ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

旅の同行者○ ハーレム✕

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ダダダダダダッ!

「ぅおおおーい!避けんじゃねぇーぞぉーノアーっ!(タク)」

「逃げる訳無いだろ!来いよタク!」

「<シールドアサルト>!(タク)」ドンッ!

「君達ちょっとゴメンよ。」
クゥン。(レトリー)
わふ。(コーギー)


ヒーターシールドを両手持ちしてノアへと突撃を開始したタクに対し、ジャレついてきた2頭を一旦引き離し、左手を前に掲げた。


『『ドズンッ!』』

「うぉっ!?…相変わらず岩みたいに動かないな!(タク)」

「お、重っ。力増した?」


<シールドアサルト>で突撃してきたタクはノアの左手でビタ止めされ、軽く宙に浮く。
前にも似た状況があったのだろう、タクは歯噛みしていた。


タッタッタッ…

「はぁ、はぁ…うわー、ビタ止まりじゃん。
タク村出てからパワー増したのにねぇ。(マール)」

「ってかノア全く鈍って無いじゃん…
流石【鬼神】って感じ。
『のんびりやる』っつって、今年の村のメンツで最速で頭角を現すだけあるよ。(ミイ)」


へとへとな様子で漸くこの場に辿り着いたマールはミイと合流。
ノアが【鬼神】と言う二つ名持ちなのは知っている様子であった。





「久し振りだなタク、皆。」

「元気にしてたか、ノア。
噂は聞いてっぞ、方々で色々と活躍してるらしいじゃん。(タク)」

「『冒険者になったらのんびりしたい。』
何て言ってたのは何処の誰だったっけ?(マール)」

「噂だけならまるっきり逆の道進んでんじゃん。(ミイ)」

「うん…全くその通りで反論も出来ないよ…」


武装を解除し、お互いに顔を見合わせて4ヶ月振り(何なら1話振り)の再会を讃え合った。


「と言うか、3人共出立した頃に組んだパーティ編成のままなんだね?」

「いや?何回か人入れて4~5人組パーティになったりしたんだけど、他の村ではウチらの村みたくみっちり訓練してこなかったからか、着いて来れずにごめんなさい、って事になったわ。(ミイ)」

「『何で半日近く戦闘出来るんだ?』
『3時間ぶっ通しで走って息切れしないのはおかしい。』
『このパーティに居たら体を壊してしまう。』
って、捨てゼリフ吐いて皆抜けて行ってこの3人に落ち着いたって訳よ。(マール)」

