ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
821 / 1,124
獣人国編~事後処理・決意・旅立ち~

挨拶回りその2

しおりを挟む
~スロア領・裏門~


チリチリチリ…

「ノア殿?私をお忘れではないですかな?(クリストフ)」

「え?今後もここでデミさんに仕えるんじゃないの?」

「それは私の分体達が務めましょう。
私の主人は元よりノア殿に有らせられますぞ。(クリストフ)」

「それじゃあ今後ともよろしく。」

「畏まりました。
はい、焼きエリンギになります。(クリストフ)」


スロア領を出ようとすると、両手に焼きエリンギ数本を持ったつかえるキノコのクリストフが追い掛けて来た。

デミや領民達、子供獣人達と思いっ切り馴染んでいたのでてっきり永住するものと思っていたのだが、クリストフも今後の旅に同行するらしい。

後でクラン『きじん』に追加登録しなければならないな、と思いつつ次の訪問先へ行く事にする。





ムグムグ…

「さてと、次はリヴァイアさんの所に行こうと思ったんだけど、どう行こう…」

「以前頂いた転移符はもう無いのですか?(ヴァンディット)」

「うーん…式典前にちょくちょく通ってたから使い果たしちゃったんだよね…」

ムグムグ…

〔私が穴掘って下まで通しましょうか?〕

「いやぁ…あそこ、信じられない位深いんだよ…?
1回落ちた事あるけど、正直勘弁して…」


海洋種と出会う切っ掛けとなった王都の鉱山で、ノアは昇降機ごと落下したのを経験してから真っ暗な縦穴に少し抵抗感があるのだ。


「仕方無い、一旦獣人国に戻ってダンジョン経由で向かうとするか…」

「ならば善は急げですな。(クリストフ)」


と、一行が獣人国へと戻ろうとした時だった。


『『『ブゥンッ!』』』

ズボッ!「へぶっ!?」

ズボッ!「ぬおっ!?(クリストフ)」

スボンッ!「わひゃっ!?(ラインハード)」


突然周囲の空間が歪んだかと思うと、足下が砂地に変わり、足を取られたノアは顔から砂に突っ込み、勇み足になっていたクリストフと、機械のボディを持ち意外と重量があるラインハードが腰の辺りまで砂に埋もれてしまったのだった。





サク…サク…

「いやー、ノア君がそろそろ獣人国を発つと小耳に挟んで、1度は来るだろうとヤマ張って待ってたのさー…って、大丈夫?(リヴァイア)」

「よいしょ。『ズボッ!』だ、大丈夫です…」


リヴァイアの視界には、腰まで埋まったラインハードを引っこ抜くノアと、砂地から人間サイズのエリンギが生えている様にしか見えない光景が広まっていた。





~龍宮城内・中央区画~


「「「おおーっ、綺麗ーっ!」ですなー。」」


龍宮城内に通された一行は、中央区画を通り、リヴァイアの私室へと向かう途中であった。

中央区画は高さ1000メル以上の吹き抜けになっており、そこを数百を越える人魚が往来。

照明代わりの光の筋を発する像が立ち、吹き抜け内を目映く照らしていた。

その光が各々の鱗に反射し、何とも幻想的な光景が広がっていた。


「【鬼神】君お疲れ様ー!」
「エルダークラーケン様との試合凄かったわ!」
「「地上との架け橋になってくれてありがとー!」」
「軟体族の代表として礼を…」
「「「握手して下さい!」」」

「ど、どーも…」


現在ノアは、水族館でエサを持ったダイバーの如く全方位から人魚やその他種族が群がって来ていた。

するとそこに


「ほらほら、お客人が困っているだろう、歓待は後にしなさい。(クラーケン)」

「「「「「「はーい。」」」」」」

「あ、クラーケンさん。」


御前試合でノアと戦ったエルダークラーケンの息子であるクラーケンが<人化>形態で割って入ってきた。

すると蜘蛛の子を散らす様に集まっていた人魚達が散っていった。


「10日振りだな。息災か?(クラーケン)」

「えぇ、もう万全ですよ。」

「すまないな、歓待の宴は用意してたんだが、本人が来て抑えが利かなくなってしまったらしい。(クラーケン)」

「別に気にしないで下さい。
それよりもエルダークラーケンさんの方は大丈夫ですか?
相当な大怪我だったハズですが…」

「<人化>形態であればそう見えるだろうが、元の姿で見たらビー玉程の穴が空いた程度。
今はもう完治して肩慣らしに海溝のモンスターを蹴散らしている事だろうさ。(クラーケン)」

「ははは…元気な方ですね…」

「良く言うよ。
<人化>形態とは言え、″〔久々に滾る戦いであった〕″って何度も口に出していたんだぜ?
戦闘狂の親父が。
どうだい?海洋最強種みたく『国賓最強種』と言う肩書きを持ってみては。(クラーケン)」

「いやー…追々戦闘を吹っ掛けられそうな気がするので辞退させて


″称号『国賓最強種』を獲得致しました。″


…貰いますん…」

「…何だ?今の間は?(クラーケン)」


クラーケンからの提案を断るよりも早く頭の中に誰かの″声″が響き、新たに称号が追加された。

恐らく後で冒険者ギルドに向かえば更新されると思われる。

その後、リヴァイアの私室へと向かった一行だが、入室の直前に何故か「ノア君達から入って行って」と言われ、少し困惑するノア。

取り敢えず言われた通りにノアを先頭として入室する事に。

すると


ガチャ…

「…え?どういう事…?」

「「ふぉおおおお…(ラインハードとヴァンディット)」」

「おー、これは美しい…(クリストフ)」

〔なる程、先程言っていた″歓待″とはこの事でしたのね。〕


リヴァイアの私室は、通常形態のクラーケンがすっぽりと入る程の大きさ(大体縦横500メル以上)な上、高耐圧性の全面ガラス張りである。

海底全体に光が満ちていれば、遥か遠方まで見渡せる事だろう。

そんなガラス張りの部屋の外、つまり深海には光る海草や魚がいつも以上に遊泳。

更に龍宮城で暮らす全ての人魚、各種族の海洋種、山の様に大きな最強種等がこの地に集まって一行に手を振っていた。

その遥か遠方にはシルエットしか確認で来なかったが、エルダークラーケンと思しき存在がこちらを眺めている様であった。


「みーんな君達に感謝しているのさ。
だけど大きさ的に龍宮城内に入れない種族も居るからこういう形を取らせて貰った。
皆君を見送りたかったけど難しいので、これを君達の壮行会の宴としたのさ。(リヴァイア)」


幻想的な光景を見詰め暫し経った頃、宴らしく豪華絢爛な料理や人魚達の美麗な舞、各種族からの挨拶等が行われ、あっという間に時間が過ぎていった。

恐らくノアの生涯で最も心に残るモノとなっただろう。





~おまけ・宴がお開きになった直後~


「あ、そうだノア君にこれをあげよう。
何かの役に立ってくれると良いんだけど。(リヴァイア)」スッ…

「…何ですかコレ…?
見た所、黒い筒に何かのボタンが付いてるだけに見えますが…?」


帰りがけにノアはリヴァイアから試験管程の筒にボタンが付いた魔導具の様な物を貰う。
だが見た目だけでは用途が分からないので、この魔導具の事を聞いてみると


「これはね~、『たまてばこ』って言うんだ。(リヴァイア)」
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...