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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~万死一生~
歯が立たない相手
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~街(前哨基地)から3ケメル以上離れた小高い丘~
『『『オォオオオ…』』』(遥か遠くで火柱が上がる)
「ハァ…ハァ…
…ヒヒ、助かったぜ…(???)」
~防壁付近の塹壕~
『『『ジャバッ!』』』(ふくらはぎの火傷に手製の薬品)
「ぐぉっ…!?」
「我慢して下さいノア様、こうしないと雑菌が入ってしまいますので。(ヴァンディット)」
「痛みが強いという事は″1度″か。
足の方は思いの外浅くて良かったな。(レドリック)」
現在防壁付近の塹壕内では、右半身に火傷を負い動けないノアの治療に着手していた。
最初はシンプソン率いる教会関係者が訪れて神聖魔法や回復魔法を駆使して治療にあたろうとしたが、【ソロ】であるノアには回復魔法や支援魔法の類いが掛けられない事を知り、肩を落としていた。
そこで【錬金術】や医療に秀でているヴァンディット、大抵の事は何でもありなクリストフ、それと何故か街の子供達(主にノアより1つ2つ年下の女の子)数人が集まっていた。
元々この街に集められた住人達は、【勇者】軍によって自分達が住んでいた村を襲われ、追われ、隷奴に落ちてしまった者達である。
何事も無ければ翌年に【適正】の儀を受けて冒険者だったり手に職を付けて働きに出る子も居ただろう。
その中から【適正】に関わらず医療に興味関心のあった子供達が手伝いを申し出て今に至る。
「…め、滅茶苦茶滲みる…っぐぅ…」
「さぁ皆様、殺菌の方が終わりましたので患部にシビビ成分配合の軟膏、アロエリアに浸したガーゼを巻きましょう。
ここを…この様に…こうやって…(ヴァンディット)」
「「「はい。(女の子達)」」」
街の子供達は、ヴァンディットからレクチャーを受けながら比較的軽傷な右ふくらはぎの治療を進める。
「ニャーゴ殿、ちょっと状態を看てみたいので一旦離れて貰っても良いですかな?(クリストフ)」
んにゃ。(ニャーゴ)
『『みょぃーん…』』(纏わり付いていた右腕から離れる)
次にニャーゴの上からでも深刻そうな右腕に着手。
焼け爛れ、所々焦げ付いた肌を吸収中のニャーゴには一旦退いて貰い、状態の確認を行う。
するとその際
「ノアちゃん。
程度を知りたいから<激痛耐性>や痛みに関する耐性スキルは解除して貰える?(アミスティア)」
「えぇーっ…わ、分かったよ…」
『『とぷん。』』(ニャーゴ分離)
「「「「ひぇ…(街の子供達)」」」」
「ちょ、そんな反応しないでよ…」
ノアの意識が戻ったと聞いた母親のアミスティアもこの場に戻りノアと対面。
指示を出して火傷の程度の確認を行う。
ニャーゴが離れ、露になったノアの右腕を見た者達は思わず小さく悲鳴を上げてしまった。
何せ右肩口から手首にかけて皮膚が無くなっており、筋肉が剥き出しとなっていたからである。
何とも痛々しい姿に絶句する者も居る中
「あ、あれ…?意外と痛くない…?
