ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~万死一生~

反撃の狼煙?

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~塹壕内~


シュルシュル、ギュギギ!(特製の包帯を右腕に巻く)

「一先ず応急的ですがここまでとしましょう。
足の方は軽傷ですので軟膏を塗る程度に留めましたが、それでもこの後は安静に努めて下さいまし。(ヴァンディット)」

「う、うん…
そういえばクリストフ、さっき包帯巻く前に一体何を振り掛けたの?」

「あれは『ミナギリクスダケ』という色々と活性化させる効果のあるキノコを薬研で粉末状にした物ですぞ。
ノア殿の右腕の肌は殆んど焼け爛れてしまっており、新しい皮膚で覆うとなれば幾ばくかの時間を擁す。
それを少しでも短縮させる為に振り掛けさせて頂きましたぞ。(クリストフ)」

「そうか。ありがとうな。」


塹壕内で治療中のノアに、特製薬効成分含有の包帯を重症な右腕と右太腿に巻かれ、漸く立ち上がる事が出来た。

そして一時的に目が開かなくなっていたノアの目であるが、先程愛猫のニャーゴがペロペロと焼けた箇所を舐めて程よく溶かしてくれたお陰で開く事が出来た。

ちなみに視力の方に全く問題無かったのは何とも嬉しい限りである。


「それにしても、それ程酷い火傷を受けるとは一体何に遭遇したんだ?(レドリック)」

「例の召喚獣では無いのですよな?(クリストフ)」

「うん、それは勿論だよ。
僕を焼いたのは繭の中に1匹だけ居た中型の『蝶』だった。
光輝いててそれ以外の特徴らしい特徴は分からなかったけど…」

「『蝶』、『蝶』ねぇ…(アミスティア)」

「『デザートバタフライ』、『火口蝶』なんかを思い付くが、耐性を貫通する程の熱を発する個体では無いしなぁ…(レドリック)」


ノアが巨大な繭内部で出会した『蝶』について話すも、レドリックやアミスティアには思い当たるモンスターは居ない様子であった。


「しかし流石にノア殿の召喚獣が放たれた、あの熱波には焼かれたのではないでしょうか?
巨大な繭のみならず、周囲に居たモンスター群を纏めて灰塵と化したのですぞ?(クリストフ)」

「そうだと良いな。
正直な話、こんな怪我を負わしやがったあのモンスターとは戦いたくないからね。」


『ゾクッ…』(悪寒)


バッ!(ノア)
ババッ!(レドリックとアミスティア)

「ヒャッ!?(ミダレ)」

「何ですかなっ!今の嫌な気配は!(クリストフ)」


突如最前線の方に向かってノアとレドリック、アミスティア、クリストフが一斉に視線を向ける。

感知スキルなのか何なのかは知らないが、表情から鑑みるにただ事で無い事は確かである。


「…この感じ…奴だ!」

ダンッ!


ノアは自前のスキル<虫の知らせ>により嫌な予感を感じ取り、その正体が″奴″であると察しその場から駆け出す。




「ブラッツ、『血縫い』。(ヴァンディット)」

ウォンッ。『『バシンッ!』』(足を地面に固定)


「「待てぃ。(レドリックとアミスティア)」」

『『ガシッ。』』(襟首を掴む。)


「だと思いましたぞ。(クリストフ)」

むんず。(腰のベルトを掴む)


「ダメーっ!(ミダレ)」

ぎゅ。(後ろから羽交い締め)


「あ、しまった!」


この場に居た全員がノアの行動を読んでおり、全員が全員思い思いの方法でノアを拘束。

ノア自身はほぼ無意識に体が反応してしまった様で、全員に掴まれて我に返っていた。





チャキ…

「クリストフ君?
ちょっとノアちぁんを″絶対安静″にしてから向かうから先に行っててくれない?(アミスティア)」

「え、ちょ…」

「イエス!マム!(クリストフ)」

ダッ!

「あ!待ってクリストフ、助」


″絶対安静″を言い付けられていたのに無意識に飛び出して行こうとしたノアに、両親は″絶対安静″を施す為に抜刀。

気圧されたクリストフは助けを乞う主君を置いて脱兎の如く最前線へと駆けていくのだった。





~そして今に至る~


「『避雷陣』っ!(クリストフ)」


『『ボコボコボコッ!』』『『モコモコッ!』』『『『ボコッ!』』』『『『ズモモモモモッ!』』』(地面から大木の様なキノコ群)

『『『『ズババババババババババババババ…』』』』(キノコ群を伝って雷を地面へ)


