ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~事後処理・決意・旅立ち~

式典以来の再訪

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 ~獣人国を出て30分程の通り・スロア領方面~ 


「うりうり~。ノア君あんなに長時間クロラさん達と″ナニ″してたんですかぁ~あ?(ラインハード)」

「い、いや、クロラさんやポーラとはほんの10分位街をさ、散策していただけで、後は父さん母さんと食事してただけ…」

「そうですよハーちゃん。
ノア様はそんな性欲に任せた行動は取りませんよ。(ヴァンディット)」

「ん?そ、そうそう…」

「…でもノア様も1人の男の子…いや″雄″!「ん?」後日お互い離れ離れになる事を考えれば万が一…いや、百に一間違いを起こしたとしても誰も責められ「妄想を捗らせないで!てか確率上がってんじゃん!」


近い内に獣人国を発つつもりのノアは、スロア領へと挨拶回りに向かう道中、クロラ達に手を引かれて長時間席を外していた事に対するノアへ、女性陣からの質問が行われていた。

ラインハードは肘でノアを小突き、姉が弟の恋愛事情を探る時のムーブで質問し、冷静を装っているヴァンディットだが、脳内では少しピンクがかった妄想が繰り広げられている様子である。

女性陣は恋愛話がお好きなご様子であった。


(『ほーん、その割にいつも行っている記憶の共有を最初の30分だけ完全にシャットアウトしてんじゃーん?
何か見られたらマズイものでもあるんかなー?』)

(な、無いよ…?
だから本気出してジリジリと記憶に侵食してくるのヤメテ…)


主であるノアの抵抗に、中でニヤニヤしながら鎮座している鬼神は色々察して攻勢を仕掛けていた。

が、少しして鬼神含めた一同は「良かったじゃん」と細やかな祝福をノアに告げて落ち着くのだった。





(『…にしても、親御さんに言わなかったんだな、″神様″に会った事。』) 

(…うん、その方が良いと思って…)

(『まぁ主が決める事だとは思うが、俺としても賛成だな。
だか、それを何処からか聞いた″神様″はどう出てくるかねぇ…』)

(そうだねぇ…)


両親の前では″神様とは会ってない″と言ったノアに、何かしら接触してくる事は必至だろう。

と、そんな事を考えているノアに


「ねぇねぇ、スロア領ってノア君達がヒュマノから救い出した子供達が居る所なんだよね?(ラインハード)」

「えぇそうですよ…
あ、そうか、ラインハードさんはまだあの時は居なかったですものね。」

「そうだね。
その時はまだ私、ダンジィョォンのぉ~ぬぅあ~くぁ~…」

「ん?ラインハードさん…?」

(『噂をすれば何とやらだな。』)


突然ラインハードの動きが緩慢なものとなり、声が異様に間延びし出す。
隣を歩いているヴァンディットを見てみると、同様に緩慢な動作となり、遂にはそのまま停止してしまった。

この様な現象はもう何度目になるか分からないが、ノアの良く知る″神様″が現れる際の前兆であった。


ポン。

″ねぇノア君?私達何度か会ってるハズなのに″会ってない″ってのはどういう事?(暦)″

(『ほら来た。』)

「あー…さっきのアレはですね…」


相変わらず目映い光を発しながらノアの背後から現れた″暦″。
表情は窺えないが、見えていればジト目をしている事だろう。

そんな″暦″に釈明しようとするノアだが


″暦よ。もしやおヌシ、″神″として認識されとらんのじゃないか?
確か初対面の際はこの少年は抜刀したらしいではないか。(海神(ワダツミ))″

「うぉっ!誰…!?あ…この間の…」


これまた目映い光を放ちながら現れた男性。
音も気配も無く突然現れたので思わず声をあげてしまった。

発光具合と口調からして老齢の神様の様で、式典の際にちょろっとだけ話したのでボンヤリと覚えていた。


″良いかい少年?
″神様″に会えるのは滅多に無い事だから嘘を吐くのは良くないと思うよ?
特に実の両親にはね。(地母神ドーラ)″

(『あ、″デケェ″奴だ。』)

(シッ。言わないの!)


これまた式典で出会った3人目の″神様″で、この人は直ぐに分かった。
何せ目映い光を放ちながらも体の一部分がとても大きいので印象には直ぐに残ったからである。

何処とは言わないが。





″御前試合以来じゃな若いの。
儂は″海の神、海神(ワダツミ)″、あの時は時間が無かった故、礼も言えなかったな。
海洋種の為に尽力してくれて感謝する。
その功績を讃えておヌシに何か礼をしたいと思い再訪したのじゃ。(海神)″

「はぁ…」

″そして私は″地母神ドーラ″。
海神とある意味対を為す″大地の神様″よ。
この間言えなかった日頃のお礼に来た訳よ。(地母神ドーラ)″

「お礼…?はぁ…」

″それでこっちの輪郭だけじゃ男か女かも定かじゃない″ただ光ってる人″。
実は″暦の神様″で″暦″って言うの。仲良くして貰えないかなぁ?(地母神ドーラ)″

″ちょおいドーラ!
中々お友達が出来ない息子の為に他の子供の輪に入れようとする母親ムーブをするなぁ!
私はこれでも貴女と近い原初神なんですよぉっ!(暦)″

″″暦″はのぅ、おヌシの様な少年の人生全てを認知しているエグい能力を持ってはいるが、そこそこ良い奴なんじゃ、悪く思わんでくれ。(海神)″

″悪意のある紹介をするんじゃあない!
″暦″を司っているのだから仕方無いでしょう!
てか″そこそこ″ってなんだ!″そこそこ″ってぇ!(暦)″


ストンの暦をからかう(?)様にボインのドーラと老齢の海神がやいやいと紹介を行う。

暦は先程の発言について確認しに来た様で、他2人は礼を言いに来たらしい。

だが海神はまだ分かる。
海洋種の事に関する事は明白だが、地母神ドーラの方は理由が分からない。

また本人の知らぬ所で何かに関わっていたのかも知れないので、ノアは思い切って聞いてみる事にした。


「あのー…暦さんと海神(ワダツミ)さんは僕に会いに来た理由は分かるのですが、ドーラさん?は何故僕に…?」

″ん?あ、そうだったそうだった、まだ訳を話していなかったわね。
私の場合、君と言うより君の契約獣である″餓龍王グリード″にお礼を良いに来たのよ。(地母神ドーラ)″

「グリードに?」

ズボッ。〔呼びましたか主様?〕


ノアがグリードの名前を呼ぶと地面から龍形態のグリードが頭を出した。
時間が止まった世界の中で、グリードもノア同様自由に動ける様だ。


〔ん?あれ?何で皆止まってるのです?〕

(あれ?グリードは初対面だっけ?)

〔…そう…コイツらが皆を…?〕グルルルルルルルルル…

″ああああ!待って待って待って待って!君はシャレにならない!
少年!早く!早くこの子を止めてぇ!(地母神ドーラ)″

〔″この子″ぉ?
随分馴れ馴れしいじゃないのあなた。
何様のつもりよ。〕

グォオオオオオオオオッ!

″ぎゃぁあああああ!(地母神ドーラ)″


勿論ノアは止めに入ったし、地母神ドーラは甘噛み程度で済んだ。
だが地母神ドーラは目映い光で表情こそ窺えないものの半泣きであった。

その後ノアの方からグリードに説明をして何とかその場は収まった。

ちなみにグリードに地母神ドーラの″味″を聞いてみた所、″とても美味しかった″との事らしい。
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