さっきは風が当たるだけでも痛かったのに…」
「痛みが無い訳では無い?(アミスティア)」
「そうだね、肩口辺りと肘の辺りはジワジワとした痛みがあるよ。」
「「「「そうか…」」」」
「え!?何!?何!?」
ノアから痛みの程度を聞いた者達は肩を落としたり反応に困ったりしていた。
どうやら火傷を負った際に痛みが然程無い場合、程度によっては神経も多少やられてしまう為逆に痛みが少ない・無いのだと言う。
~最前線・未だ炎上中~
ダカダッ!ダカダッ!(馬の駆ける音)
「火は大分弱まってきたけど温度が高くてとても近付けないわ!(美幸)」
「取り敢えず残る捜索箇所はここだけだ。
虫の残党が居なきゃ終結宣言が出されるだろう!(冒険者1)」
「とは言えこうも広範囲が炎上していたら感知系スキルが意味を成さないのがなぁ…(戦闘職1)」
「気長に待つしかないだろうさ。(冒険者2)」
この世界は大半の物が魔素によって構成されている為、雰囲気の温度が高ければその場には魔素が多く集まる為<魔力感知>が効き辛く、物が燃えれば気流が乱れ、残骸が多く発生する為<気流感知>も効かなけりゃ<振動感知>も大して効果が無い。
仕方が無い為、周辺に待機している冒険者や戦闘職、有志の者達は気長に待つ事しか出来ない。
そう思われたのだが
『『『ガラガラガラッ…!』』』(瓦礫の崩れる音)
「「「「「ん?」」」」」
「何の音だ?(冒険者1)」
「繭の燃えカスか?(戦闘職1)」
「虫の残党か?(有志1)」
「いやいや、この高温の中で生きてられるかよ。(冒険者2)」
「つーか何だあの蝶、光ってないか?(有志2)」
未だ炎が燻り、釜の内部の様な熱を発する一帯に大きな物音が響く。
単に繭の土台が崩れたと解釈する事も出来るが、その後視界に現れた光景を見て人々は認識を改めるのであった。
『『ヒラヒラ…』』
「蝶!…か?(冒険者3)」
「…にしてはデカくねぇか?
モンスターの残党じゃね?(冒険者4)」
「出現モンスターに蝶タイプって居たっけ?(戦闘職2)」
「何にしても目視出来たんなら一先ず討っておこう。何にしてもこの高温環境下で生きてるという事はモンスターの類いで間違いないからな。(有志2)」
「「「「「だな。」」」」」
「じゃあ俺に任せろ、この距離なら外さん。(【弓】の冒険者)」
シャリィン…パキュゥンッ!(鉄の矢を射る)
キュゥン…『シュ』
「「「…あれ?」」」
「どうなった?(有志2)」
「外した?(冒険者4)」
「いや、そんなハズは…この距離なら外しようが…(【弓】の冒険者)」
シャリィン…パキュゥンッ!…(再び鉄の矢を番え、放つ)
『『『ドゥッ!』』』(蝶と【弓】間の空間が爆ぜる)
「「「「「「「え?」」」」」」」
第2射を放った瞬間、光輝く蝶の方から不可視の衝撃波が放たれ燃えカスや残骸を巻き込みながら【弓】の冒険者や周囲の者達の方へ突っ込んでくる。
あまりの急展開であった為、周囲の者達は素頓狂な声しか上げられず、動く事が出来なかった。
が
「「「ぬぉおおっ!『肉岩壁』ぇっ!(スクワ、バルク、パンプ)」」」
『『『ドゴォッ!』』』(地面に拳を打ち突ける)
『『『ボゴォッ!』』』(正面に幅10メルもの岩壁を形成)
グイッ!「うぇっ!?」
ゴッ『『『バガァアアアアッ!』』』(『肉岩壁』爆砕)
衝撃波と【弓】の冒険者との間に割って入ってきた『筋肉達磨』の3人が分厚い防御壁を造り出しつつ退避するも、藁の家の様に跡形もなく吹き飛ばされるのであった。
「うわっ!?熱ぃっ!?(冒険者5)」
「退避だ退避!【盾】持ちも十分注意しろ!(戦闘職6)」
高熱の衝撃波は『肉岩壁』と衝突・爆砕した事で大幅に弱体化したが、余波だけで火傷を起こしそうな程の熱量を持っていた。
『『ヒラヒラ…』』
ボッ!シュボッ!(蝶の真下の地面が発火)
「気を付けろ!あの蝶は火属性の様だ!
とんでもねぇ熱だ!(戦闘職7)」
「遠距離攻撃持ちは散開しつつ、常に動いて的を絞らせるな!