「「「おおっ!雷を吸収したぞ!」」」


全方位に向けられた稲妻の絨毯爆雷撃に対し、駆け付けたクリストフが高さ3~4メル程のキノコ群による『避雷陣』を形成し冒険者や戦闘職、有志の者達を雷撃から守る。

しかもそれだけでなく


『『『グボッ!』』』
『『ズボッ!』』
『『『グボボッ!』』』(手足の生えたキノコが地面から続々出現)

「う、うわーっ!(冒険者11)」
「な、何だコイツら!?(有志8)」

「落ち着き下され!
雷を浴びて活性化したキノコ達です!
そりゃ手足を生やして飛び出してくるでしょう!(クリストフ)」

「あ、そっか…いや無い無い!(冒険者12)」


『避雷陣』を避雷針代わりにした直後、キノコ群が手足を生やして一斉に地面から抜け出し謎の蝶へと侵攻。

その数は100体にも及んでいた。


『『『『『ドドドドドドドドッ!』』』』』

「皆様お退き下され!
キノコ達よ、その蝶が諸悪の根源の様です!
体は比較的小さいですが用心して叩きのめすのです!(クリストフ)」

『『『『『バッ!』』』』』(声出ないので手を上げて返答)


手足が生えたキノコ群は冒険者や戦闘職、有志の間をすり抜け謎の蝶を目指す。


『『『ゴロゴロゴロ…』』』(雷鳴)

『『『バシィイイッ!』』』(雷撃)

『『『ズバァアアアアンッ!』』』(直撃)


「ああ!キノコ達に…!(戦闘職9)」


謎の蝶直上の雲に稲妻が走り、迫るキノコ群に雷撃が降り注ぐ。


『『ボコボコボコッ!』』(活性化&体躯2割増)


複数体直撃を食らうも逆に活性化してより強靭になるのだった。

それに対する謎の蝶の対応は非常に早かった。


『『『シュボォオオオオオオオッ!』』』(波状に延焼する地面)

『『『『ジュボォオオオオッ!』』』』(強烈な熱波&炎上)

「なっ!?(クリストフ)」


謎の蝶から波状に熱波が走ったかと思えば、侵攻していた100体のキノコ群の体が即炎上。
一瞬の内に体組織の半分が炭化する個体も居た程であった。


「…あれがノア殿を焼いた炎であるな…?(クリストフ)」

『『ギュバッ!』』(手に槍を出現させる)


その光景を見たクリストフは徐に手の中に槍状の物体を出現させ、大きく振り被る。


「虫である以上″コレ″を食らってタダで済むハズは無い!
食らうがいい!『倒虫火葬(トウチュウカソウ)』っ!(クリストフ)」

ゴォッ!(投擲)


対虫モンスターにとっては致命的とも言える一手を放つクリストフ。
主君を焼いた相手である為、彼なりに頭に来ていたのだろう。



『倒虫火葬(トウチュウカソウ)』…虫に対して恐ろしいまでの寄生性を持つキノコ。
一度寄生すれば対象の脳を支配するまで侵食し、抵抗すれば侵食と破壊行動を同時に行い、弱った所を一気に侵食する残虐さを見せる。

脳まで侵食されたらどうしようもないので、新たに寄生・侵食行動が行われる前に焼却処分(火葬)するのが最善策と言える。



『『『シュボォオオオオオオオッ!』』』(強烈な熱波)

ジュァアアッ!ジリジリジリ…(発火・炎上する槍)


「ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!(クリストフ)」

ボボッ!ボッ!ボッ!(連投)


ジュ『ジュアッ!』ジュゥウッ!


クリストフが連投する『倒虫火葬』は、謎の蝶から発せられる熱波により炎上こそすれ、灰にはならず、速力が落ちて謎の蝶には届かなかった。


(くっ、何という熱量…莫大な魔力を消費しているハズなのに一向に出力が弱まる気配が無い…
一体あの蝶は何なのだ…(クリストフ))ジリジリ…


断続的な熱波に対して『倒虫火葬』を連投するクリストフだが、謎の蝶の無尽蔵と思える攻撃を前に徐々にジリ貧となってきていた。

と、そこに


「スロット:『永久氷柱』。(レドリック)」


『『『『『『『ジャラ…』』』』』』』(蝶の全方位に配置される『永久氷柱』)

『『『『『『『ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!』』』』』』』(全方位から撃ち込まれる『永久氷柱』)

『『『『ジュァアアアアアアアッ!』』』』(消失する熱波&立ち込める水蒸気)


「む!今の攻撃は…!(クリストフ)」


突如謎の蝶の全方位に図太い氷柱が大量出現。
その氷柱は強烈な熱波であっても瞬時に溶ける事は無く、その後に全方位から叩き込まれる。

大量の氷柱によって冷却、物量によって隙を、水蒸気によって視界を封じ込めた事で僅かに熱波が消失するのであった。

その作られた隙を見逃しはしなかった。


『『ズ…』』(水蒸気の中から出現)