「…俺達の村、普通じゃなかったんだな…(苦笑いのタク)」

「「「ははは…(苦笑い)」」」


同郷同士だから分かる中と外との差異に、4人は苦笑いを上げる事しか出来なかった。





「…と、すまんタク、今依頼の途中だった。
大体依頼内容は達成したから一旦報告に行くとするよ。」


「「気にしなくて良いよー。(気を遣うバーナードとシルファー)」」


「そういや俺達も街に来たばかりで宿すら決まってなかったんだ。
何処の宿に停まってるんだ?俺達もそこの宿にしようと思ってるんだが。(タク)」

「実は今訳あって高級宿に停まってるんだ。」

「あら、高級宿?どれ位の?(マール)」

「1泊20。」

「「「え?」」」
 
「1泊20。」

「「「お、ふーん…」」」


流石に3人の財布的に厳しかったらしく、同じ宿に宿泊というのは断念する事になった。


「それじゃあさノア、明日予定空いてる?
街をぶらつきながら話しようよ。(ミイ)」

「あぁ、良いけど、″皆″に聞いてからでも良いかな?」

「「「皆?」」」

「あ、今僕と一緒に旅してる人達が居るんだ。」

「「「嘘ぉっ!?」」」


同郷の3人はノアが【ソロ】である事も知っているし、協力・共闘関係を持つと弱体化する事も知っているので、旅の同行者が居る事に本日一番驚いていた。





~冒険者ギルドに報告後~


「「またよろしく~。(バーナードとシルファー)」」

「はーい。」

「…なぁノア?本当に同行者居るの?(タク)」

「あぁ、居るよ。
…あ、そうか、言っておくけど基本的に戦闘は僕がやってるだけで、同行者の彼女達は非戦闘職だよ。」

「「「あ、なーんだ。…ん?″彼女達″…?」」」

「え?あ…」





~翌日の昼頃・高級宿『羊の数え歌』前~


「えーっと、こちらが同行者の1人、吸血鬼のヴァンディットさん。」

「初めまして、ヴァンディットです。(ヴァンディット)」

「こちらが2人目、見た目は普通の少女だけど、機械の体を持つラインハードさん。」

「よろろ~。
色々あって旅に同行してまーす。(ラインハード)」

「この子は商人見習い(メルカドール)として僕のクランで一時的に預かっている女の子のミリアちゃん。」

「ミリアです。
ノアさんには幾度かお世話になっていて、その縁で同行させて貰っています。(ミリア)」

「そして今の所最後になるけど、こちらの女性は彼女の1人、サキュバスのミダレさんとその遣い魔のイスクリード。」

「は、初めまして、ノア君とお付き合いさせて貰っていますミダレと言います。(ミダレ)」

《イスクリードだよー。よろしくねー。》


夜が明け、朝日が昇り街に人々が溢れ、各所から活気のある声と糸車の心地好い音が鳴り響くアルゴダの街のとある一画、3人に伝えた高級宿『羊の数え歌』前ではノア達一行が待機し、同郷の3人組パーティと合流した。

ちなみに前夜、ノアのトラウマを解消しようと躍起になっていたミダレだが、ノアの帰りが遅く、用意された部屋のベッドが心地好すぎたというのもあっていつの間にかグッスリと眠ってしまったのだった。

昼近くになって気持ち良く起床したミダレを、目の下に隈を付けたノアが笑みを浮かべて迎えてくれた時は、枕を頭に抱えて再びベッドに潜り込んでしまったと言う。

そんなこんなありつつ、ノアから会わせたい人達が居ると言うので、クランの皆を連れて高級宿『羊の数え歌』前に集合した訳である。


「「「わー!凄ぇー!ハーレムだー!」」」

「ちょ、おいバカ止めろ!そういう集まりじゃないんだって!」


この場に居ないクリストフを除けば、ノア以外美女と美少女しか居ない為、ハーレムと思われても仕方の無い事と言えよう。


「…ノア、良いんだよ隠さなくても。
昔大変だったもんな、今を謳歌しているみたいで俺は嬉しいよ。(温かい目のタク)」

「隠してないし、ハーレムでは無い!
それと生温かい目を向けるなタク!」


「そっか、ノアの夢って″のんびり『彼女達と』過ごす″事だったんだね、おめでとう。(マール)」

「おいおい付け足すな!付け足すな!
勝手に僕の夢を改変すんな!」


「吸血鬼に機械(?)にサキュバス…?
何?種族全制覇目指すの?巨人族の居る所教えようか?(ミイ)」

「勝手にそんな野望を作るな!
っていうかハーレムじゃないぞ!イスクリードはオスだし!」

《あ、ボク夢魔だからオス・メスの概念無いよ?》

「ちょおい!
ここに来て梯子外さないでくれ!」


どう足掻いてもハーレムと言う認識が変わりそうに無い状況に陥りそうだったのだが、ここで


『『『『ダカダッ!ダカダッ!ダカダッ!ダカダッ!』』』』

「ファマス殿のお帰りだ!門を開けよ!(門兵1)」
「良くぞご無事で!(門兵2)」

「【鬼神】殿の従者、クリストフ殿のお陰だ!
大きな混乱も無く話が決着したのだ!(ファマス)」

「ははは!お世辞が御上手ですなファマス殿!
シトラ嬢を思うファマス殿の想いが天に通じただけで御座いますぞ!(クリストフ)」


ロウバンドに制裁をしに向かっていたファマスとその兵達、クリストフ達が丁度街に帰還したのであった。





「あ、あのキノコが最後のクランメンバーのクリストフだよ。」

(((何っ…あの…何っ…))) 


人間サイズのエリンギ、クリストフがクランメンバーだと聞かされた同郷3人組は、この集まりがハーレムでは無いと信じる事となった。
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