ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

ゆっくりする為にゆっくりしましょ。

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「えっと…?
つまりノアはこの街の領主の娘さんを保護して安全に連れてきて、その礼として高級宿に泊まってたと。
そしてキノコさん(クリストフ)と領主さん達が黒幕の下に向かって制裁を加え、たった今戻ってきた所という…(マール)」

「おお!流石ノア殿の同郷の方々! 
2、3話しただけで理解するとは中々聡ぅ御座いますな!(クリストフ)」ズイッ。

「わー!急に寄らないで!まだ慣れてないんだから!(ミイ)」

『『キャインキャイン!』』(怯える相棒達。)

(これ、着ぐるみとかじゃないよな…
さっき握手した感じ完全にキノコだったし…(タク))


ファマスと共に走って帰還したクリストフはノア達と合流し、3人に自己紹介と状況説明を実施。
 
ちなみに現在ノアの姿はここには無い。
先程帰還したファマスに呼ばれ、屋敷の方へと向かっていったからだ。

大方ロウバンドへの制裁と事の顛末を報告する為であり、女性陣を連れて行かなかったのは血生臭い話も絡んでいたからだと思われる。


「あの…どうですかノアは?
日頃から精神的に参っていたり、心労とかって…(マール)」

「もしや、ノア殿の体調の事を言っておられるのですかな?
実は1週間程前別の街にて悪霊と対峙する事がありましてな、その際に悪夢…本人が言う所のトラウマを見させられたらしいのです。
元からあまり寝ない方でしたが、その日を境に輪を掛けて寝なくなり、ああいった状態になってしまったのですぞ。(クリストフ)」

「あぁ…(ミイ)」


紹介が一段落ついた後にマールが恐る恐るといった様子で問い掛けてきた。
やはりと言うべきか、ノアの様子を気に掛けている感じであった。


「あの、実はあっちの方でノア君のトラウマを癒そうと思っています…
良ければ、ノア君の事を聞かせて欲しいっちゃが…(ミダレ)」

「…トラウマを癒す…?(ミイ)」

《夢魔であるボクと主人のミダレが契約者様の夢の中に入って、トラウマとなっている原因をボクの方で食べちゃおうと思ってる。》

「…そんな事が出来るのか…?(タク)」

《実戦は初めてだけど可能ではあるよ。》


ノアの話となったので、ここでミダレからノアのトラウマ解消について話題を切り替える。
3人はそんな事が可能なのかと半信半疑な様子である。


「″原因″か…
多分″あの時″だよな…?(タク)」

「「うん…」」

「っ!何か知ってるっちゃが!?(ミダレ)」


同郷の3人はノアがトラウマとなっている悪夢。
その中の″原因″について心当たりがある様子。


「…知ってるは知ってる。
だけど聞くのと実際に見るのとじゃ悲惨さは全然違うと思うから覚悟はして下さいね。(マール)」

「今のノアしか知らないと、多分ショックを受けると思うよ。(ミイ)」

「はい、それ相応の覚悟はあるっちゃ。(ミダレ)」


3人は不安そうな表情でミダレに念押しをする。
当時のノアはそれ程までな状況であると思われた。


「…当時のノアはね…(マール)」











タッタッタッ…

「待たせてごめん。」

「そんな事御座いませんよ、お帰りなさいませ。(ヴァンディット)」

「ちなみにどんな事言われたの?(ラインハード)」

「まぁ黒幕だったロウバンドの処分と罰、シトラちゃんやこの件に関する事のお礼。
言葉だけじゃ無くて報酬という形で提示してきたけどやんわり断ってきた。」

「へー、ファマスさんよくそれで納得してくれたね。(ラインハード)」

「…いや、僕の表情を見て、「確かにノア殿に今必要なのは休息ですな、何も無い街ですがゆっくりとして下され」って逆に気を使われてしまったよ…」

「「「そりゃそうだ。」」」


ファマスとの話を終えたノアが屋敷の方から小走りで戻ってきた。
娘の事やら黒幕への報復等の殆どの事にノアとその仲間達が絡んでいた為、ファマスからは感謝と共に金銭でのお礼を所望してきた。

だがノアは感謝だけで十分と、金銭でのお礼はやんわりと断った。
それに対して食い下がろうとしたファマスであったが、ノアの目の隈を見て余計な引き延ばしは宜しくないと敢えて引き下がってくれたのだった。





「それじゃあのんびりと街を散策…」

「寝ろよ。(タク)」
「聞いたわよ、彼女さんがノアの力になってくれるんでしょ?(マール)」

「ほら、ノア。『ポイッ。』(ミイ)」

「『パシッ。』え、何?」


ファマスからも『ゆっくり』しろと言われているにも関わらず、街を散策しようとしたノアにツッコミを入れる3人。

何故かミイは手に持っていたパンの食い掛けをノアへと投げ、ノアはそれを掴む。


「ん。(ミイ)」グイ。(パンを掴んだ方の手首を掴んで持ち上げる。)

「え?…あっ!?」ガクンッ!

「レトリー、コーギー、ノアを引き摺って宿まで運ぼうか。(ミイ)」

ウォン。(レトリー)
わぅ。(コーギー)

『『ズルズル…』』(防具の端を咥えて引き摺る。)

「わ!や、やりやがったなミイ!」

「クリストフさん、良い?
今の様にやると″協力関係と判定されて簡単に弱体化出来る″の。
ノアに関して、こうすると大人しくなるから覚えとくと良いよ。(マール)」

「「「「なる程。」」」」メモメモ…

「ちょ、皆覚えなくて良いからね!」


どうやら一連の行動で、″ミイと一緒にパンを持ち上げた″と判定され、弱体化して体から力が抜けるノア。

【ソロ】という適正を知っている同郷故の手慣れた犯行と言えた。


「おいノア。昔に比べたら大分マシになったとはいえ、仲間や彼女さんが心配してるんだぞ?
そこら辺汲んでやっても良いんじゃないか?(小声のタク)」

「う、うぅ…」


ノア自身トラウマについて解消したいと思っているし、ミダレからの治療を受ける意思はある。

が、やはりノアにとっては夢を見て眠らなければならないのが、そこそこハードルが高いらしい。


「わ、分かった…
ただ、眠った後の事は自制が効かないかも知れないから、意思に反して起きてしまうのは許してくれ…な?」

「う、うん。
なるべくノア君に負荷を与えない様にするから。(ミダレ)」

《それでなんだけど、治療中はボクと主人、契約者様とクリストフさんだけにして欲しい。
精神的に夢に介入するから、周りに人が多いと介入し辛くなる。
クリストフさんはキノコだからその心配が無いのと、少しでも深く眠れる様に睡眠効果のある胞子を撒いて欲しい。》

「了解した。(クリストフ)」


ノアとミダレを除く女性陣から了承を貰い、漸くトラウマ解消への準備を進める事となった。
弱体化状態のノアはくるりと反転して宿の方へと向かっていった。
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