周りの奴等も直ぐに動ける様に警戒しとけよ!(有志5)」
「「「「「「おぅっ!」」」」」」
出鼻を挫かれた者達ではあるが、直ぐに意識を切り替え、目の色を変えて警戒に入る。
この蝶が只の蝶では無いと直ぐに察したのだろう。
パキュゥンッ!『『シュパパッ!』』(左右から放たれる鉄の矢・通常の矢)
「『アイシクルランス』!(【魔法使い】1)」
「『ウォーターバースト』!(【魔法使い】2)」
ジュッ!『『ジュワッ!』』(熔解・焼失する矢)
ジュゥウッ!(蝶に到達しない氷の槍)
『『『ブシュゥウッ!』』』(滝の様な水量が全蒸発)
『『『『ボファアアアアッ!』』』』(周囲に霧が立ち込める)
「しまった!視界『ジュン』が…え?(冒険者7)」
「蒸発だと!?どんだけの熱『ジュッ』量を…は?(冒険者8)」
「くっ、視界が…
風魔法『ヂ』で…っ熱っ!?(有志6)」
蝶の放つ熱量で悉く攻撃が蒸発してしまい、それによって周辺の視界が僅かに塞がれてしまう。
その際に近くに居た者達の体に痛みと熱が走ったかと思うと、肩や足、腕等に指の太さの穴が空き、それら全てが焦げ付いていたのだった。
ドサッ!ドッ!ドサッ!(攻撃を受けた者達が崩れ落ちる)
『『ヒラヒラ…』』
『『『ジリジリジリ…』』』(蝶の放つ熱で肌が焼けていく)
「う、うわぁああっ!(冒険者7)」
「あ、熱い!助けてくれ!(冒険者8)」
攻撃を受けた者達が次々に崩れ落ちる中、蝶は優雅に宙を舞い街の方へと向かう。
その侵攻方向には、崩れ落ちた者達も居り、悲鳴を上げていた。
周囲の者達は助けに入りたいが、同じく蝶の放つ熱量に当てられて思う様に近寄る事も出来ない。
このままでは無残に焼かれていく様を見届ける事しか出来ないが
〔〔〔『海牢』!〕〕〕
『『『ゴボゴボゴボッ!』』』(蝶の全周を覆う莫大な量の水)
〔今の内です!救助を!(肺魚人族1)〕
〔3層の『海牢』で覆いました!破られない内に早く!(肺魚人族2)〕
「「「「お、おぅ!」」」」
〔くっ、何という熱量だ…3層の『海牢』が破られようとしている…!(肺魚人族3)〕
海洋種からの援軍である肺魚人族の3人全員が莫大な水量で造り出した牢獄『海牢』を発動し、謎の蝶を閉じ込める。
その牢獄の大きさは有に直径50メルは降らないだろう。
が
『『『ズムン!』』』(『海牢』1層突破)
〔ぐっ!おかしいぞ!幾らなんでも早すぎる!(肺魚人族1)〕
『『『ドムンッ!』』』(『海牢』2層突破)
〔くっ、救助を済ませたら退避しろ!
このままでは抑え切れん!(肺魚人族2)〕
『『『ズバァアアアアンッ!』』』(『海牢』全層突破)
『『『ジュワァアアッ!』』』(謎の蝶を中心に広がる熱波)
肺魚人族が3人掛かりで発動した『海牢』がものの数秒で突破され、再び全方位に熱波が放たれる。
すると一瞬の内に水は蒸発し瞬く間に地面が燃え広がっていく。
その炎が自分の足元に到達した瞬間が自分の命が尽きる。そう実感させる様に迫ってきていた。
〔〔〔〔『断巻(タツマキ)』!〕〕〕〕
『『『ギュォオオオオオオオオオオオオオッ!』』』(謎の蝶直上から暴風の牢獄)
「「「「「「っ!?」」」」」」
分厚い雲が急速に下がり、高速で渦を巻き謎の蝶を捕らえて封じ込める。
絶対に逃さないとばかりに竜巻の渦は太く巨大に変化し、放っていた熱や燃え上がっていた炎を少したりとも外部へは漏らさなかった。
『『『ゴォオオオ『ババッ!』オオオオ『ボッ!』オオッ!』』』(竜巻から僅かに漏れる炎)
「おおっ!あの蝶を封じ込めたぞ!(冒険者9)」
「「誰だ!?」」
「上だ!ハーピー族の者達だ!(戦闘職8)」
「おお!流石風の使い手だ!(有志7)」
空を見上げてみると翼を広げて風魔法を繰り出すハーピー族複数人が見える。
謎の蝶を封じ込めたのを確認した彼女達は地上の者達の下へと滑空していった。
ズザザザザッ!