「イィイヤァアッ!(アミスティア)」


ゴッ!ギィイイイイイインッ!(金属質の音)


(え!?何この硬さ…虫のモノとは違…
え?何、あの身体…あれはまるで…(アミスティア))


『『『ゴォッ!』』』(アミスティアへ向けた熱波)

『『『『ジュァアアアアアアアッ!』』』』(空振り、地面を焼く熱波)


謎の蝶を真っ二つに斬り裂く勢いで放ったアミスティアの一閃は、少しの傷も付ける事無く終わり、代わりに反撃を受ける事となった。

だがその時にはアミスティアの姿は無く、既に退散していた。

これでは振り出しに戻ってしまう所ではあるが


「チャージ:『槍』、スロット:『槍』。
【貫(ツラヌキ)】発動、どんだけ硬かろうが防御無視じゃどうしようも無いだろ?(レドリック)」

『『『『ズドドドドドドッ!』』』』(幾本も撃ち込まれる槍(『倒虫火葬』))


アミスティアによって作られた隙を見逃さなかったレドリックは、反対側に回りつつクリストフが連投した『倒虫火葬』を回収、即連続発射。

ただそれだけだとアミスティアの一撃を防いだ硬質な体表に阻まれてしまう為、【神出弓士】の固有スキル【貫(ツラヌキ)】による防御力無視の連撃を放ち、突き立てるのであった。


キャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!(謎の蝶の悲鳴)


「おおっ!お見事ですぞレドリック殿!(クリストフ)」

スタッ!

「…何とか上手く行ったわね。
それにしてもあの蝶一体何だったのかしら…(アミスティア)」

スタッ!

「ん?何かあったのか?
水蒸気が凄かったので蝶の反応を頼りに撃ち込んだのだが?(レドリック)」


アミスティアとレドリックの連携によりクリストフの攻撃は見事謎の蝶に突き刺さる事となった。


アアアアアアアアアッ!(謎の蝶の悲鳴)

『『『ボコボコボコッ!』』』(謎の蝶の身体が隆起)


謎の蝶の悲鳴が木霊す中、徐々に立ち込めていた水蒸気が晴れ、謎の蝶の姿が露となっていく。

淡く光輝いていた身体から光が失われ、地肌である鈍色の体色が現れる。


「さっき接近してみて気付いたんだけど、あの蝶ただの蝶じゃないわよ?(アミスティア)」

「そりゃあ幾つもの属性魔法を操る蝶なんて見た事無いからな。(レドリック)」

「そういう意味じゃないわよ。
あの蝶、体表に″鱗″を持っていたわ、それも″竜″の物。
アイツ、もしかしたら″竜種″に属するモンスターかも知れないわ。(アミスティア)」

「何ですと?(クリストフ)」


先程至近距離で斬り掛かったアミスティアは謎の蝶の異常性に気付いていた。

この世界には何万種類のモンスターが存在するが、その殆んどは他種との交配によって生み出されている。

とはいえ、有り得ない様な組み合わせ(竜×虫、虫×人等)の場合、交配以外の方法で他種の要素を取り入れる事となる為、その種は大抵″異常性″を秘めている事がある。

なので見た目が″蝶″であっても、″中身″までもが蝶であるかは調べてみないと分からないのである。



アアアアア″ア″ア″ア″ア″ッ″!

『『『ボコボコボコッ!』』』(身体が隆起)
『『メキメキメキッ!』』(虫の様な脚→竜種の足に)
『『『ズヂュルッ!』』』(虫の胴体→竜鱗の生えた長い胴体に)
『『バギンッ!』』(顎→鋭い牙の生えた顎に)

『『ズロンッ!』』『『ビョルルンッ!』』(腹部の産卵管→産卵管はそのままに長大化&鉤爪出現)



「むっ!?あり得ない!まさかそんな…!(クリストフ)」

「どうしたんだクリストフ殿?(レドリック)」

「奴の形状が変わる度に体内から『倒虫火葬』の存在が消え失せている!
奴は、『倒虫火葬』を″吸収″し自身の糧としている!(クリストフ)」


虫系モンスターに対して絶大な効果を与える『倒虫火葬』だが、効果が然程無い所か″吸収″して取り込み始めたという。


「なら急いで奴にトドメを刺さないとね。
行くわよレド!クリスト
 
『『『ドッ!』』』(謎の蝶の直下から閃光)

『『『『『バジュゥウウウウウッ!』』』』』(高出力プラズマレーザー)


謎の蝶に起こった変化を止める為トドメを刺そうとする一行の前にプラズマレーザーの柱が聳え立った。

勿論これはグリードによるものだが、この攻撃によって取り返しの付かない事態に発展するのであった。
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