた神様達ですが、地上では神を騙る者が次々に現れ、ある時地上で大変な戦が起こってしまいました。
それを見た神様達は″もう少し接触を増やして面倒を見よう″と言う事にしました。(アミスティア)」

「ろせんへんこうってやつだね?」

「何処で覚えたんだその言葉?(レドリック)」


数百~数千年前に大戦があったと言われ、その一部が滅びの森にある『廃都』だと言う説がある。


「だけど誰彼構わず接触を増やす訳にもいかないから、またもや神様達はルールを設けました。
″各々の神性に属した功績を挙げた者について接触を行う″事にしました。
要は、山に関する事に対して功績を挙げたら山神と、大地に関する功績を挙げたら地母神と、みたいな感じにね。(アミスティア)」

「おとうさんとおかーさんはあったことあるの?」

「俺は無いかな。(レドリック)」

「私はあるわよ?(アミスティア)」

「え!?なに?なに?なんのかみさま?」


太古に起きた大戦が原因で条件が緩和され、神様と会いやすくなった現代。
自分の母親が神様と会った事があると知り、興奮を抑えきれないノア。


「″死神″よ。(アミスティア)」

「あぁ…」スン…

「何故言い淀む。(レドリック)」


どうやらアミスティアは【殲滅剣士】として多くのモンスターを屠った事で、ある時″死神″が目の前に顕現し、″恩恵″を授けようとしてきたらしい。


「おんけい?」

「そ。スキルの一種みたいなモノから、身体に影響の出るモノまで様々あるみたいだけど、私の場合は″死神″からしか与えられないスキルを授けられる予定だったみたい。(アミスティア)」

「へー…ん?″予定だった″?」

「そうなのよ。
私初めて″死神″に会った時モンスターの大群のボスか何かと勘違いして眷属諸とも斬り掛かっちゃったのよぉ~。(アミスティア)」

「あぁ…」

「だから何故言い淀む…いや、分かるけども…(レドリック)」


″死神″と初対面時の事をケラケラと話すアミスティア。
ノア自身も引く程暴れ回っていた母親の姿を容易に想像出来、妙に納得してしまったのだった。


「そ、それじゃあおかーさんは″おんけい″はもらってないの?」

「そうねぇ、合計で4回会ったんだけどその内3回は戦場で3回共斬り掛かっちゃって、4回目は平時だったんだけどその時にはノアちゃんを身籠ってたからお引き取り願ったのよ。(アミスティア)」

「わ、わー…さすがおかーさんだね(?)。」


兎に角、″神様″という存在に出会う事自体が珍しい事で、授けられる″恩恵″は強力だったり奇跡に近いモノが多いらしい。


「ぼくも″かみさま″にあえるかなぁ?」

「そうねぇ、良い子に育ってくれたら会えるかも知れないわねぇ。(アミスティア)」

「ははは、ノアなら何かしらの神様に会えるさ。(レドリック)」





~現在~


「ノアちゃん…″神様″にはもう出会った…?(アミスティア)」

「…は?か…み様…?…いや…会ってない…よ…
どうして…?」

「…そぅ…ふふ、らしくないわね神頼みなんて。
ノアちゃんなら何かしらの神様に会って何かしらの恩恵を貰ってると良いな、って思っただけよ…(アミスティア)」

「高位の神様の中には医学に精通している″医神″だったり、不老不死とまではいかないが、功績に応じて寿命を少し延ばしてくれる″歳神″なんてのもいるらしいからな。
まぁどれ程の功績を挙げたら現れるか、なんてのも分かっていないから居るかどうかも怪しいがな…(レドリック)」


ノアの返事を聞いて「そりゃそうか」とでも言いたげな表情のアミスティア。
ただいつもより少し暗い表情だったので少なからず期待はしていた様である。


「ふふ、ごめんなさいね。
さ、暗い話はここまでにしてさっさと食べちゃいましょ。
本来は『″祝″ノアちゃんの初キッス記念パーティ』なんだからね。(アミスティア)」
 
「ちょ…」

「そうそう、『″祝″ノアちゃんの初キッス記念パーティ』だもんな。(レドリック)」

「こ、声を大にして言わなくて良いから…」


その後、いつもの調子を取り戻した両親からカマを掛けられ口を滑らせる事はあったが、数ヵ月ぶりとなる家族団欒を過ごす事になった。

気付けば4時間以上が経過していた。





~大通り~


「はぁ…食べも食べたし色々と話せたし満足満足…」

「それじゃあノアちゃん、私達はもう帰るわね?(アミスティア)」
「じゃあなノア。これからまた頑張れよ。(レドリック)」

「え!?早っ!
もっとゆっくりしていかないの!?」


満足げにお腹を擦るノアを尻目に両親は直帰の構えを見せている。


「元々ここにはミユキちゃんを連れてくるのが目的で、ナサケに言って保護して貰える様に言っといたから目的はもう達している。(レドリック)」

「え?いつの間に…」

「それに今日ノアちゃんとはゆっくり出来たし私達としても満足よ。
これ以上長居したら留守をお願いしているマドリック(熊獣人)にブツブツ言われちゃうわ。(アミスティア)」


獣人国に来る際に連れてきた【勇者】のミユキは、ノアが寝込んでいる間に王都諜報員のナサケに言って保護を掛け、新たな身分を授け、同郷の悠と共に暫くは身を隠すらしい。


「人の事を気にする前に自分の事気にしなさいな。(アミスティア)」

「へ?」

「次家に帰ってくる時は(アミスティア)」
「嬉しい報告待ってっぞぉ?(レドリック)」

「き、気が早いって!ほら帰った帰った!」


ノアは再び顔を赤らめ、両親を帰そうと手をブンブンと振る。
対する両親は、ニマニマしながらもそそくさと村への帰路に着くのであった。
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