〔上手く行ったわね。(チュルチー)〕
「「「「おお、助かった!」」」」
〔それにしても何なの?あの蝶。
とんでもない魔力を感じたわよ?(ヤンチャラット)〕
〔何にしてもこのまま誘導して遥か上空へと連れていこう。
上手くいけば高高度に居られる亜竜種族方が処理して
『『『ゴロゴロゴロ…』』』(雷鳴)
『『ビシャァアッ!』』『『バシィインッ!』』(竜巻内に走る稲妻)
〔誰だ!雷を引き寄せた者は!(チュルチー)〕
〔私達ではありません!(ハーピー族1)〕
〔私らでも無いぜ?(ヤンチャラット)〕
〔じ、じゃあこの稲妻は誰が…(チャチャ)〕
『『『バシュゥウウウンッ!』』』(竜巻を中心として全方位に稲妻が走る)
ドガガガガガッ!
ボゴゴゴゴゴッ!
ズドドドドドドッ!(稲妻が周囲に走り大地を削る)
〔伏せて!奴が『断巻(タツマキ)』の中で雷を操ってるっ!(ゴチ)〕
「「「「はぁ!?」」」」
〔ちょっと待て!アイツは火属性なのでは無いのか!(チュルチー)〕
チュルチーや仲間のハーピー族達が放った暴風の障壁『断巻(タツマキ)』によって閉じ込められた謎の蝶であるが、竜巻を通じて分厚い雲から稲妻を誘導し攻撃として転用しているという。
そんな訳が無いと否定したい気持ちも分かるが、実際に発生している現象の数々が全てを物語っていた。
『『『ゴゴゴゴゴゴ…』』』
『『『ゴォオオオオオオオオオッ!』』』(竜巻内部に走る稲妻)
『ビシャァアッ!』バシュゥッ!『『ズガァアッ!』』バシィインッ!『『『バヂバヂバヂッ!』』』(竜巻を中心に雷の絨毯爆雷撃)
〔ちょ…待…(チュルチー)〕
〔…どうしろってのよ…(ハーピー族2)〕
「こんなの避けようが…(戦闘職10)」
「…くそっ。(冒険者11)」
一瞬の静寂の後竜巻内部から全方位に無数の雷撃が降り注ぐ。
それは地上に居ようが上空に飛んでいようが関係無く無差別的に襲い掛かってくる。
そんな状況に、冒険者や戦闘職、ハーピー族の者達はただ蹂躙されるのを待つだけとなった。
のだが
「『避雷陣』っ!(クリストフ)」
自分達の遥か後方から何とも頼もしいキノコの声が響いてきたのであった。
『『『オォオオオ…』』』(遥か遠くで火柱が上がる)
「ハァ…ハァ…
…ヒヒ、助かったぜ…(???)」
~防壁付近の塹壕~
『『『ジャバッ!』』』(ふくらはぎの火傷に手製の薬品)
「ぐぉっ…!?」
「我慢して下さいノア様、こうしないと雑菌が入ってしまいますので。(ヴァンディット)」
「痛みが強いという事は″1度″か。
足の方は思いの外浅くて良かったな。(レドリック)」
現在防壁付近の塹壕内では、右半身に火傷を負い動けないノアの治療に着手していた。
最初はシンプソン率いる教会関係者が訪れて神聖魔法や回復魔法を駆使して治療にあたろうとしたが、【ソロ】であるノアには回復魔法や支援魔法の類いが掛けられない事を知り、肩を落としていた。
そこで【錬金術】や医療に秀でているヴァンディット、大抵の事は何でもありなクリストフ、それと何故か街の子供達(主にノアより1つ2つ年下の女の子)数人が集まっていた。
元々この街に集められた住人達は、【勇者】軍によって自分達が住んでいた村を襲われ、追われ、隷奴に落ちてしまった者達である。
何事も無ければ翌年に【適正】の儀を受けて冒険者だったり手に職を付けて働きに出る子も居ただろう。
その中から【適正】に関わらず医療に興味関心のあった子供達が手伝いを申し出て今に至る。
「…め、滅茶苦茶滲みる…っぐぅ…」
「さぁ皆様、殺菌の方が終わりましたので患部にシビビ成分配合の軟膏、アロエリアに浸したガーゼを巻きましょう。
ここを…この様に…こうやって…(ヴァンディット)」
「「「はい。(女の子達)」」」
街の子供達は、ヴァンディットからレクチャーを受けながら比較的軽傷な右ふくらはぎの治療を進める。
「ニャーゴ殿、ちょっと状態を看てみたいので一旦離れて貰っても良いですかな?(クリストフ)」
んにゃ。(ニャーゴ)
『『みょぃーん…』』(纏わり付いていた右腕から離れる)
次にニャーゴの上からでも深刻そうな右腕に着手。
焼け爛れ、所々焦げ付いた肌を吸収中のニャーゴには一旦退いて貰い、状態の確認を行う。
するとその際
「ノアちゃん。
程度を知りたいから<激痛耐性>や痛みに関する耐性スキルは解除して貰える?(アミスティア)」
「えぇーっ…わ、分かったよ…」
『『とぷん。』』(ニャーゴ分離)
「「「「ひぇ…(街の子供達)」」」」
「ちょ、そんな反応しないでよ…」
ノアの意識が戻ったと聞いた母親のアミスティアもこの場に戻りノアと対面。
指示を出して火傷の程度の確認を行う。
ニャーゴが離れ、露になったノアの右腕を見た者達は思わず小さく悲鳴を上げてしまった。
何せ右肩口から手首にかけて皮膚が無くなっており、筋肉が剥き出しとなっていたからである。
何とも痛々しい姿に絶句する者も居る中
「あ、あれ…?意外と痛くない…?
さっきは風が当たるだけでも痛かったのに…」
「痛みが無い訳では無い?(アミスティア)」
「そうだね、肩口辺りと肘の辺りはジワジワとした痛みがあるよ。」
「「「「そうか…」」」」
「え!?何!?何!?」
ノアから痛みの程度を聞いた者達は肩を落としたり反応に困ったりしていた。
どうやら火傷を負った際に痛みが然程無い場合、程度によっては神経も多少やられてしまう為逆に痛みが少ない・無いのだと言う。
~最前線・未だ炎上中~
ダカダッ!ダカダッ!(馬の駆ける音)
「火は大分弱まってきたけど温度が高くてとても近付けないわ!(美幸)」
「取り敢えず残る捜索箇所はここだけだ。
虫の残党が居なきゃ終結宣言が出されるだろう!(冒険者1)」
「とは言えこうも広範囲が炎上していたら感知系スキルが意味を成さないのがなぁ…(戦闘職1)」
「気長に待つしかないだろうさ。(冒険者2)」
この世界は大半の物が魔素によって構成されている為、雰囲気の温度が高ければその場には魔素が多く集まる為<魔力感知>が効き辛く、物が燃えれば気流が乱れ、残骸が多く発生する為<気流感知>も効かなけりゃ<振動感知>も大して効果が無い。
仕方が無い為、周辺に待機している冒険者や戦闘職、有志の者達は気長に待つ事しか出来ない。
そう思われたのだが
『『『ガラガラガラッ…!』』』(瓦礫の崩れる音)
「「「「「ん?」」」」」
「何の音だ?(冒険者1)」
「繭の燃えカスか?(戦闘職1)」
「虫の残党か?(有志1)」
「いやいや、この高温の中で生きてられるかよ。(冒険者2)」
「つーか何だあの蝶、光ってないか?(有志2)」
未だ炎が燻り、釜の内部の様な熱を発する一帯に大きな物音が響く。
単に繭の土台が崩れたと解釈する事も出来るが、その後視界に現れた光景を見て人々は認識を改めるのであった。
『『ヒラヒラ…』』
「蝶!…か?(冒険者3)」
「…にしてはデカくねぇか?
モンスターの残党じゃね?(冒険者4)」
「出現モンスターに蝶タイプって居たっけ?(戦闘職2)」
「何にしても目視出来たんなら一先ず討っておこう。何にしてもこの高温環境下で生きてるという事はモンスターの類いで間違いないからな。(有志2)」
「「「「「だな。」」」」」
「じゃあ俺に任せろ、この距離なら外さん。(【弓】の冒険者)」
シャリィン…パキュゥンッ!(鉄の矢を射る)
キュゥン…『シュ』
「「「…あれ?」」」
「どうなった?(有志2)」
「外した?(冒険者4)」
「いや、そんなハズは…この距離なら外しようが…(【弓】の冒険者)」
シャリィン…パキュゥンッ!…(再び鉄の矢を番え、放つ)
『『『ドゥッ!』』』(蝶と【弓】間の空間が爆ぜる)
「「「「「「「え?」」」」」」」
第2射を放った瞬間、光輝く蝶の方から不可視の衝撃波が放たれ燃えカスや残骸を巻き込みながら【弓】の冒険者や周囲の者達の方へ突っ込んでくる。
あまりの急展開であった為、周囲の者達は素頓狂な声しか上げられず、動く事が出来なかった。
が
「「「ぬぉおおっ!『肉岩壁』ぇっ!(スクワ、バルク、パンプ)」」」
『『『ドゴォッ!』』』(地面に拳を打ち突ける)
『『『ボゴォッ!』』』(正面に幅10メルもの岩壁を形成)
グイッ!「うぇっ!?」
ゴッ『『『バガァアアアアッ!』』』(『肉岩壁』爆砕)
衝撃波と【弓】の冒険者との間に割って入ってきた『筋肉達磨』の3人が分厚い防御壁を造り出しつつ退避するも、藁の家の様に跡形もなく吹き飛ばされるのであった。
「うわっ!?熱ぃっ!?(冒険者5)」
「退避だ退避!【盾】持ちも十分注意しろ!(戦闘職6)」
高熱の衝撃波は『肉岩壁』と衝突・爆砕した事で大幅に弱体化したが、余波だけで火傷を起こしそうな程の熱量を持っていた。
『『ヒラヒラ…』』
ボッ!シュボッ!(蝶の真下の地面が発火)
「気を付けろ!あの蝶は火属性の様だ!
とんでもねぇ熱だ!(戦闘職7)」
「遠距離攻撃持ちは散開しつつ、常に動いて的を絞らせるな!
周りの奴等も直ぐに動ける様に警戒しとけよ!(有志5)」
「「「「「「おぅっ!」」」」」」
出鼻を挫かれた者達ではあるが、直ぐに意識を切り替え、目の色を変えて警戒に入る。
この蝶が只の蝶では無いと直ぐに察したのだろう。
パキュゥンッ!『『シュパパッ!』』(左右から放たれる鉄の矢・通常の矢)
「『アイシクルランス』!(【魔法使い】1)」
「『ウォーターバースト』!(【魔法使い】2)」
ジュッ!『『ジュワッ!』』(熔解・焼失する矢)
ジュゥウッ!(蝶に到達しない氷の槍)
『『『ブシュゥウッ!』』』(滝の様な水量が全蒸発)
『『『『ボファアアアアッ!』』』』(周囲に霧が立ち込める)
「しまった!視界『ジュン』が…え?(冒険者7)」
「蒸発だと!?どんだけの熱『ジュッ』量を…は?(冒険者8)」
「くっ、視界が…
風魔法『ヂ』で…っ熱っ!?(有志6)」
蝶の放つ熱量で悉く攻撃が蒸発してしまい、それによって周辺の視界が僅かに塞がれてしまう。
その際に近くに居た者達の体に痛みと熱が走ったかと思うと、肩や足、腕等に指の太さの穴が空き、それら全てが焦げ付いていたのだった。
ドサッ!ドッ!ドサッ!(攻撃を受けた者達が崩れ落ちる)
『『ヒラヒラ…』』
『『『ジリジリジリ…』』』(蝶の放つ熱で肌が焼けていく)
「う、うわぁああっ!(冒険者7)」
「あ、熱い!助けてくれ!(冒険者8)」
攻撃を受けた者達が次々に崩れ落ちる中、蝶は優雅に宙を舞い街の方へと向かう。
その侵攻方向には、崩れ落ちた者達も居り、悲鳴を上げていた。
周囲の者達は助けに入りたいが、同じく蝶の放つ熱量に当てられて思う様に近寄る事も出来ない。
このままでは無残に焼かれていく様を見届ける事しか出来ないが
〔〔〔『海牢』!〕〕〕
『『『ゴボゴボゴボッ!』』』(蝶の全周を覆う莫大な量の水)
〔今の内です!救助を!(肺魚人族1)〕
〔3層の『海牢』で覆いました!破られない内に早く!(肺魚人族2)〕
「「「「お、おぅ!」」」」
〔くっ、何という熱量だ…3層の『海牢』が破られようとしている…!(肺魚人族3)〕
海洋種からの援軍である肺魚人族の3人全員が莫大な水量で造り出した牢獄『海牢』を発動し、謎の蝶を閉じ込める。
その牢獄の大きさは有に直径50メルは降らないだろう。
が
『『『ズムン!』』』(『海牢』1層突破)
〔ぐっ!おかしいぞ!幾らなんでも早すぎる!(肺魚人族1)〕
『『『ドムンッ!』』』(『海牢』2層突破)
〔くっ、救助を済ませたら退避しろ!
このままでは抑え切れん!(肺魚人族2)〕
『『『ズバァアアアアンッ!』』』(『海牢』全層突破)
『『『ジュワァアアッ!』』』(謎の蝶を中心に広がる熱波)
肺魚人族が3人掛かりで発動した『海牢』がものの数秒で突破され、再び全方位に熱波が放たれる。
すると一瞬の内に水は蒸発し瞬く間に地面が燃え広がっていく。
その炎が自分の足元に到達した瞬間が自分の命が尽きる。そう実感させる様に迫ってきていた。
〔〔〔〔『断巻(タツマキ)』!〕〕〕〕
『『『ギュォオオオオオオオオオオオオオッ!』』』(謎の蝶直上から暴風の牢獄)
「「「「「「っ!?」」」」」」
分厚い雲が急速に下がり、高速で渦を巻き謎の蝶を捕らえて封じ込める。
絶対に逃さないとばかりに竜巻の渦は太く巨大に変化し、放っていた熱や燃え上がっていた炎を少したりとも外部へは漏らさなかった。
『『『ゴォオオオ『ババッ!』オオオオ『ボッ!』オオッ!』』』(竜巻から僅かに漏れる炎)
「おおっ!あの蝶を封じ込めたぞ!(冒険者9)」
「「誰だ!?」」
「上だ!ハーピー族の者達だ!(戦闘職8)」
「おお!流石風の使い手だ!(有志7)」
空を見上げてみると翼を広げて風魔法を繰り出すハーピー族複数人が見える。
謎の蝶を封じ込めたのを確認した彼女達は地上の者達の下へと滑空していった。
ズザザザザッ!
〔上手く行ったわね。(チュルチー)〕
「「「「おお、助かった!」」」」
〔それにしても何なの?あの蝶。
とんでもない魔力を感じたわよ?(ヤンチャラット)〕
〔何にしてもこのまま誘導して遥か上空へと連れていこう。
上手くいけば高高度に居られる亜竜種族方が処理して
『『『ゴロゴロゴロ…』』』(雷鳴)
『『ビシャァアッ!』』『『バシィインッ!』』(竜巻内に走る稲妻)
〔誰だ!雷を引き寄せた者は!(チュルチー)〕
〔私達ではありません!(ハーピー族1)〕
〔私らでも無いぜ?(ヤンチャラット)〕
〔じ、じゃあこの稲妻は誰が…(チャチャ)〕
『『『バシュゥウウウンッ!』』』(竜巻を中心として全方位に稲妻が走る)
ドガガガガガッ!
ボゴゴゴゴゴッ!
ズドドドドドドッ!(稲妻が周囲に走り大地を削る)
〔伏せて!奴が『断巻(タツマキ)』の中で雷を操ってるっ!(ゴチ)〕
「「「「はぁ!?」」」」
〔ちょっと待て!アイツは火属性なのでは無いのか!(チュルチー)〕
チュルチーや仲間のハーピー族達が放った暴風の障壁『断巻(タツマキ)』によって閉じ込められた謎の蝶であるが、竜巻を通じて分厚い雲から稲妻を誘導し攻撃として転用しているという。
そんな訳が無いと否定したい気持ちも分かるが、実際に発生している現象の数々が全てを物語っていた。
『『『ゴゴゴゴゴゴ…』』』
『『『ゴォオオオオオオオオオッ!』』』(竜巻内部に走る稲妻)
『ビシャァアッ!』バシュゥッ!『『ズガァアッ!』』バシィインッ!『『『バヂバヂバヂッ!』』』(竜巻を中心に雷の絨毯爆雷撃)
〔ちょ…待…(チュルチー)〕
〔…どうしろってのよ…(ハーピー族2)〕
「こんなの避けようが…(戦闘職10)」
「…くそっ。(冒険者11)」
一瞬の静寂の後竜巻内部から全方位に無数の雷撃が降り注ぐ。
それは地上に居ようが上空に飛んでいようが関係無く無差別的に襲い掛かってくる。
そんな状況に、冒険者や戦闘職、ハーピー族の者達はただ蹂躙されるのを待つだけとなった。
のだが
「『避雷陣』っ!(クリストフ)」
自分達の遥か後方から何とも頼もしいキノコの声が響いてきたのであった。
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